肝臓
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18 巻, 9 号
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  • 林 久男, 黒川 晋, 篠田 知生, 郷治 広達, 船山 瑛, 原 建樹, 日下部 篤彦, 各務 伸一
    1977 年 18 巻 9 号 p. 607-614
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    lysosomes,特にヒト肝細胞lipofuscinの生理的意義を解明するため,蓄積症における肝細胞lysosomesを超微形態レベルで観察した.hemosiderosis, Wilson病,燐脂質脂肪肝,DubinJohnson syndrome (DJS)の肝生検材料を透過型電子顕微鏡でみると共に,前二者についてはelectron microanalyzerを併用した.hemosiderosisではlysosomesに鉄が沈着し,その含有量はほぼ超微形態に反映され,hemosiderinからlipofuscinに類似する顆粒がみられた.Wilson病ではlysosomesの形態は多彩で銅を多く含有する顆粒から大きな脂肪滴を持つlipolysosomesまでみられ,銅のほか脂質によってもlysosomesの形態が修飾されていた.燐脂質脂肪肝ではミエリン様構造物が多数出現しlipofuscinは消失していた.DJSでは小葉中心部に特異顆粒がみられ,門脈域の顆粒はlipofuscinに類似していた.このように肝蓄積症にみられるlysosomesの変化は沈着した疾患特有の金属,脂質等の量的変化と理解される.
  • 高森 成之, 滝野 辰郎, 金綱 隆弘, 中島 一益, 平海 良雄, 大高 剛, 千丸 博司, 牧野 邦雄, 増田 正典, 葛谷 覚元
    1977 年 18 巻 9 号 p. 615-624
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患323例に100gブドウ糖負荷試験および免疫インスリン(IRI)測定を施行し,肝障害時の糖代謝異常をインスリン動態の面より検討した.すなわち肝疾患ではすべて糖尿病に比べ30分ΔIRI/ΔBSは高値を示すが,正常と比べると急性肝炎急性期では低値,回復期には正常化の傾向をみた.また肝硬変では肝疾患のうち最も低い30分ΔIRI/ΔBS値であり,これは糖尿病病態に近いことを示唆する.糖尿病合併肝疾患は糖尿病と肝疾患の間の30分ΔIRI/ΔBS値を示した.肝疾患では30分ΔIRI/ΔBSは耐糖能異常の程度と負の相関関係を示し,糖尿病型は糖尿病合併肝疾患に比べ高値であった.慢性肝炎非活動性の糖尿病型は肝疾患の糖尿病型のうち最も低い30分ΔIRI/ΔBS値を示し,膵β細胞障害の共存が示唆された.糖負荷時のIRI面積(ΣIRI)および血糖面積の比(ΣIRI/ΣBS)では,肝疾患は正常や糖尿病に比し高値を示し,ΣIRIは耐糖能異常の程度と正の相関関係を示し,肝疾患では膵インスリン分泌の亢進が示唆された.
  • 剖検肝を中心に
    広瀬 鎮郎, 太田 五六, 吉沢 浩司
    1977 年 18 巻 9 号 p. 625-633
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール多飲者肝硬変19例の剖検肝を予め設けたクライテリアに基づいて,形態分類すると,アルコール性肝硬変が確実な群8例,疑われる群5例,考えにくい群6例となった.マロリー体の有無にかかわらず古典的な門脈性肝硬変を示すものは9例(大酒家中47%,全肝硬変中16%)であり,確実な群8例中の6例と疑われる群5例中の3例であった.肝内HBs抗原をみとめたもの5例,HBc抗原1例であるが,HBs抗原陽性5例中の2例(確実な群に属す)ではマロリー体も共存しており,その肝はいずれも粗大結節性の壊死後性肝硬変であった.これに反し,確実な群中残りの6例は,HB抗原陰性の小結節性の門脈性肝硬変であったので,アルコールとHBVの両病因が肝に作用した肝硬変では,ビールス表現が強く肝にあらわれて,壊死後性肝硬変の姿を示し,HBV感染のないアルコール多飲者肝硬変では,門脈型に近い形態を示すであろうと考えられた.これを支持する所見がアルコール性肝硬変が疑われる群や考えにくい群の形態とHBVの肝内感染の有無についての検索成績からも得られた.
  • 3H-thymidineによる光顕ならびに電顕オートラジオグラフィーによる観察を含め
    小笠原 孟史, 滝野 辰郎, 岡上 武, 勝馬 芳徳, 香川 恵造, 高橋 示人, 服部 隆則
    1977 年 18 巻 9 号 p. 634-644
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内の小葉間小胆管と胆細管(以下これらを肝内の細小胆管と称す)は種々の肝疾患や実験的肝障害で増加し,増生した肝内胆管系上皮細胞は多彩な超微形態を示すことが知られている.しかしどのような形態の細胞が増殖に関与し,肝内の細小胆管の増生をおこすのかは明らかにされていない.今回総胆管を二重結紮し肝外胆管閉塞を惹起させたラットの肝を用い,増殖している細胞の超微形態を光顕,電顕オートラジオグラフィの所見を含めて検索した.肝外胆管閉塞後増生した細胞群にはr-ER,ミトコンドリアなどの細胞内小器官の発達のよい細胞が多く観察できた.しかし中には小器官の発達の悪い細胞もみられ,小器官の発達は細胞によって種々の程度のものがあった.これらの細胞を小器官の発達のわるいものと,発達のよいものに分け,それぞれの細胞で3H-Tdrのとり込みをみると,小器官の発達のわるい細胞にも,よい細胞にも3H-Tdrのとり込みがみられた.3H-Tdrをとり込んだ細胞の分布は増生した肝内の細小胆管で明確な局在を示さなかった.このことは肝内胆管系では多彩な超微形態を示す個々の細胞がatrandomに増殖し,肝内の細小胆管の増生をおこしていることを示している.
  • 胆汁酸代謝を中心として
    前山 豊明
    1977 年 18 巻 9 号 p. 645-655
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラットにα-Naphthylisothiocyanate(ANIT)を経口投与して胆汁うっ滞を起こさせ,胆汁中胆汁酸の濃度測定,組成分析を行って胆汁酸代謝にいかなる変化がみられるかを検討した.さらに,ANITによる胆汁うっ滞に対するPhenobarbitalの影響についても併せて検討した.
    ANIT1回投与後2日目のラット胆汁中の胆汁酸量は胆汁量と相関して減少し,投与前の約1/5となった.また,ケノデオキシコール酸,デオキシコール酸などジヒドロキシ胆汁酸がほとんどみられずトリハイドロキシ胆汁酸の1つであるβ-ムリコール酸の組成比増氏が目立った.通常,β-ムリコール酸はケノデオキシコール酸を経由して生成されるがANITの投与をうけたラット肝では別の生成経路が想定された.Phenobarbital前処置ラットでは胆汁うっ滞がより早期に起こり,肝細胞障害も高度であったが胆汁うっ滞の回復には促進的に作用した.
  • とくに肝電顕像の変化について
    山本 晋一郎, 大橋 勝彦, 平井 佐知子, 平野 寛
    1977 年 18 巻 9 号 p. 656-661
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    患者は消化性潰瘍のため入院した45歳の男性で,肝機能検査および肝生検所見では著変はみられなかったが,ICGとBSPの著明な解離(R15 ICG74.8%,R45 BSP4%)を認め,体質性ICG排泄異常症と診断された.ICG血中消失曲線では18分と28分にステップ形成を認め,SephadexG-200ゲル濾過によるICGと血清蛋白との結合様式についての検討では,正常者に較べて19S分画に結合するICGをより多く認めた.肝生検組織の電顕的観察では,Disse腔のreticulum fiberの増生,滑面小胞体の小空胞化および粗面小胞体の減少を認めた.ミトコンドリアは変形あるいは腫大を示し,paracrystalline封入体を認めた.リポフスチン顆粒の増加も認められた.さらに体質性および肝炎後ICG排泄異常症との相違について検討を加えた.
  • 安倍 弘彦, 佐田 通夫, 江口 尚久, 長田 英輔, 谷川 久一, 小松 良治, 森松 稔
    1977 年 18 巻 9 号 p. 662-667
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Veno-occlusive disease of the liver(VOD)は種々の原因により,肝臓の中心静脈および小葉下肝静脈の閉塞を起こし,急激な腹水貯溜および著明な肝腫大を特徴とした疾患で,本邦での報告は未だされていない.最近,私共は剖検にてVODと判明した症例を経験したので報告する.
    症例は20歳の女性で,急激な腹水の貯溜を指摘されて当内科に入院,著明な腹水,黄疸および著明な肝腫大があり,検査成績でプロトロンビン時間,ヘパプラスチンテストの著明な延長を認め,肝細胞壊死が広汎であることを思わせ,入院後,約1カ月目に急性腎不全を合併して死亡した.剖検により,肝臓は肉眼的に高度のうっ血の所見を呈し,肝内静脈には血栓が認められ,肝組織所見としては,大部分の中心静脈には血栓形成が認められ,小葉中心部の広汎な出血壊死を認め,VODであることが確認された.
  • 児玉 隆浩, 沖田 極, 武波 俊彦, 赤川 悦夫, 野田 健一, 福本 陽平, 水田 実, 竹本 忠良, 長嶺 由啓, 中山 純
    1977 年 18 巻 9 号 p. 668-676
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血清中にHBs抗原(adr),e抗体,HB virus associated DNA polymeraseの陽性を示した小児の成人型原発性肝細胞癌(Z型肝硬変を伴う)の1症例を報告した.患者は11歳の男児で腹部膨隆で入院した.著明な肝腫を認め,高濃度のα-fetoprotein, HBs抗原,e抗体,DNA polymerase陽性を示し,また,血清総コレステロールとともに血清脂質の著明な上昇を示した.剖検ではZ型肝硬変を伴う索状型のEdmondson III型成人型肝細胞癌であり,オルセイン染色にて肝硬変部の肝細胞質内にHBs抗原の局在を認めた.肝硬変を伴う小児原発性肝細胞癌症例は稀であり,なかでも,巨細胞性肝炎,先天性胆道閉鎖症に起因するものに比べれば,HBウイルスに起因する症例は非常に稀である.本症例は原発性肝細胞癌の発癌の一因子としてのHBウイルスの関連を強く示唆するとともに原発性肝癌の代謝機構への影響を考えるうえで貴重な症例である.
  • 戸枝 一明, 柴崎 浩一, 佐藤 英司, 市田 文弘
    1977 年 18 巻 9 号 p. 677-683
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は36歳の男.昭和50年2月,心窩部痛を主訴として某医を受診.肝腫大とともに,胸部レ線で両肺野に多数の腫瘍陰影を発見されたため当科へ精査入院した.入院時,自覚症状はなく,理学所見では肝脾腫と肺呼吸音の減弱を認めた.血清Al-Paseとγ-GTPの上昇,HBs抗原およびAFP陽性,肝シンチグラム,腹腔動脈撮影などから原発性肝細胞癌と診断.各種抗癌剤を使用したが,肺腫瘍陰影は徐々に増大.第49病日に最初の低血糖発作が出現した.この時の空腹時血糖は38~56mg/dlと低値であり,血中IRIは40μU/ml,血中IRGは3,300pg/mlを示した.その後,低血糖発作は頻発し,全身衰弱のため6月死亡.剖検所見では肝右葉に手拳大の主腫瘍が存在し,組織学的には原発性肝細胞癌(Edmondson II)であった.また,両側肺にレ線に一致する多数の転移巣を認めたが,膵組織に著変はなかった.なお,腫瘍中にIRIは検出されなかった.
  • 尾崎 史郎, 田城 明子, 牧野 勲, 中川 昌一, 吉沢 逸雄
    1977 年 18 巻 9 号 p. 684
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 井上 良一, 辻村 大次郎, 羽白 清, 山本 俊夫, 白羽 誠
    1977 年 18 巻 9 号 p. 685
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 志方 俊夫
    1977 年 18 巻 9 号 p. 686
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中尾 昌弘, 針原 重義, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 恩地 森一, 森沢 成司
    1977 年 18 巻 9 号 p. 687
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中尾 昌弘, 小林 雄一, 川合 弘毅, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1977 年 18 巻 9 号 p. 688
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 田中 欽一, 豊川 秀治, 内田 俊和, 鵜沢 輝子, 柄沢 勉, 志方 俊夫, 北野 元生
    1977 年 18 巻 9 号 p. 689
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 升田 隆雄, 須賀 昭二, 児玉 三千男
    1977 年 18 巻 9 号 p. 690
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 飛鳥田 一朗, 三枝 苗成, 斉藤 礼郎, 秋庭 真理子, 銭谷 幹男, 相沢 良夫, 亀田 治男
    1977 年 18 巻 9 号 p. 691
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 18 巻 9 号 p. 692-718
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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