肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
34 巻, 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 木村 公憲
    1993 年 34 巻 3 号 p. 187-193
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝疾患48例の配偶者におけるHCV関連抗体の保有状態を検討した.その結果8例の配偶者(17%)にC100-3抗体とcore抗体を,他の6例の配偶者(13%)にcore抗体のみを検出した.HCV関連抗体を持つ配偶者の発端者は有意に高齢であり,また発端者の肝疾患が進展する程配偶者のHCV関連抗体保有率が上昇した.C100-3抗体,core抗体両者を有する8配偶者のうち6例は慢性肝炎を,1例は肝細胞癌を,1例はZTTのみ高値を示し,8例全例でHCV RNAが検出された.core抗体のみ陽性の6配偶者のうち2例はZTTのみ高値を示し,HCV RNA陽性であったが,4例では肝機能検査は正常でHCV RNAも陰性であった.発端者と配偶者が共にHCV RNA陽性の10ペアのうち7ペアはHCV genotypeが一致したが,3ペアでは不一致であった.以上よりHCVの配偶者間感染は成立するが,感染の成立には長期間の接触が必要であり,更に一部には性的接触以外の感染例も存在した.
  • 中田 進
    1993 年 34 巻 3 号 p. 194-197
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヴィェトナム難民におけるB型肝炎ウィルス(HBV)の侵淫状況について検討した.対象は日本に来た2,428人の難民で,男女比は1,587:841 (1.89:1),年齢は0~86歳であった.HBsAg陽性者は316/2,428名(13%)で,男は243/1,587名(15.3%),女は73/841名(8.7%)であった.HBsAg陽性率を年齢群ごとに検討すると,0~9歳群で11~12%であるのに比し10~19歳群では19.9%とより高率であった.ヴィェトナムでは家旅単位が大きいこと,輸血のスクリーニング体制の不備に加えて,非衛生的な医療施設の現状,売春,麻薬の蔓延などの社会状況がHBV感染に大きく関係していると推定される.今回対象とした難民は北部出身者も含み,現状では調査が困難なヴィェトナムの一般人口におけるHBVの侵淫状況を良く反映したものと考えられる.
    同国ではB型肝炎の抑制は保健上重大な問題であり,早急な対策が望まれる.
  • NS3, NS4およびcore領域抗体価の検討
    狩野 吉康, 髭 修平, 佐賀 啓良, 松嶋 喬, 宮崎 保, 豊田 成司, 奥内 豊
    1993 年 34 巻 3 号 p. 198-204
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎のIFN療法前後のNS3, NS4およびcore領域のHCV抗体価の測定を,合成ペブタイドを用い,EIA法にて行った,IFN療法の著効+有効群では投与終了時に,NS3およびNS4領域抗体価の低下を,投与終了6ヵ月後には3種類全ての抗体価が有意の低下を認めた.不変群ではIFN投与終了時に,NS4とcore領域抗体価の低下を認めたが,IFN投与終了6ヵ月後には両抗体価は,投与前値に復した.IFN投与終了時にGPTの正常化した症例では,HCV-RNAは,臨床効果にかかわらず,大部分の症例で陰性化した.NS 3領域抗体価の測定は,IFN投与終了時の予後判定の指標になることが示唆された.
  • 伊藤 哲史, 黒河内 和貴, 有馬 啓治, 森田 翼, 西岡 幹夫
    1993 年 34 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    遺伝子工学的に産生されたC型肝炎ウイルス(HCV)関連のcore領域抗原(rcor-eAg), nonstructural 3領域抗原(rNS3Ag)およびnonstructural 5領域抗原(rNS5Ag)の3種のリコンビナント抗原(rHCVAg)を用いて,C型慢性肝炎患者の末梢血単核球(PBMC)の芽球化反応について検討した.
    患者PBMCではいずれの抗原刺激に対しても有意な芽球化反応が認められたが,健常人では反応はみられなかった(p<0.01).また,rNS3AgおよびrNS5Agに対する反応はrcoreAgに対する反応より有意に強かった(p<0.05).反応リンパ球に関する検討では,PBMCよりCD4陽性細胞を除いても芽球化反応を認めたが,PBMCよりCD8陽性細胞を除くと反応はみられなかった(p<0.05).さらに,PBMCをrNS3Agで刺激するとCD8陽性CD11b陰性細胞(cytotoxic T cell)の有意な増殖がみられた(p<0.05). C型慢性活動性肝炎では,rNS3Agに対する芽球化反応能と血清GPT値との間に正の相関関係が存在した(r=0.64).
    以上より,HCV感染症では,rHCVAgに反応するcytotoxic T cellが存在し,これらと肝細胞障害との間の密接な関連が示された.
  • 中林 仁美, 高松 正剛, 中野 博
    1993 年 34 巻 3 号 p. 212-218
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    線維肝組織中のコラーゲン量を,線維染色標本のコンピュータ画像解析法にて定量する方法を検討した.1)コラーゲンと特異的に結合する色素を検索するため,各種の肝細胞外基質成分のSirius red, Aniline blue, Acid fuchsinによる染色性を検討したところ,Sirius redの特異性が最も高かった.2)剖検および肝切除術にて得られた24例の肝組織につき,Sirius redとFast green色素との二重染色(SF染色),Azan染色,van Gieson染色を行い,コンピュータ画像解析にて線維化部分の面積比(線維化画積比)を求めたが,SF染色が最も画像解析が容易であった.3)同一肝組織について生化学的に定量したハイドロキシプロリン量と,SF染色で求めた線維化面積比とは高い正の相関が得られた(r=0.887).以上の成績より,SF染色を行った肝組織標本につきコンピュータ画像解析を行うことにより簡便に肝組織内コラーゲンの定量化が行い得ることが示された.
  • 後藤 充男
    1993 年 34 巻 3 号 p. 219-227
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患において微小管構成蛋白である210KDaMAP, tubulin, MAP2に対する自己抗体をEIA法により測定し,その意義を検討した.a)抗210KDaMAP抗体陽性率はALDで61.1%と最も高率で,PBCで30%であり,PBCのstage IVでは75%で,stage Iの0%に比し高率であった.b)抗tubulin抗体陽性率は,PBCで60%と最も高率であった.c)抗210KDaMAP抗体,抗tubulin抗体いずれか陽性のものは,ALD 61.1%, CVLD 36%, PBC 65%であった.d)stage IVのPBCの吸光度は,抗tubulin抗体IgAクラスで0.33±0.11, IgMクラスで0.71±0.15で,ともにstage Iに比し有意に高値であった.e)抗MAP2抗体は低率であった.以上より,抗微小管構成蛋白抗体の主な対応抗原は,ALDでは210KDaMAP, PBCではtubulinと推定された.また,PBCでは,組織学的進展に伴い陽性率は高率となり,組織学進展を予測しうる血中マーカーの可能性が示唆された.
  • 熊田 和徳, 溝上 雅史, 加納 英行, 榊原 健治, 岡本 憲和, 平松 秀樹, 加藤 哲夫, 糠谷 治彦, 斎藤 洋, 折戸 悦朗, 山 ...
    1993 年 34 巻 3 号 p. 228-233
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    12年間の経過観察中にHBs抗原が自然陰性化し治癒したと考えられるB型慢性活動性肝炎の1例を報告する.症例は29歳,男性.肝機能悪化時の1979年3月21日の肝組織像は慢性肝炎活動型を示した.その後肝機能は1981年8月に完全に正常化し,HBs抗原は1982年9月にはr-PHA法にて陰性化した.1983年6月14日の肝組織像はnon-specific changeであった.1985年4月17日にはHBs抗原はRIA法にても陰性化し,1987年8月12日の肝組織像もnonspecific changeで,慢性肝炎の所見は認めなかった,この後も肝機能は全く正常,HBs抗原は陰性,HBs抗体も出現した.A型肝炎,C型肝炎の重感染,薬剤の関与は否定的であった.HBs 抗原消失例として,背景因子,経過は典型的であった.これらより,本症例はHBs抗原の自然 消失例で,B型慢性活動性肝炎の自然治癒例と考えられた.HBs抗原消失後の肝組織像の改善 にはB型肝炎ウイルスの陰性化が関連していることが推察された.
  • 渡邊 洋, 田中 正彦, 楠原 浩之, 司城 博志, 奥村 恂, 山下 青史朗
    1993 年 34 巻 3 号 p. 234-238
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎に対するインターフェロン(以下IFN)療法は高い治療効果が得られているが,いくつかの副作用も報告されている.我々はIFN投与直後よりtransaminaseが上昇し,IFN中止後も黄疸の増強と遷延化がみられ,その後種々の自己抗体が陽転化したHBs抗原陰性,HCV抗体陰性の慢性活動性肝炎の1例を経験した.症例は54歳の男性で,肝生検で慢性活動性肝炎と診断しIFN投与開始した.治療開始1週後よりtransaminase,ビリルビンの上昇を認めたため,28日で投与を中止したが,その後も両者は上昇し,GPT 1278, T-Bil 29.3を最高値として以降は低下した.検査所見改善後の再度の肝生検では,著明な肝細胞壊死像と小葉改築傾向を伴い増悪を認めた.治療中止後に種々の自己抗体が陽転し,IFNが自己免疫現象を賦活化して急性増悪をきたしたことが示唆された.IFN治療の普及に伴いこのような病態の出現も念頭におく必要があろう.
  • 小林 潔正, 橋本 悦子, 谷合 麻紀子, 渡辺 麗, 島 穂高, 久満 董樹, 小幡 裕
    1993 年 34 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性,主訴は黄疸,全身倦怠感.前医にて自己免疫性肝炎の疑いでプレドニン20mgを投与されたが,Tapering中に再燃したため当科に転院した.入院時,総ビリルビン12.0mg/dl, GOT 403KU, GPT 257KU, γ-グロブリン2.7g/dl, LE細胞,抗核抗体,抗DNA抗体はいずれも陽性,肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.薬剤の既往はない.自己免疫性肝炎を疑い,プレドニン40mgに増量後,黄疸漸減し発症より8ヵ月後には肝機能およびγ-グロブリン値は正常化した.発症後141日目の腹腔鏡は,瘢痕肝を呈し,肝生検像は多数のMultinucleated giant cellと著明な中心静脈域の肝細胞脱落,単核球細胞浸潤を認めた.乳幼児においては非特異的な変化とされるMultinucleated giant cell hepatitisは小児や成人においてはごく稀に認められるのみで,Post-infantile giant cell hepatitisと命名されている.考察を加え報告する.
  • 中島 猛行, 坂西 康志, 河崎 恒久, 吉見 輝也, 野入 英世, 吉澤 浩司, 金井 弘一
    1993 年 34 巻 3 号 p. 244-251
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は9歳で発症した原発性硬化性胆管炎の男性で,経過とともに胆汁性肝硬変に進展し,さらには化膿性胆管炎を反復したため16歳の時に渡米し肝移植術を受けた.しかし,肝移植3ヵ月後に多発性肝膿瘍を併発し,2回目の肝移植を受けた.渡米約11ヵ月後に帰国したが,帰国直後にはステロイド剤の大量使用が誘因と考えられる激しい腰背部痛が,また1年半後には両大腿骨顆部の骨壊死による歩行時の膝関節痛が出現した.又,術後の総胆管空腸吻合部の狭窄が原因と考えられる肝機能異常が持続し,さらに移植後3年目には肝移植前には明らかでなかった潰瘍性大腸炎が発症するという稀な病態も出現した.しかし,いずれの問題もほぼ対応が可能であり,肝移植後4年経過した現在患者は大学入試にも成功し,通常の学生生活を送っている.肝移植が成功し,本邦にて経過観察されている貴重な症例と考え,帰国後の経過を中心に報告した.
  • 竹中 一行, 安永 満, 奥田 道有, 久保田 政文, 森 健治, 山下 仰, 萱野 幸三, 増原 昌明, 坂井田 功, 沖田 極, 内野 ...
    1993 年 34 巻 3 号 p. 252-253
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 集団検診でのHCV抗体陽性例における検討
    漆原 昭彦, 鈴木 俊夫, 松本 晶博, 田中 栄司, 袖山 健, 清澤 研道, 古田 精市
    1993 年 34 巻 3 号 p. 254-255
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 神波 雅之, 周藤 裕治, 加藤 照美, 岩宮 孝司, 森岡 伸夫, 濱副 隆一, 川崎 寛中
    1993 年 34 巻 3 号 p. 256-257
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 平野 鉄也, 真辺 忠夫
    1993 年 34 巻 3 号 p. 258
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 34 巻 3 号 p. 259-286
    発行日: 1993/03/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top