肝臓
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35 巻, 8 号
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  • 本間 定, 戸島 恭一郎, 稲玉 英輔, 金木 昌之, 島田 青佳, 佐藤 泰雄, 戸田 剛太郎
    1994 年 35 巻 8 号 p. 573-579
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBe抗原陽性のB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重感染によるウイルス肝炎5例を経験し,その臨床的特徴を検討した.2例が重感染による慢性肝炎,1例がC型慢性肝炎にB型急性肝炎の併発,2例が重感染による急性肝炎であった.慢性肝炎の2例はインターフェロン(IFN)治療が行われた.うち1例はIFN開始後早期にRCV-RNAの陰性化が認められたが,HBeAgからHReAbへのseroconversion (SC)が得られ,IFN治療が終了するとHCV-RNAは再度陽性化した.一方,他の1例は逆にIFN治療後SCは得られなかったが,HCV-RNAの持続陰性化が認められた.C型慢性肝炎とB型急性肝炎の併発例はHBVの重感染による肝炎の重症化は認めず,HCV-RNA量もB型急性肝炎併発の極期とHBsAg消失後の時期を比較すると変動は認めなかった.HBV, HCV重感染による2例の急性肝炎は,HBsAgの消失後,HCVAbとHCV-RNAも陰性化して治癒に至り良好な経過を示した.これらの症例におけるHBVとHCVの干渉現象につき考察を加えて報告する.
  • 坂本 真一, 岡上 武, 伊藤 義人, 高見 史朗, 安居 幸一郎, 香川 恵造, 加嶋 敬
    1994 年 35 巻 8 号 p. 580-586
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    第二世代HCV抗体(Ortho社ELISA法)陽性の肝機能正常者41名に対し,ウイルス学的,臨床病理学的検討を行い,HCV healthy carrierの存在の有無を含めてその実態を明らかにした.41名中,血中HCV RNAが陽性であったのは26例(63.4%)で,このうち25例は組織学的に慢性肝炎で,活動性の症例が5例あった.aspartate aminotransferase (AST), alanine aminotransferase (ALT)がともに正常であっても,AST/ALT比が1以下である症例では,その94.1%が血中HCV RNAが陽性で,88.2%が組織学的に慢性肝炎であったことより,HCV抗体陽性者において,AST/ALT比はHCV血症および肝病変の有無を予測するのに有用と思われた.血中HCV RNA量およびHCV genotypeの分布は,肝機能異常を有するC型慢性肝炎例と有意な差はなかった.また血中HCV RNA陽性例のうち,肝組織所見がnon specific changeで19ヵ月以上肝機能正常であった症例が1例存在し,いわゆるHCV healthy carrierと思われた.
  • 横田 剛
    1994 年 35 巻 8 号 p. 587-595
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(HCC) 12例,肝硬変(LC) 6例より血清トランスフェリン(Tf)を精製純化し,さらに,HCC 12例中充分量の血清が得られた4例よりAFPをあわせて精製し,その糖鎖構造を微量蛍光標識法であるピリジルアミノ化法を用いて検討した.また,レンズマメレクチン(LCA)ならびにコンカナバリンA (Con A)存在下の交差親和性免疫電気泳動(CIAE)によるレクチン結合性パターンとの対比を行った.HCC由来TfはLCA存在下CIAEにてLC群に比較して,結合性分画の有意な上昇を認め,糖鎖分析にてもフコシル化二分岐型複合型糖鎖の有意な上昇を認めた.また,Con A存在下CIAEでは,HCC群における非結合性と弱結合性分画の和はLC群に比して有意な上昇を示した.さらに,この両者の和とフコシル化率は有意な正の相関関係を示した.他方,AFPにおいてもHCC群での有意なフコシル化二分岐型糖鎖の上昇を認めた.しかしながら,TfならびにAFPのフコシル化率の間には有意な相関関係は認められなかった.このことは,癌化に伴うTfのLCA結合性ならびにCon A非結合性分画の増加,すなわち,糖鎖のフコシル化と多分岐化への変異が同一のTf内で起きているにもかかわらず,フコシル化という共通に認められる糖鎖変異が,蛋白個々により別々に起きている事を示し,癌化における糖鎖調節機構の複雑性を示す結果と考えられた.
  • DNA ploidy patternおよびPCNAの観点から
    北本 幹也, 中西 敏夫, 吉良 臣介, 中塩 了, 川口 稔, 渡辺 恭行, 梶山 梧朗, 浅原 利正, 土肥 雪彦
    1994 年 35 巻 8 号 p. 596-600
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌切除例の詳細な病理組織学的検討により小肝細胞癌においても様々な進行度の症例の存在が明らかとなってきた.今回我々は腫瘍径3cm以下の切除例を対象に,DNA ploidy pattenおよびproliferating cell nuclear antigen (PCNA)陽性率と組織型および肉眼型との関係を検討した.組織型別ではDNA aneuploidyの比率は高分化は10%と低く,中分化50%,低分化40%と中・低分化で高率であった(p<0.05). PCNA陽性率は低分化なほど高値を示した(p<0.05).肉眼型別に見ると,DNA aneuploidyの比率は,境界不明瞭型0%,単結節型27%,単結節周囲増殖型22%,多結節癒合型64%とこの順に高値となる傾向にあった(p<0.05). PCNA陽性率は境界不明瞭型では極めて低値であり,この肉眼型の順に高値となっていた(p<0.05).以上から境界不明瞭型はDNA ploidy pattenおよびPCNA陽性率から見ても早期の肝細胞癌として妥当と思われた.
  • 特にKupffer細胞の関与について
    武藤 大成, 鈴木 正徳, 福原 賢治, 伊藤 浩司, 遠藤 公人, 松野 正紀, 大内 清昭
    1994 年 35 巻 8 号 p. 601-608
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    エンドトキシン血症における肝障害機序を解明する目的で初代培養肝細胞とKupffer細胞との混合培養系を確立し,肝細胞膜の特異的過酸化物であるphosphatidylcholine hydroperoxide (PCOOH)を測定した.PCOOHは肝細胞単独培養群ではLPSを添加しても増加せず,混合培養群にLPSを添加した時のみ増加を認めた.またこの時蛋白合成能の低下や上清中に肝逸脱酵素の上昇もみられた.さらに混合培養系に各種のscavengerを投与した場合catalase優位のPCOOH増加の抑制が認められ,上清中逸脱酵素も有意の低下を認めた.すなわち,肝細胞膜脂質過酸化反応はエンドトキシンにより活性化されたKupffer細胞が放出するoxygen free radicalが関与しており,組織障害の強さの点からもヒドロキシラジカルが本反応のtriggerとなっている可能性が強く示唆された.
  • 特に細胞性フィブロネクチンmRNAの発現
    竹内 司, 石渡 俊行, 工藤 光洋, 浅野 伍朗
    1994 年 35 巻 8 号 p. 609-616
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素投与ラットを用い,肝細胞傷害後の修復過程におけるフィブロネクチン(FN)の産生動態についてそのアイソフォームに着目し,免疫組織化学的および分子病理学的に検討した.血漿型フィブロネクチンを産生,分泌していると考えられている肝臓において,細胞性フィブロネクチンは肝細胞,非実質細胞の両者で産生されており,類洞壁や門脈域に存在していることが確認された.傷害肝においてその産生は7日,14日で著しく増加しており,21日,28日には線維化巣内の非実質細胞とその周囲の肝細胞に豊富な局在を示した.また,対照肝,傷害肝を通してそのアイソフォームパターンはED-A+ED-B-であり変化しなかった.以上,細胞性フィブロネクチンが正常肝組織において類洞壁の構築や細胞の移動,増殖などに寄与していると共に,肝細胞傷害後の線維化に強く関与していることが示唆された.
  • 水腰 英四郎, 田中 延善, 福岡 賢一, 登谷 大修
    1994 年 35 巻 8 号 p. 617-622
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)を合併したC型慢性活動性肝炎の1例を経験した.症例は68歳,男性,肝機能異常と血小板減少の精査のため入院となった.トランスアミナーゼの上昇と第2世代HCV抗体陽性を認め,肝生検組織像より慢牲活動性肝炎と診断された.同時に著明な血小板減少と血小板関連抗体(以下PA-IgG)陽性を認め,骨髄穿刺塗抹像における巨核球の軽度増加の所見からITPの合併と診断した.インターフェロン(以下IFN)の隔日投与(300万単位/日を14日間,さらに600万単位/日を80日間)を行ったところ,肝機能の改害とともに血小板数の増加を認め,両疾患合併例の治療にIFN療法が有効であると考えられた.近年,C型慢性肝炎と自己免疫性疾患との合併が相次いで報告されており,本例におけるITPの発症に,C型肝炎ウイルスによる自己免疫反応の誘発が何らかの関連を有した可能性が示唆された.
  • 谷口 正彦, 吉川 澄, 橋本 創, 山口 時雄, 道清 勉, 森口 聡, 上田 秀樹, 竹谷 哲, 川野 潔, 辻村 俊
    1994 年 35 巻 8 号 p. 623-628
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌切除後の再発に対してPEITを施行した2症例に腺癌の増殖を認めた.症例1は78歳,男性.肝細胞癌術後に再発を認め,PEITが施行されだ.剖検にて肝前下区域に細胆管細胞癌の増殖を認めた.症例2は49歳,男性.肝切除後,肝後上区域に肝細胞癌の再発を認め,PEITが施行された.剖検にて肝細胞癌と共に腺癌細胞の増殖を認めた.症例1は肝細胞癌と共に細胆管細胞癌の併存が認められ,極めてまれな重複形態を示した.症例2では著明な腺癌細胞の増殖を認め,いわゆる混合型肝癌,mixed typeの組織像を呈していた.混合型肝癌はまれな症例であり,不明な部分も多いが,本2症例は混合型肝癌の発生,増殖形態の解明のみならず肝切除術,PEIT施行後の肝細胞癌の再発,進展につき示唆に富む症例であると考えられた.
  • 君付 博, 長崎 嘉和, 山下 裕一, 黒肱 敏彦, 掛川 暉夫, 中島 敏郎
    1994 年 35 巻 8 号 p. 629-632
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の遠隔転移は肺,骨,副腎などがその大部分を占めるが,心臓に転移をきたした稀な一剖検例を経験したので報告する.
    症例は71歳男性で横行結腸癌根治術,完全房室ブロックにて体内式ペースメーカー埋め込み術の既往がある.69歳時に肝細胞癌と診断されリザーバー留置術を行い化学療法を継続した.増悪傾向なく経過は良好であったが意識混濁にて緊急入院した.入院時は意識清明で,ペースメーカー不全を疑ったが心電図上は明らかな所見は認めなかった.心エコー検査で右心室内に内部不均一の低エコー像を認め肝細胞癌の心転移と診断した.入院後,全身状態は悪化し肝不全により入院16病日に死亡した.剖検にて肝全体を占める多発性肝細胞癌と心転移巣を確認した.臨床的に心転移と診断した時点で効果的な治療は困難であったが肝細胞癌の転移形式を推察するうえで貴重な症例と考えられた.
  • 正木 勉, 徳田 雅明, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫, 畠瀬 修
    1994 年 35 巻 8 号 p. 633-634
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 正木 勉, 徳田 雅明, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫, 畠瀬 修
    1994 年 35 巻 8 号 p. 635-636
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 宿主70%部分肝切除術の影響について
    加藤 一哉, 小野寺 一彦, 葛西 眞一, 水戸 廸郎, 草野 満夫
    1994 年 35 巻 8 号 p. 637-638
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 長期生着モデルおよびそのinductivityについて
    加藤 一哉, 葛西 眞一, 小野寺 一彦, 松田 年, 水戸 廸郎
    1994 年 35 巻 8 号 p. 639-640
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大野 道代, 中林 啓記, 池田 忠生, 森 道夫, 志方 俊夫, 江角 真理子
    1994 年 35 巻 8 号 p. 641-642
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 35 巻 8 号 p. 643
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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