肝臓
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32 巻, 1 号
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  • 辻 邦彦, 長谷部 千登美, 村住 ゆかり, 吉田 行範, 金井 賀子, 大平 基之, 大田 人可, 幸田 弘信, 小野 稔, 矢崎 康幸, ...
    1991 年 32 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    IgM型HBc抗体の分子性状を,B型肝炎ウイルスの一過性感染と持続感染で比較するとともに,持続感染において,その抗体価の変動に伴う分子性状の変化を検討した.
    その結果,一過性感染では急性期・回復期ともにその抗体活性は19S IgMのみに認められた.それに対し,持続感染では19S IgMばかりでなく7S IgMも抗体活性が認められた.
    さらに,持続感染ではIgM型HBc抗体が陰性時には7S IgMが主体であるが,急性増悪時など抗体陽性になる時にほ19S IgMが主体となっており,この様な分子性状の変化は同一症例でも確認された.
    つまり,持続感染例では急性肝炎と異なり7S IgMもIgM型HBc抗体活性を示すが,その急性増悪に際しては,19S成分のIgM型HBc抗体が増加すると考えられた.
  • 五十嵐 健太郎
    1991 年 32 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルス感染患者の血中抗X蛋白抗体を組換え体由来X蛋白を用いたWestern blot法により,また,同患者の肝組織中X関連蛋白を抗ペプチド抗体を用いた酵素抗体法により検索した.抗X蛋白抗体は検討した100例中,強陽性2例(無症候性キャリア1例,慢性肝炎1例),弱陽性1例(肝細胞癌)の計3例(3%)で,いずれもHBe抗原陽性例であった.インターフェロン療法を施行し経過を観察した慢性肝炎症例では,トランスアミナーゼの変動やDNAポリメラーゼの低下などにもかかわらず本抗体の抗体価の変動は認められなかった.他方,肝組織中のX関連蛋白は肝細胞質中に,単細胞性あるいは集簇性に認められ,検索した41例中11例(27%)に陽性であった.X関連蛋白と血中HBe抗原の有無や肝組織中のHBc抗原との間に相関関係は認められなかった.また,血中抗X蛋白抗体陽性の2例においては肝組織中X関連蛋白も陽性であった.
  • 森山 光彦, 高橋 知秀, 林 仲信, 志方 俊夫, 森山 淳子, 天木 秀一, 田中 直英, 所 正彦, 大久保 仁, 荒川 泰行, 松尾 ...
    1991 年 32 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C5-1-1領域の42アミノ酸より合成したpeptide (SP42)を用いたELISA系を使用し,非A非B型(NANB)肝疾患患者及び他の肝疾患患者の血中HCV抗体値を測定し,その一部についてはC-100 ELISA assay系と比較検討した.本法による血中HCV抗体陽性率は,NANB慢性肝炎では69.3%,肝硬変68.5%,肝癌74.4%,急性肝炎20%で,輸血歴を有する例で陽性率が高かった.対照としたアルコール性肝障害では17.0%,ルポイド肝炎(AIH) 7.7%で,急性A型,B型肝炎,PBC,薬剤性肝障害,脂肪肝では検出されなかった.C-100 ELISAassay系との血中HCV抗体陽性率の比較では,ほぼ5~10%程度本法の陽性率が低い傾向にあった.これは,C-100 ELISA assay系の偽陽性かあるいは,本法の感度不良によるものかは,現在のところ不明ではあるが,最近PCR法にてC-100抗体の偽陽性を示唆する所見も得られており,本法はC型肝炎の臨床診断に有用であると思われた.
  • 血清2'-5' oligoadenylate synthetase (2-5AS)活性の反応性と予後との関連を中心に
    関山 和彦, 与芝 真, 岩村 ゆかり, 菅谷 慶三, 井上 和明, 菅田 文夫
    1991 年 32 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    非A非R型の劇症肝炎およびその類縁症患12例とA型劇症肝炎1例,B型劇症肝炎1例の計14例にインターフェロン(IFN)療法単独あるいは,我々が独自に開発した人工肝補助(ALS)とIFNの併用療法を行い,8例に組織学的肝再生を認め,7例の救命に成功した.
    今回我々はIFN療法を施行した12例とIFNを投与していない6例で,経時的に2'-5' oligoadenylate synthetase (2-5AS)を測定し,投与前あるいは非投与例では昏睡発現時の値と,その後の経過中の最大値およびそれらの比率(2-5AS比)を検討した.その結果IFN投与生存群では2-5AS比が9.33±8.88, IFN非投与群は3.52±1.26であり,IFNにもかかわらず昏睡死した群の1.73±0.50に比して有意に高値であった.ウイルス性劇症肝炎の予後において2-5Aの反応性は,IFN投与の有無にかかわらず,予後と密接に関連すると考える.
  • 特に多臓器不全発生機序との関連について
    松原 由希子, 杉原 潤一, 斎藤 公志郎, 森脇 久隆, 武藤 泰敏
    1991 年 32 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性肝不全(AHF)に合併する多臓器不全(MOF)発生機序の一つとして細胞膜Na+, K+-pump障害に着目し,AHF時に血中で増加する物質がラット脳,腎およびヒト末梢血白血球のNa+, K+-pump活性に及ぼす影響をin vitroで検討した.胆汁酸(CDCA, GCDCA, DCA),低級脂肪酸(nC6, C8, iC5),エンドトキシン(LPS), α-palmitoyl lysolecithinはラット脳および腎Na+, K+-ATPase活性を濃度依存性に阻害した.またDCA, C8, LPSは低濃度で相乗効果を示した.さらにCDCA, C8はヒト白血球Na+, K+-pump活性を有意に阻害した.以上より,AHF時に血中で増加するこれらの物質は細胞膜Na+, K+-pump機能を阻害し,諸臓器の細胞膜pump機能障害を介して,MOF(特に脳浮腫,腎不全,易感染性)の病態に関与する可能性が示唆された.一方,PGI2 analogであるOP-2507はC8によるNa+, K+-pump活性阻害を抑制し,その機序として膜安定化作用が推察された.
  • 飯沼 真理子
    1991 年 32 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    13C-Phenacetinを用いて肝硬変患者に呼気テスト(PBT)を行った.そのうち一部の症例にAminopyrine呼気テスト(ABT)を行いPBTと比較した.13CO2排出速度値,(13CO2% dose/min)は90分まで肝硬変症が有意に(p<0.001)低く,対照ではPBTは30~120分までABTよりも大であった.肝硬変症においても60~240分でABTよりも大であった.PBTの肝硬変症における累積排出量(Cum % dose)は30~240分で対照に比べ小であった.PBTのCum% doseは120~240分時点でABTよりも大であった.Phenacetinの平均体内滞留時間(MRT)は肝硬変症で延長していた.PBTの各パラメーターは血液生化学検査と良く相関し,ABTよりも肝予備能の判定に有用であると思われた.
  • 特に抱合型ビリルビン及びδビリルビン測定の意義について
    中井 昌弘
    1991 年 32 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を用い,胆嚢摘除・総胆管結紮切離を行って閉塞性黄疸を作成し,或はこれに胆道感染を加えた後,総胆管十二指腸吻合により黄疸の軽減を図り,或はこれに70%肝切除を加えて,ビリルビン代謝の面から黄疸遷延の病態を検討した.胆道閉塞期間の長いものや胆管炎併発例では減黄術後黄疸が遷延するものが多かった.これには血清中δビリルビン/直接型ビリルビン(δ. Bil/D. Bil)が上昇するものと抱合型ビリルビン(C. Bil)が減少率の不良のものとがあり,前者の予後は良好であったが,後者は不良で肝不全で死亡するものが多かった.肝切除を併施するとこれらに間接型ビリルビン(I. Bil)の上昇が加わって黄疸が遷延するが,I. BilやC. Bilの減少率が不良のものは予後不良であった.
    以上,閉塞性黄疸減黄術後の黄疸遷延の病態と予後を把握する上で,C. Bilやδ. Bilなどの血清ビリルビン分画を測定することの重要性が指摘された.
  • 木岡 清英, 溝口 靖紘, 市川 裕三, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 森沢 成司, 山本 祐夫
    1991 年 32 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    最近,著者らは,実験的に誘導した急性肝不全がロイコトリエン(LT)の特異的阻害剤によって著明に軽減されること,および,LTC4in vitroで直接,肝細胞障害を誘導することを見いだし,肝細胞障害の誘導にLTが関与する可能性を示した.このLTの肝細胞障害誘導に関与する機構を解析するために,著者らはラット肝から肝細胞を分離して,LTB4およびLTC4に対するレセプターを検討した.その結果,ラット肝細胞にはLTB4レセプターの存在は認められなかったが,LTC4と特異的に結合するレセプターの存在が確認された.このことは,LTC4が肝細胞のLTC4レセプターに結合することによって肝細胞に対して何らかの作用をすることを示しており,今後,LTと肝細胞に関わりを考えていく上で非常に興味ある知見と考えられた.
  • 足立 浩司, 金子 周一, 柳 昌幸, 松下 栄紀, ト部 健, 寺田 光宏, 寺崎 修一, 稲垣 豊, 鵜浦 雅志, 小林 健一, 木谷 ...
    1991 年 32 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBe抗体陽性B型慢性肝疾患の経過観察中,劇症化し,死亡した2剖検例を経験した.2例ともDNAポリメラーゼ(DNA-P)は陽性であったが,dot blot法によるHBV-DNAは陰性であった.そこで,2症例におけるDNA-Pの意義と劇症化の関連を検討するため,PCR法によるHBV-DNA,組織中HBc抗原の検出とDNA-P反応産物の電気泳動法による解析を行なった.肝組織においてHBc抗原は検出されず,またPCR法ではHBV-DNAは検出されたが,HBV量は少ないと判定した.さらに,DNA-P反応産物は電気泳動でスメアとなり,このDNA-PはHBV由来とは考えられなかった.以上より,今回の劇症化にはHBV以外の機序が関与しており,このような症例におけるDNA-Pの解釈には注意が必要と考えられた.なお,HCV抗体を測定した結果,症例1のみ陽性であり,その劇症化にHCVの関与が示唆された.
  • 杉浦 信之, 三木 亮, 北 和彦, 鵜沢 眞宏, 福田 浩之, 五月女 直樹, 唐沢 英偉, 十川 康弘, 雨宮 邦彦, 大藤 正雄
    1991 年 32 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝内胆管内に腫瘍の発育を認めた肝細胞癌を2例経験し,摘出手術を施行した.臨床所見では,肝細胞癌の胆管内腫瘍発育(胆管内腫瘍栓)に特徴的な閉塞性黄疸や胆石症様疝痛発作などの胆道病変の症状は見られなかった.術前に超音波検査やX線CT検査で非侵襲的に胆管内腫瘍栓の存在が診断された.摘出標本の検討では,1例は右葉後下区域に被膜を有する2.0×2.0cmの主腫瘍が存在し,右肝内胆管後下枝内に連続的に腫瘍の発育が見られた.他の1例では主腫瘍は右葉前上区域に見られ,被膜は見られず,2.5×2.5cmの範囲で胆管ならびに門脈の腫瘍栓をまきこむように存在した.
    胆管内腫瘍栓を認める肝細胞癌はicteric type hepatomaとも呼ばれるように閉塞性黄疸を呈する場合がほとんどである.この2例は主腫瘍が小さく,胆管内腫瘍栓の存在も肝内胆管にとどまったことが典型的な症状を呈さなかった原因と考えられた.
  • 岸本 洋輔, 堀江 裕, 周防 武昭, 川崎 寛中, 前田 直人
    1991 年 32 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.腹満感および左臀部-左大腿部痛を主訴として入院.腹部超音波検査,腹部CTで胆石を伴う壁不整な胆嚢と多発性肝腫瘍を認め,腹腔動脈造影で転移性肝癌像を呈した.骨盤CTで左腸骨に小児頭大の骨腫瘍を認めた.腫瘍マーカーはAFP 6,200ng/ml, CEA 204ng/ml,と上昇した.生前,原発巣を確定できなかったが,第51病日肝不全にて死亡し,剖検所見で,胆嚢の一部に乳頭状腫瘍を認め,組織は高分化型腺癌と低分化型腺癌の混在を認めた.肝及び左腸骨動脈の組織は胆嚢の低分化型腺癌と同一でその転移と考えられた.なお,胆嚢,肝臓,腸骨の腫瘍及び腫瘍周辺組織は,AFP, CEA染色とも陰性であった.
  • 術前後における血中心房性ナトリウム利尿ホルモン(α-hANP)の検討
    窪山 信一, 野口 和典, 坂本 雅晴, 秋吉 冬彦, 神田 和久, 山下 文彦, 吉田 博, 佐々木 英, 豊永 純, 麻生 重仁, 江口 ...
    1991 年 32 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    難治性腹水を有する非代償性肝硬変患者3例に対し,腹腔-静脈シャント術を施行した.術後,合併症もなく,腹水の著明な改善をみた.術前高値であった血中心房性ナトリウム利尿ペプチド(a-hANP)は,術後早期には一時的にさらに高値を示したが,腹水の減少とともに漸減し,術後後期には術前よりも低値となった.
    同時に測定した,中心静脈圧,一日尿量,ならびに他の血中ホルモン動態の変化と合わせると,術前のα-hANP高値は,腹水貯留状態,および腎でのナトリウムと水の再吸収増加という病態が関与しているものと推測された.
  • 寺田 光宏, 両林 英之, ト部 健, 稲垣 豊, 金子 周一, 米島 学, 鵜浦 雅志, 小林 健一
    1991 年 32 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝障害型Wilson病の経過観察中,腹部超音波検査にて,肝内に多発性低エコー結節を認め,DSCTI-AP及びエコーガイド下生検にて再生結節と診断した1例を報告した.症例は,22歳の男性,昭和60年5月よりWilson病による粗大結節型肝硬変症としてD-ペニシラミンの投与をうけ経過観察されていた.昭和62年6月,初診的より2年3カ月後の腹部超音波検査にて肝内に多発性のlow-echoic SOLの出現を認め,精査目的で当科入院となった.腹部CT検査では,SOLは指摘できず,血管造影検査にても新生血管や腫瘍濃染像は認められなかった.DSCTI-APでは,low-echcoic SOLに一致し,辺縁不明瞭な淡い欠損像を認めたが,明瞭な欠損像としては描出されず,再生結節の可能性が高いと考えられたが,確診を得るためにエコーガイド下生検を施行,肝細胞には異型性を認めず,大型再生結節と診断した.本例は,Wilson病の画像所見を考える上で興味ある症例と思われ報告した.
  • 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 斉藤 聡, 池田 健次, 森永 傳, 酒井 洋子, 松本 豊海, 小林 万利子, 熊田 博光
    1991 年 32 巻 1 号 p. 96-97
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 田中 栄司, 袖山 健, 中野 善之, 中村 信, 依田 英俊, 植村 一幸, 早田 卓郎, 今井 康晴, 宜保 行雄, 清沢 研道, 古田 ...
    1991 年 32 巻 1 号 p. 98-99
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 酒井 洋子, 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 斉藤 聡, 池田 健次, 松本 豊海, 小林 万利子, 熊田 博光, 森永 傳
    1991 年 32 巻 1 号 p. 100-101
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 坂本 裕史, 上村 裕洋, 沢田 典均, 森 道夫
    1991 年 32 巻 1 号 p. 102-103
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 尾崎 岩太, 本村 光明, 瀬戸口 洋一, 山本 匡介, 堺 隆弘
    1991 年 32 巻 1 号 p. 104
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 富谷 智明, 名越 澄子, 藤原 研司
    1991 年 32 巻 1 号 p. 105
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 菊池 孝, S.M. Fazle Akbar, 恩地 森一, 道堯 浩二郎, 梶野 一徳, 堀池 典生, 太田 康幸
    1991 年 32 巻 1 号 p. 106
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 32 巻 1 号 p. 107-123
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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