肝臓
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32 巻, 7 号
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  • 古堅 章, 森山 光彦, 荒川 泰行, 松尾 裕, 矢内原 昇
    1991 年 32 巻 7 号 p. 675-682
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBx蛋白のペプチド(N端末アミノ酸配列82~100位,116~134位)を合成し,これを家兎に免疫して作製した抗血清(抗HBx抗体)を用いての酸素抗体間接法によって,慢性B型肝炎の肝生検組織内のHBx抗原の発現とIFN治療のHBx抗原に及ぼす影響などについて研究した.肝組織内のHBx抗原陽性率は36例中21例(58.3%)であったが,うちCAHが23例中14例(60.8%), CIHが5例中4例(80.0%), CAHcLDが8例中3例で,病態の進行に伴って本抗原の陽性率は低下する傾向にあった.肝組織内HBx抗原は,HBc抗原とほぼ同じ部位で,肝細胞膜の一部及び細胞質内にび漫性顆粒状に認められた.IFN治療の18例では,HBx抗原は治療前で11例(61.1%)が陽性であったが,治療後には4例が消失し,2例が減少な示した.これら6例のうち5例は,肝組織内HBc抗原も消失し,6カ月以内にHBe抗原からHBe抗体への転換が起きた.これらの成績から,HBx抗原は,HBVの持続感染状態におけるvirusの増殖となんらかの関連性を有することが示唆された.
  • 小林 万利子, 熊田 博光, 荒瀬 康司, 茶山 一彰, 斉藤 聡, 池田 健次, 酒井 洋子, 松本 豊海, 海上 雅光
    1991 年 32 巻 7 号 p. 683-687
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    非A非B型慢性肝疾患1,619例をretrosepectiveにC-100抗体を測定し肝疾患の進行度別および性別にC-100抗体陽性率とC-100抗体の力価を検討した.男女間におけるC-100抗体陽性率は,男性73.8%,女性65.0%と男性に高率であり,さらに肝疾患進行度別のC-100抗体陽性率は,特に肝硬変症例で男性では,76.2%であったが,女性では56.0%と女性の方が男性よりC-100抗体陽性率が有意に低率(p<0.05)であった.また,C-100抗体力価でも25以上の高力価例は,女性の方が男性より低率であった.非A非B型慢性肝疾患1,619例のうち,初診時C-100抗体陽性かつ長期間経過観察しえた52例中C-100抗体が陰性化した症例は,14例で12例は初診時より肝硬変症例であり,うち11例は女性であった.この11例中4例(全例女性)は,HCV-RNAも陰性化し血清トランスアミナーゼ正常が持続し長期間経過観察中肝癌の発生は認められていない.
  • 林 仲信, 鈴木 高祐, 小松 浩平, 林 敬一, 今井 かほる, 岡野 匡雄, 志方 俊夫
    1991 年 32 巻 7 号 p. 688-691
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    輸血後肝炎の主因ウイルスである非A非B型肝炎ウイルスが米国カイロン社によりクローニングされ,約10kbのRNA, +鎖ウイルスで,フラビ又ペスチウイルスに類似することが判明しHCVと命名された.このウイルスのC100領域のリコンビナント蛋白に対する抗体アッセイ系は,非A非B型肝炎患者面清で,高率に陽性となり,HCV診断の基準になりつつある.今回C100領域のアミノ酸は良く保存されていると考え,C100領域のミックスプライマーを用いたHCV RNAのRT-PCRを行った.その結果,日本人非A非B型肝炎患者血清からのHCV変異株の同定が可能であった.日本のHCV変異株は,カイロン社プロトタイプと比べ,塩基配列で約65-67%,アミノ酸配列で81%の相同性を示した.また発現実験を行った結果,PCRの増幅領域を構成する28アミノ酸が,C100領域の重要なエピトープの一つである事が判明した.
  • 加藤 昌彦, 吉田 貴, 森脇 久隆, 武藤 泰敏
    1991 年 32 巻 7 号 p. 692-699
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    低アルブミン血症(3.5g/dl以下)を伴う肝硬変症患者5例に,経口BCAA製剤(BCAAとして17.7g/日)を8週間投与し,前後の体内アルブミン代謝動態をkinetic studyを用いて検討した.血漿遊離BCAAとBCAA/AAAモル比は有意に上昇した(P<0.01, P<0.05).血漿アルブミン半減期は有意に短縮し(P<0.01),アルブミン分解率(P<0.05),アルブミン合成量(P<0.01)は有意に増加し,いずれも正常対照に近づいた.体重,循環血漿量,血漿アルブミン濃度,血管内アルブミンプール,体内総アルブミンプールは不変であった.体内アルブミン分布では,血管外プールから,血管内プールへの移動を認め,正常対照の分布に近づいた.以上より,肝硬変症患者に対するBCAA経口投与は,血漿アルブミン濃度の上昇が認められない時期においても,すでにアルブミン合成を促進しアルブミン代謝動態の改善を示し,蛋白栄養状態の改善に有用であると考えられた.
  • 大草 昭彦, 吉岡 寛康, 小野 幸彦, 岡藤 龍正, 石田 修
    1991 年 32 巻 7 号 p. 700-707
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝動脈塞栓術に使用される塞栓物質が,肝内のどの様な微小血管に変化をもたらしているかを明らかにするために,肝動脈塞栓術を施行したブタの肝内微小血管構築を走査型電子顕微鏡で観察した.
    Lipiodol肝動注後には,胆管周囲毛細血管網を主とした毛細血管レベルでの障害が認められた.Gelfoam肝動注後には,径30μm前後の肝動脈末枝の閉塞と,側副血管の増生が認められた.約1mm角のIvalon肝動注では,肝動脈末梢部での変化はほとんど認められなかった.Degradable Starch Microspheresは,肝予備能への影響は少ないものとして一般的に使用されているが,胆管周囲毛細血管網の破壊が認められた事から,今後十分な検討が必要であると考えられた.
    肝動注された塞栓物質の肝内微小血管に与える影響の一部が,走査型電子顕微鏡の観察で明らかになった.
  • とくに,偽小葉結節の形成・増大過程における肝動脈の意義についての検討
    三枝 信, 渡辺 清治, 奥平 雅彦, 石井 公道, 柴田 久雄
    1991 年 32 巻 7 号 p. 708-716
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    実験的肝硬変の偽小葉結節の微細血管構築および肝動脈の存在意義を,血管鋳型標本の走査電顕的観察により検討した.Wistar系ラットにCCl4を0.2ml/100g体重当たり2回/週,12週投与すると微細結節性肝硬変が形成され,これに0.06%3'-Me-DAB投与を10週付加すると偽小葉結節は漸次増大し大結節性肝硬変に移行した.微細結節性の偽小葉は主に門脈枝によ灌流されており,肝動脈枝の変化は門脈枝より軽度であった.大結節性偽小葉の形成過程においても門脈枝・肝静脈枝の変化が主で,CCl4単独投与のときと同様に偽小葉内に動脈血行増加を示唆する所見は認められなかった.以上より,CCl4および3'-Me-DAB投与によるラット肝硬変では,偽小葉結節形成による血管系の歪みは門脈枝・肝静脈枝に強く生じ,偽小葉結節内の肝細胞の再生,増殖は主として門脈血行によって達成され,肝動脈の関与は極めて少ないと判断された.
  • 黒川 晋, 平林 紀男, 小寺 良尚, 南 三郎, 日下部 篤彦, 岡 勇二, 田原 裕文, 松山 孝治, 宇野 裕
    1991 年 32 巻 7 号 p. 717-723
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    同種骨髄移植(移植)後にみられた肝中心静脈閉塞症(VOD)について検討した.対象は死後剖検が可能であった血液疾患20例である.組織学的に肝中心静脈に閉塞または高度の狭窄がみられた場合にVODと診断した.8例(40%)に組織学的にVODの所見がみられ,VODとしての臨床症状を欠く潜在性VOD 5例とVODが死因となった進行性VOD 3例であった.肝機能検査ではVOD例はVOD(-)例よりも異常の程度がつよく,特に進行性VODでは総ビリルビンの上昇が著明であった.組織学的所見では中心静脈の閉塞,狭窄の他に,小葉内のうっ血,肝細胞の壊死,脱落,胆汁うっ滞,ヘモジデリンの沈着などもみられ,進行性VODでは潜在性VODよりも分布が広く,程度がつよかった.進行性VODの3例中2例は,移植後5カ月以降に黄疸と腹水でVODを発症し,従来の報告とは異なり,発症時期の遅いVODの存在が注目された.
  • 山崎 潔, 鈴木 一幸, 佐藤 公彦, 大内 健, 吉成 仁, 磯崎 一太, 中舘 一郎, 班目 健夫, 吉田 俊巳, 柏原 紀文, 佐藤 ...
    1991 年 32 巻 7 号 p. 724-729
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    漢方薬が原因と推定された劇症肝炎の1例を経験した.症例は62歳男性.痔核治療のため漢方薬(金鵄丸)の服用を開始したところ,6週間後に倦怠感と尿濃染が出現した.服用中止により一旦症状の消失をみたが,服薬再開後5週間で上記症状が再出現,黄疸の出現をみ入院となった.凝固能低下が著明で(PT 28%, HPT 19%),種々の治療にもかかわらず,4週間後多臓器不全の状態で死亡した.剖検肝は495gと萎縮著明で,肝組織像は広範性肝壊死を示した.金鵄丸による薬剤性肝炎は本例を含め9例が報告されている.その特徴は,金鵄丸が原因との認識が遅れたため反復服用により肝炎の繰り返しをみる例が多いこと,発疹,好酸球増多がみられないことであった.本例は,漢方薬により劇症肝炎を来した初めての報告である.漢方薬の使用が増加しているおり,漢方薬によっても本例のごとき重症肝障害が惹起されうることに注意すべきである.
  • 鈴木 隆文, 高崎 健, 済陽 高穂, 次田 正, 有賀 淳, 宮崎 正二郎, 桂 浩二, 大坪 毅人, 中上 哲雄, 小林 誠一郎, 羽生 ...
    1991 年 32 巻 7 号 p. 730-734
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症に起因する側副血行路は食道静脈瘤を形成する経路が代表的であるが他にも多くの経路が認められる.
    今回我々は上腸間膜静脈-下大静脈短絡により猪瀬型肝性脳症を発症し外科的短絡路閉鎖術によって臨床症状の改善をみた1例を経験したので報告する.
    術前に施行した上腸間膜動脈からの門脈造影では肝内の門脈は全く造影されず下大静脈に向かう短絡路が造影された.門脈本幹の血流は超音波ドップラー法による測定では術前には遠肝性の血流を示していたが,外科的短絡路閉鎖切除によって門脈血流は求肝性に変化した.
    また術後臨床症状および肝機能検査成績の改善を認め,8カ月後に行った門脈造影にても側副血行路の再発はみられず肝内門脈は鮮やかに造影され,短絡路閉鎖術の有効性が示唆された.
  • 中島 収, 枝光 理, 江口 哲, 杉原 茂孝, 荒川 正博, 神代 正道, 麻生 剛, 大泉 耕太郎
    1991 年 32 巻 7 号 p. 735-740
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝に腫瘤形成を伴ったNeoplastic angioendotheliosis (NAE)の1剖検例を報告する.77歳,女性,近医にて約10年前より慢性肝炎でfollow中,発熱,腹水を来し,腹部超音波検査(US)で肝硬変を指摘され,精査目的で入院.入院後も発熱持続し,腹水増強,肝・腎不全で死亡.死亡前に肝S5領域に約2cmの低エコー腫瘤を指摘され,肝硬変を背景とした肝細胞癌が疑われた.剖検にて,腫瘤構成細胞はLCA陽性,PAN-B陽性のリンパ球系細胞で,脈管侵襲像が顕著な肝におけるNAEの血管外腫瘤形成と判明し極めてまれな症例を経験した.
  • 香田 弘司, 安田 盛, 今峰 徹, 斉藤 雅也, 河合 秀子, 林 真功, 入山 克, 大橋 三與治, 山田 鉄也, 森脇 久隆, 武藤 ...
    1991 年 32 巻 7 号 p. 741-745
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    嚢胞腔内エタノール注入・洗滌療法が有効であった肝嚢胞状腺癌の1例を経験した.症例は73歳,女性,腹部膨満感を主訴とし,超音波断層法・CT検査により肝右葉の大部分を占め,内腔に乳頭状突出部を有する嚢胞性腫瘍を認めた.穿刺液の細胞診はclass V, adenocarcinomaであり,画像所見も合わせ肝嚢胞状腺癌と診断した.本例は合併するうっ血性心不全のため外科切除が困難であり,従来良性嚢胞に有効性が報告されている嚢胞腔内エタノール注入・洗滌療法を施行した.エタノールは1回約50ml,計4回注入し,自覚症状の改善とともに,CTにより計測した腫瘍全体ならびに乳頭状腫瘤部の両者の容積縮小をみた.本例は心不全のため死亡したが,剖検により,嚢胞内面・乳頭状腫瘤とも大部分が壊死に陥っていることを確認した.肝嚢胞状腺癌は外科切除が原則であるが,その適応外の症例には,エタノール注入・洗滌法は試みるべき1つの治療法と考えられた.
  • 多々 尚, 香川 恵造, 疋田 宇, 竹内 孝幸, 岡上 武, 加嶋 敬
    1991 年 32 巻 7 号 p. 746-747
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 堀池 典生, 恩地 森一, 道堯 浩二郎, 久門 泉, 菊池 孝, 太田 康幸
    1991 年 32 巻 7 号 p. 748-749
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 加藤 直也, 横須賀 収, 小俣 政男, 細田 和彦, 今関 文夫, 田川 まさみ, 大藤 正雄
    1991 年 32 巻 7 号 p. 750-751
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大平 基之, 小野 稔, 大田 人可, 関谷 千尋, 並木 正義
    1991 年 32 巻 7 号 p. 752-753
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 坪田 昭人, 斎藤 聡, 池田 健次, 酒井 洋子, 松本 豊海, 小林 万利子, 森永 傳, 熊田 博光
    1991 年 32 巻 7 号 p. 754
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宮島 透, 渡辺 雅史, 小島 秀男, 大越 章吾, 鰍沢 夏美, 早川 晃史, 銅治 康之, 樋口 庄市, 小林 匡, 鶴谷 孝, 上村 ...
    1991 年 32 巻 7 号 p. 755
    発行日: 1991/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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