肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
33 巻, 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 工藤 正俊, 冨田 周介, 栃尾 人司, 濱田 充生, 三村 純, 岡部 純弘, 樫田 博史, 平佐 昌弘, 伊吹 康良, 小森 英司, 織 ...
    1992 年 33 巻 4 号 p. 283-291
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    切除された腫瘍径3cm以下の肝細胞癌66結節のうち病理組織学的に,(1) 結節全体が均一に高分化型肝癌で占められていたもの14結節,および,(2) 高分化型肝癌を内包する腺腫様過形成と診断された3結節,の計17結節を対象に,in vivoにおける血流イメージングの所見を解析し,初期の高分化型肝癌(e-HCC)における血管構築の特徴像について検討した.CO2動注US angiographyにより評価した動脈血流成分は,hypervascular 5結節,isovascular 5結節,hypovascular 4結節,vascular spot in hypovascular 3結節であり同時期に切除された3cm以下の古典的な肝癌(ad-HCC)49結節に比し,動脈性vascularityが低い傾向にあった.また門脈造影下CTにて評価した門脈血流は,ad-HCCの全例がperfusion defectを呈するのに対し,e-HCC14例のうち5例がperfusion defectを呈しなかった.perfusion defectを呈した群9例と呈しなかった群5例の結節の腫瘍径には有意差を認めなかった.また,e-HCCには脂肪化の程度の強いものが多く,これらe-HCCの特徴的な血管構築(乏血状態)との関連性が示唆された.
  • 池永 誠, 高野 康雄, 奥平 雅彦, 岡田 吉隆, 草野 正一
    1992 年 33 巻 4 号 p. 292-303
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    転移性肝腫瘍の剖検肝28例,117病変にMRIを施行し,病理組織像とを比較検討した.T2強調画像の所見から,転移性肝腫瘍を結節型と塊状型(1%)に分け,前者の結節型は内部構造により均一型(21%),不均一型(61%),牛眼様型(17%)に細分類した.腫瘍径の小さい結節では均一型が多く,腫瘍径の増大とともに不均一型および牛眼様型が増加した.病理組織像との対比では,均一型は壊死や線維化が軽度で,不均一型では壊死,出血と共に膠原線維の増生がみられ,牛眼様型では腫瘍の中心部に出血を伴った大きな壊死巣がみられた.この分類と腫瘍の原発臓器や組織型との間には,有意な関係は見出せなかった.腫瘍周辺部に淡い高信号域を6病変(5.1%)に,また,リング状の低信号域を5病変(4.3%)に認め,それらについて考察を加えた.また,組織内の微量金属(Fe,Cu,Zn)を定量し,その濃度とMRI像との関連についても検討した.
  • 脇坂 好孝, 内野 純一, 細川 真澄男, 宇根 良衛, 中島 保明, 河田 聡, 小林 博
    1992 年 33 巻 4 号 p. 304-311
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    我々は1989年1月末より1年7カ月間に原発性肝癌のため手術を受け肉眼的に根治切除可能であった患者に対して,再発予防における養子免疫療法の有用性を検討するために,Pro-spective randomized studyを行った.免疫化学療法群と化学療法単独群の2群に分け封筒法により各群15名ずつ合計30名を選択した.免疫療法には,摘出自己脾臓より誘導したLAK細胞とrIL-2を用い,化学療法にはアドリアマイシン(ADR)を用い肝動脈リザーバーより注入した.最終的に各群12名が評価可能で,年齢・性等の背景因子には一部を除いて有意差は存在しなかった.移入細胞総数は3.2~18.0×109個であった.観察期間は11カ月~2年5カ月間であるが,再発は,免疫化学療法群5例,化学療法単独群7例で有意差はないが前者の方が良好な傾向である.
  • 後藤 伊織
    1992 年 33 巻 4 号 p. 312-320
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    3'-methyl-4-dimethylaminoazobenzene (DAB)によるラットの肝癌発生過程において,グルタミン代謝に関連した諸酵素の活性を測定した.肝癌組織ではグルタミナーゼ,グルタミン・フォスフォリボシルピロリン酸アミドトランスフェラーゼ活性の顕著な上昇が認めれた.一方,グルタミン合成酵素活性は極めて低下していた.グルタミナーゼの中では,特にリン酸非依存性グルタミナーゼの活性増加が特徴的であった.以上の成績より,培養あるいは継代移植癌細胞やウイルス誘発肝癌におけるのと同様,DAB化学発癌肝でもグルタミン代謝に変化が生じることが明らかとなった.また,DAB発癌過程の初期に一時的にAFPの上昇を見るが,この時期(一次反応期)でこれらの酵素活性に軽度の変動が認められた.これについては病理組織学的変化の面からも考察を加えた.
  • 川原 弘, 高瀬 修二郎, 土島 睦, 汪 先恩, 高田 昭
    1992 年 33 巻 4 号 p. 321-326
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    培養肝細胞を用い,Golgi装置での糖蛋白の成熟・分泌過程に及ぼすアルコール(Al)の影響をpulse-chase labeling法と二次元電気泳動によるオートラジオグラムで分析した.コントロール培養ではtransferrin (Tf)はpIポイント5.2~5.4の位置に検出されたが,Golgi装置における蛋白の糖鎖修飾を阻害するmonensinやtunicamycinで肝細胞を処理すると,Tfより塩基側に検出された.アセトアルデヒド(Ac-CHO)を培養液に添加して3時間,ないしエタノール(Et-OH)で6時間前培養後,Et-OHを添加して3時間培養した場合も,Tfはより塩基側に移動し,この変化はmonensinやtunicamycinの場合と同じ変化であった.しかし,Et-OH添加3時間培養ではTfに変化はみられなかった.以上のごとく,Tfの成熟・分泌はEt-OHそれ自身ではなく,Ac-CHOによって障害されるが,このことから,Al性肝障害の発生にはAc-CHOによるGolgi装置での分泌性糖蛋白のglycosylationの障害が重要であると考えられた.
  • 中川 正則, 中林 仁美, 高松 正剛, 中野 博
    1992 年 33 巻 4 号 p. 327-330
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    手術により切除されたヒトの肝臓の一部組織を用いて伊東細胞の分離を行った.この分離伊東細胞の継代培養系を用い,I, IIIおよびIV型コラーゲンの合成を,I, III, IV型コラーゲン単抗体にてperoxidase-antiperoxidase法を用いて免疫組織化学的に細胞内の局在を検討した.その結果,培養伊東細胞の細胞内には核を中心にして網目状,線維状あるいは顆粒状に分布するI, IIIおよびIV型コラーゲンの存在が証明された.
  • 加藤 一哉, 草野 満夫, 山口 秀則, 小野寺 一彦, 水戸 廸郎
    1992 年 33 巻 4 号 p. 331-337
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Flow cytometry (FCM)を用いてin vivoでのKupffer細胞機能(特に貪食能)の測定を試みた.FITC-latex粒子をラット静脈内に投与し,その後肝臓よりKupffer細胞を分離,精製し,FCMによる貪食能(FCM-PR)を測定した.0.81μmのFITC-latex粒子を用た場合の至適反応時間は,1時間であり,至適投与濃度は6×1010個/匹であった.正常ラットの平均貪食率は51.4%であり,FITC-latex粒子個数別の貪食率は,2個貪食した細胞が25.5%と最も多かった.またReticuloendothelial system (RES)機能をOK-432 5K.E./匹を用い活性化,またMethyl palmitate 2g/kg body weightを用いて不活性化させると,そのFCM-PRは,それぞれ74.3%,18.1%となり,carbon clearance法で求めたphagocytic indexとの間にはY=0.001X+0.009,r=0.89の高い相関を示した.以上よりFlow cytometryを利用した新しいKupffer細胞機能測定法の有用性を示した.
  • 市川 裕三, 溝口 靖紘, 木田 徹, 小林 絢三, 森沢 成司, 大倉 靖史
    1992 年 33 巻 4 号 p. 338-341
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    著者らは肝類洞壁細胞の一つであるKupffer細胞の産生するサイトカインをepidermal growth factor (EGF)が増強することを認めた.そこで,EGFの肝類洞壁細胞に対する作用機序を解明するため,Kupffer細胞および肝類洞内皮細胞を用いて,細胞内情報伝達機構の面から,EGFの細胞内遊離カルシウムイオン(Ca++)濃度に及ぼす影響について検討した.その結果,EGFはKupffer細胞及び肝類洞内皮細胞の細胞内遊離Ca++濃度を増加させた.既にサイトカインの産生が細胞内遊離Ca++を介して増強することが報告されているので,EGFは肝類洞壁細胞の細胞内遊離Ca++を介してサイトカインの産生を増強することが示唆された.
  • 高橋 佳嗣, 塚田 勝比古, 倉知 美幸, 山田 潤一, 東 克謙, 村崎 元五, 宮治 眞, 星野 信, 武内 俊彦
    1992 年 33 巻 4 号 p. 342-347
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.1973年より慢性肝炎,高血圧症,糖尿病にて通院中であったが,1987年1月原発性肝癌と診断し,肝動脈塞栓術(TAE)を施行した.同年3月より運動障害出現したため,当科へ入院した.入院時血液生化学所見,理学的所見ならびに皮膚生検の所見より,肝癌に合併した皮膚筋炎と診断した,ステロイドパルス療法を実施し,臨床症状,血液生化学検査所見は著しく改善したが,1988年2月肝不全にて死亡した.剖検では肝癌は広範囲にみられ,腹直筋の組織学的検索にて皮膚筋炎が確認された.本例は肝癌と皮膚筋炎の合併例としては,既報告例中もっとも高齢の女性であり,かつ肝癌先行型の皮膚筋炎としては本邦第1例目と思われる.皮膚筋炎の発症原因にウイルス感染説,自己免疫説などがあるが,本例はこれらの要因に加えて担癌,加齢による細胞性免疫の低下が関与して発生した可能性が示唆された.
  • 山崎 雅和, 森本 日出雄, 若林 時夫, 鈴木 邦彦, 木田 寛, 杉岡 五郎, 細 正博, 中沼 安二
    1992 年 33 巻 4 号 p. 348-352
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性.咳・疾・発熱を主訴とし,肺炎の疑いで入院した.入院時,末梢血好酸球増多,胆道系酵素の上昇を認めた.抗ミトコンドリア抗体160倍(M2分画46.7U/ml)と陽性であり,開腹肝生検にてグリソン鞘へのリンパ球・形質細胞の中等度の浸潤および慢性非化膿性破壊性胆管炎の像が認められたことより原発性胆汁性肝硬変(Scheuer分類I期)と診断した.また,一部の障害小葉間胆管周囲に高度の好酸球浸潤がみられた.ウルソデオキシコール酸(UDCA)1日600mgを投与したところ,7週後には胆道系酵素が改善し,好酸球増多も消失した.この時点での再生検では,グリソン鞘への細胞浸潤は改善し,好酸球浸潤も消失していた.以上,本例は,PBC早期の病態および治療法を考えていく上で貴重な1例と考えられたので報告した.
  • 土屋 喜裕, 島村 隆二, 大島 道雄, 大久保 英雄
    1992 年 33 巻 4 号 p. 353-356
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    頻回のラッカーシンナーの吸入により高度の急性肝障害と急性腎不全を発症した症例を報告する.症例は17歳男子高校生.ラッカーシンナーを連日吸入して2カ月後に,全身倦怠感,嘔吐,食欲不振とともにGOT 9,080, GPT 6,600U/l, LDH 10,305U/lと高度の肝障害が発見された.2日後の入院時,理学的には黄疸と肝腫大.検査では,T. Bil. 4.5mg/dl, GOT 1,740, GPT 3,828U/l, HPT 50%, BUN 61.4mg/dl, Cr 4.6mg/dlと肝・腎障害がみられた.入院後は安静と肝庇護療法を行い,約1ヵ月後には,肝腎障害は正常化した.経過中に施行した肝生検では,小葉中心性の肝細胞壊死とうっ血の所見が認められた.ラッカーシンナーによる肝腎障害の原因としては,主成分であるトルエンが考えられているが,その他トリクロルエチレンも問題になると思われる.
  • MTT法による検討
    井上 典夫, 遠藤 清次, 浦住 幸治郎, 大竹 徹, 福島 俊彦, 君島 伊造, 土屋 敦雄, 阿部 力哉
    1992 年 33 巻 4 号 p. 357-358
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 兵頭 一之介, 神野 健二, 和田 俊裕, 森脇 昭介
    1992 年 33 巻 4 号 p. 359
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 平野 鉄也, 真辺 忠夫
    1992 年 33 巻 4 号 p. 360
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top