各種肝疾患において微小管構成蛋白である210KDaMAP, tubulin, MAP2に対する自己抗体をEIA法により測定し,その意義を検討した.a)抗210KDaMAP抗体陽性率はALDで61.1%と最も高率で,PBCで30%であり,PBCのstage IVでは75%で,stage Iの0%に比し高率であった.b)抗tubulin抗体陽性率は,PBCで60%と最も高率であった.c)抗210KDaMAP抗体,抗tubulin抗体いずれか陽性のものは,ALD 61.1%, CVLD 36%, PBC 65%であった.d)stage IVのPBCの吸光度は,抗tubulin抗体IgAクラスで0.33±0.11, IgMクラスで0.71±0.15で,ともにstage Iに比し有意に高値であった.e)抗MAP2抗体は低率であった.以上より,抗微小管構成蛋白抗体の主な対応抗原は,ALDでは210KDaMAP, PBCではtubulinと推定された.また,PBCでは,組織学的進展に伴い陽性率は高率となり,組織学進展を予測しうる血中マーカーの可能性が示唆された.
抄録全体を表示