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瀧野 辰郎, 千丸 博司, 高森 成之, 金綱 隆弘, 中島 一益, 平海 良雄, 大高 剛, 牧野 邦雄, 中林 富雄
1979 年 20 巻 5 号 p.
451-457
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
急性肝炎51例に100g経ロブドウ糖負荷試験(GTT)および免疫インスリン(IRI)の測定を施行し,経過の面より検討した.すなわち,急性肝炎・急性期の30分ΔIRI/ΔBSは正常に較べ低値で,回復期には正常化の傾向をみた.急性期の30分ΔIRI/ΔBSを0.4以下,0.4~0.8, 0.8以上の3群に分け,回復期にかけての血糖,IRIの動きをみると,0.4以下の群は血糖の改善はみられるが,IRIの改善はほとんどみられず,30分ΔIRI/ΔBSの改善も軽度であった.IRI反応と肝組織所見との関係では,肝細胞壊死の高度な例に30分ΔIRI/ΔBS,30分ΔIRIの低下例が多く,膵内分泌機能の低下の共存が示唆された.臨床経過では,治癒例は遷延ないし慢性化例に較べ,急性期の30分ΔIRI/ΔBSは高値で,また,回復期での上昇も強く,これらは急性肝炎の予後判定に有用と考える.
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藤松 順一, 難波 祐三郎, 守本 富昭, 古田 精市, 清沢 研道, 小松 敬直
1979 年 20 巻 5 号 p.
458-463
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
Arai抗原は,肝疾患患者血清中に高頻度検出される一種の異常リポ蛋白と考えられている.著者らはArai抗原陽性の血清および腹水から,ゾーナルロータを用いた塩化セシウム浮 上密度勾配遠心処理,Bio-gel A-5mゲル濾過法,さらに抗正常ヒト血清を結合したSepharose 4Bカラム処理することによって,純度99%以上のArai抗原精製物を回収率39.3%で得ることに成功した.
Arai抗原は,浮上密度1.096±0.01g/cm
3,分子量90±15万の球形粒子である.粒子直径は,10~50nmの範囲に二峰性を示して分布しており20nmと30nmにピークが見られた.
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勝原 徳道, 藤田 実彦, 田中 欽弌, 佐々木 良美, 吉田 憲司, 椿 浩司, 佐藤 一夫, 石塚 英夫, 荒川 泰行, 金田 春雄, ...
1979 年 20 巻 5 号 p.
464-469
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
肝疾患に関連した新しい抗原(Arai抗原)につき臨床的ならびに基礎的検討を行った.Arai抗原は,各種肝疾患に4.7~61.5%に検出され,とくに劇症肝炎,肝硬変症の非代償期,原発性肝癌に高率であった.健康人リンパ球のE rosette formationに対し,精製Arai抗原は,抑制的に作用し,生体内においてリンパ球に作用して免疫活性の発現を調節する作用を有する可能性が推測された.
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肝を中心とした病理組織学的研究
寺尾 英夫
1979 年 20 巻 5 号 p.
470-484
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
経口的鉄過剰摂取が原因とされている南アフリカ・バンツー語族における鉄沈着症(Bantu siderosis)は鉄が人体に及ぼす影響をみる上で好個な材料として, Idiopathic hemochromatosisやTransfusional hemosiderosisと比較されつつ研究がなされている.著者は東アフリカ・ケニアにおけるバンツー語族の剖検例(74例)にも高頻度(46%)かつ強度の肝鉄沈着を見出したので病理形態学的に検討した.肝組織内鉄沈着のあり方は,同一原因(経口的鉄摂取)と推定されるにもかかわらず肝細胞,Kupffer細胞ともにさまざまである.小葉内分布は肝細胞内鉄沈着は周辺部にKupffer細胞内鉄沈着はび漫性である.鉄が肝線維症や肝硬変の原因となり得るか検討したが鉄の一義的肝障害性を示唆する成績は得られなかった.肝硬変におけるnodularhyperplasiaや異型性のある再生結節に鉄沈着は少なく,癌細胞では全く認められないことから増殖性病変の前癌性病変としての意義についても考察した.
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金村 秦輔, 久保田 真理
1979 年 20 巻 5 号 p.
485-490
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
生後発育中のマウス肝についてornithine carbamoyltransferase活性,絶食時のglycogen,およびCCl
4による障害肝細胞の小葉内分布を組織化学的に観察した.ornithine carbamoyltransferase活性は新生仔では小葉全体均等に分布し,生後4日に周辺部に僅かにより強い活性が現われ,10日から12日に成獣と同様の分布となる.これに対して,新生仔より成獣まですべて,絶食によるglycogenの減少ないし消失は主に周辺部に,CCl
4投与による肝細胞障害は中心部に見られ,新生仔ですでに成獣と同様の変化を示した.
以上の結果はいわゆる「肝細胞の機能的および形態的不均一性」と云う概念の中には,少くとも,新生仔には存在せず,生後発育中に形成されるものと,新生仔にすでに存在するものとが含まれることを示す.
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細胞性免疫パラメーターの臨床的意義
西岡 幹夫, 児玉 隆浩, 野田 健一, 福本 陽平, 菅 大三, 藤井 良子, 名和田 順介, 松田 彰史, 佐々木 道子, 早川 幹夫, ...
1979 年 20 巻 5 号 p.
491-498
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
原発性肝がん患者における免疫パラメーターの臨床的意義について,とくに治療との関連性において検討した.
PPDやPHA,またPS-E (溶連菌多糖体)に対する皮内反応は患者の初診時においてすべて低下しており,末期になるとさらに低下した.末梢血リンパ球数も初診時において減少し,末期には有意に減少した.
T細胞数は病態の進行とともに減少したが,PHA芽球化細胞数や活性T細胞数は患者の末期になると,ときどき上昇した.
以上の所見から綜括すると,このような免疫パラメーターを検索することは原発性肝がん患者においても,生体の細胞性免疫機能を知るために有用であることがわかる.
このような細胞性免疫能は病態自身の進展や化学療法によって障害された.患者の細胞性免疫能は治療によく反応した患者では,比較的長期間保たれていたが,免疫パラメーターの成績はつねに治療の効果と相関するわけではない.
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内田 俊和, 下田 敏彦, 志方 俊夫, 大塚 昇
1979 年 20 巻 5 号 p.
499-510
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
9歳男児で,腹痛と全身の水痘様皮疹を訴えわずか3日間で死亡したヘルペスウイルスの全身播種の一症例.剖検によりウイルス封入体が肝臓(肝細胞, Kupffer細胞)をはじめ脾臓(細網細胞,血管内皮細胞)食道(扁平上皮細胞)肺(肺胞上皮細胞)骨髄(細網細胞,巨核球)リンパ節(細網細胞,リンパ球)に多数認められ,組織の巣状壊死を伴なっていた.臨床症状からその成因として水痘-帯状疱疹ウイルスが最も疑われたが,単純性疱疹ウイルスの可能性もありえる.本症例は肉眼的に胸腺を欠如し,リンパ節は低形成,白脾髄のリンパ球の著減・全身の形質細胞の著減などから素因として免疫不全があったことがうかがわれた.ウイルス封入体の広範な分布,及び肝細胞や食道上皮細胞では核内のみならず細胞質内にも封入体が認められたことが特異的であった.また出血傾向の合併はウイルスの巨核球感染によるものと思われる.
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中田 勝次, 芝山 雄老, 黒川 彰夫, 高野 明, 松本 和基, 山本 祐三, 原田 佳昭, 山村 勝三, 八木 敦夫
1979 年 20 巻 5 号 p.
511-516
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
55歳男.貧血,脾腫を主訴とし,食道静脈瘤があるなど所謂Banti病の症状を備え,HBs抗原陽性,肝生検では慢性肝炎を呈した.脾静脈-下大静脈吻合,摘脾(720g)術を受けたのち肝炎が増悪し,5カ月後に肝性昏腫で死亡した.剖検時の肝は亜急性肝壊死(900g)であった.
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黒柳 弥寿雄, 福田 貴好
1979 年 20 巻 5 号 p.
517-519
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
門脈から上腸間膜静脈→回盲静脈→右精巣静脈を介して下大静脈に注ぐ遠肝性副血行路をもった硬変性門脈圧亢進症例を経験した.患者は64歳,男性.吐血を主訴として来院.食道静脈瘤からの出血であったが手術中の門脈撮影にてこの稀有なる副血行路を確認した.文献上報告された大腸静脈瘤は我々の症例以外に7例があった.S状結腸4,直腸1,回盲部2で我々の症例は回盲部静脈瘤に属し3例目にあたる.
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検査成績の推移を中心として
太田 裕彦, 佐藤 源一郎, 佐藤 亮五, 上野 幸久
1979 年 20 巻 5 号 p.
520-526
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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患者は死亡時53歳の女性.左内眼角の黄色腫で発症し,約8年の経過の後肝不全で死亡した.検査成績では,血清総ビリルビンは長期間0.5~1.5mg/dlであったが,死亡2年半前頃から徐々に上昇し始めた.血清総コレステロールは初診時318mg/dlから漸減傾向を示し,死亡2年半前頃には200mg/dlとなった.ALPは初診時から10 Bessy単位と高値を持続し,死亡直前急激に低下した.形態学的には2回の針生検では特異的な所見を得られず,剖検肝において肝硬変がほぼ完成されているにもかかわらず種々の段階の胆管病変を認めた.一般にPBCの血液生化学的特徴は病初期に認められ,経過とともにその特徴を失う.従って診断上検査値の解釈には発症からの期間を考慮する必要があり,病態把握には初期の検査値との比較が重要である.形態学的には本例の剖検肝にみる如く病変は一様でなく,一般に行なわれている生検組織像のみによる4期分類は病期判定を誤る危険がある.
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澤 靖彦, 久保 保彦, 谷川 久一, 坂本 和義
1979 年 20 巻 5 号 p.
527
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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溝口 靖紘, 志波 孝, 東森 俊博, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 大谷 周造, 森沢 成司
1979 年 20 巻 5 号 p.
528
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
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大川 昌権, 平沢 博之, 添田 耕司, 小高 通夫, 佐藤 博
1979 年 20 巻 5 号 p.
529
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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溝口 靖紘, 志波 孝, 東森 俊博, 大西 文明, 黒木 哲夫, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 大谷 周造, 森沢 成司
1979 年 20 巻 5 号 p.
530
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
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渡辺 省三, 吉川 明, 小島 秀男, 長山 正四郎, 関根 輝夫, 上村 朝輝, 佐々木 博, 市田 文弘, 緒方 規矩雄
1979 年 20 巻 5 号 p.
531
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
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藤瀬 清隆, 永森 静志, 蓮村 哲, 本間 定, 亀田 治男, 岸田 晴雄
1979 年 20 巻 5 号 p.
532
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
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飯田 真司, 大久保 秀樹, 武者 広隆, 小藤田 和郎, 奥田 邦雄
1979 年 20 巻 5 号 p.
533
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
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瀧野 辰郎, 高橋 示人, 杉野 成, 勝馬 芳徳, 奥野 忠雄, 川村 治雄, 岸田 綱太郎
1979 年 20 巻 5 号 p.
534
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
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瀧野 辰郎, 高橋 示人, 杉野 成, 勝馬 芳徳, 奥野 忠雄, 川村 治雄, 岸田 綱太郎
1979 年 20 巻 5 号 p.
535
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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1979 年 20 巻 5 号 p.
536-541
発行日: 1979/05/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
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