肝臓
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32 巻, 3 号
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  • 久保木 真, 新沢 陽英, 冨樫 整, 若林 博人, 山田 伸夫, 中村 東一郎, 鵜飼 克明, 外田 博貴, 斎藤 貴史, 高橋 恒男, ...
    1991 年 32 巻 3 号 p. 229-234
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    1967年から6年間にわたり出形県長井市近郊に流行した急性肝炎の原因ウイルスの究明と長期予後を検討した.流行当時,118名の急性肝炎患者が入院加療された.臨床症状,血液検査からA型肝炎は考えられなかった.HBs抗原ほ陰性であった.118名のうち,追跡調査が可能であった44名の肝機能検査を行った.10例に肝生検を実施した.また,HBV関連抗原抗体,HCV抗体の検出を試みた.その結果,44例のうち,肝機能検査で異常を呈したものは16例(43,2%)あった.肝生検した10例のうち,6例が肝硬変,2例は活動型の慢性肝炎,2例は非活動型の慢性肝炎であった.B型筋炎ウイルスの関与は否定されたがHCV抗体は,現在もなお肝機能異常を認める16例全例が陽性であった.これらのことからこの肝炎の流行はC型肝炎によるものであることが示唆された.
  • とくにアルコール多飲者の肝疾患とHCV抗体との関連について
    上司 裕史, 原田 英治, 大林 明, 矢倉 道泰, 福田 彰, 片山 透, 岡 輝明, 市川 光洋, 宮村 達男
    1991 年 32 巻 3 号 p. 235-242
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患(CLD),肝細胞癌(HCC)の550例についてHCV抗体をEIA法により測定し,成因別検出頻度をみた.NANB型では輪血歴の有無にかかわらず,きわめて高率(74%,225/306)に検出された.B型では9% (8/88)であったが,陽性者の大半に輸血歴があった.アルコール多飲者のCLDでは,輸血歴のある症例を除いても比較的高率(20%, 10/51)であった.しかし,断酒後のASTの推移と,肝生検像からアルコール性CLDと診断された症例群での検出率は低かった(6~7%).多飲歴をもつHCCでは高率(59%, 20/34)で,NANB型HCC (67%, 28/42)との間に有意差を認めなかった.この知見から,多飲者CLDからの発癌の大部分にもHCV感染の関与していることが示唆された.なお,補足的観察としてアルコール依存症についてHCV抗体を測定し,8% (4/48)とやや高い検出率をえた.
  • 赤羽 賢浩, 岡田 俊一, 宮崎 吉規, 相野田 隆雄, 内藤 成子, 鈴木 宏, 袖山 健, 中野 善之, 清沢 研道, 古田 精市, 津 ...
    1991 年 32 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    IFN製剤の短期投与(合計4-6週間)を行ったC型慢性肝炎症例より,IFN投与の有効例,無効例を各々6例ずつ選別し,C100-3抗体(Chiron社)に加えて,CP-9抗体,HCVRNAの経時的測定を行った.有効例では無効例に比し,IFN投与前のHCVRNAが少ない傾向がみられるが,両群の全例でIFN投与によりHCVRNAの明らかな減少が観察された.IFN投与終了後,無効例では血中のHCVRNAはまもなく前値に復したが,有効例では投与終了後も(-)-(+)のままで推移し,一部にはC100-3抗体価,CP-9抗体価の低下もみられた.この成績は,IFNはHCVに対しても抗ウイルス効果があることを示しており,感染ウイルス量が少なければ短期投与であっても臨床的な有効性が得られる可能性があることを示すとともに,感染ウイルス量が多くともIFNを適宜に使用すればHCV感染症を終焉させ得る可能性があるものと考えられた.
  • 砥綿 崇博, 林 紀夫, 片山 和宏, 竹原 徹郎, 佐々木 裕, 笠原 彰紀, 房本 英之, 鎌田 武信
    1991 年 32 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    IFN-αおよびIFN-γによるHuh6上のHLA class I抗原発現の細胞内情報伝達機構を検討した.class I抗原の発現はH-7により濃度依存性に抑制され,30μMでほぼ完全に抑制された.また,H-8の10μM添加では影響されず,20μMで軽度抑制され,30μMでほぼ完全に抑制された.H-8のPKCに対するKi値は1.2μM, protein kinase Aに対するKi値は15μMであり,IFN-αおよびIFN-γによるHLA class I抗原発現は,PKCの系を介していることが明らかとなった.さらに,PKC activatorであるPMA添加によりIFN-αおよびIFN-γの存在下あるいは非存在下で,HLA抗原の発現は促進されるが,dbc-AMP添加では影響されず,HLA誘導時のPKCの関与が裏付けられた.W-7はこの系に影響せず,calciumやcalmodulinはHLA class I抗原の誘導に関与しないと考えられた.
  • 日高 光宣
    1991 年 32 巻 3 号 p. 256-265
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アヒルでの免疫発達状態とアヒルB型肝炎ウイルスの感染様式の関連を検討する為,フ化当日,7,14,42日齢のアヒルにDHBVと共にブルセラ菌体抗原,兎赤血球を接種し,両抗原に対する抗体価をmicrotitration assayにて経時的に測定し,血中DHBVの推移と比較した.接種日齢の高いアヒルほど血中抗体の出現が早く,特に抗原接種後1週目の抗体価においてふ化当日齢,7日齢,14日齢接種群の間で有意の差を認めた.抗体価のピーク値は各群とも有意差は無かった.DHBVの感染様式はフ化当日は持続感染,7日齢は一過性感染,14日齢以降は感染不成立であり,この差はアヒルの免疫発育状態と関連すると考えられた.免疫調節剤投与実験ではCyclophosphamide投与はアヒルの免疫を低下させDHBV感染の持続と関連したが,Steroid及びOK432投与は抗体反応には影響を及ぼさなかった.
  • 大野 俊幸, 大西 明弘, 村上 重人, 土屋 匠, 吉田 洋, 宇井 忠公, 永山 和男, 田中 照二
    1991 年 32 巻 3 号 p. 266-273
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患における血清angiotensin変換酵素(ACE)活性の上昇の機序を研究する目的で,肝疾患患者61例を対象に血清ACEを測定した.肝硬変でのrenin-angiotensin-aldosterone (RAA)系活牲化が血清ACE上昇をもたらすかどうかについて利尿剤投与の有無で検討した結果,利尿剤投与群は明らかにRAA系が活性化されていたが,血清ACEは非投与群と近似しており有意差なく,RAA系活性化による血清ACE上昇については否定的であった.腹水,脾腫の有無,成因別の検討では有意差は認められなかった.肝癌合併肝硬変患者の肝動脈塞栓術(TAE)施行前の血清ACEは,施行後(1-2週)有意に低下し,同時にヘパプラスチンテストが有意に上昇していた.これは非腫瘍部の肝血流が門脈血流の増加,肝勲脈-門脈シャントの減少等で一時的に改善し,肝ACEクリアランスが増加し,血清ACE低下をもたらしたと考えられ,ACE上昇の主因として肝ACEのクリアランスの低下が考えられた.
  • 梶村 幸三, 森安 史典, 小野 成樹, 山下 幸孝, 木村 達, 染田 仁, 濱戸 教行, 鍋島 紀滋, 大熊 稔, 小澤 和恵
    1991 年 32 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝動脈内に注入した薬剤の肝エネルギー状態への影響を明らかにする目的で,肝動脈内に薬剤を注入した慢性肝障害患者12人について動脈血中ケトン体比(AKBR)の変化を測定した.同時に血管造影時,肝静脈及び股静脈血中のケトン体(HVKBR,VKBR)も測定した.AKBRとHVKBRは有意に相関したが,VKBRとHVKBRは相関しなかった.薬剤注入後全例でAKBRは低下した.薬剤注入1日後,AKBRが1以上のA群と1以下のB群に分類出来,B群では発熱や生化学検査(GOT, GPT, LDH, Ch.E)の異常が強く現われた.AKBRが0.7近くまで低下した症例では腹水の出現を認めた症例もあった.肝動脈薬剤注入後のAKBRの測楚により肝機能状態についての有用な情報が得られ,AKBRの低下が強く現われる症例では注意が必要だと思われた.
  • 山下 秀治, 島田 宜浩
    1991 年 32 巻 3 号 p. 281-289
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヌードマウスの背部に移植したヒト肝細胞癌を用いて,血管鋳型試料と生物試料を作成し,経時的に,その三次元的構造を走査電子顕微鏡を用いて検討した.
    鋳型試料におけるその形態は,5週目頃より蜂の巣あるいは銀杏の葉様の幅広い扁平な血洞が認められるようになり,8週目頃には血洞の鋳型に明らかに内皮細胞核の圧痕が認められた.生物試料においては,4週目頃より,一部に篇平な内皮細胞核を持った血洞が出現し,5週目では,内皮細胞核が卵円形となり,より成熟した形の血洞となった.
    肝癌内の血流動態は,移植後5週以後における血洞形成の完成に伴い閉鎖性の循環が完成するものと考えられた.
  • 中 英男, 奥平 雅彦, 大宮 東生, 柿田 章
    1991 年 32 巻 3 号 p. 290-294
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    嚢胞性腺癌の3症例を検索し腫瘍組織内の腫瘍細胞にGrimelius染色及びFontana-Masson染色を施行し二つの何れの染色にも陽性を呈する腫瘍細胞の散在性の出現をみとめた.これらの染色に陽性の腫瘍細胞は内分泌細胞のマーカーであるクロモグラニンに対しても陽性で,更にセロトニン,カルチトニン並びにガストリンに対しても陽性であることが確認された.しかし,pancreatic peptaide,ソマトスタチン,NSE, S-100の各種マーカーに対しては陰性であった.このように嚢胞性腺癌にはペプタイドホルモンを保有する腫瘍細胞が散在性に出現することが明らかとなった.
  • 渡辺 茂, 武田 功, 大熊 葉子, 黒田 聖仁, 高木 徹, 猪狩 弘之, 宮田 昌之, 斉藤 孝一, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 粕川 ...
    1991 年 32 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎から5年の経過で肝癌に至り死亡した成人型高シトルリン血症の1例を経験した.28歳の男性で,昭和58年10月に意識消失発作で発症.B型慢性肝炎合併高シトルリン血症と診断された.低蛋白食と特殊ミルクの服用により軽快し意識消失発作もみられなかったが,約5年後の昭和63年8月に吐血があり食道静脈瘤の破裂が確認され,AFP 3,680, 600ng/ml,腹部画像から原発性肝癌合併肝硬変と診断された.血漿シトルリンは,45.3nmol/mlと正常域にあった.食道静脈瘤破裂,肝不全のため昭和63年10月に死亡.necropsyにてEdmondson III型肝細胞癌が診断され,高コレステロール,高レニン血症と血小板増多が認められた.本患者の高シトルリン血症発症時の経過については肝臓29巻6号に既報であり,その後の肝癌発生から死亡までの経過を述べた.
  • 藤田 眞, 黒田 知純, 堀 信一, 田中 幸子, 佐々木 洋, 今岡 真義, 石黒 信吾
    1991 年 32 巻 3 号 p. 300-305
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝動脈内Lipiodol注入後のCTで明瞭なLipiodolの停滞を示した肝腺腫様過形成の1例を報告した.症例は46歳男性,慢性肝炎の経過中,腹部超音波検査で肝右葉に直径2cmの腫瘤を指摘された.血管造影上濃染像は明らかではなかったが,肝動脈内Lipiodol注入7日後のCTで明瞭な腫瘍内Lipiodol停滞がみられた.しかし,大部分のLipiodolが1ヵ月後には流出していた.肝細胞癌を疑い手術を施行した.腫瘤は数個の偽小葉により形成され,胆管を含む門脈域が認められた.核にも異型はなく組織学的に腺腫様過形成と診断した.腫瘤内にはLipiodol残存部に一致して完全壊死を示す小結節がみられ,腺腫様過形成内部に発生した小肝細胞癌が肝動脈塞栓術により壊死に陥ったものと考えられた.
  • Redox tolerance testによる検討
    坪野 俊広, 塚田 一博, 吉田 奎介, 武藤 輝一
    1991 年 32 巻 3 号 p. 306-307
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 横須賀 収, 小俣 政男, 細田 和彦, 加藤 直也, 大藤 正雄
    1991 年 32 巻 3 号 p. 308-309
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 森山 光彦, 古堅 章, 田中 直英, 森山 淳子, 荒川 泰行, 松尾 裕, 鈴木 高祐, 内田 俊和, 志方 俊夫, 矢内原 昇
    1991 年 32 巻 3 号 p. 310-311
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 有賀 淳, 高崎 健, 済陽 高穂, 山本 雅一, 次田 正, 宮崎 正二郎, 桂 浩二, 鈴木 隆文, 大坪 毅人, 中上 哲雄, 小林 ...
    1991 年 32 巻 3 号 p. 312-313
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 上仲 一義, 林 仲信, 杉本 洋之, 東 一博, 江角 真理子, 王 鐘貴, 金 賢玉, 志方 俊夫
    1991 年 32 巻 3 号 p. 314
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 平賀 正治, 林 仲信, 小松 浩平, 林 敬一, 鈴木 高祐, 上仲 一義, 杉本 洋之, 東 一博, 川原 哲夫, 藤山 重俊, 志方 ...
    1991 年 32 巻 3 号 p. 315
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 塚本 愛弓, 金子 義保, 中山 利文, 林田 憲正, 戸田 剛太郎, 遠藤 康夫, 黒川 清
    1991 年 32 巻 3 号 p. 316
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 長田 郁夫, 林 仲信, 鈴木 高祐, 田中 雄二, 谷本 要, 志方 俊夫, 白木 和夫
    1991 年 32 巻 3 号 p. 317
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • シンポジウムII
    1991 年 32 巻 3 号 p. 318-349
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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