肝臓
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30 巻, 5 号
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  • 大西 弘生, 森脇 久隆, 星山 直基, 名倉 一夫, 斎藤 雅也, 大山 正巳, 西野 聡, 〓 沛, 高野 章子, 酒井 勉, 冨田 栄 ...
    1989 年 30 巻 5 号 p. 507-515
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Ara-A療法10例,ステロイド離脱療法12例およびその併用療法12例と,これら治療未施行の32例の臨床経過を推計学的に検討した.Kaplan-Meier法にて累積Seronegative (SN)率を求め,さらにこれをWeibull変換し検討した年間SN率は,いずれの治療でも対照群に比し有意に高く(p<0.05),また有意に早く(p<0.05) SNが誘導された.治療開始時GPT値200IU/l以上の症例での検討でも,治療群では対照群に比し有意に早く(p<0.05) SNが誘導されたが,200IU/l未満では誘導時期に差異はみられなかった.しかし各治療群ではいずれも対照群に比し有意に高い年率を有する群と,対照群と同様な年率を持つ2つの群が存在し,その変換点は6~7.5カ月であった.従って,B型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法は原則としてGPT値200IU/l以上の症例を対象とし,6~7.5カ月後もHBe抗原が持続する場合には,別の治療法を施行することで良好な成績が得られるものと考えられた.
  • 藤岡 悟, 日野 邦彦, 福原 彰典, 梨子田 行孝, 安田 清美, 近藤 寿郎, 丹羽 寛文, 飯野 四郎, 鈴木 宏
    1989 年 30 巻 5 号 p. 516-521
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    非A非B型慢性肝炎(NANBH) 14例を無作為的に3群に分け,それぞれにHuman Interferon-β (Hu IFN-β)を1日100万,300万,600万単位8週間連日投与し,prospectiveに用量別比較試験を行った.s-ALTは3群ともIFN-β投与中次第に低下したが,600万投与群では投与終了後も6カ月にわたってs-ALTは低値で推移したのに対し,他の2群では投与終了後再上昇をみた.肝組織所見をKnodellらのHistology Activity Index (HAI) scoreで検討した結果,いずれの群においても投与終了時Total HAI scoreの低下傾向がみられたが,投与終了後6カ月では100万および300万投与群で投与前値に復する傾向を示したのに対し,600万投与群では更に低下した.また抗ウイルス効果の指標である血清2-5AS活性の経時的測定では,用量依存的に上昇を示し600万投与群では他の2群に比し有意に高い上昇を認めた.以上よりNANBHに対して,HuIFN-β 600万単位8週間連日投与法が少量投与より有効と考えられた.
  • 蔡 栄若, 山下 隆史, 芳野 裕明, 山田 育壽子, 吉川 和彦, 石川 哲郎, 大平 雅一, 東 孝, 梅山 馨
    1989 年 30 巻 5 号 p. 522-528
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラットにおける肝再生時の1核,2核肝細胞の細胞動態をthymidineのanalogueであるBrdUに対する抗BrdUモノクローナル抗体を用いたDNA合成期(S期)細胞の測定ならびにDNA量ヒストグラムの測定により検討した.
    正常ラット肝(7週齢)での1核,2核細胞の各々は87%, 13%にみられ,70%肝切72時間後まで2核細胞は減少する傾向にあった.S期細胞(LI)は,1核,2核細胞とも肝切24時間後で最も多かったが,1核細胞より2核細胞で高値を示す傾向がみられた.DNA量ヒストグラムパターンは,肝切後1核細胞は2cから4cへ,2核細胞は4cから8cへのpolyploidizationがみられ,24~48時間後が最も著明であった.
    以上のことから70%肝切後の肝再生では,1核,2核細胞とも肝切24~48時間後に最も活発な細胞動態を示すが,1核細胞より2核細胞のLIが高いことから,肝再生時には2核細胞の細胞動態がより活発であるように思われた.
  • 佐藤 隆次, 大内 清昭, 酒井 謙次
    1989 年 30 巻 5 号 p. 529-537
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    広範肝切除術前後における糖処理能(Glucose Disposal Rate, GDR)の定量的評価法について検討を行った.Thioacetamide肝硬変ラットおよび正常ラットを用い,切除前,切除後1, 2, 3, 7日目に経静脈ブドウ糖負荷試験・経静脈インスリン負荷試験を行い,その血糖曲線の解析指標よりGDRの予測値を算出した.さらにHyperglycemic Glucose Clamp法を用い実測GDRを求め比較検討した.その結果,1)予測値と実測値との間に高度の相関を認め,迅速に適正糖投与量を算出し得る.2)正常群に比較して硬変群の予測GDRは低値を示し,肝切除1日目に最低となり,3日目にほぼ前値まで回復した.3)インスリン大量併用下では,正常群ではGDRの増加を認めたが,硬変肝切除後には僅かの増加にとどまった.以上より,硬変肝切除術後早期には著明な糖処理能の低下を認め,それはインスリン大量投与によっても改善されず,適正量の糖質投与が必要である.
  • BrdUの取り込み率よりの検討
    伊藤 義彦, 多羅尾 和郎, 久邇 之房, 清水 昭男, 原田 昌興, 玉井 拙夫, 藤本 泰則, 杉政 征夫, 武宮 省治, 岡本 堯
    1989 年 30 巻 5 号 p. 538-544
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ThymidineのanalogueであるBromodeoxyuridine(以下BrdU)に対するモノクロナール抗体を用いて原発性肝癌(以下HCC) 16例の腫瘍細胞のDNA合成を免疫組織学的に検討した.方法は0.1%にBrdUを含んだRPMI1640液と肝生検組織をincubationし,BrdU摂取率をin vitroで測定した.Labeling Index (L.I.)のMean±SEは7.06±2.71%で症例間で2.6%から12.7%と大きな差異がみられた.又,HCCのL.I.は他の消化器癌に比べて概して低値であった.次にHCCの組織学的差異によるBrdU L.I.の検討ではL.I. 5%未満では全てtrabecular typeであったのに対し,5%以上ではpseudoglandular typeやsolid typeが高頻度にmixしていた.一方,Edmondson & Steiner'sの異型度分類とBrdU L.I.との関係では,より異型度の高いIII型がL.I. 10.64±2.10%で,I~II型の5.87±1.61%に比べ有意に高く,異型度とDNA合成能との相関が示唆された.
  • 黒肱 敏彦
    1989 年 30 巻 5 号 p. 545-552
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    エタノール注入療法を,家兎VX2肝癌にたいして施行し,正常肝組織を対象としてエタノールの浸透範囲の測定,エタノール注入後の組織所見の経時的観察,及びエタノール注入のVX2肝癌の生存日数に及ぼす影響について検討をおこなった.
    エタノールによる壊死面積は正常肝においては0.1ml~1.0mlの範囲において有意の用量依存性の相関を示し,VX2肝癌にたいしても0.2ml~1.0mlの範囲において,用量依存性に有意の相関を示した.またVX2肝癌はエタノール注入により,有意に生存日数の延長がみとめられた.注入後の経時的組織所見観察で,VX2肝癌エタノール注入後3~5日目より線維化が始まっていた.さらに,VX2肝癌にたいするエタノール注入では,正常肝注入群では認められなかった好酸球浸潤がみられていた.
  • 市川 尚一, 北見 啓之
    1989 年 30 巻 5 号 p. 553-558
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    薬剤アレルギー性肝障害の臨床像について起因薬剤別に検討した.halothane肝障害では発熱と好酸球増多が多く認められた.cefalexin肝障害とampicillin肝障害では,血液生化学的検査成績は類似していたが,ampicillin肝障害では発疹,掻痒感,好酸球増多が多く認められた.indomethacin肝障害とaspirin肝障害では,血液生化学的検査成績は類似していたが,indomethacin肝障害では潜伏期間が長く,好酸球増多をきたす例が多く,aspirin肝障害では消化器症状と黄疸が多く認められた.tiopronin肝障害ではアレルギー歴や好酸球増多が認められ,胆汁うっ滞型の肝障害を呈した.methyldopa肝障害では肝炎型の肝障害を呈した.各薬剤によりそれぞれに特徴的な臨床像が認められ,アレルギー機序の関与が示唆された.
  • 大越 裕文, 銭谷 幹男, 河辺 朋信, 奥山 早苗, 佐多 斉, 高橋 宏樹, 根岸 正史, 渡辺 文時, 宮崎 寛, 青山 南圭, 嵐山 ...
    1989 年 30 巻 5 号 p. 559-566
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Propionibacterium acnes (P. acnes)をラットに投与すると,肝臓,脾臓に形態学的に類似した単核細胞の浸潤,増生が出現し,少量のlipopolysaccharide (LPS)の追加投与により,広範な肝細胞壊死が出現する.そのモデルを用い,肝細胞障害発現における脾臓の役割を解析した.P. acnes投与前後に脾摘すると,LPS投与後の肝障害は著明に抑制され,P. acnes投与後の脾臓の単核細胞特に粘着性細胞をP. acnes投与後の同系ラットにLPSとともに門脈り移入すると,強い肝障害が出現した.これらの脾臓単核細胞は,PHAに対する幼若化反応は低く,NK, LAK活性も認められなかった.この脾臓の粘着性細胞のLPS添加培養後の培養上清は,正常肝細胞に対し強い細胞障害性を示した.以上より,この肝障害の誘導には,脾臓が密接に関与しており,特にLPS刺激により肝細胞障害能を発揮するP. acnes投与後に増生した脾臓の粘着性細胞が重要な役割を果していることが示された.
  • 祐森 泰郎, 落 義男, 三浦 賢佑, 森岡 淳夫, 福田 善弘, 小澤 和恵, 山邊 博彦, 内野 治人
    1989 年 30 巻 5 号 p. 567-572
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    64歳,男性.昭和55年来慢性肝疾患にて経過観察中,腹部超音波検査でエコー像の異なる2個の小腫瘍性病変を認めた.すなわち,一方は高エコー像であり,他方は低エコー像を示し,これらの切除肝での肉眼的所見は,前者は12mm大の黄色調の腫瘍で,後者は13mm大の緑色調の腫瘍であり,いずれも薄い被膜を有していた.組織学的検査では,いずれもEdmondson分類のII型であった.黄色調腫瘍は脂肪浸潤を多数伴っており,細胞,核ともやや小型でflow cytometory (FCM)検査ではDNA index 1.16のaneuploid patternを示した.一方緑色調腫瘍は多数ビリルビン栓を含有し,細胞,核とも前者よりやや大きく,FCM検査ではDNAindex 1.28とDNA量に差異が見られ,両者は異なるクローンと考えられた.以上多中心性発生が疑われる肝細胞癌を経験し,その際FCMによる検索が有力な手段と成りうると考えられた.
  • 抗BrdUモノクローナル抗体による胆管上皮の細胞動態の検索
    松永 忠東, 松本 由朗, 三浦 和夫, 菅原 克彦, 茂垣 雅俊, 須田 耕一
    1989 年 30 巻 5 号 p. 573-578
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    右季肋部痛を主訴とする63歳女性でCT, USにより右葉肝内結石と診断した.CA19-9が90U/mlのため血管造影,胆管造影を施行した.悪性腫瘍の存在を示唆する画像所見は認めなかったが肝内胆管癌の併存を疑い開腹した.肝右葉は萎縮するも肝癌の存在は不明であった.肝十二指腸間膜内リンパ節の迅速組織診で腺癌の転移の診断を得たので拡大肝右葉切除を施行した.右葉胆管内に結石が充満し,前区域の拡張胆管に直径1.2cmの隆起性病変を認め中分化型乳頭状腺癌であった.右肝静脈,右門脈,左肝管切離後右肝動脈より術中にBromodeoxyuridine (BrdU) 500mgを注入し,切除肝の胆管上皮を抗BrdUモノクローナル抗体で染色し,S期細胞を標識してその標識率(L.I.)を算出した.癌部のL.I.は8.6%,癌近傍で非癌部胆管上皮のL.I.は8.8%であった.一方肝門部の狭窄部胆管上皮は0.5%,さらに総肝管側の右肝管は0.3%と低値であり,結石を伴った肝内胆管上皮の細胞回転の亢進が示唆された.
  • 上野 規男, 山中 桓夫, 木村 健
    1989 年 30 巻 5 号 p. 579-583
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.腹部膨満感および尿の濃染に気づき,血液検査にて肝機能障害を指摘された為入院となった.
    入院後,各種検査法が施行された結果,肝の両葉にわたるdiffuse typeの肝細胞癌と診断された.本例は門脈腫瘍塞栓が広汎にみられ,同部位に著明な腫瘍血管の増生およびA-P shuntが確認された.一方,2D-Doppler echographyにて同部位を観察すると,腫瘍塞栓部内を走行する多数の動脈性血流が描出され,一部は定常流を示す血流に合流する所見が認められた.さらに,FFT (fast fourier transform)分析により合流部前後の血流波形の把握が可能であった.本法は非侵襲的かつ簡便に肝腫瘍内あるいは周辺の血流描出が可能であり,腫瘍の血行動態を解析する上において,今後,新しい画像診断法の一つとして期待される.
  • 安井 英明, 長谷川 章雄, 樋野 興夫, 志賀 淳治, 町並 陸生
    1989 年 30 巻 5 号 p. 584-587
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルスcarrierから発症した肉眼分類上はEggelの塊状型肝細胞癌で,採取された複数腫瘍結節間において,異なるウイルスDNAの組み込みパターンが見られた興味ある1例を経験したので報告する.症例は22歳,女性.昭和62年1月に腹部腫瘤を自覚し,某病院へ入院した.腹部超音波画像診断にて多発性肝占拠性病変を指摘され,α-fetoproteinが高値を示したため,肝細胞癌の診断を受けた.昭和62年4月東大病院に転院しLAK, IL-2療法にて治療したが,肝不全が進行し,昭和63年1月に死亡した.剖検時,肝は肉眼的にEggelの塊状型肝細胞癌の像を呈しており,無作為に10個の腫瘍結節を選び,DNAを抽出しHBV-DNAの組み込みを検索したところ,8個については同一の組み込みパターンが見られたが,残りの2個については組み込みが認められなかった.
  • 松田 裕之, 竹原 徹郎, 内藤 雅文, 平松 直樹, 澤岡 均, 金 邦源, 東 正洋, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
    1989 年 30 巻 5 号 p. 588-589
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 都留 正展
    1989 年 30 巻 5 号 p. 590-591
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 金井 賀子, 幸田 弘信, 吉田 行範, 村住 ゆかり, 大平 基之, 大田 人可, 上原 聡, 石川 裕司, 長谷部 千登美, 小野 稔, ...
    1989 年 30 巻 5 号 p. 592-593
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 阿部 賢治, 後藤 俊二, 中村 伸
    1989 年 30 巻 5 号 p. 594-595
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 横須賀 収, 小俣 政男, 大藤 正雄
    1989 年 30 巻 5 号 p. 596-597
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 隆三, 河田 純男, 田村 信司, 伊藤 信之, 高石 健司, 垂井 清一郎
    1989 年 30 巻 5 号 p. 598-599
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中村 利夫, 末盛 彰一, 中西 敏夫, 山田 一夫, 梶山 梧朗
    1989 年 30 巻 5 号 p. 600-601
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 伊 坪真理子, 亀田 治男, 田中 貢
    1989 年 30 巻 5 号 p. 602
    発行日: 1989/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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