肝臓
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24 巻, 11 号
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  • 武田 和久
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1223-1229
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBsAg陰性ヒト血清1270検体,同陽性血清40検体につき,ELISA (Hepanostika Microelisa system)によってHBsAgの測定を行ない,HBsAg陰性コントロールの吸光度に依存したcut-off値を用いることは理論的に無理があり,結果のばらつきも大きいことを明らかにした.陰性コントロールの平均吸光度を検体のそれから差し引き,その標準偏差(SD)から検量線を用いて検出下限濃度を求める方が再現性があり,HBsAg濃度も絶対的な数値として直線的尺度で表示可能であった.その結果上記検体のHBsAgは検出下限濃度(4SD)の6.7ng/mlから600μg/mlに及ぶ広範囲にわたって分布し,100μg/ml以上の例では,HBeAgはすべて陽性であった.Hepanostika HBsAg Microelisa systemでは検出感度がさらによく,RIAのそれに匹敵し,しかも直線性の得られる範囲は保たれ,再現性も良好であった.
  • 中野 博, 河崎 恒久, 宮村 正美, 福田 善弘, 井村 裕夫
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1230-1234
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    N末端プロコラーゲンペプチド(P-III-P)の血中値は体内コラーゲン代謝の亢進時に増加するものと考えられ臓器線維症なかでも肝線維症における線維化のパラメータとなりうる可能性がある.この点を明らかにする目的で体内コラーゲン合成の亢進することが確実な乳児,思春期の男女の血中値を成人のそれと比較した.その結果P-III-Pの血中値は0~4歳の男女,8~12歳の女子,12~16歳の男子で著増がみられ線維化とくにコラーゲン合成率のマーカーとなる可能性が示された.
    以上の検討より肝生検で肝内線維化の程度を確認した慢性肝疾患24例につき血中P-III-P値を測定したところ血中値はおおむね肝内線維化の程度と比例して上昇することが明らかとなった.しかし血中値が最も上昇を示すのは肝内に線維性結合の存在する慢性活動性肝炎であり,血中P-III-P値は線維化の進展の動態を表現するマーカーであると考えられた.
  • 竹崎 英一, 中西 敏夫, 川本 広夫, 吉川 正哉, 松浦 寿二郎, 竹野 弘, 折免 滋雄, 川上 広育, 梶山 梧朗
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1235-1241
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    肝予備能検査は,重症肝疾患の予後および手術適応を決定する際に,重要な指標となる検査である.著者らはこの肝予備能検査の中でガラクトース負荷試験とICG Rmaxを各種肝疾患患者に施行し,両検査の成績間に解離する症例のあることを報告した.本論文では,この両検査の成績間の解離と肝細胞障害の病態との関連を研究する目的で,部分肝切除ラットとDgalactosamine投与ラットを用いて動物実験を施行した.ICG Rmaxは肝重量と密接な関連を有することが認められたが,ガラクトース負荷試験は肝重量とは関係なく,肝細胞障害による機能障害と密接な関連を有することが示唆された.即ち,肝重量とfunctional reserve cell massとは必ずしも一致しないことが確認され,肝予備能検査としてはこの両者を併用し総合的に判断することが重要であることが示唆された.
  • 芝山 雄老, 斉藤 雅文, 橋本 和明, 中田 勝次
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1242-1251
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Endotoxinによる肝壊死発生に肝の循環障害がどのように関与しているのかを検討し,以下の結果を得た.1)Endotoxinはフィブリン血栓による類洞の循環障害を介して壊死巣を形成し,同時に血清transaminaseを高度に上昇させた.2)HeparinはEndotoxinによるこれらの変化を著明に抑制した.3)Thrombin門脈内注入はendotoxin注入時と同様に早期から類洞に高度のフィブリン血栓,これに続く壊死巣形成および血清transaminaseの上昇を惹起した.4)Endotoxinは門脈血管抵抗を増大させ,肝血流量の減少をもたらすと考えられた.5)門脈血流量の減少はendotoxinによる壊死巣形成を著しく促進した.以上の実験成績はendotoxinによる肝壊死発生の主原因はフィブリン血栓による類洞循環障害であり,これは肝血流量減少によって促進されることを示している.
  • 小笠原 久隆, 堀口 正晴, 小沢 靖, 永山 和男, 高沢 勤, 浮地 越男, 溝呂木 ふみ, 土屋 崇, 成宮 徳親
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1252-1261
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    自験肝硬変の剖検例に血管注入透徹標本を作製し,再生結節の大きさが3mm未満の微細顆粒型と3mm以上の結節型に分け,肝内血管の変化を検討した.前者は中心静脈の硬化像と内腔の変形狭窄を特徴像とし,再生結節はおもに1~2mm間隔の中心静脈間に増生する結合織により境され,一般に,結節内に内径約50~100μmのほぼ正常の導管門脈をもつグ鞘を有していた.後者では約70μmの導管門脈以下の末梢枝に偏位・変形・潰れを示し,再生結節は3~5mm間隔に存在する内径100~200μmの門脈枝間を結ぶ結合織に包まれ,結節内に中心静脈系の血管をもつ特徴を示した.つまり,2型の再生結節には構成血管に明瞭な差違が存し,しかも後者にはHBsAg,輸血歴などからウイルスの関与を示唆する症例が主体をなしたが,前者にはアルコールが原因と考えられるもののみでそのような症例は皆無でありウイルス関与例はなかった.また特有な血管変化像から両型の移行は考えられなかった.
  • 杉谷 雅彦, 石橋 初江, 志方 俊夫
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1262-1267
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝線維症を示す特発性門脈圧亢進症(IPH)のグリソン鞘の線維化には星芒状線維化と円型線維化の2つが知られている.星芒状線維化を示すIPHは慢性肝炎由来と考えられてきたが,円型線維化を示すIPHに関しては従来慢性肝炎というよりむしろ慢性胆管炎が原因とみなされていた.今回我々はIPH96例の肝組織につき円型線維化の原因の手がかりを得るべく検討を行った.その結果,円型線維化15例のうち3例にリンパ濾胞を有するグリソン鞘が認められた.又,星芒状線維化と円型線維化の中間型が9例認められたが,その9例のうち1例にもリンパ濾胞が存在した.従って円型線維化はリンパ濾胞がグリソン鞘を同心円状に拡大し,最初はグリソン鞘周辺に線維化がおき,その線維化が求心性にのび,やがてリンパ濾胞をおきかえることによって生ずると考えられた.よって円型線維化についても慢性胆管炎を原因に考える必要はなく慢性肝炎由来として説明がつき,IPHは慢性肝炎と質的に異なる疾患ではないと結論づけられた.
  • 沖田 極, 村田 誠, 荻野 昌昭, 新開 泰司, 門 祐二, 安永 満, 名和田 弘, 小西 知己, 半田 哲朗, 江崎 隆朗, 小田 正 ...
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1268-1273
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌20症例について,α-fetoprotein, CEA, β2-microglobulin, Ferritin, humanchorionic gonadotropin β-subunitの5種の腫瘍マーカーの局在を同一組織をもちいて検討した.個々の腫瘍マーカーの局在頻度は血清中のそれと平行し,α-fetoprotein>CEA>Ferritin>β2-microglobulin, human chorionic goradotropin β-subunitの順であった.また,半数以上の症例で,同一腫瘍細胞が同時に2種の腫瘍マーカーを保持しており,肝細胞癌の表現型における多様性が確認された.腫瘍マーカーと肝細胞癌の分化度との関係についてみると,いずれの腫瘍マーカーも分化度の高いEdmondson I, II度に高い局在性を認めたことにより,今後未分化型に特徴的な腫瘍マーカーの開発が望まれる.
  • 佐々木 文章
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1274-1281
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヌードマウスで長期継代移植されている肝細胞癌の4系統(Hc-4, 20, 28, 32)より細胞培養株を得る試みをおこなった.樹立に成功した株については,その性格について種々の観点から検討したが,特にAFP・CEA産生性と増殖動態について検索した.Hc-20, 28, 32より得られた培養細胞はいずれも増殖が悪くなったり,線維芽様細胞が優位になることにより,3カ月以内に継代は不可能になった.Hc-4より得られた細胞(c-Hc-4)のみが5年以上の長期継代培養が可能となった.これはヌードマウスへのback transplantationにより原発巣と同様の癌が作成された.また,AFP・CEA産生性であることが螢光抗体法などにより確かめられた.subclone作製によりAFP産生細胞,CEA産生細胞,非産生細胞よりc-Hc-4は構成されており,CEA産生細胞がこれらの中でやや増殖が早い傾向を示した.
  • 上川 康明, 三村 久, 堀見 忠司, 大野 靖彦, 高倉 範尚, 津村 真, 浜崎 啓介, 柏野 博正, 折田 薫三
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1282-1290
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対し開腹下に肝動脈塞栓術(surgical embolization)を施行した10例について,その肝機能への影響,治療効果を検討した.10例中6例は切除例で,病巣の一部が切除し得ずに遺残し,これに対して塞栓術を適応したものである.他の4例はtranscatheter arterial embolizationが手技上不能な切除不能例であった.
    術後GOT, GPT, LDHは一過性の上昇を示したのち,約10日で術前値に復したが,KICG,CHEは術後ある程度の低下を認めた.AFP値は術後2週間までに急速に低下し,約1カ月で平衡状態となった.遺残した病巣の腫瘍濃度染像は,術後の血管造影では1例を除いて完全に消失し,CTにおける腫瘍組織の吸収値の著明な低下および低吸収域の縮小とともに,腫瘍組織に対する効果が良好であることを示していた.
    本法は切除不能例に対する治療ばかりでなく,病巣の一部が遺残するような切除例の補助療法としても有用な方法と考えられる.
  • 中尾 宣夫, 三浦 行矣, 高安 幸生, 和田 羊平, 高橋 英夫, 林 孝之, 三浦 貴士
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1291-1297
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術の塞栓効果および予後を中心に各種の形態的困子の有意性を比較し,本法の適応を検討した.対象は肝硬変を合併した肝癌132例で,塞栓物質はgelfoam spongeである.その結果,血管造影所見では腫瘍血管増生の著明なもの程腫瘍壊死率が高く,本法の良い適応となり,AFP高値例ではその際AFP減少率が塞栓効果を知る良い指標となる.また,門脈閉塞の程度と予後が相関し,門脈一次分枝の閉塞は最も予後が不良でさらに門脈本幹の閉塞は本法の禁忌となる.CT所見では被膜の有無を検索することが本法の塞栓効果,予後並びに適応を知る上で特に重要である.重篤な副作用として重度の肝硬変では肝不全発生の危険性があり適応上機能面にも留意する必要がある.ちなみに累積生存率は,1年43.5%, 2年30.3%であった.
  • 服部 光治, 金尾 りえ, 加来 裕, 西村 正信, 湊 志仁, 蓮村 靖, 武内 重五郎
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1298-1302
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内小葉間胆管上皮細胞の著明な変性像と,小葉間胆管の崩壊・消失像を呈したチオプロニン肝障害の高度肝内胆汁うっ滞症例(36歳,女性)を報告する.皮膚疾患のためチオプロニン総量8,100mg服用後,掻痒感を伴った黄疸が出現した.初診時,GOT332U/l, GPT645 U/l,総ビリルビン11.4mg/dl, Al-P378U/lであった.チオプロニンに対するリンパ球刺激試験は678%と陽性であった.肝生検像での著明な変化は小葉間胆管上皮細胞の変性による胆管崩壊像であった.胆道系酵素の異常持続のため発症4ヵ月後に再度肝生検を施行したが,未だ明らかな小葉間胆管上皮細胞の空胞様変性像が認められた.以上,慢性肝炎治療薬として使用されているチオプロニンにも高度胆汁うっ滞性の薬剤性肝障害が生ずることを報告するとともに,この肝障害では小葉間胆管上皮細胞の著明な変性・崩壊が認められ,これが長期間持続する点に注目すべきと考え,ここに注意を喚起した.
  • 菅 充生, 赤保内 良和, 東出 俊之, 内山 久士, 伊林 由美子, 中田 雅之, 笹浪 哲雄, 上条 桂一, 谷内 昭
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1303-1307
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血漿交換により黄疸が著明に改善した肝内胆汁うっ滞型重症肝炎の1例を報告した.症例は46歳,男性,全身倦怠感と黄疸を主訴に入院した.入院後トランスアミナーゼは低下したが,総ビリルビンの上昇が認められ,prednisoloneおよびglucagon-insulinの投与を行った.しかし,その後も黄疸が持続するため,第28病日と第30病日の2回新鮮凍結血漿を置換液として血漿交換を行ったところ,血漿交換を契機に黄疸は著明に改善した.以上より肝内胆汁うっ滞の治療として血漿交換は有効と考えられ,その機序について文献的考察を加えた.
  • 波多野 等, 大西 久仁彦, 斉藤 正之, 中山 隆雅, 三島 昭彦, 土屋 聖二, 野村 文夫, 河野 邦彦, 大槻 俊夫, 大槻 俊夫, ...
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1308-1312
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性.昭和32年,肺結核の為右上葉切除を行い,大量輸血を施行.飲酒歴は,27~28年間日本酒5合.今回は,感冒様症状,無意識のうちに入浴を繰り返すという異常行動が見られた為,当科入院となった.入院後,上腸間膜動脈造影後の門脈像によって,肝門部に怒張した静脈が証明された.CTでは,肝門部と下大静脈を結びつける腸詰様低濃度領域が認められ,造影剤の急速静注によって,造影剤が低濃度領域を通って,門脈より直接下大静脈へ流入することが証明された.超音波検査では,右肋間走査にて,肝の後方を通って門脈から下大静脈に入る大きな導管が認められた.又,下大静脈に挿入されたカテーテルによって,異常血行路内,及びその開口部の直上直下にて血圧,アンモニア,酸素分圧を測定した結果,門脈血がこの異常血行路を通り,下大静脈内に流入したことが示唆され,本例はきわめてまれなArantius管開存症例と考えられた.
  • 光信 正夫, 植松 邦夫, 覚道 健一, 鹿子木 基二, 沢田 健史, 岡本 英三, 豊坂 昭弘, 鈴木 栄太郎
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1313-1321
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は26歳男子.難治性の胆管炎症状にて来院.PTCにて,右肝内胆管が,大小不同,多数の嚢胞状拡張を示し,Caroli病と診断し肝右葉切除を施行したが,術後3ヵ月,敗血症にて死亡し病理解剖を行った.本症例は,Caroli病として典型的な病理組織学的特徴を備えており,拡張胆管上皮は高円柱状,乳頭状過形成を示し,グ鞘域では線維化と胆管の増生・拡張・変形を認めるが,炎症細胞浸潤はほとんどみられないcongenital hepatic fibrosis (CHF)の組織像を呈した.さらに,腎尿細管の嚢胞状変化も認めた.
    Caroli病とCHFとの関係,Caroli病とcholedochal cystとの鑑別,本邦報告例35例の臨床像について検討し報告する.
  • 鵜浦 雅志, 加登 康洋, 福岡 賢一, 金井 正信, 田中 延善, 小林 健一, 服部 信
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1322
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宮田 康司, 古賀 俊逸, 井林 博
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1323
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大島 徹, 吉川 寛, 村上 清史, 森岡 健, 松下 文昭, 福岡 賢一, 小林 健一, 服部 信
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1324
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 三田村 圭二, 井廻 道夫, 松崎 靖司, 大菅 俊明
    1983 年 24 巻 11 号 p. 1325
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 24 巻 11 号 p. 1326-1346
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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