肝臓
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28 巻, 8 号
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  • B型慢性肝炎との対比
    内海 勝夫, 小俣 政男, 奥田 邦雄
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1015-1021
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    過去20年間に1年以上の間隔をおいて2回以上の組織学的検索を行なった慢性肝炎72例について検討した.平均年齢はB型が非B型より7~11歳若年であった.CPH症例では,B型14例中7例がCAHへ進行したのに対して,非B型9例ではCAHへの進行例は1例も無かった.またCAH症例では,B型22例中11例(50%)が平均44カ月で,非B型27例中11例(40.7%)が平均75カ月でLCへ進行し,B型がより早期にLCへ進行した.以上の症例とは別に,1回肝生検を行なった311例について追跡調査を行なった.LC症例の5年後の累積生存率は77~80%でB型,非B型,アルコール性の間で差は無かった.肝癌発生はB型LC 3例(20%),非B型7例(10.9%),アルコール性2例(8%)であったが,肝癌発見までの平均期間は差が無かった.非B型はB型に比して慢性肝炎から肝硬変への進行は遅いと考えられるが,その差は病変が進むにつれて少なくなる傾向を示した.
  • 山崎 圭子, 中山 一, 川瀬 治通, 渡部 幸夫, 藤沢 洌, 亀田 治男
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1022-1032
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎19例,非A非B型慢性肝炎1例に各種インターフェロン(IFN)療法を行い,宗川らの方法により末梢血リンパ球2', 5'-oligoadenylate synthetase(2-5AS)活性を測定し,臨床的意義について検討した.
    非治療のB型慢性肝炎,非A非B型慢性肝炎および無症候性HBVキャリアーの2-5AS活性は,健常対照者に比べて有意に低値であり(p<0.001, p<0.05, p<0.01)IFN産生系の低下が示唆された.IFNの投与によりB型慢性肝炎19例中8例(42%)でHBe抗原の陰性化が認められた.これらの有効群ではIFN投与前の2-5AS活性はHBe抗原持続陽性の無効群に比べて有意に低く(p<0.05),投与7日目の前値に対する活性上昇が有意に高かった(p<0.01).
    また非A非B型慢性肝炎にIFN-βを投与したところ,2-5AS活性の比較的良好な誘導とトランスアミナーゼの改善を認め,抗ウイルス効果が認められた.
  • 相対生存率と肝癌合併率及びその関連因子について
    明山 燿久, 津熊 秀明, 宮本 岳, 吉田 勤, 鈴木 正昭, 鈴木 都男, 末松 俊彦
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1033-1039
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡・肝生検により病期の確認された慢性肝疾患患者353例について長期の追跡調査を行い,生命表方式による相対生存率と肝癌合併率及びその関連因子について検討した.
    (1) 組織診断別,番地分類別の5年及び10年相対生存率が明らかにされた.(2) 女性は100+200番代と慢性肝炎非活動型を除き,生存率が高い傾向にあった.(3) HBs抗原の有無別による生存率は,400番代の男性について検討したかぎりではHBs抗原陽性群に低い傾向があった.(4) 高年齢者に肝臓死が多く,また肝癌合併例も多かった.(5) 多飲歴を有する者に肝癌合併例が少いようであったが,生死には差が認められなかった.(6)γ-グロブリン,アルブミン,GOT/GPT比,ZTTなどには一定の傾向がうかがえなかったが,AFP値はHBs抗原陽性者に20ng/ml以上のものが多かった.
  • 上野 隆登, 犬塚 貞孝, 鳥村 拓司, 釈迦堂 敏, 吉武 正男, 野口 和典, 安倍 弘彦, 谷川 久一
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1040-1046
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    過栄養性脂肪肝25例(男性17名,女性8名,年齢20~67歳),正常対照5例(男性2名, 女性3名,年齢42~72歳)の終末中心静脈周囲や小葉内の線維化にともなう46個のMyofibroblast (MFB)や62個のFat-storingcell(FSC)の形態の変化,類似性について検討した.MFB, FSCともに細胞周囲に線維沈着が少ない時には核の変化に乏しく脂肪滴の発達した形態を呈したが,線維沈着が著明になるにつれ粗面小胞体,microfilament, dense body, pinocytoticvesicleの発達や脂肪滴の減少などの類似した変化を呈したことよりこれら2種類の細胞が線維産生,脂肪貯留および収縮機能を有する同系列の細胞である可能性が示唆された.
  • とくに肝硬変の補助診断法としての有用性について
    中野 博, 中川 正則, 中林 仁美, 岡本 康幸, 高松 正剛, 福田 善弘
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1047-1050
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    類洞の毛細血管化,および基底膜の出現は肝硬変の形態学的特徴の一つとされる.このことは肝硬変では基底膜構成成分のラミニンの代謝亢進が存在し血中値も上昇することが予測される.結合織代謝には加齢に伴う変動が存在するため,まず正常人の血中ラミニン値の年齢別変動を観察し,次いで生検で肝内線維化の程度を確認した慢性肝疾患51例につき測定を行った.その結果,血中ラミニン値は0~4歳で有意に上昇するが以降89歳まで略一定であった.肝疾患での検討ではラミニンの血中値は肝内線維化の進展に大むね並行して上昇するが,肝内に比較的広く生じた肝細胞壊死に続発した線維性結合のみられる慢性活動性肝炎と肝硬変では血中値に有意差は見出せなかった.しかし血中値が2.0E/ml以上の症例は肝硬変で82%,慢性活動性肝炎で29%であり,肝硬変で有意(p<0.01)に高頻度である.このことは血中ラミニンの測定は肝硬変の補助診断法として有用と考えられた.
  • 多羅尾 和郎, 松本 滋彦, 白石 龍二, Kenzo OKADA, 及川 裕望, 玉井 拙夫, 飯森 和人, 宮本 重男, 風戸 計民, ...
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1051-1056
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝線維症の組織学的な進展に伴う肝臓と脾臓の容積の変化をCTscan(東芝TCT 60A-30)により算出した.肝臓の容積では,健常者8例の平均は1,027±79cm3であったが,アルコール性肝線維症I度8例の平均は1,096±187cm3と,ほぼ健常者に等しかったが,線維症II度5例では1,284±153cm3と,健常群および線維症I度群に比べて有意(p<0.01)に大きく,さらに線維症III度では1,481±165cm3と最大であった.即ち,アルコール性肝線維症では,線維化が進むにつれて肝容積が増大した.又,Niconの二次元画像解析システムcosmozone ISを使用して,肝生検消化PAS染色における肝細胞の平均面積を各群100個ずつ測定した結果ではI度211μmm2,II度248μmm2,II度389μmm2で,III度はI,II度に比し有意に大であった.一方,脾容積は健常群(84±13cm3)と線維症I度(84±40cm3)は等しかったが,II度は59±6cm3と前2群に比べ有意(p<0.01)に小さかったが,II群では147±36cm3と有意に大きかった.
  • 蘆野 吉和, 大和田 康夫, 大内 清昭, 佐藤 隆次
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1057-1064
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変症における耐糖能障害の定量化を目的として,Thioacetamide肝硬変ラットに対し経静脈ブドウ糖負荷試験・経静脈インスリン負荷試験を行ない,血糖曲線の解析より経静脈性の糖処理能の予測の可能性を見い出し,解析指標を用いた糖処理能の予測式を立てた.この予測式の妥当性を検討するため,更に,Hyperglycemic glucose clamp法を用いてインスリン非投与下および大量投与下の糖処理能を実際に測定し,予測値と比較検討した結果,ほぼ近似値をとることが確認された.したがって,経静脈ブドウ糖負荷試験およびインスリン負荷試験により,インスリン非併用下での糖処理量およびインスリン併用下での最大糖処理量を予測し得るものと思われた.なお,肝硬変ラットでの耐糖能障害の成因として,インスリン分泌能の低下およびインスリン感受性の低下が強く関与しているものと考えられた.
  • 渋谷 明隆, 奥平 雅彦, 石井 公道, 柴田 久雄, 岡部 治弥
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1065-1072
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝硬変の進展と肝細胞癌の合併について,剖検例を材料にして検討した.アルコール性肝硬変は亜小葉性薄間質性肝硬変を基本とし,飲酒量の増加に伴い間質幅が広がり偽小葉は大型化した.肝細胞癌の合併は従来の報告より高く,61例中12例(19.7%)に認められ,これらは全て20年以上の長期飲酒歴を有していた.発癌母地としての肝硬変は,必ずしも大結節型のみでなく,形態学的には早期のアルコール性肝硬変にも少なからず肝細胞癌の合併を認めた.肝細胞癌の合併と断酒歴およびMallory小体との間には明らかな相関はなかった.
    以上より,20年以上の長期の飲酒歴を有するアルコール性肝硬変では,断酒歴がなくても,また,病理形態学的に大結節型でない亜小葉性の肝硬変でも,日常臨床の上で常に肝細胞癌の合併を考慮する必要があると思われた.
  • モノクローナル抗体を用いたELISAによる測定
    松木 康彦, 三田村 圭二, 山口 高史, 田中 直見, 相川 達也, 高橋 陽, 矢倉 道泰, 原田 英治, 大林 明, 大菅 俊明
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1073-1079
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌および各種疾患における血中異常プロトロンビン(des-γ-carboxyprothrom-bin, PIVKA-II)を抗PIVKA-IIモノクローナル抗体を用いたELISAにより測定した.肝細胞癌83例中43例(52%)の血中にPIVKA-IIが検出され,かつ高値例が多かった.一方,慢性肝炎,肝硬変では,PIVKA-IIの検出率はそれぞれ4%にすぎず,その量も低値であった.転移性肝癌では18%,その他の肝胆道疾患では4%のみ陽性で,肝転移を認めない他臓器癌および正常人では検出されなかった.PIVKA-IIが検出された50例中43例(86%)が肝細胞癌であり,肝細胞癌に対する特異性が高かった.PIVKA-IIとAFPの相関は認められなかった.更にPIVKA-IIは肝細胞癌の発生,臨床経過および治療と並行して変動し,PIVKA-IIが肝細胞癌の診断およびその臨床経過の観察に有用な指標となりうることが示された.しかしビタミンK投与により,PIVKA-IIが低下する例も認められ,評価に際して考慮する必要があった.
  • 酒見 泰介
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1080-1088
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(以下,肝癌)における肺動脈腫瘍塞栓について,臨床病理学的に検討した.対象は剖検肝癌106例で,内訳は肺動脈腫瘍塞栓を肉眼的に認めた(A群)14例,顕微鏡的に認めた(B群)32例,顕微鏡的にも認めなかった(C群)60例である.対照は肝硬変(D群)24例である.1) 発生頻度は,106例中46例(43.4%)であった.2) 主な自覚症状は呼吸困難,咳嗽,胸痛であり,特に呼吸困難は重要な症状と思われた.3) 胸部X線写真の右肺動脈下行部最大径は,A群が平均18.4±2.6mmとC群の平均14.7±1.9mmに比べ著明に拡大していた.4) 血液ガス分析でPO2はA群が平均63.8±13.4mmHgとC群の平均79.8±12.0mmHgに比べ著明に低かった.5) 99mTc-MAA肺血流シンチグラムは診断に有用であった.6) 肺動脈腫瘍塞栓が直接死因となった例は少なかった.7) 浸潤性に増殖する肝癌で,肝静脈,下大静脈,右心房内腫瘍塞栓を有する例に多くみられた.
  • 増田 友之
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1089-1097
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    摘出ラット肝灌流装置(岩手医大・医学部・第1内科作製)を用いて,負荷灌流実験のための基礎実験として,無負荷(ブドウ糖加Krebs-Ringer液単独)灌流における肝の経時的変化を生理学的,生化学的および組織学的,形態計測学的に検索した.灌流肝の酸素消費量,胆汁流出量,灌流液中のGPT活性は灌流2時間をすぎると急激に悪化した.組織学的検索では,灌流2時間で中心静脈周囲の肝細胞に空胞変性が生じ,3時間では小葉の中心側1/3~1/2に肝細胞の著明な変性,壊死,脱落をみた.中心静脈周囲と門脈域周囲の肝細胞核DNA量の比(中心静脈周囲/門脈域周囲)は対照群と比較して2時間までは有意な差をみなかったが,3時間では有意に低下していた.肝細胞核数も2時間までは有意な差をみなかったが,灌流3時間では中心静脈周囲の肝細胞核数は対照群と比較して有意に減少していた.以上の成績より本灌流装置による実験は灌流2時間までが適当と考えられた.
  • 蜂矢 仁, 早川 富博, 片桐 健二, 大西 勇人, 川村 益生, 竹島 彰彦, 吉岡 宣夫, 星野 信, 塚田 勝比古, 宮治 真, 武内 ...
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1098-1106
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    UDCによる胆汁生成の特異性について,ラット分離肝灌流法を用い検討した.UDC添加においてはTUDC, CA, TCA添加と異なり,胆汁中重炭酸イオン濃度の増加を伴う著しい利胆を認めた.また,TUDC, CA, TCA添加時の胆汁流量と胆汁酸排泄率との間に明らかな直線関係を認めたのに対し,UDC添加時では胆汁流量と胆汁酸排泄率のみならず,胆汁流量と肝内胆汁酸濃度,胆汁流量と胆汁中重炭酸イオン濃度との間にも有意な相関を認めた.UDCとouabain同時添加では,UDCの胆汁中への排泄が促進された結果,肝内胆汁酸濃度が低値となり,同時にUDC単独添加で認められた胆汁流量および胆汁中重炭酸イオン濃度の著しい増加が抑制された.一方,TCAとouabainの同時添加では,胆汁酸排泄に変化はなかった.
    以上よりUDCによる胆汁生成では,他の胆汁酸と異なり,肝細胞内に貯溜したUDCが毛細胆管への重炭酸イオソの分泌を刺激することが胆汁生成の重要な因子であると考えられた.
  • 竹原 健, 新井 孝之, 山田 昇司, 小林 節雄, 阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 森沢 成司, 山本 祐夫, 名倉 宏, 深町 勇
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1107-1114
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内胆汁うっ滞を誘導するリンホカインである催胆汁うっ滞因子(cholestatic factor,CF)の肝内局在を確めるために結核死菌感作モルモットのリンパ節由来のCFに対するモノクローナル抗体を使用して各種肝疾患患者31例の生検肝組織に対してABC法にて免疫組織学的検討を行なった.その結果,組織内CFは31例中11例に陽性で,その内訳は薬剤性肝障害5例,急性肝炎2例,アルコール性肝障害3例,自己免疫性肝炎1例であつた.組織内CFはこれら陽性例にいずれも肝細胞質にびまん性に顆粒状に染色された.陽性例11例はすべて経過中に黄疸を呈するか黄疸の既往が認められたが,原発性胆汁性肝硬変の黄疸例や肝外閉塞性黄疸では組織内CFは陰性であり,黄疸を認めなかつた例でも組織内CFは陰性であった.以上の結果からCFは肝内胆汁うっ滞を伴う薬剤性肝障害,急性肝炎,アルコール性肝障害,自己免疫性肝炎に強く関与していることが示唆された.
  • 渡辺 浄, 木村 邦夫, 松谷 正一, 大藤 正雄, 奥田 邦雄
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1115-1122
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    胃静脈瘤は食道静脈瘤に比し出血頻度が低いとされているが,その血行動態の検討は充分にはなされていない.そこで胃静脈瘤の血行動態を経皮経肝門脈造影(PTP)により検討し,食道静脈瘤との血行動態の差異や門脈圧,肝性脳症との関連について言及した.230例の食道胃静脈瘤症例に対し,内視鏡とPTPを施行し以下の結果を得た.(1) 胃静脈瘤は57%に存在し高度になるにつれ短胃静脈,後胃静脈支配型が増える.(2)胃静脈瘤高度例では胃腎短絡路が高率に存在する.(3) 胃腎短絡路を有する群は有しない群に比し,門脈圧は有意に低い.(4)高度胃静脈瘤を有する群は,反復性肝性脳症を起こす頻度が高い.
    以上胃静脈瘤は食道静脈瘤とは異なった血行動態及び臨床病態を有することを明らかにした.
  • 松村 謙一郎, 田島 平一郎, 南野 毅, 古賀 満明, 前田 滋, 矢野 右人
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1123-1127
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アマニタトキシン(キノコ毒)中毒による劇症肝炎の症例を報告する.45歳,男性,増強する黄疸を主訴として来院.入院時の血液生化学検査でGOT3,410IU/l, GPT 3,762IU/l,プロトロンビン時間150秒以上と著明な肝機能障害を認めた.経過中,肝性脳症II度発症したため,劇症肝炎の診断の下に治療を開始する.病歴,検査結果より典型的アマニタトキシンによる劇症肝炎と診断.血漿交換等を含む積極的治療をおこなった結果臨床症状は回復に向い,救命しえた.本邦においてアマニタトキシン中毒による劇症肝炎の報告はいまだなく,稀有な症例と考え報告する.
  • 柏谷 亘, 岩井 眞樹, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎, 藤井 浩, 三好 正人
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1128-1132
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性.18歳時に尿崩症と診断され,2年間vasopressin治療をうけていた.食思不振,全身倦怠,黄疸および高熱が出現したため入院した.現症では,皮膚・結膜の黄染と肝腫大とを認め,検査成績では,貧血と著明な肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹腔鏡では,白斑が禰漫性にみられ,肝生検組織では,門脈域に組織球様細胞の増生所見が観察された.組織球様細胞の免疫組織化学的検索では,S蛋白染色が陽性であり,リゾチーム染色は陰性であった.超微形態的には,組織球様細胞内にBirbeck顆粒を認め,Histiocytosis Xと考えられた.Vinblastine投与により,尿崩症の改善,黄疸の軽減,肝機能検査の著明な改善が得られ,臨床経過,治療効果ならびに形態学的特徴より,本例を肝臓を主病変としたHistiocytosis Xと診断した.
  • 中嶋 俊彰, 瀬戸 良文, 中島 年和, 島 俊英, 佐野 敦, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1133-1134
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大西 真, 青山 弘, 志賀 淳治, 板井 悠二, 森山 貴志, 石川 隆, 佐々木 伸雄, 山本 孝史, 輿水 馨, 金子 周一, 村上 ...
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1135-1136
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 申 東桓, 武田 弘, 木岡 清英, 久保井 広志, 河田 則文, 市川 裕三, 宮島 慶治, 関 守一, 小林 ...
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1137
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 白井 睦訓, 花田 浩, 香川 博幸, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1138
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中嶋 俊彰, 佐野 敦, 瀬戸 良文, 中島 年和, 島 俊英, 阪本 善邦, 中川 義弘, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1139
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 松岡 雅人, 奥野 府夫, 井上 尚英, 荒井 正夫, 田中 勇武
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1140
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 松田 裕之, 竹原 徹郎, 井川 宣, 東 正祥, 吉岡 博昭, 柏木 徹, 藤田 峻作, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1141
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 血漿フィプロネクチン及びOK 432投与の意義について
    長島 郁雄, 長尾 桓, 河野 信博, 森岡 恭彦, 井廻 道夫, 高久 史麿
    1987 年 28 巻 8 号 p. 1142
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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