肝臓
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33 巻, 5 号
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  • tPA, PAI, PICを中心として
    後藤 寿則
    1992 年 33 巻 5 号 p. 361-369
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    急性肝不全における線溶動態を,最近測定法が確立されたtissue plasminogenactivator (tPA), plasminogen activator inhibitor (PAI), plasmin α2PI complex (PIC)を用いて急性肝不全モデル犬において測定検討した.1. 急性肝不全犬において,tPA, PICは経過とともに増加し,PAIは一時増加しその後減少した.prothrombin time (PT)を肝不全の指標とし,PTとtPA (r=0.796, p<0.001), PA(r=-0.833, p<0.001), PIC(r=0.779, p<0.001)と相関が見られた.線溶系の最終産物であるPICにたいする相関を見るとtPA (r=0.518, p<0.001), PAI (r=-0.800, p<0.001)であった.
    2. 劇症肝炎では,急性肝不全犬同様,PT(%)と線溶系のマーカーと相関を見るとPIC (r=-0.313, p<0.05)と相関が見られたが,tPA, PAIに相関は見られず,PT20%以上と20%未満の2群に分け検討するとPAIはPT 20%未満で有意に低下していた.
    3. 以上より,肝不全が進行するに従い線溶亢進も認められ,線溶亢進にはtPA以上にPAIが重要であると考えられた.
  • 臓器反射スペクトル法およびレーザードップラー法による検討
    板倉 勝, 松崎 松平, 白石 光一, 渡辺 光行, 門阪 利雄
    1992 年 33 巻 5 号 p. 370-374
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    臓器反射スペクトル法とレーザードップラー法により,腹腔鏡下に慢性肝疾患における肝組織血行動態を測定した.臓器反射スペクトル法で測定した肝組織局所ヘモグロビン量は肝硬変においては低値であった.これに対して,酸素飽和度とレーザ-ドップラー法による血流量は肝硬変で増加していた.一方,組織酸素消費能は肝疾患群で著明に低下し,低下が著明な群では,KICG,血清コリンエステラーゼ,アルブミンも低値を示した.以上より,(1) 肝疾患における肝組織血行動態の把握に,両測定法による測定が有用であること,(2) 進行した肝疾患では,組織内動脈血流量は増加しているにもかかわらず肝組織局所ヘモグロビン量は低下しており,組織酸素消費能低下の結果肝代謝能が悪化することが示唆された.
  • 打越 康郎
    1992 年 33 巻 5 号 p. 375-382
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者において抗糸粒体抗体(AMA)の亜分画であるanti-M2,anti-M4, anti-M8を,anti-M9についてはanti-glycogen phosphorylase antibodyをELISA法にり測定し,臨床像および予後との関連について検討した.対象としたPBC症例100例中,anti-M2陽性は90例で,このうちanti-M4陽性が4例,anti-M8陽性が17例(18.9%)で,anti-M4陽性の4例はいずれもanti-M8陽性であった.anti-M8陽性例は陰性例に比し無症候例から症候例に移行するものが多く,組織学的にはI/II期で小葉間胆管の炎症性破壊像が広範で,胆汁うっ滞が強かった.anti-M4陽性例は高度の肝実質傷害を伴っており,病像も通常のPBCよりは慢性肝炎像を主体としていた.anti-glycogen phosphorylase antibodyは対象100例中60例で陽性で,陽性例は陰性例に比し無症候例が多かった.以上よりAMA亜分画の検討はPBCの診断に有用であるばかりでなく,病態や予後の解明に極めて有用であると思われた.
  • 高井 茂治, 安藤 勤, 鵜飼 伸一, 日野 昌雄, 余喜多 史郎, 古味 信彦, 田中 啓二, 市原 明, 松本 唯彦, 立川 哲也, 申 ...
    1992 年 33 巻 5 号 p. 383-389
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    プロテアソームは,同一分子内に複数の蛋白分解活性を有する多機能プロテアーゼ複合体である.著者らは,ヒト肝から精製したプロテアソームのモノクローナル抗体を作成し,これを用いて肝硬変,転移性肝癌および肝細胞癌症例の血清プロテアソームを測定した.その結果,肝細胞癌症例(n=20)の血清プロテアソーム値は,対照群(n=50)のみならず肝硬変症例(n=8)に対しても有意に高値を示した.また,転移性肝癌症例(n=6)も対照群に対して有意に高値を示した.血清プロテアソーム値と,α-fetoprotein (α-FP)値およびCEA値の間には相関関係を認めず,血清プロテアソームとα-FPを組み合わせることにより肝細胞癌症例で高い陽性率が得られた.肝細胞癌および転移性肝癌症例に肝切除を行い腫瘍部を摘出すると,血清プロテアソーム値は低下した.これらの結果から,血清プロテアソームは,肝癌の診断およびその治療効果の判定に有用であることが示された.
  • 佐藤 隆
    1992 年 33 巻 5 号 p. 390-398
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝悪性腫瘍および腫瘍類似病変におけるglutathione S-transferase (GST)アイソザイムについて,GST-αおよびGST-πの特異抗体を用い免疫組織化学的に検討した.肝細胞癌28病変ではGST-αは60%に陽性を示し,高分化な例で陽性率が高かったが,GST-πは全例陰性であった.胆管細胞癌(CCC)10例ではGST-αは全例陰性であったが,GST-πは80%に陽性を示した.混合型4例の検討ではそれぞれの腫瘍の細胞群に応じて同様の傾向がみられた.腫瘍類似病変としてのfocal nodular hyperplasia 2例,adenomatous hyperplasia (AH) 5例,liver cell dysplasia 4例では,GST-αは全病変に陽性で,GST-πはAHの一部にのみ陽性を示した.以上のようにGST-πはCCCの大多数にみられるだけでなくAHにも認められ,GST-πがCCCの免疫組織化学的マーカーになり得ること,さらにAHを前癌病変として位置付け得る可能性が示唆された.
  • Organizer Regions (AgNORs)の有用性
    城 知宏, 関 寿人, 内藤 雄二, 井上 恭一, 岡村 明治
    1992 年 33 巻 5 号 p. 399-404
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    近年argyrophilic nucleolar organizer regions (AgNORs)は細胞増殖能および生物学的悪性度の指標として注目されている.そこで今回著者らはPEITを施行した直径3cm以下単結節型肝細胞癌(肝癌)30例のうち,1年間以上再発を認めなかった非再発群(21例)と,再発を認めた再発群(9例)の2群について,AgNORs score (1核内のAgNORsの個数)とその形態的特徴を検討した.肝癌細胞核内に観察されたAgNORsはその形態的特徴によりおおよそ2型(1型=T1-NORs,2型=T2-NORs)に分類できた.再発群における平均AgNORsscoreは非再発群に比べ有意に増加していたが,これはT2-NORsの著増に基づくものであった(p<0.01).また再発群におけるT1-NORsは非再発群のそれらに比べ大小不同,不整形でsmall black dotsを内包するものが多かった.以上よりAgNORs scoreおよびその形態は肝癌の生物学的悪性度さらには予後の指標として有用であると考えられる.
  • 佐宗 克久, 塚田 勝比古, 倉知 美幸, 山田 潤一, 束 克謙, 村崎 元五, 星 野信, 宮 治眞, 武内 俊彦
    1992 年 33 巻 5 号 p. 405-410
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.1987年11月クモ膜下出血にて左右中大脳動脈瘤クリッピング術を施行し,赤血球濃厚液5単位の輸血を受けた.輸血1ヵ月後に肝機能障害が出現.輸血後肝と診断し,安静・輸液などの治療により肝機能は一時改善したが,発症2ヵ月後に再び悪化し,意識障害はなかったが,PT 43.2%と重症化した.G-I療法,FFPなどの投与により肝機能は軽快した.経過中に抗ミトコンドリア抗体(AMA)が高力価陽性を示したが,肝炎の改善とともに力価は陰性化した.しかし発症約3年後,肝機能が正常にもかかわらず,AMAは再び,一過性に陽性となったが,現在はまた陰性が持続している.回復期に施行した腹腔鏡では肝両葉に大きな結節性病変を認め,馬鈴薯肝と診断した.組織学的には再生結節の所見であり,原発性胆汁性肝硬変(PBC)の所見はみられなかった.本例はAMAの産生機序,生理的意義を考える上で興味深いと思われた.
  • 片山 幸治, 浅原 利正, 岡本 有三, 中原 英樹, 板本 敏行, 野村 真哉, 丸林 誠二, 八幡 浩, 土肥 雪彦, 山本 正美
    1992 年 33 巻 5 号 p. 411-415
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性.computed tomography(CT),超音波検査にて肝左葉の2cmの孤立性の腫瘤と肝門部に3cmと5cmの2個の腫瘤を指摘され来院した.各種画像診断を行い,肝内の腫瘤は肝細胞癌(以下HCC)と考えられたが,肝門部の腫瘤の1つは胃壁に接して存在し胃原発平滑筋肉腫との鑑別が困難であった.HCC+胃平滑筋肉腫+リンパ節転移の診断により手術を施行したところ,肝門部の2個の腫瘤はいずれもHCCのリンパ節転移であった.HCCは手術時にリンパ節転移をきたす頻度は低いとされ,2cmのHCCがリンパ節転移を合併した症例は報告がない.しかし,HCC手術例におけるリンパ節転移の正確な頻度,転移経路についてはまだ十分な検討が行われているとはいい難く,今後手術時のHCCリンパ節転移の検索並びにリンパ節郭清術に対する検討が必要であると考えられる.
  • 他菌種による肝膿瘍との比較
    日野 一成, 高取 敬子, 山本 亮輔, 井手口 清治, 大元 謙治, 大海 庸世, 山本 晋一郎, 平野 寛
    1992 年 33 巻 5 号 p. 416-422
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Streptococcus milleri(以下S. milleri)による肝膿瘍の1例を経験したので報告する.欧米では1975年以降33例が報告され,肝膿瘍の起因菌のひとつとして注目されはじめているが本邦では我々の症例が4例目と未だ報告は少ない.S. milleriによる肝膿瘍についての文献的考察から,(1) 近年報告例が増加しているのは嫌気性培養と同定技術の進歩によって発見されやすくなったためと思われる,(2) 従来,肝膿瘍から連鎖球菌が分離される場合は混合感染の一菌種として見つかることが多かったが,S. milleriは国内外を問わず単独で分離されることが多い,(3) 膿瘍形成の傾向が強く,基礎疾患のない症例にも感染し重症化させることがある,(4) 現在,肝膿瘍治療によく用いられるセフェム系抗生物質には感受性が低く,ペニシリン,イミペネム,クリンダマイシンの選択が必要である.(5) 肝へは血行性に感染する頻度が高い,ことを述べた.
  • 佐藤 顕, 今井 裕一, 中本 安, 三浦 亮, 堀内 隆三
    1992 年 33 巻 5 号 p. 423-427
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Idiopathic adulthood ductopenia (IAD)の1例と思われる症例を経験したので報告した.症例は19歳女子で,12歳時に胆石手術を受けている.新生児期および小児期に黄疸の既往はない.皮膚掻痒感で発症し,軽度肝機能障害,食道静脈瘤,脾腫を認めた.Alagille症候群にみられる特異な顔貌などの奇形を認めなかった.抗ミトコンドリア抗体は陰性,薬剤歴がなく,胆管造影所見は正常,炎症性腸疾患の合併を認めなかった.肝生検では小葉間胆管の消失,軽度の偽胆管増生,門脈域の線維化,慢性炎症性細胞浸潤を認めた.以上から1988年にLudwigらが提唱したIADに合致する症例と思われた.病因としては遅発性の小児期胆管消失症候群,ウイルス性胆管障害,炎症性腸疾患を合併しないsmall duct PSC,抗ミトコンドリア抗体陰性のPBC等が考えられた.
  • 戸部 和夫, 松浦 一陽, 辻 孝夫, 畑中 唯史, 難波 敏彦
    1992 年 33 巻 5 号 p. 428-429
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 加藤 照美, 周藤 裕治, 松尾 敏和, 堀江 裕, 川崎 寛中
    1992 年 33 巻 5 号 p. 430-431
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 幸田 弘信, 水野 正巳, 田中 俊英, 鳥本 悦宏, 関谷 千尋, 並木 正義
    1992 年 33 巻 5 号 p. 432-433
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小峰 文彦, 森山 光彦, 天木 秀一, 田中 直英, 大久保 仁, 石塚 英夫, 荒川 泰行, 松尾 裕, 林 敬一, 林 仲信, 志方 ...
    1992 年 33 巻 5 号 p. 434-435
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 金井 信行, 須貝 吉樹, 赤羽 賢浩, 岡本 宏明
    1992 年 33 巻 5 号 p. 436-437
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 前田 隆, 大西 三朗, 宮本 敬子, 新階 礼, 田中 肇, 岩崎 信二, 上田 弘, 中田 収作, 岩村 伸一, 宮崎 正子, 西原 利 ...
    1992 年 33 巻 5 号 p. 438
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 33 巻 5 号 p. 439-447
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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