肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
35 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小林 万利子, 熊田 博光, 池田 健次, 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 斉藤 聡, 坪田 昭人, 鯉田 勲, 岩崎 里美, 高木 公子, 中 ...
    1994 年 35 巻 10 号 p. 709-715
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    今回我々は,HCV-genotype(以下genotype)を測定したHCV-RNA陽性C型慢性肝疾患338例についてHCV-serological group(以下serological group)を測定した.serological groupの検出率は95.0%と高率であり,genotypeからみたserological groupとの一致率は,genotype 1bでserological group 1を呈した症例は94.4%, genotype 2aで,serological group 2を呈した症例は97.1%, genotype 2bで,serological group 2を呈した症例は88.2%と単独のtypeにおいては高い一致率であった.しかしmixed typeでは両者一致した症例は16.7%と低率であり,serological groupとgenotypeで不一致例が多くみられるので注意を要すると考えられた.mixed typeを除いたserological groupとgenotypeの不一致は4例(1.2%)であったが,このうちgenotype 3bが2例ありその塩基配列からみて真の意味の完全不一致の症例は2例(0.6%)のみと考えられた.以上からserological groupによるタイピング法は日常の臨床に実用的であると思われた.
  • 山田 潤一, 塚田 勝比古, 星野 信, 埜村 智之, 東 克謙
    1994 年 35 巻 10 号 p. 716-729
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ラット分離肝細胞において,タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)による細胞内遊離Ca2+(〔Ca2+c)上昇の機序について検討した.浮遊肝細胞においてTCDCA (0.1~1mM)刺激により濃度依存性に〔Ca2+cが上昇し,イノシトール三リン酸(InsP3)も濃度依存性,一過性に産生された.単一肝細胞レベルにおける〔Ca2+cの変化はホルモン刺激による周期的なCa2+-oscillationとは異なり,TCDCA添加では単一のスパイクを示した.この反応はTCDCAの濃度に影響されず,濃度依存性に反応する細胞数が増加した.透過性肝細胞においてもTCDCA添加によりCa2+の放出がみられ,飽和濃度のTCDCA (1mM)の反応後にIns (1, 4, 5) P3を添加しても反応が得られず,TCDCAによるCa2+放出はInsP3感受性Ca2+貯蔵部位に由来するものと考えられた.肝細胞におけるTCDCAによる〔〔Ca2+c上昇の機序はPLC活性化によるものと直接細胞内Ca2+貯蔵部位に作用するものと,少なくとも2つの経路が存在することが明らかとなった.
  • 曽我 憲二, 相川 啓子, 豊島 宗厚, 柴崎 浩一
    1994 年 35 巻 10 号 p. 730-736
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    手術不能と診断された進行肝細胞癌28例(塊状型19例,びまん型5例,結節型4例)に対して温熱療法を中心とした集学的治療法を施行しその抗腫瘍効果について検討した.方法は13.56MHz RF誘電加温装置を用い,1回/週,40分間,計10回の加温を原則とした.加温中はMMC, 5-FUなどによる全身化学療法を,加温前後には可能な限りTAE, LPD動注を含むone shot動注療法を併用した.腫瘍の退縮に基づく評価により温熱療法の抗腫瘍効果を検討すると28例中4例(14%)にPRを認めたがその4例はいずれも男性でProtocol通りの充分な加温可能であった症例であり,その肉眼分類は塊状型で,臨床病期ではIが1例,IIが3例と比較的良好な肝機能を有する症例であった.脈管浸潤の程度ではVp2が3例,Vp3が1例であった.また,結節型,びまん型ではその治療効果は極めて不充分であった.
  • 末梢型と肝門型の比較検討
    田口 順
    1994 年 35 巻 10 号 p. 737-744
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    外科切除された肝内胆管癌26例を腫瘍の占拠部位により末梢型18例,肝門型8例に分け,臨床病理学的に比較検討を行った.頻度は原発性肝癌の7.0%であり,平均年齢は約60歳で差はなかった.末梢型は上腹部痛,肝門型は閉塞性黄疸で発症する例が多く,腫瘍マーカーではCA19-9の陽性率が末梢型46%,肝門型75%と高かった.肉眼型は両型とも結節型,胆管周囲増殖型が同等の割合で多く,塊状型は少なかった.組織型は豊富な間質結合織を有する分化型腺癌が多かった.肝内結石の合併は26例中4例(15%)で,末梢型の1例は結石部に近接した胆管上皮に過形成およびdysplasiaを認め,結石と癌化の関連が示唆された.胆管癌は切除可能な比較的早期の段階より,脈管侵襲,肝外リンパ節転移が高率に認められ,胆管癌が予後不良である一因と考えられた.
  • 水野 正巳, 幸田 弘信, 関谷 千尋
    1994 年 35 巻 10 号 p. 745-752
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    FAA-HTCl 1×107個をコントロールラットの腹腔内に移植すると,2週目頃より癌結節が腹腔内に多数出現し,約6週で死亡したが,感作ラットでは腫瘍は完全に拒絶された.移植後peritoneal exudate cells (PEC)をflow cytometryで解析した.2日目に感作ラットとコントロールラットにおいてMacrophage (Mφ)の増加をみた.また,4日目には感作ラットでCD8陽性細胞の割合が増加していた.NK細胞,CD4陽性細胞およびB細胞に変化はなかった.また,PECキラー活性を4日目でみると感作ラットではコントロールラットに比し有意に高く,CD8陽性細胞除去により有意に低下したが,CD4陽性細胞またはMφ除去では影響されなかった.さらに,感作ラットPECはsyngeneicなT-9やallogeneicな肝癌細胞に対してはギラー活性を示さず,FAA-HTClに特異的であった.以上より肝癌の腹腔内転移に対する免疫学的治療では,腫瘍特異的なcytotoxic T cellの誘導が重要である.
  • 水野 幸一, 樋口 健一, 三田村 圭二, 藤村 憲治
    1994 年 35 巻 10 号 p. 753-759
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性.主訴は意識障害.昭和62年及び平成2年にも一過性の意識障害を認めている.平成3年12月に意識消失をきたし入院.種々の臨床検査成績,臨床経過および脳波所見より肝性脳症と診断した.超音波検査およびCT検査により,肝両葉に多発性に肝内胆管の嚢胞状拡張を認めたが総胆管拡張所見はなくCaroli病と診断した.血管造影にて上腸間膜静脈より下大静脈への短絡形成を認めた.肝組織では結節形成はなく,胆管の拡張および増生と胆管周囲の軽度の線維化を認めた.門脈は狭小化し,周囲に軽度の線維化を認めた.門脈圧亢進症を伴ったCaroli病は,線維化合併型に分類されているが,門脈大循環短絡形成を合併した例は稀で,本症例は示唆に富む症例であり,その原因として肝内胆管拡張による門脈の圧迫の他に,先天性肝外門脈大循環短絡症が合併していた可能性も推定された.
  • NS5法とcore法による比較
    橋本 みちえ, 茶山 一彰, 坪田 昭人, 鯉 田勲, 斎藤 聡, 荒瀬 康司, 池田 健次, 小林 万利子, 神田 益美, 岩崎 里美, ...
    1994 年 35 巻 10 号 p. 760-761
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • シンポジウム(2)肝硬変への進展抑制,肝癌発生阻止は可能か
    1994 年 35 巻 10 号 p. 762-775
    発行日: 1994/10/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top