肝臓
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24 巻, 6 号
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  • 北爪 伸仁
    1983 年 24 巻 6 号 p. 581-590
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    238例の剖検肝につき,肝漿膜下結合組織内のリンパ管を確保し,バリウムあるいはIndia-inkなどを注入して肝表在リンパ管構築を観察し,次の結果を得た.1.正常肝の肝表在リンパ管は,肝毛細リンパ管,肝リンパ管,及び肝リンパ本幹の3種に識別できた.後二者は弁構造を有する.2.肝毛細リンパ管は,肝漿膜下結合組織内にあって,一個の肝小葉の肝被膜面あたり数十個から百数十個に及ぶ極めて細密な網目構造を形成している.これらの肝毛細リンパ管網は肝毛細リンパ管の集合管に移行し,集合管はさらに肝リンパ管に移行・集合する.3.肝リンパ管は,多くの肝毛細リンパ管網とその集合管を集め,肝漿膜下結合組織内を迂曲・蛇行して走行する.肝リンパ管相互間には多くの吻合をみる.4.肝リンパ本幹は,多くの肝リンパ管の集束・流入を受け,肝リンパを肝外へ導く導管である.肝上面では8群の,肝下面では6群の肝表在リンパ本幹群が識別できた.
  • 蓮村 哲, 永森 静志, 亀田 治男, 遠藤 仁
    1983 年 24 巻 6 号 p. 591-597
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    組織学的検索に必要な充分な量の肝生検材料を除いた残りの材料を用いて,より多くの機能的検索を行うことを目的として,ミクロ法による,ミクロソーム分画の採取法を実験動物を用いて確立し,電子顕微鏡で小胞体やリボゾーム等のミクロソーム分画に含まれる細胞内小器管の存在することを確認した.さらに肝ミクロソームの有する機能の一つとしてチトクロームP450の微量定量法を,Thomasらの方法を改変し,検討した.本法により100 femto molesのチトクロームP450を測定可能であり,400 femto moles以下で相関係数r=0.975の検量線を作ることができた.臨床例についても施行したが,各症例とも0.1~0.3nmoles/mg microsomal proteinの比活性を有し,症例としては肝硬変では低値(0.09nmoles/mg microsomal protein),慢性肝炎では高値(0.25nmoles/mg microsomal protein)を示した.
  • 電顕による病理学的検討
    金岡 光雄
    1983 年 24 巻 6 号 p. 598-607
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性ウイルス肝炎17例,18生検材料の小葉間胆管および細胆管を,電顕を用いて検討した.光顕では健常にみえた胆管でも,多くは胆管上皮細胞が暗調化および明調化する変化を認めた.A型肝炎は,非A非B型に比べ暗細胞が多く,逆に,非A非B型肝炎は,A型に比べ明細胞が多かった.なおB型では,暗細胞はA型と同程度に,明細胞は非A非B型と同程度に認めた.基底膜に欠損を認めたのは,暗細胞が基底膜側に脱落する胆管と,高度に細胞浸潤を認めた胆管で,いずれもA型肝炎例であった.また,胆管内細胞浸潤を認めた胆管では,周囲の浸潤細胞も多かった.小器官は比較的保たれていることが多く,pinocytotic vesicleと胆管周囲および胆管内細胞浸潤との関連性は認めなかった.胆管内細胞浸潤でA型肝炎の特徴はマクロファージの浸潤が認められることで,A型肝炎の1例において,胆管内に浸潤したマクロファージのlysosome中に,ウイルス様粒子を認めた.
  • 光顕による臨床病理学的検討
    金岡 光雄
    1983 年 24 巻 6 号 p. 608-614
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    発症後平均47.6±17.9日に肝生検を施行した急性ウイルス肝炎48例,55生検材料の小葉間胆管病変を検討した.胆管病変は,空胞化,核多形性,細胞腫大,核崩壊,核濃染,細胞浸潤,多層化の順に頻度が高く,胆管破裂,胆管消失像,類上皮肉芽腫の所見は認めなかった.胆管病変は全生検材料の18%に認め,A型肝炎(26%),非A非B型肝炎(19%), B型肝炎(10%)の順に高頻度であった.A型肝炎の1例に,明らかな胆管内細胞浸潤を認めたが,それぞれの肝炎に特徴的な胆管病変は指摘しえなかった.また,黄疸消失後26日以内の肝生検では,A型肝炎はB型肝炎に比べ,有意に(p<0.05)胆栓形成率が高く,胆栓消失遅延がうかがえたが,胆管病変と胆栓形成との関連はなかった.胆管症変は非黄疸例にもあり,また,臨床生化学的 な検査値との関連はなく,その意義付けは困難であった.
  • 米井 嘉一, 石井 裕正, 楠原 正俊, 若林 剛, 神谷 利明, 加藤 真三, 土屋 雅春
    1983 年 24 巻 6 号 p. 615-619
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ボリビア共和国サンファン移住地の居住者484名(日系人300名,ボリビア人184名)を対象とし,その血清につきB型肝炎ウイルス(HBV)の抗原・抗体について検索した.成人では,HBs抗原は日系人の7.1%に認められたが,ボリビア人には認められなかった.HBs抗体は日系人で45%,ボリビア人で27%にみられた.これに対し小児では,HBs抗原の陽性率は日系人で10%であったが,ボリビア人では全く認められなかった.HBs抗体陽性率は日系人24%,ボリビア人3.8%であった.
    次にHBs抗原陽性の日系人26名について検索したところ,HBe抗原は成人(11名)の9.1%に陽性であり,小児(15名)では53%に陽性であった.これに対してHBe抗体は成人では91%,小児では40%に陽性であった.これらのHBs抗原subtypeは,adw型80%,adr型20%であった.
  • 金井 弘一, 玉腰 勝敏, 賀古 真, 竹広 晃, 西田 光宏, 五十嵐 良雄, 能登 裕志, 川島 吉良, 寺島 綾子, 豊川 秀治, 大 ...
    1983 年 24 巻 6 号 p. 620-626
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBe抗原陽性の妊婦から出生した児38例に出生後2時間以内にHBIG・F(ab')2 150mgを静注し,以後HBIG 1mlの皮下注にて児の血中HBs抗体価を維持した.生後3カ月(一部は6カ月)よりHBワクチンの併用を開始した. HBワクチンは1回1mlずつ1カ月間隔で3回投与し,3回の投与で能動免疫が成立しない症例には以後2カ月間隔でワクチンの追加投与を行なった.HBIG投与により経胎盤感染2例および脱落3例を除く全例で児のキャリアー化が防止されている.
    HBワクチンを3回以上投与された23例の能動免疫獲得率は78.3%で,ワクチンの平均投与回数は3.4回であった.
    HBIGあるいはHBワクチンによる副作用は認められなかった.HBIGとHBワクチンの併用はHBウイルス母児間感染の予防に有効かつ安全な方法と考えられる.
  • 2種類のperfusion studyの比較検討を含めて
    岡上 武, 王 〓玉, 吉田 純, 太田 正治, 小笠原 孟史, 結城 武彦, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
    1983 年 24 巻 6 号 p. 627-632
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Triton X-100を含む2種類の灌流液を用い肝を灌流後電顕用に固定し,ラット肝細胞cytoskeletonを観察した.さらにラット体重1kg当り5gのエタノールを投与し,ラット肝細胞cytoskeletonとくにmicrotubules (MT)とintermediate filaments (IFs)の変化の有無を検討した.2種類の灌流実験にて肝細胞のMTとIFsは明瞭に観察しえたがmicrofilamentの観察は困難であった.エタノールのラット体重当り5g/kgの投与の急性実験では,コントロールに比し肝細胞cytoskeletonとくにMTとIFsには超微形態上,形,長さ,直径,数に著変を認めなかった.
  • 宮崎 勝, 藤本 茂, 志村 賢範, 高橋 修, 遠藤 文夫, 奥井 勝二, L. Makowka, R.E. FALK
    1983 年 24 巻 6 号 p. 633-640
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラットにおける門脈経由(PV)と肝動脈経由(HA)の2種類のin vivo isolatedhepatic perfusion法を用いて,肝への温熱化学療法の影響を検討した.生存率では5-FU250mg/kg, Mit-C2.0mg/kg(PV), 2.5mg/kg(HA)まで耐える事ができた.同投与量は全身投与では75~100%の致命率をもたらした.温熱療法では温度および灌流時間に依存性の肝傷害効果を示した.血清GOT, GPTは肝灌流後24時間で異常高値を示すが,5日目にほぼ正常値に復し,非致死量では一過性の変化であった.組織学的検索では致死量の制癌剤および温熱療法後に強い肝細胞壊死巣を広範に認めた.5-FU(125, 250mg/kg)の肝灌流後の肝再生能は対照群(非肝灌流)に比し,36~45%の抑制を認めた.一方温熱療法による肝灌流では50~77%のさらに強い肝再生能の抑制を示した.二経路間の比較ではHAの肝灌流の方がPVに比し肝組織への傷害度が少なかった.
  • 肝内門脈の腫瘍塞栓について
    自見 厚郎
    1983 年 24 巻 6 号 p. 641-647
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の95剖検例中,肉眼的に68例(71.6%)に,組織学的に75例(78.9%)に門脈腫瘍塞栓が認められた.腫瘍塞栓は,増殖する腫瘍組織と壊死組織の構成比率から,増殖型(35例),壊死型(14例),混合型(21例),器質化型(5例)の4型に分類され,このうち増殖型が最も多い.腫瘍塞栓が肝内門脈の副血行路にまで増殖・伸展している進行肝癌では,グリソン鞘は大部分腫瘍組織に占拠され,肝動脈も巻き込まれ,ときに動脈瘤形成,その破綻による動脈-腫瘍血管-門脈の異常短絡路形成が認められる.陳旧化すると腫瘍塞栓に器質化がみられるが,subendothelial spaceにおける膠原線維の増加,栄養動脈周囲または中心壊死巣の周囲の結合組織の増殖などの形態がとられている.腫瘍塞栓の器質化,異常A-P shuntの形成などは,肝癌における門脈圧亢進に関与しており,治療による生存期間の延長が期待される.今後,食道静脈瘤破綻が直接の死因となっている肝癌症例の増加が予想される.
  • 平井 賢治, 熊谷 雅信, 須子 保, 酒見 泰介, 長崎 嘉和, 久保 保彦, 谷川 久一
    1983 年 24 巻 6 号 p. 648-653
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    血管造影を2回以上反復して行ない得た肝細胞癌患者55例で,抗癌剤のone shot療法を72回行ない,治療前後の腫瘍の大きさの変化と血管造影上の所見の変化について検討した.固有肝動脈径は,腫瘍の大きさの変化とほぼ相関した.また,血管造影上hypervascularity, tumor stain, displacement of the artery, A-V shuntなども腫瘍の大きさに伴ない変化する例が多かった.しかし,腫瘍増大例(NC3, PD)でも,10~36%の例において肝動脈径は縮小または不変であり,80~90%の例においてhypervascularity, tumor stainの変化は認められなかった.このような,腫瘍の大きさの変化に相関しない所見は,化学療法により腫瘍内部に何らかの組織学的変化が生じたことが示唆されているものと思われた.
  • 林 久男, 福井 和彦, 村上 博, 栗木 潤介, 各務 伸一, 佐藤 祐造, 花市 敬正
    1983 年 24 巻 6 号 p. 654-658
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    16歳の男子高校生が献血時GOT, GPTの高値を指摘された.精査の結果,この慢性肝障害は血清銅低値,低セルロプラスミン血症,尿中銅排泄の亢進を伴つていた.しかしKayser Fleischer輪や錐体外路症状は認めなかった.肝の線維化は軽微で脂肪変性とpiece meal necrosisを伴う慢性肝炎像を示した.グ鞘周辺部の一部の肝細胞に銅含有顆粒がみられた.肝の銅含有量は1,025μg/g乾燥重量と著増していた.無症候性のwilson症と診断しペニシラミン治療を開始した.献血を契機に診断された早期のWilson病を報告したが,国民が健康診断などで肝機能検査を受ける機会が増えており,その異常者に対し,特に30歳以下で脂肪肝や慢性肝炎が疑われる症例では本症をも念頭におくことが大切である.
  • 有高 知樹, 佐田 通夫, 丸山 直人, 瀬戸山 浩, 中嶋 文行, 前山 豊明, 安部 弘彦, 谷川 久一, 坂本 博章
    1983 年 24 巻 6 号 p. 659-663
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    筋組織障害を合併した急性A型肝炎の1例を経験した.34歳の男性で,発熱と四肢筋痛を初発症状として著明なtransaminase, LDHの上昇を認めた.IgM抗HAV抗体の検索よりA型肝炎と診断した.入院時より筋由来酵素であるCPK, Aldolase,尿中Creatineの上昇を認めtransaminaseの推移と一致して正常化した.発症2週目の肝生検組織像は,GOT, LDHの著明な上昇を認めたにもかかわらず,肝細胞壊死,細胞浸潤の程度は軽微であった.血中免疫複合体の推移をRaji細胞法を用いIgA, M, Gの型別に検討した.各型の免疫複合体は有意の高値を示したが,病初期にはIgA型及びIgM型の免疫複合体の高値が見られ,通常の経過を取る急性A型肝炎に比べて長く血中に存在する傾向が認められた.本症例における筋組織障害がこれらの免疫複合体と密接な関係を持った可能性が考えられた.
  • 加藤 眞三, 石井 裕正, 高木 俊和, 浅葉 義明, 一條 真琴, 土屋 雅春, 加野 象次郎, 嵯峨 実枝子, 堀井 康司
    1983 年 24 巻 6 号 p. 664-668
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性.自覚症状はなく,昭和48年来健診で血清GOT値の異常を指摘されるも放置していた.昭和55年,血清GOT値137K.U.と高値を示し,本院に紹介された.入院時,肝は右中鎖骨線上に1.5横指触知,弾性軟,辺縁鋭,圧痛なし.他に理学的異常所見なし.検査成績上,GOT高値以外異常はなくGPT値は正常であり,ICG 15min 7%, HBs Ab陽性であった.肝シンチグラム上異常はなく,肝生検でも正常肝組織像を認めた.患者血清を電気泳動法および免疫固定法により解析したところ,GOTとIgG λ型の複合体形成が確認された.
    血清中の酵素は各種臓器の炎症および壊死,酵素生成の亢進などで増加することが知られている.しかし,本例では免疫グロブリンとの結合により血中からの消失が遅延したものと考えられ,血清酵素値の異常の原因として血中からの酵素消失の速度も留意すべきであることを示唆する症例であった.
  • 鬼束 惇義, 平井 隆, 小池 茂文, 冨田 良照, 後藤 明彦, 稲田 潔, 下川 邦泰
    1983 年 24 巻 6 号 p. 669-674
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    61歳男子の肝硬変合併再発肝癌に対し再々切除を施行し良好な結果を得たので報告する.肝右葉の約3分の2を占める肝癌に対し右葉切除術を施行,組織学的に混合型肝癌であった.1年6カ月後左外側区域に再発を認め左外側区域部分切除術を施行し,組織学的にはclearcell typeの肝癌でmulticentricな発癌が示唆された.さらに9カ月後左外側区域および左内側区域に再発を認め,それぞれ部分切除術を施行した.組織学的には初回手術時と同様に混合型肝癌であり,初回手術時の再発が示唆された.
    肝癌に対する肝切除術後の充分なfollow upと積極的な外科治療方針により,従来治療困難とされた再発肝癌に対しても良好な手術成績が期待される.
  • 田中 薫, 森 亘
    1983 年 24 巻 6 号 p. 675
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 横須賀 収, 小俣 政男, 今関 文夫, 内海 勝夫, 森 順子, 伊藤 よしみ, 奥田 邦雄
    1983 年 24 巻 6 号 p. 676
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 真島 康雄, 酒見 泰介, 酒井 輝文, 久保 保彦, 谷川 久一
    1983 年 24 巻 6 号 p. 677
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小島 隆, 青山 圭一, 松井 俊二郎, 紺田 健彦, 島田 一彦, 井上 恭一, 佐々木 博
    1983 年 24 巻 6 号 p. 678
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 坂田 徹悟, 松木 一雅, 遠藤 高由
    1983 年 24 巻 6 号 p. 679
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 24 巻 6 号 p. 680-698
    発行日: 1983/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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