肝臓
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24 巻, 5 号
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  • 足立 信幸, 宇土 一道, 亀谷 正明, 清水 勝, 大山 正己, 小島 峯雄, 高井 恵美子, 津田 文男, 中村 徹雄
    1983 年 24 巻 5 号 p. 485-491
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ウイルス性急性肝炎とB型慢性肝炎につきRIA法でIgM型HBc抗体を測定し,その有用性につき検討した.IgM型HBc抗体はB型急性肝炎29例の発症12週までの62検体全てに陽性であり,B型慢性肝炎24例64検体中61検体(95.3%)にも陽性であつた.しかしその力価はB型急性肝炎発症6週以内では平均19.0±1.9で,B型慢性肝炎の3.9±1.9よりも有意に高かった(p<0.0001)。従って発症6週以内であれば,IgM型HBc抗体により急性肝炎とcarrierからの急性発症との鑑別は可能であり,さらにIgM型HBc抗体とIAHA法HBc抗体との比をとることにより,より明確となった.約2年間のA型肝炎を除くHBs抗原陰性急性肝炎32例中6例(18.8%)にIgM型HBc抗体は陽性でB型急性肝炎と診断できた.従ってIgM型HBc抗体によりB型急性肝炎の診断およびHBウイルスの初感染と持続感染との鑑別が従来のIAHA法よりも正確にかつ容易にでき,その診断的有用性は高いことが判明した.
  • 横須賀 収, 小俣 政男, 森 順子, 内海 勝夫, 伊藤 よしみ, 奥田 邦雄, 五十嵐 正彦
    1983 年 24 巻 5 号 p. 492-500
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBe抗原陽性慢性肝疾患の治療法として抗ウイルス剤であるAra-Aの効果を調べるため,著者らは,ステロイド離脱に引続きAra-Aを投与する組合せ療法と,Ara-A単独投与と比較して検討し,Hepatitis B Virus関連マーカーの変動を主に観察した.肝生検にて確定診断されたHBe抗原陽性慢性肝疾患患者29名を対象とし,10名にAra-A単独療法,9名にステロイド-Ara-A療法,10名を対照群とし血中HBs抗原価,HBe抗原抗体反応,DNA-P活性を経時的に測定した.HBe抗原はAra-A単独群では10%に,ステロイド-Ara-A群では67%にRIA法で消失をみた(p<0.05).またAra-A投与にてDNA-P活性の有意の低下(p<0.05)及びHBs抗原価の低下傾向が認められた.Ara-A投与により食欲不振,嘔気,筋肉痛,軽度白血球減少がみとめられたが重篤な副作用はみられなかった.HBe抗原消失の面から考えて,ステロイド-Ara-A併用療法は,HBe抗原陽性慢性肝疾患の有効な治療法である可能性が示唆された.
  • とくにHBs抗原陽性例と陰性例の障害機構の相違について
    相沢 良夫, 藤田 由美子, 高橋 弘, 出浦 正倫, 清水 能一, 銭谷 幹男, 秋庭 真理子, 飛鳥田 一郎, 亀田 治男
    1983 年 24 巻 5 号 p. 501-507
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎患者の生検肝よりアルブミン合成能を示す肝細胞を高い生存率で単離した.この自己肝細胞を標的細胞とするリンパ球の細胞障害能をTakasugiらのmicrocytotoxicity testを用いて検討し,障害能を示すリンパ球亜分画の検討とともにその障害能を生検肝組織所見と対比した.
    B型慢性肝炎(B型)ではリンパ球障害能が対照に比し有意(p<0.05)に高く,11例中7例(64%)ではT細胞分画に強い障害能を認めた.非B型慢性肝炎(非B型)ではリンパ球障害能は対照と有意差を認めないが,その障害能は18例中15例(83%)でnon-T細胞分画に強かった.組織所見との比較ではB型はT細胞分画での障害能と肝炎の活動性が良く相関し,非B型ではnon-T細胞分画の障害能と相関する傾向を認めた.B型と非B型ではリンパ球障害能の程度や障害リンパ球亜分画が相違し,慢性肝炎はその病因により肝細胞を障害する免疫学的機序が異なる可能性が示された.
  • 東森 俊博, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 志波 孝, 溝口 靖紘, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1983 年 24 巻 5 号 p. 508-512
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者末梢血単球系細胞をeffector細胞とし,正常ラット肝から調製した分離肝細胞を標的細胞として,抗肝細胞膜抗体を介するantibody-dependent cell-mediated cytotox-icity (ADCC)を検討した,急性肝炎,慢性活動性肝炎患者の単球系細胞はADCC反応のeffector細胞の機能を備えていたが,肝硬変,肝癌患者の単球系細胞は,機能の低下,または欠除の状態にあることが認められた.つぎに,単球系細胞をlipopolysaccharideで活性化して同様にADCC反応のeffector細胞として用いると,慢性活動性肝炎患者単球系細胞は,非活性化時に比較して細胞障害性が亢進したが,肝硬変,肝癌では,一部に細胞障害活性の亢進を認めたのみで,大部分は変化を認めなかった.以上の成績から,慢性活動性肝炎では,末梢血単球系細胞をeffector細胞とするADCC反応が生起しうる可能性が示唆されたが,各種肝疾患の病態に応じて,effector細胞としての末梢血単球系細胞の機能は異なることが認められた.
  • 冨松 久信
    1983 年 24 巻 5 号 p. 513-520
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝切除によって得られた肝細胞癌(肝癌)4例につき,Mallory body(MB)の透過電顕像を検討するとともに,肝癌手術例33例及び剖検例138例につき,MBの光顕像を検討した.MBはYokooらによるType I~IIIの3型に分類され,それぞれのTypeが単独ないしは種々の割合で混在して認められた.peroxisomeに周囲を囲まれたType Iを高頻度に認め,MBとperoxisomeとの関連性が示唆された.MBが大型になるにつれて,secondary lysosomeやmyeline figure様構造をMBの周囲,内部に観察した.網状硝子体と球状硝子体は光顕的形状を異にするも,超微構造的には,いずれもType I~IIIの集合体であり,両者の間に本質的な差は認めなかった.MBは剖検例,手術例とも高,中分化肝癌に高頻度に出現し,非癌部に比し癌部に出現頻度が高かった.
  • 大林 明, 田中 慧, 大竹 寛雄, 原田 英治, 小町谷 恭平, 児玉 龍彦, 岡田 吉博, 高橋 慶一, 田中 直英, 山田 春木, 坂 ...
    1983 年 24 巻 5 号 p. 521-525
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    成因不詳(cryptogenic)の肝硬変,肝細胞癌108例を対象に,輸血と肝硬変,肝細胞癌との関連性についてのretrospective studyを行った.輸血歴は40%(43例)に認めた.この頻度は,対照のHBV関連,および飲酒家の肝硬変の夫々12.8% (6/47), 9.6% (11/115)に比較して有意に高率であった(p<0.001).輸血歴のあった43例中,顕性の輸血後肝炎既往は21% (9例)であった.輸血から肝硬変,肝細胞癌診断までの平均年数は,夫々17.3±7.5 (S.D)年,19.5±7.7年であった.死亡例についてみると,輸血歴のあったもの(14例)の平均死亡年齢は68歳であり,輸血歴のなかったもの(19例)のそれよりも有意に6.6歳高齢であった.また,輸血歴のあつたものの57%(8例)に肝細胞癌の併発を認めた.以上の結果は,非A・非B型輸血後肝炎がsubclinicalに経過し,長年月の後に肝硬変,さらに肝細胞癌にまで進展する例の少なくないことを示唆している,と考えた.
  • 加登 康洋, 池田 孝之, 鵜浦 雅志, 池田 正, 岡井 高, 野田 八嗣, 小林 健一, 服部 信, 野々村 昭孝, 太田 五六
    1983 年 24 巻 5 号 p. 526-529
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    右心房内腫瘍血栓のみとめられた原発性肝癌5例について,臨床病理学的検討をおこなった.臨床症状では,全例に下腿浮腫,腹壁静脈怒張,腹水,呼吸困難を認め,呼吸困難は発作的に増悪し,2例は左側臥位をとることにより軽快した.5例中2例に突然の嘔吐とともにショック症状出現し,ショック症状は体位変換により誘発された.2例において経過中奔馬調律が聴取された.病理所見では,全例macronodular肝硬変に伴う肝細胞癌であった.腫瘍血栓は,肝静脈,下大静脈を完全に閉塞し,連続して右心房に達したものは5例中4例,肝静脈に腫瘍血栓はみられず下大静脈の一部閉塞のみで右心房に達したものは1例であった.腫瘍血栓が右心房に限局したものは5例中3例,右心房から三尖弁にかけて右心室内にみられたものは1例,右心房,右心室,肺動脈円椎にかけて巨大腫瘍血栓を認めたものは1例であった.
  • 後藤 信昭, 武者 広隆, 奥田 邦雄
    1983 年 24 巻 5 号 p. 530-536
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    高アンモニア血症を示し肝性脳症を合併する肝硬変10例と代償性肝硬変5例に特殊組成アミノ酸輸液(GO-80)500mlを単独に3時間で投与し,投与直前,直後,3時間後の3点で採血し,アンモニアと血漿遊離アミノ酸を測定した.脳症10例の全例に直後のアンモニアの低下がみられたが,うち8例には3時間後の再上昇がみられた.アミノ酸の変化については,脳症例では代償性肝硬変に較べ投与されたアミノ酸は長時間血中に停滞する傾向にあったが,Val. Leu. Ileの変化には両群に差がなく直後に上昇した血中濃度は3時間後にはほぼ前値に復した.GluとGlnはGO-80に含まれていないが,脳症例で直後のGlnの著しい上昇がみられた.Gluは脳症例で投与前に著明な低下がみられたが,投与後の変化はわずかであった.以上の成績から,高アンモニア血症においてGO-80はアンモニアからGlnへの代謝を促進して血中アンモニアを低下させることが示唆された.
  • 森安 史典, 伴 信之, 五十嵐 昭夫, 山本 富一, 塩村 惟彦, 洲崎 剛, 兼松 雄象, 岡崎 和一, 三宅 健夫, 内野 治人
    1983 年 24 巻 5 号 p. 537-544
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    リニア型電子走査式超音波断層法とパルスドップラー血流計を組み合わせた複合装置を用い,門脈血液量を測定するための基礎的検討および臨床応用のための検討を行った.牛血液を用いた血流モデル実験では,ドップラースペクトルから得られる最高流速と,実測された平均流速の間には,きわめて良い一次相関が得られた.この関係を応用し,正常人の門脈血流量を計測した.得られた測定結果は以下の如くであった.門脈断面積0.99±0.28cmcm2 (Mean±S.D., n=88,以下同じ),門脈血流速度15.3±4.0cm/sec,門脈血流量888.7±283.6ml/min,体重当りの流量16.3±5.0ml/min/kg. BW.門脈血液量と身長,体重,体表面積の間には有意の正の相関があった.得られた値は,電磁流量計による人や犬の門脈血流量の報告値とよく一致するものであり,本法の臨床的有用性が示された.
  • 広瀬 洋, 足立 信幸, 宇土 一道, 小島 峯雄, 田中 浩, 笹岡 陏乎, 高井 恵美子, 津田 文夫, 内藤 成子
    1983 年 24 巻 5 号 p. 545-549
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    IgM型HBc抗体の測定により診断できたHBs抗原陰性の乳児B型劇症肝炎を1例報告する.症例.4.5ヵ月,男児.主訴:発熱,入院時は意識清明で,黄疸,肝腫および蛋白尿(30mg/dl)がみられた.血液検査では白血球数39,000, GOT585, GPT2,023, LDH826, ALP 2,148, T.Bil15.9mg/dl, RA(++)であり,HBs抗原(R-PHA, RIA), HBs抗体(PHA, RIA), HA抗体(HAVAB-Mkit)などはすべて陰性であったが,IgM型HBc抗体(RiA)がcut off index 18.6と陽性でB型肝炎と診断された.
    入院第4病日に死亡したが,肝は著明な萎縮をきたし,組織では広範なびまん性出血と肝細胞壊死.偽胆管の増生とその周囲での線維増生がみられた.感染経路は患児の発症約72日以前に祖母がB型輸血後肝炎に罹患しており,その潜伏期に相当する時期に患児と同居し育児にたずさわっていたためと考えられた.
  • 伊東 高仁, 杉本 元信, 毛 克弘, 羽鳥 知樹, 住野 泰清, 古河 一男, 中川 和彦, 保坂 洋夫, 水入 紘造, 安部井 徹
    1983 年 24 巻 5 号 p. 550-555
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性.黄疸,腹水にて某医に入院,10日後一過性に意識障害(肝性昏睡II度)が出現,ステロイド療法が行われたが黄疸が遷延したため34病日当科に入院した.黄疸,腹水あり,肝を心窩部に3横指硬く触知,凝固系の障害,アルブミンの低下,胆道系酵素の上昇を認めた.非A非B型の劇症肝炎と診断したが,経過は良好で143病日軽快退院した.腹腔鏡検査を50病日と120病日の2回施行,肝右葉は著明に萎縮して漏斗肝を呈し,一方左葉は馬鈴薯肝を呈し,組織像では炎症所見に乏しかった.本例は,右葉が広範に壊死脱落をきたしたにも拘らず,左葉の再生が充分に肝機能を代償したために良好な予後をたどつたものと考えられた.文献的にかかる症例は極めてまれで,示唆に富む症例と考え報告した.
  • 水入 紘造, 菅野 茂男, 安部井 徹, 平間 隆光, 難波 経彦, 国府田 幸夫
    1983 年 24 巻 5 号 p. 556-564
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝血管腫の5症例を経験した.肝硬変に伴った1例は,脾摘後にKasabach-Merritt症候群となった.肝血管腫に伴うものは本邦では18例の報告がある.その内,自験例を含む3例では細小血管障害性溶血性貧血の合併を認めている.血液凝固異常の改善にはヘパリンやアプロチニンなどが有効であったが,肝血管腫の縮少には放射線療法は皮膚の血管腫と異なり無効例が多かった.試験開腹あるいは血管造影を契機としてKasabach-Merritt症候群となった症例があり,これらの施行にあたっては常に念頭に入れておくべきである.肝血管腫の診断には,画像診断法が有用であるが超音波検査ではhyperechoicあるいはhypoechoic像や両者の混在するものがみられた.CT検査ではlow densityを示したが,contrast enhancement後にhyperdensityあるいはisodensity像を示し,後者では肝癌との鑑別を要した.超音波検査は存在診断,血管造影は質的診断に有用であると思われる.
  • 熊田 博光, 池田 健次, 勝木 俊文, 吉場 朗, 田中 敏章, 吉原 昭次, 瀬戸 幸子, 塚田 理康
    1983 年 24 巻 5 号 p. 565
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • HBe抗原からHBe抗体へのseroconversion
    田中 浩, 木村 仁, 足立 信幸, 清水 勝, 高橋 善彌太, 小島 峯雄
    1983 年 24 巻 5 号 p. 566
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 柏木 徹, 小泉 岳夫, 木村 和文
    1983 年 24 巻 5 号 p. 567
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小林 敏生, 木村 邦夫, 渡辺 浄, 大藤 正雄, 奥田 邦雄, 鈴木 良一, 浅田 学
    1983 年 24 巻 5 号 p. 568
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 本間 定, 筋野 甫, 山崎 一信, 蓮村 哲, 永森 静志, 亀田 治男, 高木 敬三, 向井 万起男
    1983 年 24 巻 5 号 p. 569
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 24 巻 5 号 p. 570-579
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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