肝臓
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34 巻, 9 号
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  • 松崎 浩司, 近藤 栄作, 長山 徹, 山田 秀一, 武藤 ます江, 伊原 文恵, 瓜田 純久, 蜂矢 朗彦, 成木 行彦, 大塚 幸雄
    1993 年 34 巻 9 号 p. 687-695
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ウイルス性慢性肝疾患において,肝表面像の進展に伴い肝動脈の形態および循環動態がどの様に変化しているかを検討した.対象は,腹腔鏡検査にて診断されたウイルス性慢性肝疾患33例と肝障害を伴わない対照群14例の計47例.形態変化では,肝表面像の進展に伴い,第4~6次分枝の変化はcork screw signおよび枯れ枝様変化の割合が徐々に増加し,分岐形態では右肝動脈前枝から分岐する上下枝の分岐角度の実測値と理論値との差が徐々に解離していた.また,固有肝動脈の径は,維持または増大していた.循環動態の変化では,肝表面像の進展に伴い右肝動脈前枝の最高流速は徐々に速くなっていた.固有肝動脈よりICGを注入した検討では,肝表面像の進展に伴い,初期時間は早くなり,ピーク時間は早くなり,ピーク値は増加していた.肝表面像の進展に伴い,エネルギー効率が徐々に低下する形態をとっていた.また,肝動脈の流速は速くなり肝内への動脈流入量は増加していたが,A-V fistulae等の増加が考えられ,有効肝流量は肝動脈流入量ほど増加していないと考えられた.
  • 超音波カラードプラを用いて
    伊藤 均, 真玉 壽美生, 柴田 久雄, 西元寺 克禮
    1993 年 34 巻 9 号 p. 696-704
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    超音波カラードプラにより門脈血流の測定を行い肝硬変症における門脈血行動態を検討した.対象は,肝癌合併例63例を含む肝硬変症179例と非肝硬変症188例である.観察部位は左門脈臍部,右肝内門脈起始部,門脈本幹,脾静脈中央部,脾静脈脾門部,上腸間膜静脈である.肝硬変症(LC)では門脈本幹の血流は非肝硬変症(N-LC)に比し流速は低下しているが(p<0.0001),断面積は増大しており(p<0.0005)血流量には差が見られない.脾腫と脾静脈血流量には相関が見られ(r=0.60,p<0.001),脾腫に伴う脾動脈血流の増加や脾内シャントによる血流増加が原因の一つと考えられる.N-LCの体位変換では重力変化の影響が強く見られたが,Lcではこの影響が少なかった.また,child-Pugh分類による肝機能と門脈血流との間には相関は見られず,この原因としてLCでは脾静脈血流が増大することや肝内シャントなどの無効血流の増大により,門脈血流が保たれるためと考えられる.
  • 藤田 岳史, 丁子 卓, 伊東 克能, 中西 敬
    1993 年 34 巻 9 号 p. 705-709
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌症例に対して造影剤肝動脈内直接注入によるdynamic MRIを施行し,その有用性を文献的考察を加えて検討した.通常の血管造影検査後に肝動脈内にカテーテルを留置したまま患者をMR室に搬送した.使用パルスシーケンスはgradient-echo (GE)法を用いた.まずはじめに息止め下にprecontrast imageを撮像し,次いで希釈した造影剤を注入し,造影MRIを施行した.対象とした12症例14結節中,12結節が造影前に比較して,明らかに造影され高信号を呈し,正常肝実質との間に良好なコントラストが得られた.特に2例においては,治療後の再発腫瘍が血管造影では指摘困難であったが,本法においては描出された.また,他の2例では腫瘍周囲に動脈門脈短絡路によると思われる扇状の染まりが確認できた.造影剤動脈内直接注入によるdynamic MRIは非常に少量の造影剤で良好なコントラスト分解能が得られ,また,任意の断面を純粋な動脈相で得ることが可能であり,肝細胞癌の存在,局在診断,再発の有無,門脈浸潤の評価に有用であると考えられた.
  • 加賀田 豊, 奥平 雅彦, 打越 敏之, 中野 雅行
    1993 年 34 巻 9 号 p. 710-717
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害の組織学的所見を明らかにすることを目的として,文部省総合研究「アルコール性肝障害」(班長高田昭教授)参加施設から提供された143例の肝生検標本を,肝炎ウイルスマーカー陽性の大酒家群35例,肝炎ウイルスマーカー陰性の大酒家群81例,非大酒家群27例に分けて組織学的に検討した.ウイルス性あるいは輸血後の慢性肝炎との組織学的鑑別上,星芒状線維化,肝細胞周囲性線維化,門脈域線維の稠密化および肝細胞の風船様腫大が有用であった.肝炎ウイルスマーカー陰性の大酒家群の19.8%で,ウイルス性慢性肝炎と鑑別困難な,中等度以上の炎症所見を認めたが,その原因についてはアルコール性慢性肝炎の存在を含め,今後の検討が必要と考えられた.また,アルコール性肝炎において,各施設における臨床的診断と,われわれの組織学的診断では一致率が低かった.
  • 大東 恭子, 周防 武昭, 川崎 寛中
    1993 年 34 巻 9 号 p. 718-722
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)治療中に間質性肺炎を発症したC型慢性肝炎の1例を経験した.症例は,58歳,男性.1992年4月にC型慢性肝炎(CAH2A)と診断され,6月よりIFNα-2b6MU/日の投与を開始した.トランスアミナーゼは速やかに正常化したが,IFN投与10週後より発熱,胸痛,乾性咳嗽が出現し,低酸素血症および胸部X線で両下肺野に粒状網状影を認めた.IFNの投与を中止し,抗生剤の投与を行ったが肺炎は増悪したためステロイドのパルス療法を行ったところ,臨床症状,検査所見,胸部X線は劇的に改善した.本例は臨床経過よりIFN投与による間質性肺炎が強く疑われたが,間質性肺炎は対応が遅れると致死的であり,今後IFN療法に際し留意すべきである.
  • 矢野 祐二, 辻 博, 川床 利晴, 藤島 正敏, 松股 孝, 安永 親生, 居石 克夫
    1993 年 34 巻 9 号 p. 723-727
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)の経過観察中に肝細胞癌の合併を認め,切除し得た1症例を経験したので報告する.症例は68歳の女性.1984年にSjögren症候群を合併した無症候性PBCと診断され,定期的に経過観察を行っていた.1989年5月,腹部超音波検査で肝右葉上後区域に径1cmの低エコー腫瘤を認め,精査目的で入院となった.CT検査にて同区域に低濃度腫瘤を認め,肝部分切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍部位は高分化型の肝細胞癌(Edmondson Grade I),非腫瘍部はPBC(Scheuer Stage IV)であった.本症例ではHCV抗体およびHCV-RNAが陽性であり,肝細胞癌の合併にC型肝炎ウイルス感染の関与が示唆された.
  • 芹澤 淳, 中村 達, 西山 雷祐, 今野 弘之, 馬場 正三, 室 博之, 伊藤 以知郎, 石井 英正
    1993 年 34 巻 9 号 p. 728-734
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    特発性門脈圧亢進症(以下,IPH)に,小腸狭窄と肝性脳症が発生した1例を報告した.症例は59歳の女性で,3年前(1988年)に食道静脈瘤に対して食道離断及び脾摘術を受け,IPHと診断された.1年前より肝性脳症を伴うイレウス症状を繰り返し起こすようになった.高アンモニア血症を認めたが,血管造影では明らかな門脈大循環シャントは見られなかった.1988年の画像診断所見と比較すると,肝内門脈枝や腸管膜静脈の著明な狭小化や蛇行がみられた.開腹術を施行し,下部小腸に狭窄を認めたため同部を切除し,肝生検も行った.病理組織学的には,腸管の狭窄は潰瘍瘢痕によるもので,腸管壁の静脈には内膜の肥厚がみられた.肝では門脈域の線維化や末梢門脈枝の狭小化がみられた.
    本例のように,腸間膜静脈の変化を伴い小腸狭窄に至ったIPH症例の報告はなく,本症の病態を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
  • 田中 康夫, 都留 正展, 大沼 恵理奈, 西川 かおり, 富田 潤, 深見 公一
    1993 年 34 巻 9 号 p. 735-739
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は85歳女性.CTで肝右葉に直径約10cmの腫瘤を認め,穿刺組織診で肝細胞癌(HCC)と診断された.18F-fluorodeoxyglucose (18FDG)投与後45~60分にPositron emission tomography (PET)を施行し,グルコースとりこみの亢進を反映する高集積像が肝癌部で選択的に認められた.肝動脈塞栓術(TAE)施行後のPETでは,同部位の高集積像が消失し,肝癌部の血流とグルコースとりこみの低下を示すものと考えられた.以上,肝細胞癌に対するTAEの効果判定にPETが有用であった症例を報告した.
  • 坂本 裕史, 菅 充生, 千葉 進, 瀬ノ田 明範, 生田 茂夫, 金戸 宏行, 黒河 聖, 谷内 昭
    1993 年 34 巻 9 号 p. 740-746
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.進行した肝細胞癌と診断され,肝動脈塞栓療法にて経過をみていたが,両側下顎正中部の痺れ感が出現した.頤神経の支配領域に一致した知覚障害が認められたが,頭部,下顎の画像診断と髄液検査では異常を認めなかった.Numb chin syndromeと診断し,vitamin B-12とdiazepamの投与を行い,症状は軽快傾向を示した.Isolated mental neuropathyは,numb chin syndromeとして知られ,悪性病変に伴うことが多いと報告されている.肝細胞癌に伴うnumb chin syndromeは稀であるが,remote effectのひとつとして注意する必要があると考えられた.
  • 藤田 眞, 黒田 知純, 吉岡 寛康, 井上 悦男, 春日井 博志, 佐々木 洋, 今岡 真義, 石黒 信吾
    1993 年 34 巻 9 号 p. 747-752
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.慢性肝炎として経過観察中,超音波検査で肝に腫瘤を指摘された.MR,血管造影で腫瘍の主な部分は海綿状血管腫に極めて類似した像を示した.しかし, MRで腫瘍の一部に肝細胞癌を疑う像を認めたため,手術を施行した.腫瘍は中分化型の肝細胞癌であり,腫瘍の主な部分にpeliosis hepatisに類似した,著しく拡大した類洞様の構造(peliotic change)を認めた.この部分は画像診断で海綿状血管腫と鑑別困難であった領域に相当した.腫瘍の一部にはpeliotic changeの比較的少ない部分が認められ, MRにより肝細胞癌を疑われた部分に一致していた.海綿状血管腫と肝細胞癌の鑑別におけるMR,血管造影の信頼性は高いが,これらの画像診断によっても海綿状血管腫と鑑別困難な,著しいpeliotic changeを伴う肝細胞癌の存在に注意する必要がある.本症例においては,MRによる腫瘍全体像の把握が術前診断に有用であった.
  • 横山 達司, 八幡 紀子, 大谷 博正, 浅原 利正, 土肥 雪彦, 山本 正美
    1993 年 34 巻 9 号 p. 753-757
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.約12年前にB型肝硬変に合併した肝細胞癌を認め,肝切除を施行した.その後,定期的に腹部USを施行していたところ,肝右葉に直径約15mmのhaloを伴う類円形の小腫瘍を認めた.肝動脈造影では動脈相で不均一な,淡い感じの腫瘍濃染像を認め,辺縁はリング状で,その境界は比較的不整であった.肝部分切除の結果では腫瘍は明瞭な腺管を形成し,腫瘍細胞の一部はCA19-9免疫活性陽性を呈し,胆管細胞癌であった.なお,本症例は胆管細胞癌切除後にHBs抗原がRIA法で消失しており,稀なことと考えられる.
    以上,本例は,肝内胆管細胞癌の比較的初期の病態および画像診断を考えていく上で貴重な1例と考えられたので報告した.
  • 本邦報告例30例の文献的考察
    植松 周二, 井上 純一, 荒木 康之, 野村 正博, 赤木 笑入, 蓮井 利実, 谷水 正人, 山本 和秀, 浮田 実, 辻 孝夫
    1993 年 34 巻 9 号 p. 758-764
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝原発悪性リンパ腫に多発ニューロパチーを合併した1例を経験した.症例は44歳男性.右季肋部痛と四肢のしびれを自覚して来院し,腹部超音波検査にて肝内多発性腫瘤を指摘された.転移性肝腫瘍を疑い原発巣を精査したが発見できず,腹腔鏡下肝生検を施行した.肝表面に突出した数個の白色腫瘤を認め,組織学的にdiffuse lymphoma, 1arge cell type, B cell typeと診断した.CHOP-Bleoの化学療法を開始し,肝内腫瘤は著明に縮小し多発ニューロパチーも消失した.肝原発悪性リンパ腫は本邦で30例の報告をみるが,40~60代男性に多く,腫瘍は孤立性が多い.病理組織学的にはnon-Hodgkin's lymphoma, diffuse type, medium cell type, B cell typeのものが多かった.症状では腹痛,全身倦怠,発熱,肝腫大などが多く認められたが,多発ニューロパチーを合併したのは本例のみであり,悪性腫瘍の遠隔効果によるものと考えられた.
  • 安藤 秀明, 伊藤 英晃, 大里 雅之, 田島 陽太郎, 小山 研二
    1993 年 34 巻 9 号 p. 765-766
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 磯辺 英彦, 永瀬 章二, 酒井 浩徳, 名和田 新
    1993 年 34 巻 9 号 p. 767-768
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 高田 昭, 高瀬 修二郎, 澤田 信, 堤 幹宏
    1993 年 34 巻 9 号 p. 769-770
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • BrdU-抗BrdU法との比較
    清水 昭男, 多羅尾 和郎, 大川 伸一, 武宮 省治, 原田 昌興
    1993 年 34 巻 9 号 p. 771-772
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 従来法(エイテストモノP-II)との比較
    中川 泰一, 関 寿人, 城 知宏, 若林 正之, 伊藤 隆之, 田川 善啓, 塩崎 安子, 井上 恭一, 岡村 明治
    1993 年 34 巻 9 号 p. 773-774
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • オートクレーブ抗原賦活法を用いて
    木村 浩之, 香川 恵造, 大川 原徹, 角水 正道, 中島 智樹, 出口 武司, 岡上 武, 加嶋 敬
    1993 年 34 巻 9 号 p. 775-776
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 坂田 博美, Jiang Bojian, 草野 満夫, 水戸 廸郎
    1993 年 34 巻 9 号 p. 777
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 幸田 弘信, 藤本 佳範, 鳥本 悦宏, 田中 俊英, 水野 正巳, 長谷部 千登美, 関谷 千尋, 並木 正義
    1993 年 34 巻 9 号 p. 778
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 土屋 朋子, 市川 直哉, 長尾 桓, 内田 久則
    1993 年 34 巻 9 号 p. 779
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 34 巻 9 号 p. 780-790
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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