肝臓
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36 巻, 1 号
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  • 中舘 一郎, 滝川 康裕, 岩井 正勝, 稲葉 宏次, 遠藤 龍人, 安倍 修, 山崎 潔, 加藤 章信, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一
    1995 年 36 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    当教室にて1981年から1993年までの13年間に経験した劇症肝炎40例を対象に,輸血スクリーニング法の確立した時期を考慮して,1989年以前と1990年以降に分けてその成因を比較し,成因ウイルス別にみた臨床像を検討した.
    成因は,ウイルス性35例,薬剤性1例,自己免疫性4例であり,ウイルスの重感染例は認めなかった.1989年以前はB型68%(輸血後例44%),N型16%であったが,1990年以降はB型20%(輸血後例0%),N型47%とB型の明らかな減少とN型の増加傾向を認めた.
    C型の臨床像はB型に比して,1)肝炎発生から脳症発現までの期間が長い,2)脳症発現時の総ビリルビン値が高い一方,PT(%)が比較的保たれている,3)血清トランスアミナーゼの低下が遷延している,4) AFPの反応が低い,などの特徴を認めた.N型はB型とC型の中間の臨床像を呈しており,その成因については今後さらに検討が必要と考えられた.
  • 石井 透, 小松 眞史, 小野 剛, 船岡 正人, 星野 孝男, 加藤 純司, 倉光 智之, 正宗 研
    1995 年 36 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    初回IFN治療が無効と判定されたC型慢性活動性肝炎患者20例にIFN再治療を行い,その治療効果を検討した.C型肝炎ウイルス(HCV)のgenotypeはII型17例,III型2例,IV型1例,HCV-RNA量は103~1010 (copy/ml)であった.IFN製剤としては,17例にIFNαを24週間で468-660MU,一方3例にはIFNβを12週間で252MU投与した.20例中3例(15%)が著効で,治療終了後もALTは正常値を維持し,HCV-RNAも6カ月以上検出されなかった.著効3例中1例はgenotype III型,残りの2例はgenotype II型であったが,HCV-RNA量は低値(≦105copy/ml)であった.以上から初回治療が無効でもgenotype III型やgenotype II型でHCV-RNA量が低値の症例は再治療の適応と考えられた.
  • 週3回,24週投与を中心に
    箱崎 幸也, 白浜 龍興, 加藤 雅士, 藤岡 高弘, Yoshihiko FUJIOKA, 近藤 壽郎, 佐藤 亮五, 上野 幸久
    1995 年 36 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBe抗原陽性慢性肝炎患者に,インターフェロン(IFN)の24週間,週3回投与を行い,28回投与法と比較し臨床的効果について検討した.対象はHBs, HBe抗原陽性の慢性肝炎39例で,nIFNαの1回投与量は6MUであり,4群[I群(5例):連日28日間投与.IIA群(10例):週2回,28回投与.IIB群(7例):週3回,28回投与.III群(17例):週3回,24週間投与.]に分けて比較した.ALT, DNA-P値のIFN投与前値と終了時値との比較では,II群においてALT (p<0.05), III群においてALT (p<0.01), DNA-P (p<0.05)の有意な低下を認めた.IFN投与終了後6カ月時での著効(HBe抗原陰性及びALT持続正常)率は,I群0例,IIA群2例(20%), IIB群2例(29%), III群5例(29%)で,各群間に差はなかった.IFN 24週間,週3回(計72回)投与では,28回投与と比し著効率改善は困難であった.しかしIFN 24週投与ではALT, DNA-P値の有意な低下がみられ,著効率改善には24週よりさらに長期投与が必要と考えられた.
  • 鵜澤 眞宏, 杉浦 信之, 松谷 正一, 江原 正明, 税所 宏光, 大藤 正雄
    1995 年 36 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    門脈腫瘍塞栓を有する肝細胞癌34例において,カラードプラによる腫瘍塞栓の診断,病態の把握ならびに治療効果の判定を試みた.カラードプラにより,門脈両側に沿って流れる求肝性拍動性血流が15例(44%),腫瘍塞栓内遠肝性拍動性血流が15例(44%),門脈の拍動性逆流が5例(15%),求肝性門脈側副血行路が6例(18%)に見られた.門脈両側の求肝性拍動性血流あるいは腫瘍塞栓内遠肝性拍動性血流の所見は腫瘍塞栓に特徴的な所見であり,全体の74%に見られた.肝細胞癌に対する治療後にこれらの所見が残存した例には,腫瘍塞栓の進展を見た例が多く,予後は不良であった.門脈の拍動性逆流が見られた例では,肝機能障害と食道静脈瘤は高度であり,予後は不良であった.求肝性門脈側副血行路の発達がみられた例では,腫瘍占拠率は低く,肝機能障害は軽度であった.カラードプラは,門脈腫瘍塞栓の診断,臨床病態の把握ならびに治療効果の判定に有用であった.
  • 紀平 隆行
    1995 年 36 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝癌細胞株を用いて,細胞質ダイニンが小胞体の細胞内分布に関与しているか否かについて検討した.二重蛍光免疫染色では,小胞体の分布は微小管骨格の分布とほぼ一致し,微小管を脱重合させると小胞体の細胞内配列が変化した.ダイニンもまた単離した微小管上に染色され,微小管との共在性が認められた.小胞体,ダイニンの染色性は,両者ともサポニンによって喪失せず,Triton X-100によって消失した.細胞ホモジネートの生化学的検討においても,ダイニンはマイクロゾーム分画に存在し,また,小胞体,ダイニンの両者とも微小管分画に存在し,ATPを添加すると両者とも微小管分画より遊離した.以上より,細胞質ダイニンは小胞体に結合し,微小管を介して小胞体の細胞内局在決定に関与していると考えられた.
  • 矢内 常人, 泉 並木, 村上 武司, 星野 裕治, 小野 圭一, 内原 正勝, 三宅 祥三, 沢辺 元司, 榎本 信幸, 田中 雄二郎, ...
    1995 年 36 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,男性.全身倦怠感,黄疸を主訴に来院.家族歴,既往歴に特記することはなく,海外渡航歴,輸血歴,覚醒剤の使用歴もない.GPT 2,900IU/l,総ビリルビン10.5mg/dlと上昇しており,HBs抗原(+), HBe抗体(+), IgG-HBc抗体高力価陽性,HBV-DNAポリメラーゼ(-),血清HDV抗体陽性よりHBVキャリアへのHDVの重感染と考えられた.肝生検組織で亜広範壞死が見られたためインターフェロンによる治療を開始したところ肝機能の改善がみられ,治療後の肝生検組織も改善した.免疫組織化学的検討でも肝細胞の核内にデルタ抗原が証明された.日本でのデルタ肝炎の報告例は少なく,インターフェロン投与後に肝機能のみならず,肝組織所見も改善したことから積極的にインターフェロン治療を行っていくべきであると考えられた.
  • 岡田 俊英, 武藤 寿生, 稲葉 聡, 津川 周三, 真田 治人, 竹田 康男, 馬渕 宏, 野々村 昭孝
    1995 年 36 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Interferon(以下IFN) β投与によって著明な高トリグリセリド(以下TG)血症を来したC型慢性活動性肝炎の1例を報告する.症例は52歳女性.糖尿病と高脂血症にて当科通院中にC型慢性活動性肝炎と診断されIFNβ 600MU/日の連続投与を開始した.投与前254mg/dlであったTGが次第に上昇し15日目に2,538mg/dlの高値を示した.同日腹痛も訴えたためIFNβを中止し保存的に経過観察したところ第64日目に200mg/dlまで改善した.リポ蛋白泳動でIII型高脂血症を示しアポEの高値を認めアポEのgenotypeはε2/ε3を示した.またIFNβ投与中のLPL, HTGLは共に投与中止後に比べ低値を示した.以上より糖尿病と高脂血症の素因のもとにIFNβの投与によりLPL, HTGLの低下を来たし高TG血症を呈したと考えられた.
  • アルコール脱水素酵素(ADH)活性および肝生検所見の観点から
    厚川 和裕, 塚田 信廣, 米井 嘉一, 稲垣 恭孝, 宮本 京, 鈴木 修, 桐生 恭好, 佐藤 慎吉, 加野 象次郎
    1995 年 36 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ADH/GPT比が高値を示した成人発症Still病(AOSD)の2例を報告する.症例1は30歳女性.39℃台の弛張熱,発疹および関節痛を主訴に当院を受診.GOT 133IU/l, GPT 417IU/l, LDH 514IU/lと肝機能障害が認められ入院した.ADH/GPT比が高値を示し,さらに急性期の肝生検像で,中心静脈周囲に限局した肝細胞壊死が確認された.症例2は重症肝障害および播種性血管内血液凝固症を合併した44歳女性.ADH/GPT比が高値を示した.いずれの症例も副腎皮質ステロイド薬が著効し軽快した.これらAOSD 2例における肝障害の主座は中心静脈領域であることが示され,さらに血清ADH活性測定は肝障害の鑑別にも有用と考えられた.
  • 中舘 一郎, 阿部 弘一, 下遠野 秀文, 岩井 正勝, 遠藤 龍人, 滝川 康裕, 山崎 潔, 加藤 章信, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一
    1995 年 36 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • branched DNA assay法からみたインターフェロン再投与での治療効果の検討
    荒瀬 康司, 茶山 一彰, 鯉田 勲, 坪田 昭人, 村島 直哉, 小林 正宏, 鈴木 義之, 斉藤 聡, 池田 健次, 小林 万利子, 熊 ...
    1995 年 36 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 秋山 建児, 加藤 隆文, 佐藤 洋一, 斎藤 英明, 馬場 勝義, 木村 淳, 米田 政志, 中村 公英, 牧野 勲, 中村 伸
    1995 年 36 巻 1 号 p. 62
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 浪久 利彦
    1995 年 36 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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