肝臓
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21 巻, 11 号
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  • SAMUEL W. FRENCH
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1431-1436
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 第2報 無細胞合成系によるラット肝ferritin messenger RNAの翻訳
    高後 裕, 小野寺 義光, 後藤 義朗, 安達 主悦, 門野 豊, 漆崎 洋一, 茂木 良弘, 笹川 裕, 新津 洋司郎, 漆崎 一朗
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1437-1443
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ラット肝より抽出したpoly (A+) rich messenger RNAを,小麦胚芽上清S30を用いた無細胞合成系により翻訳した.その結果,対照群で総蛋白への3H-leucineのとりこみの0.13%,鉄投与群で0.23%のとりこみを見,polysome上のferritin messenger RNAは,鉄投与により増量することを示した.更に翻訳productから,抗ラット肝ferritin抗血清を用いた免疫沈降法により,ferritin mRNA由来のproductを回収,SDS/polyacrylamide gel電気泳動により分析したところ,ferritinのH-およびL-subunitに相当する2つの主な放射活性が得られ,両subunitが,ラット肝ferritin mRNAに直接由来するprimary gene productであることを示唆した.しかし,鉄投与によるL-subunitの選択的増加についてはin vivoの実験ほど著明でなく,むしろpolysome上での両subunit mRNAの翻訳効率の違いや,L-subunitのferritin shellへの集合の優位性等も加味されていると考えられる.
  • 第1報 基礎的検討
    中野 護
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1444-1451
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    51Cr標識ニワトリ赤血球(CRBC)を標的細胞として,健常者末梢血リンパ球によるADCCの反応系に基礎的検討を加えた.
    (1) 健常者13例のADCC活性は66,1±9.5% (M±SD)であり,単球除去により11.7±0.6%に低下した.(2) CRBCとリンパ球の比は1:25,抗CRBC家兎血清は1,000倍希釈で最大のADCC活性を示した.(3) 培養時間によるADCC活性は,3時間より急速に上昇し,6時間でほぼピークに達したが,36時間までプラトーであり,ADCCは3~6時間で完了するものと推定できた.(4) リンパ球の各SubpopulationのADCC活性は,T cell分画では著明に低値を示し,ADCCを遂行するリンパ球はnon T cell分画に認められた.(5) ADCCは熱変性IgG 10mg/ml~1mg/mlの前処理でほぼ完全に阻止されたが,0.01mg/mlでも軽度の抑制が認められた.
  • 第2報 末梢血リンパ球のADCC活性と肝組織内単核細胞浸潤の関連性
    中野 護
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1452-1458
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    急性ウイルス肝炎および慢性肝疾患患者の末梢血リンパ球のADCC活性を検索するとともに,同時期に採取した肝生検標本にみられる肝組織内の単核細胞浸潤の程度と比較検討した.その結果急性ウイルス肝炎の極期,慢性肝炎(活動性),慢性肝炎(非活動性),持続性肝炎,原発性胆汁性肝硬変でADCC活性は有意に低下していたが,急性ウイルス肝炎の回復期ではほぼ正常化していた.肝組織内の単核細胞浸潤を門脈域と肝小葉内に区別して,その程度をADCC活性と比較検討した結果では,肝小葉内での単核細胞浸潤が高度であるほどADCC活性は有意に低下していた.末梢血リンパ球のADCC活性は肝小葉内単核細胞浸潤の多寡と関連性があり,肝細胞障害機序に関与していることが推定できた.しかしimmune complexのモデルとしての熱変性IgGによるADCCの抑制は,健常者ではほぼ完全であったのに反し,慢性肝炎(活動性),慢性肝炎(非活動性),持続性肝炎では軽度に抑制されたにすぎず,K cellのFcリセプターのブロックは否定することができなかった.
  • 第3報 末梢血リンパ球のADCC活性とcirculating immune complexの関連性
    中野 護
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1459-1465
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患における可溶性immune complex (IC)の存在を血小板凝集試験と末梢血好中球の蛍光抗体法による方法で検索するとともに,このICとADCC活性の低下との関連性について検討を加えた.慢性肝疾患における血中のICの陽性率は,両者の方法でほぼ一致した成績を示し,原発性胆汁性肝硬変(75.0%),肝硬変(46.7%)で高率に証明された.HBs抗原陽性群と陰性群における血中のICの陽性率は,HBs抗原陰性群でやや高頻度であったが,推計学的に有意の差異はなかった(HBs抗原陽性例37.5%, HBs抗原陰性例43.8%). ADCC活性の低下および熱変性IgGによるADCC抑制率の低下は,血中のICの存在と有意の相関性は認められなかった.したがってADCC活性の低下は,血中のICによるFcリセプターのブロックのみでは解釈が不可能であり,末梢血K cellの絶対数の減少,あるいはK cellの機能障害などが関与するものと推定した.
  • I. ウイルス性肝疾患に対する診断的意義
    田中 敬三, 金井 正信, 岩田 章, 池田 正, 中川 彦人, 鵜浦 雅志, 田中 延善, 西邨 啓吾, 加登 康洋, 小林 健一, 服部 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1466-1470
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患患者169例と健康成人100例の血清を対象に水泡性口内炎ウイルス(VSV)に対する血清抗ウイルス活性をINAS50法で測定した.急性肝炎(AH)>肝硬変(LC)>慢性肝炎(CH)>無症候性HBs抗原carrier(AsC)の順に高活性を示し,これらの4群は原発性胆汁性肝硬変>アルコール性肝障害>健康成人>薬物性肝障害の4群に比し有意に高値を示した(p<0.001). AH群ではA型,B型および輸血後非A非B型の各群間の抗ウイルス活性には有意差はなかったが,散発性非A非B型群は輸血後非A非B型群に比し有意に低値を示した(p<0.01).またCH・LC群ではHBsAg陽性肝障害例がHBsAg陰性例に比し有意に高値を示した(p<0.05).以上の成績は本抗ウイルス活性がウイルス性肝疾患に対する非特異的な病因学的診断法として有用であることを示唆していると思われた.
  • II. 基礎的検討-とくに本活性と免疫グロブリン,補体との異同について-
    田中 敬三, 金井 正信, 加登 康洋, 小林 健一, 服部 信, 伊藤 文昭, 波多野 基一
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1471-1475
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患患者13例,健康成人,臍帯血,無ガンマグロブリン血症患者各1例およびC3欠損症患者2例の計18例から得られた血清を対象に水泡性口内炎ウイルス(VSV)に対する抗ウイルス活性の性格に関する検討を免疫グロブリンおよび補体との異同を中心に行なった.抗ウイルス活性とIgG, IgM, IgAの蛋白量との間に相関性はなく,無ガンマグロブリン血症患者でも免疫グロブリンが高値を示すPBC等の肝疾患および健康人よりも抗ウイルス活性が高値を示した.また臍帯血でも活性が認められた.本活性とC3c, C4の蛋白量およびCH50値の間には相関性がなく,C3欠損症患者でも肝疾患患者および健康人よりも高活性を示した.補体のcoldactivation, 56°C, 30分の熱処理およびzymosan処理血清中にほとんどの抗ウイルス活性が残存していた.これらの成績から本抗ウイルス活性は免疫グロブリンと補体とは明らかに異なると思われる.
  • 小路 敏彦, 石井 伸子, 松井 忠博, 中村 晋, 楠本 征夫, 棟久 龍夫, 足立 英齋
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1476-1482
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    RIAによるHBs抗原測定は鋭敏であるが,RI使用のため種々の制約がある.そこでRIAと同感度をもつといわれるEIAに着目した.標識酵素にβ-D-gal,吸着固相にSilicon rodsまたはGlass beadsを用い検討した.その結果,(1)精製HBs抗原の定量曲線から最小検出濃度は1ng/mlでRIAと同感度を示し,両者の相関はr=0.99と高い.(2)RIAでHBs抗原陽性の37検体につきEIAとの相関をみるとr=0.87と高い.(3)抗体IgGを化学的に吸着させたGlass beads使用の方が自然吸着させたSilicon rodsよりincubationが短時間で,血清添加の影響も少なかった.(4)フィールドにおける臨床試用を行うと大学病院看護婦92名はEIAで陰性を示しRIAと一致した.一般職員451名中11名がEIAで陽性,うち10名はRIAと一致した.残り1名はRIA陰性のHBs抗原陽性者と思われた.肝疾患多発地域住民743名中39名(5.2%)がEIAで陽性を示した.以上からEIAはRIAに代りうる測定法であることが分った.
  • 森 道夫, 小山田 正人, 山口 潤, 横川 金弥, 伝法 公麿, 小野江 為則
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1483-1490
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    ラットに体重100g当り0.3mgのコルヒチンを投与することによって,ヒトにみられる体質性ICG排泄異常症と同様の,BSPとICGの血中からの消失曲線の解離モデルを作ることが出来た.
    この条件下では,血中に投与された体重100g当り10mgのBSPは,対照群と同じく,すみやかに血中から消失し胆汁中に排泄されるのに対して,ICG(体重100g当り0.6mg)の血中からの消失が著明に遅延した(対照群の血中半減時間,T1/2は3.7分であるのに対して,コルヒチン処置群では6.0分,また対照群の血中からの消失率,Kが18.7であるのに対して,コルヒチン処置群では11.6).
    このような実験結果と,肝細胞における微小管の関係について考察を加えた.
  • 福本 陽平, 沖田 極, 渡辺 精四郎, 原田 俊則, 沼 義則, 安藤 啓次郎, 児玉 隆浩, 竹本 忠良
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1491-1497
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    2,4,6-Trihydroxy-propiophenone(以下THPP)は胆道末端部において胆汁の排泄を促進させる薬剤として知られている.しかしながら肝臓からの胆汁の分泌機序については不明である.このたび動物実験モデルを使用して,肝からの利胆効果について検討を行った.ラットの総胆管にチューブを挿入し胆汁を採取する方法でTHPP静注前後の胆汁分泌量を測定した結果,明らかに肝からの利胆効果が認められた.さらに,THPP投与前後における胆汁成分の変動やerythritol clearanceの測定により,胆汁中の胆汁酸,重炭酸,クロール量に変化はなく,対照群に比してerythritol clearance値の上昇がみられた.また,clearance値と胆汁酸排泄量との相関関係(回帰直線)などの結果から,THPPによる肝臓からの利胆効果は,肝細胞毛細胆管レベルの胆汁酸非依存性分泌の亢進によることが明らかとなった.
  • 65歳以上の剖検例における組織学的検討
    杉本 元信, 伊東 高仁, 水谷 正之, 安部井 徹, 川村 貞夫
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1498-1504
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    肝の老人性変化の特性は何であるかを知る目的で,65歳以上の60例の剖検肝を組織学的に検討した.肝疾患はもとより直接的,間接的に肝に影響を与える疾患を有する症例は対象から除外し,門脈域,小葉内,肝被膜の所見など計25項目の中で高頻度に認められる所見について考察した.また肝動脈枝の硬化度を同一症例の腎動脈と比較した.その結果門脈域の軽度な炎症細胞浸潤を伴う線維性拡大,腎弓状動脈よりも軽度な肝動脈枝の中等度の硬化症,細胞数の減少を伴う肝小葉容積の減少,肝細胞および核の大小不同,多核細胞の増加,肝被膜の線維性肥厚などが認められた.
  • 荒川 泰行, 勝原 徳道, 尾崎 隆彦, 金田 春雄, 本田 利男, 神田 靖男, 星野 茂角, 武尾 宏, 志方 俊夫
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1505-1512
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    医療従事者におけるHBV感染の実態を明らかにするために,著者らは,日本大学医学部附属病院の教職員1642名を対象にしてHBV関連抗原・抗体の疫学的調査を行った.HBs抗原陽性率は,病院教職員(1.7%)と対照とした供血者(2.3%)との間に有意差は認められなかった.HBs抗体は,内科医(7.5%)や小児科医(5.9%)に比較して外科医(20.9%),産婦人科医(20.4%),眼科医(22.6%),看護婦(17.4%),放射線技師(18%)などが高い陽性率を示した.このことは,単に患者に接触することだけではなく,血液や汚染材料に触れることが,HBV感染の重要な危険因子であることが示唆された.一般にHBs抗体の頻度は,HBs抗原とは対照的に,加齢とともに増加するが,医療従事者では20歳代から30歳代にかけて,つまり医療活動を始めて5年ないし10年以内の間に急速に抗体陽性率が上昇して,以後プラトウになる傾向があって,この時期に感染の機会の多いことが推定される.
  • 西岡 幹夫, 原田 俊則, 野田 健一, 西村 秀男, 竹本 忠良, 西尾 和政
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1513-1519
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    過去1年間に,国立下関病院において,7症例の伝染性単核症(IM)を経験したので 報告した.全症例ともEvansのIM診断基準を満足し,同時に,全例とも急性肝炎を合併して いた.IMの診断はEBウィルスに対する抗体によって確診し,7症例中5例にVCA IgM抗 体,および,高力価のVCA IgG抗体を認めた.EBウイルス陽性肝炎では,高IgM血症を,そ の陰性肝炎では高トラスアミナーゼを示す傾向にあった.肝生検を施行したIM肝炎の4症例で は,肝組織内に,門脈域や小葉内のリンパ球を中心とした細胞浸潤とともに,focal necrosisが 観察された.
  • 家兎Galactosamine肝炎における凝固・線溶動態の解析
    福井 博, 植村 正人, 山田 拓司, 松井 勉, 松村 雅彦, 松本 元嗣, 喜多 公雄, 伊藤 秀次, 花田 一宏, 田村 雅宥, 辻井 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1520-1531
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    家兎にD-galactosamine HCl (Gal)を1g/kg経静脈投与して作製した急性肝不全モデルにおいて,その凝固・線溶動態を肝機能・補体・endotoxinとの関連のもとに検討した.Gal静注後,家兎は典型的な急性肝不全病態を呈して平均34.2±15.1時間で死亡したが,早期より第VII因子を筆頭に肝産生凝固因子の漸減が認められた.血漿総補体価は15時間以内に著減し,血中endotoxinは経過中15例中14例(93%)に検出された.DICの合併は高率に認められ,血小板数と腎糸球体血栓の有無の間に密接な関係がうかがわれた.生存例は死亡例に比して,血漿総補体価,凝固因子の低下が軽度であり,両者の検討は急性肝不全の予後判定に有用であることが示唆された.急性肝不全においては,凝固・線溶異常がendotoxin・補体系との密接な関連のもとに発現し,その終末像としてのDICは腎不全や消化管出血など,致死的な合併症の一因をなすと考えられた.
  • 石谷 邦彦, 村上 俊吾, 西里 卓次, 竹内 秀一, 幸田 久平, 井原 康二, 池田 晃, 荒谷 英二, 呉 禎吉, 漆崎 一朗
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1532-1539
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    Azo-dye carcinogenである3'-Me-DABを用いラット肝癌発生過程における肝細胞内色素結合蛋白ligandinと,glutathione抱合酵素であるglutathione s-transferase活性の動態を検討し以下の結果を得た.(1)肝癌発生過程においで肝ligandin量および総glutathione s-transferase活性は3週目で一時減少し,その後漸次増加,12週目で最大値に達した,しかし癌発生を認める16週以降では両者共に減少を示した.さらに肝癌組織では両者共に消失していた.(2) wister系ラットではglutathione s-transferaseは等電点分画上major peakとしてのpI 7.6とligandinであるpI 9.2, minor peakのpI 8.3の三峰性を示すheterogeneityを有していた.肝癌発生過程においてはpI 8.3のisozymeが7週前後のoval cell出現時期,15週前後の増生結節形成時期に相対的に著増する二峰性の推移を示した.他のisozymeは総活性と平行する動態を示した.pI 8.3のglutathione s-transferaseの癌発生への特徴的な関与が示唆された.
  • 小路 敏彦, 石井 伸子, 河野 健次, 佐藤 彬, 古河 隆二, 為西 昭勇, 中村 晋, 楠本 征夫, 棟久 龍夫, 中島 彰久, 平井 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1540-1544
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    AFP産生肝細胞癌の局在診断に抗AFP抗体の利用を企て基礎実験を行った.すなわち呑龍ラットの大腿皮下にAFP産生腹水肝癌AH-7974細胞を移植し作製した腫瘍に放射性ヨード標識抗ラットAFPウマ抗体を静注し,以下の実験結果を得た.なおコントロールとして放射性ヨード標識正常ウマIgGを用いた.(1)全身シンチグラムで腫瘍は投与48時間後からhot areaとして認められ,120, 168時間目に明瞭となった.(2)組織(cpm/g)/血液(cpm/g)放射活性比をみると腫瘍は7日目にコントロールに比し4倍の高値を示した.各臓器中脾,腎は比較的高かった.(3)腫瘍の細胞下分画の放射活性は細胞膜,核分画で最も高かった. (4)腫瘍組織の7日目のオートラジオグラムで放射活性を示すgrain集合像は細胞表面に存在した.以上のごとく抗AFP抗体はAFP産生腫瘍と特異的に結合すること,同時にシンチグラムによる局在診断が可能であることが分った.
  • 中村 俊之, 清水 勝, 瀬古 章, 杉原 潤一, 斉藤 雅也, 冨田 栄一, 吉田 洋, 山田 昌夫, 高井 哲, 武藤 泰敏, 高橋 善 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1545-1550
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    Cefalexinに起因したと考えられる薬剤性肝障害の2症例を経験したので報告する.症例1は,45歳男性で感冒症状のため,Cefalexinを服用したところ閉塞性黄疸を思わしめる高度の黄疸をきたした.組織学的に肝小葉内中心性の強い胆栓形成を伴なった肝内胆汁うっ滞像がみられたが,小葉間胆管には著変を認めず,肝細胞レベル,細胆管レベルの障害と考えられた.Cefalexinに起因する肝内胆汁うっ滞の報告例は文献的にも稀である.症例2は,18歳の男性でリンパ節炎の経過中Cefalexinを投与したところ,軽度のトランスアミナーゼの上昇をきたしたが,組織学的に著変を認めなかった.2例ともリソパ球幼若化現象による薬剤過敏性試験は陽性であった.同一薬剤によっても個体の相違により病態の異なることが示唆される.
  • 肝内胆管系の病変を中心に
    清水 勝, 小木曽 和夫, 森脇 久隆, 大山 正己, 斉藤 雅也, 清島 満, 寺倉 俊勝, 青木 泰然, 吉田 洋, 山田 昌夫, 安藤 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1551-1557
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    薬剤に起因したと思われる慢性肝内胆汁うっ滞症を経験したので,肝の組織学的所見を中心に報告した.症例は52歳の女性で,昭和51年10月発熱,咽頭痛を訴えエリスロマイシン,スルピリンなど服用したところ,皮膚・粘膜症状次いで黄疸の出現をみた.ステロイド,D-ペニシラミン,フェノバルビタール,6-MPなどにより治療したが,効果なく3年5カ月経過した現在も黄疸が持続している.開腹下楔状生検により組織学的に観察した.肝小葉内には小葉中心性の胆汁栓形成,肝細胞のfeathery degeneration,肝細胞内・Kupffer細胞内の胆汁色素沈着などの肝内胆汁うっ滞像が存在し,グリソン鞘は線維性にやや拡大しP-P結合もみられた.肝内胆管系の計測では外径74μ太さ以下の動脈に伴走する小型小葉間胆管の消失が著明であり,かつ連続切片によりその消失像が観察された.しかしRubinらの慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)型の胆管炎あるいは類上皮肉芽腫は認められなかった.
  • 高安 賢一, 隆 元英, 武者 広隆, 小俣 政男, 奥田 邦雄, 小林 千鶴子, 和方 俊二, 加藤 二郎
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1558-1567
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌やBudd-Chiari症候群の合併のない肝硬変症2例に経皮経肝的門脈造影法(PTP)を用いて自然門脈逆流現象の存在を直接的に証明した.本現象のX線的特長は,1)肝門部からの造影剤注入時肝内門脈枝が全く造影されず,2)門脈本幹を造影剤が逆流し,3)門脈本幹の径が細く,4)巨大な側副血行路を有していた.又肝動脈は太かった.門脈各領域での圧測定では,門脈本幹が最も高く脾・上腸間膜静脈で低かった.同時に採血したIRIでは末梢血に比して門脈本幹血が低く,アンモニア値では脾・上腸間膜静脈濃度に比して門脈本幹濃度が低かった.門脈本幹より131I-MAAを注入すると88.1%が肺にtrapされ,以上のことからも本現象の存在を証明しえた.PTP法は腹腔動脈造影や逆行性門脈造影法に比してartifactの介入が少なく本現象の証明に極めて有用と思われる.尚PTPを用いた各種肝疾患150例中本症の出現頻度は1.3%と低かった.
  • 向坂 彰太郎, 前山 豊明, 和田 達郎, 中嶋 文行, 桑原 靖道, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1568-1574
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    44歳の女性に,原発性胆汁性肝硬変症(PBC), Sjogren症候群,膵炎の合併した1例を経験した.症例は昭和50年当科においてPBCおよびSjogren症候群と診断して経過観察していたところ,昭和54年2月より左上腹疝痛,背部放散痛とともに,血清・尿中アミラーゼの高値および血清リパーゼの上昇をみた.血清アミラーゼ・アイソザイムでは膵由来のアミラーゼが優位を示した.膵炎と診断し,食事制限とアプロチニン製剤を1日量10~20万単位を投与したが,症状および検査所見に改善を認めず,プレドニゾロン1日量30mg投与にて,改善を示した.しかし,プレドニゾロン減量中に再燃したので増量したところ,再び改善をみている.PBC,Sjogren症候群,膵炎の3疾患の同時合併例はきわめて稀であり,しかも,共通の病因学的基盤にもとづいて,肝臓,唾液腺,膵臓の各臓器の排泄管に障害をおよぼし,発症した可能性が推測された.
  • 宇土 一道, 小島 峯雄, 足立 信幸, 広瀬 洋, 青山 政史, 小林 成禎, 大島 健次郎, 福田 信臣
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1575-1580
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    患者は右上腹部痛を主訴とした50歳の男性.昭和53年4月11日より右上腹部痛を訴え4月21日受診,入院.入院時,左鎖骨上窩に鳩卵大,塊状のリンパ節腫大をみとめ,肝を右鎖骨中線上で4横指触知,脾を1横指触知した.AFPは320ng/ml以上で陽性であった.HBsAgはRPHA法,RIA法共に陰性でantiHBsもPHA法にて陰性であったが,antiHBcがIAHA法にて212で陽性であった.肝シンチグラムにて右葉と左葉に陰影欠損,胸部X-Pで円形陰影を両肺に多数みとめ,ヘパトーマの肺および表在リンパ節転移と考えAdriamycin (ADM) 10mg/日を4日から6日間連日静注,10日間休薬,PSKを2g/日にて治療を試みた.その結果,GOT,LDH, Al-P, LAP, γ-GTPの改善がみられ,肝シンチグラムの欠損像,胸部X-Pの円形陰影,左鎖骨上窩リンパ節も一時縮少したが,再び増悪し死亡した.死後穿刺により組織学的にHepatomaを証明した.また陰性であったHBsAgが8月13日ADM 300mg投与時,RIA法で,9月7日にはRPHA法にて23で陽性となり,その後その力価はRPHA法で213まで上昇し,ADM投与がHBsAg陽性化に関与した症例と考えた.
  • 二宮 冬彦, 河原 敏彦, 山口 弦二朗, 丸山 直人, 本告 仁, 長田 英輔, 谷川 久一, 荒川 正博
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1581-1586
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
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    症例は58歳の男性で慢性肝炎の経過観察中に昭和53年10月頃より血性腹水および右季肋下に肝との連絡不明瞭なウズラ卵大の腫瘤を認めるようになり,翌年1月に吐血,下血をきたしたため入院した.内科的治療の経過中にalpha-fetoproteinの軽度上昇があり,注腸透視では上行結腸および横行結腸肝弯曲部に腸管外圧排所見がみられ,選択的腹腔動脈造影にて肝右葉の下方に肝縁よりやや離れて右肝動脈および左胃大網動脈から支配された腫瘍血管像が認められたことより肝右葉から発生した有茎性肝細胞癌を疑い制癌剤の動脈内注入を施行した.入院100日後に食道静脈瘤破裂による吐血,下血にて死亡した.剖検にて肝右葉下面より有茎性に発育した12×15×8cmの腫瘍が腹腔内に突出しており,この腫瘍は組織学的検討により肝細胞癌と診断した.
  • 坂田 久信, 小柳 信洋, 松股 孝, 河野 仁志, 別府 和茂, 兼松 隆之, 杉町 圭蔵, 井口 潔
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1587
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 門脈圧亢進と肝内門脈枝吻合
    菅原 武久, 建部 高明, 石井 兼央
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1588
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 阿部 賢治, 志方 俊夫, 吉原 なみ子
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1589
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 溝口 靖紘, 沢井 寛子, 仲島 信也, 池田 明世, 阪上 吉秀, 志波 孝, 東森 俊博, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 巽 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1590
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 坂本 裕治, 山田 剛太郎, 水野 元夫, 西原 隆, 長島 秀夫, 小林 敏成
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1591
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 西原 隆, 山田 剛太郎, 水野 元夫, 坂本 裕治, 長島 秀夫, 湯本 泰弘
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1592
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 溝口 靖紘, 阪上 吉秀, 池田 明世, 仲島 信也, 志波 孝, 東森 俊博, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 巽 陽一, 円谷 ...
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1593
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 藤松 順一, 守本 富昭, 塚越 茂, 阿部 賢治, 勝原 徳道, 下田 敏彦, 柄沢 勉, 志方 俊夫, 古田 精市
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1594
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2010/01/19
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  • 千葉 敏郎, 伊藤 行夫, 内藤 成子, 吉沢 浩司
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1595
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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  • 浅香 正博, 長瀬 清, 斉藤 雅雄, 高橋 建二, 宮崎 保, 白石 忠雄
    1980 年 21 巻 11 号 p. 1596
    発行日: 1980/11/25
    公開日: 2009/05/26
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