原発性肝癌96例を中心に,転移性肝癌,肝炎,肝硬変症,および肝以外の悪性腫瘍患者など,計605例における血中CEAの測定を行い,その臨床的意義を検討した.原発性肝癌でのCEA上昇例は,Hepatoma 35.2%, Cholangioma 40.0%と比較的低率で,しかもその値も低く,腫瘍の大きさ,組織像,肝硬変の有無,AFP値,HBs抗原などと明らかな関連はなく,また,病勢および治療効果の指標としての有用性も低かった.他方,転移性肝癌では逆に76.5%と高率にCEAの上昇を認め,かつ高値を示す例が多かった.それ故,CEA低値,AFP高値の場合は原発性肝癌,逆の場合は転移性肝癌である確率が高いことが示唆され,血中CEAおよびAFP両者の同時測定が,限局性肝疾患の診断に有用であると考えた.慢性肝炎,肝硬変症ではそれぞれ20.8%, 37.7%にCEA値の上昇が認められた.したがって,これらの疾患に基づく場合も考慮する必要があり,血中CEAの変動のみから肝硬変症とHepatomaの鑑別は困難であった.
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