肝臓
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33 巻, 10 号
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  • 荒川 泰行, 森山 淳子, 森山 光彦, 田中 直英, 大久保 仁, 石塚 英夫, 松尾 裕, 林 仲信, 志方 俊夫
    1992 年 33 巻 10 号 p. 735-744
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    コア領域の1-120アミノ酸より作製されたJCC ELISA系にて,非A非B型(NANB)およびその他の肝疾患患者の血中JCC抗体値を測定し,C-100およびSP42抗体との差異を検討した.研究対象はNANB-AH: 54例,CH: 316例,LC: 132例,HCCcLC: 57例で,対照として各種肝疾患121例を測定し,一部の例では血中HCV-RNAをも測定した.その結果,NANB慢性肝疾患ではJCC抗体は他の抗体より10~30%陽性率が高く,明らかに検出率が優れており,HCV-RNAとの一致率でも他の抗体系より優れていた.アルコール性肝障害およびAIH群では約30%に認められ,急性AおよびB型肝炎,慢性B型肝炎,PBCでは認められず,JCC抗体はC型肝疾患の診断に非常に有用であるが,不一致例も存在し,陰性例では他の抗体系およびHCV-RNAの測定が必要と思われた.さらに慢性肝炎に比して,LC, HCC群において,JCC抗体陽性率は低下しており,HCVの増殖およびHCCの発生との関連性に関して興味ある所見と思われた.
  • 木田 徹, 溝口 靖紘, 白石 一郎, 小林 絢三, 森澤 成司
    1992 年 33 巻 10 号 p. 745-750
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Propionibacterium acnes (P. acnes)加熱死菌およびlipopolysaccharide (LPS)を用いる急性肝不全モデルにepidermal growth factor (EGF)を投与すると生存率および肝の組織学的変化の改善が認められる.このモデル系へのEGFの作用が肝臓に対する直接作用であるには肝障害時にEGF receptorが保持されていることが必要と考える.本肝障害モデルの肝細胞障害時に肝細胞膜のEGF receptorがいかなる変化を示すかは不明である.また,このモデル系における肝細胞障害の一因と考える肝浸潤粘着性細胞のcell to cellの肝細胞障害にEGFがおよぼす影響についての検討は未だない.これらについて検討の結果,肝細胞膜のEGFreceptorは肝障害誘導後12時間目に正常コントロールの約60%に減少するものの保持されており,また,EGFは肝浸潤粘着性細胞のcell to cellによる肝細胞障害を軽減した.
  • 大川 伸一, 伊藤 義彦, 玉井 拙夫, 多羅尾 和郎, 杉政 征夫, 武宮 省治, 岡本 尭, 清水 昭男, 原田 昌興, 岡本 直幸
    1992 年 33 巻 10 号 p. 751-757
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌切除症例14例につき,癌部と非癌部のDNA合成能をBromodeoxyuridine(以下BrdU)を用い調べ,切除後2年以上の経過を観察し,予後との関係を検討した.方法は0.1% BrdUを含んだRPMI1640溶液中にて肝組織をincubationし, BrdU摂取率(L.I.)をinvitroで測定した.結果は癌部L.I.=6.43±0.89%,非癌部L.I.=2.85±0.42%であり,両者には正の相関関係を認めた.癌部L.I.と生存年数との間の相関関係を調べたところ,両者には有意の負の相関関係がみられL.I.が低いほど予後は良好であった.また非癌部L.I.と生存年数についても両者に有意の負の相関関係が得られ,やはりL.I.が低値であるほど患者の予後は良好であった.さらに肝切後2年の時点での生死を判別関数で検討したが,非癌部L.I.,癌部L.I.の的中率はそれぞれ85.7%, 78.6%と良好な結果を得た.以上よりBrdU L.I.は肝癌の予後因子として重要な意義を持つ事が示唆された.
  • US angiographyによる動脈性vascularityとの関連性について
    栃尾 人司, 冨田 周介, 工藤 正俊, 三村 純, 〓田 充生, 簑輪 和士, 樫田 博史, 岡部 純弘, 平佐 昌弘, 伊吹 康良, 小 ...
    1992 年 33 巻 10 号 p. 758-765
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    病理学的に組織診断されたHCC 41症例41結節について腫瘍容積倍加時間(TVDT)を求め,US angiographyで評価した動脈性vascularityとの関連について検討した.これら結節のTVDTは対数正規分布の傾向にあった.US angiographyにより,25結節はhypervas-cular,7結節はisovascular, 9結節はhypovascularに分類された.Hypervascular HCC (n=25)のTVDTは21~531日に分布し,対数平均は71日,isovascular HCC (n=7)のTVDTは85~699日に分布し,対数平均149日,hypovascular HCC (n=9)のTVDTは125~1,066日に分布し対数平均374日であった.Hypervascular HCCのTVDTはisovascular HCCに比べ,さらにisovascular HCCのTVDTはhypovascular HCCに比べ有意に短かった.これらの結果より,HCCは動脈性vascularityが高いほど発育速度は速いと考えられた.
  • 下田 敦, 金子 周一, 鵜浦 雅志, 中村 敏一, 小林 健一
    1992 年 33 巻 10 号 p. 766-769
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ウッドチャック肝細胞癌において,肝細胞増殖因子(HGF)と肝発癌との関連を検討する目的で,HGF遺伝子の増幅および再編成の有無を,さらにHGF遺伝子の発現の有無をRNAレベルで測定した.対象として,ウッドチャック肝炎ウイルス持続感染状態にあるウッドチャック9匹と,血清学的にs抗体陽性を確認したウッドチャック3匹から発生した計30個の肝癌腫瘍とそれぞれの肝非癌部(計10匹)を用いた.サザンブロッティングの結果,EcoRI消化では計10個の肝癌において2.4kb, 4kb, 6kb, 9kbの4バンドが同様に認められた.ウッドチャックより発生した肝癌計30個についてのそれぞれのHGF遺伝子の発現では,肝癌26個にその発現を認めた.そのうち癌部のHGF遺伝子の発現が非癌部のそれよりも強いものは3個体であった.ウッドチャック肝細胞癌において,HGF遺伝子には検討した限りにおいては,明らかな増幅および再編成は認められず,よく保持されていることが示された.
  • 玉井 正健
    1992 年 33 巻 10 号 p. 770-778
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    実験的肝腫瘍のホルモン依存性とホルモン療法の可能性についてandrogen receptor(AR)を中心に検討した.化学発癌剤acetylaminofluorene (AAF)短期投与による肝腫瘍は,肝細胞質,核ともにARが増加し,アンドロゲン依存性が認められた.この肝腫瘍作製過程において抗プロゲステロン剤RU486 (RU)あるいはRUと抗エストロゲン剤tamoxifen (TAM)の併用投与により,腫瘍発現が抑制され,またARの減少もみられ,AAF誘発肝腫瘍の発現あるいは抑制にはARを介したアンドロゲンの関与が考えられた.また,AAF長期投与による肝細胞癌に,RUとTAMを投与しても,肝細胞癌の抑制効果はみられなかったが,castration後にRUとTAMを併用投与することにより肝細胞癌に対する抑制効果が認められた.ヒト肝癌細胞株Hep G2を用いたin vitroの系でも,RUはDNA合成を抑制し,ARの減少を示した.これらの成績は,肝癌に対するホルモン療法の可能性を示唆するものと考えられた.
  • in vitro, in vivoでの検討
    島内 義弘
    1992 年 33 巻 10 号 p. 779-786
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    クッパー細胞(KC)と脾マクロファージ(SM)の貧食能,TNF活性,Ia抗原を,invitro, in vivoで検討した.in vitroでは,同一条件下で分離培養した細胞1個当たりのラテックス貧食数は,KC; 20.0±10.1個,SM; 11.5±5.9個であった.また,1μg/ml濃度のLPS刺激下の1×106細胞当たりのTNF活性は,KC; 17.1±8.11U/ml, SM; 86.8±45.8IU/mlであり,Ia抗原の表出率は,KC; 36.6%, SM; 67.1%であった.貧食能はクッパー細胞が有意に高く,TNF活性,Ia抗原表出率は脾Mφが有意に高かった.in vivoでも,ラテックス食食能,OK-432貧食能はクッパー細胞が有意に高く,LPS静注1時間後の血中TNF値は,摘脾群ではコントロールに比し有意に低下した.この結果より,同じ単核食細胞系に属するクッパー細胞と脾Mφの間には,機能的heterogeneityが存在する事が明らかになった.
  • 柴山 隆男, 田中 武, 林 星舟, 佐伯 俊一, 若島 将伸, 大竹 寛雄, 田中 慧, 服部 信, 高本 滋
    1992 年 33 巻 10 号 p. 787-793
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    R-PHA法でHBs抗原陰性血の輸血後,B型劇症肝炎及びB型急性肝炎(重症型)を発症し,死亡した2症例を経験した.複数の輸血血液をretrospectiveに検討すると,2症例とも,その輸血血液の内の1単位は,HBs抗原がR-PHA法では陰性であったが,RIA法ではcutoff値がそれぞれ5.58と2.93であり,抗HBc抗体は両者とも高力価陽性(IAHA法),かつHBe抗原陰性,抗HBe抗体陽性であった.そして,2症例とも肝炎発症後の経過中,血中にHBe抗原は出現しなかった.そこで,この2症例の輸血血液及び患者血液についてHBV-DNAのpre-C領域の塩基配列を検討すると,得られたHBV株は全てHBe抗原産生不能変異株であった.しかも,1症例で輸血血液と受血患者から得られたHBV-DNAのpre-C領域の塩基配列が一致していた.即ち,この変異株のpre-C領域の83番目の塩基はGからAにpoint mutationを起こし,28番目のcodonがTryptophan (TGG)からstop codon (TAG)に変化していた.
  • 赤城 孝一, 森下 鉄夫, 三浦 総一郎, 織田 正也, 石井 裕正, 土屋 雅春
    1992 年 33 巻 10 号 p. 794-799
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性ブルセラ症患者に胆汁うっ滞性黄疸を伴った極めて稀な1例を経験したので報告する.症例は39歳,男性,パラグアイ人.アスンシオン国立大学医学部第1内科に発熱,黄疸のため入院.理学的所見では39.5℃の発熱,黄疸,リンパ節腫大,肝脾腫を認め,臨床検査所見では直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症,GOT・GPT・ALPの上昇,血清ブルセラ反応陽性を示し,血液培養にてブルセラ菌が検出された.US, ERCP,腹腔鏡検査では胆道の閉塞所見は認められなかった.肝の組織学的所見では,肝細胞のballooning, focal necrosis,肝細胞内のビリルビン色素の著明な貯留,毛細胆管内の胆栓,Kupffer細胞の増生,門脈域の炎症性細胞浸潤を示し,胆汁うっ滞性肝炎と診断された.抗生物質療法により自他覚症状と肝機能検査の著明な改善を認めた.敗血症に伴うエンドトキセミアの肝内胆汁うっ滞発現への関与が想定された.
  • 箱崎 幸也, 白浜 龍興, 加藤 雅士, 藤岡 高弘, 佐藤 亮五, 松本 俊治, 桑原 紀之
    1992 年 33 巻 10 号 p. 800-804
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性関節リュウマチ(RA)を合併したC型慢性肝炎例で,インターフェロン(IFN)治療中に薬物性肝障害(胆汁うっ滞型)が出現した症例を経験した.症例は,44歳,男性.1988年にRAと診断され,Sodium aurothiomalate, Indomethacinなどを服薬継続.1989年C型慢性肝炎の診断,1991年6月よりIFN α-2b 1MIU/日(週3回)の投与開始.IFN投与中(計31回)に黄疸が出現.入院後薬物性肝障害の疑にて,全投与薬剤を中止した,中止後トランスアミナーゼ値は100IU以下で推移するも,総ビリルビン値の著明な上昇(Max. 19.6mg/dl)を認めるが,第14病日以降は順調な低下を認めた.肝生検では,門脈域,小葉内に好中球,好酸球浸潤が目立ち,小葉内には胆汁栓,肝細胞内の小脂肪滴も認められた.全服用薬剤のリンパ球刺激試験は陰性であったが,臨床経過よりIFNによる胆汁うっ滞型肝障害が強く疑われた.IFN投与による胆汁うっ滞型薬物性肝障害の報告はなく,示唆に富む症例と考え報告した.
  • 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 坪田 昭人, 斎藤 聡, 池田 健次, 鯉田 勲, 熊田 博光, 岩崎 里美, 小山 志真, 松本 豊海, 小林 ...
    1992 年 33 巻 10 号 p. 805-806
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宮川 浩, 賀古 眞, 中村 尚志, 阿部 和裕, 永井 孝三
    1992 年 33 巻 10 号 p. 807-808
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 菅 充生, 辻崎 正幸, 在間 和弘, 舛谷 治郎, 生田 茂夫, 瀬ノ田 明範, 坂本 裕史, 今井 浩三, 谷内 昭
    1992 年 33 巻 10 号 p. 809
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 周藤 裕治, 谷川 昇, 岩宮 孝司, 加藤 照美, 堀江 裕, 川崎 寛中
    1992 年 33 巻 10 号 p. 810
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大平 基之, 関谷 千尋, 小野 稔, 松本 昭範, 並木 正義
    1992 年 33 巻 10 号 p. 811
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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