肝臓
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36 巻, 2 号
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  • 神田 勤, 志水 洋二, 中野 厚, 石上 佳孝, 宮本 岳, 佐藤 智信, 安丸 正一, 村田 浩昭
    1995 年 36 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎(CH) 54例,肝硬変(LC) 98例と年齢・性をmatchさせた健常人(N)48例に対し,dual energy X-ray absorptiometry (DXA法)にて骨塩量を測定し,慢性肝疾患における骨減少症の病態を検討した.
    腰椎骨塩量の%age-matched bone mineral density (%BMD) 90%以下を骨減少症とすると,N 2.1%に比しCHでは11.1%, LCでは28.4%と骨減少症の頻度は有意に高率であった.CHとLCの骨減少症の頻度は,全身%BMDで分析すると差がないのに対し,海綿骨を多く含む腰椎%BMDではCHに比しLCでの頻度が大であり,また骨減少症を合併した慢性肝疾患では非合併群に比し,尿Ca/Cr比や血清骨型ALPが有意な高値を示したことより,肝硬変への移行とともに,高回転型で海綿骨減少優位の骨代謝障害が併発すると思われた.
    骨減少症を合併した肝硬変では肝機能低下と血漿1α, 25-dihydroxyvitamin D低値が二次性(肝性)骨減少症に関与しており,骨代謝パラメーターでみると骨吸収優位で,ホメオスターシスが破綻していた.
  • 堀江 千昌, 堀江 貴浩, 本田 浩仁, 清水 一郎, 伊東 進, 姚 登福
    1995 年 36 巻 2 号 p. 76-84
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    中国の揚子江下流域には肝癌多発地区が存在し,南通も含まれた.南通の供血者のHCV抗体陽性率は中国各地区と比較しても0.7%と低値で,しかも,慢性肝疾患におけるHCV抗体またはHCV-RNAの陽性率は11.6%と低く大半がHBV感染例(82.6%)で,HCV陽性例のHBVとの重複感染率も45.6%であった.さらに,非A非B型慢性肝疾患のHCV陽性率は36.0%で,そのうちの61.4%に輸血歴が認められた.南通のHCVゲノタイプはII型が大半を占め,次いでIII型優位で,日本の分布状況と近似し,HCVコア領域における遺伝子配列は日本型と最も高い相同性を示した.また,中国内の同じ肝癌多発地区でも,HCV感染率およびHBVとの重複感染率に地域差がみられたが,高いHBV感染率とゲノタイプの分布状況は共通していた.これらより中国肝癌多発地区においてはHCVよりHBVが肝癌発生の重要な因子と考えられ,さらに,HCVゲノムの存在状況が日本と近似していることよりHCVが日本より感染伝播した可能性が考えられた.
  • 須堯 慎也, 司城 博志, 渡辺 洋, 田中 正彦, 兪 孝一, 奥村 恂, 田中 昭, 荒川 正博
    1995 年 36 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    40歳の男性,第II世代HCV抗体陽性,HCV-RNAのgenotypeはII型であった.肝生検像より慢性活動性肝炎と診断し,インターフェロン(IFN)α 2b 6MUの投与を開始した.治療開始後トランスアミナーゼはほぼ正常値を継続していたが,開始第95日後,IFN総投与量288MUの時点でGOT 20,270IU/l, GPT 6,820IU/l, LDH 17,790IU/lと著明な上昇を認めたが,血中HCV-RNAはすでに陰性化していた.IFN投与を中止後GOT, GPTは速やかに下降し,凝固因子も改善した.第102病日の2回目の肝生検像では,治療前に比べてグリソン鞘の炎症細胞浸潤はやや軽減し,小葉内にはspotty necrosisと敷石状配列を示す再生肝細胞が多数認められた.その後,肝機能は順調に正常化し,HCV-RNAも持続陰性のまま現在に至っている.
    本症例はIFNによるHCV感染肝細胞排除に生体の免疫能の変化を介する機序も介在することを示唆する症例であると思われた.
  • 田沢 潤一, 酒井 義法, 朝比奈 靖浩, 前川 伸哉, 草野 史彦, 山本 力, 田尻 和男, 佐崎 なほ子, 佐藤 千史
    1995 年 36 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.1982年に食道静脈瘤破裂で当科に入院し,内視鏡的硬化術を施行.その後もC型肝硬変に伴う肝性脳症や腹水のため入退院を繰り返していた.1992年3月と5月に特発性細菌性腹膜炎(SBP)にて入院.1回紹は腹水細菌培養陰性でCZXとDKBにて軽快した.2回目は黄色ブドウ球菌陽性でcefotaximeで軽快せずIMP/CSにて軽快した.同年6月にSBPが再発し入院.腹水中の好中球12,000/μlで細菌培養は陰性だった.
    IMP/CS長期投与にて7月末には軽快したが,8月初めに再発した.PIPCとCAZの投与で同年9月中旬には軽快した.以後再発を防ぐ目的でofloxacinの長期投与を開始したところ,1年9カ月後の今日までSBPの再発はみられていない.C型肝硬変に伴う再発性のSBPに対するofloxacinの有用性が示唆された.
  • 川瀬 千津子, 齋藤 明子, 杉本 千賀子, 桂川 秀雄, 大坪 毅人, 高崎 健, 林 直諒
    1995 年 36 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    アンジオエコーにて腫瘍とともに腫瘍栓もエンハンスされた肝細胞癌切除例で,TAEにより腫瘍栓の壊死が認められた2症例を報告する.症例1は69歳男性.肝S4に2.5cmの肝細胞癌とそれに連続する中肝静脈内の腫瘍栓を認めた.アンジオエコーにて肝細胞癌と腫瘍栓がエンハンスされた.TAE施行後切除し,腫瘍と共に腫瘍栓も壊死に陥っていることを確認した.症例2は73歳女性,小肝細胞癌切除後の再発例.6.5cmの腫瘍がS3にありS3門脈枝から臍部にかけて腫瘍栓を認める.アンジオエコーにて腫瘍栓は淡くエンハンスされ,TAE後切除にて腫瘍栓の壊死を確認した.アンジオエコー法は肝細胞癌結節のみでなく腫瘍栓に関してもその血流動態を反映し,エンハンスの状態から簡単にTAEの効果が推測できると考えられた.
  • 小嶌 秀之, 松村 吉庸, 安 辰一, 吉田 太之, 吉治 仁志, 辻本 達寛, 松村 圭祐, 植村 正人, 高谷 章, 福井 博, 辻井 ...
    1995 年 36 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    先天性肝線維症(CHF)は,若年で門脈圧亢進症や胆管炎をきたす稀な遺伝性疾患である.今回,門脈圧亢進症や胆管炎を伴わないCHFの中年症例を経験したので報告する.症例は59歳,女性.家族歴に特記事項なく,血族結婚なし.昭和60年に子宮癌の術前検査で肝障害を指摘され,以後非A非B型慢性肝炎として通院していたが,C型肝炎ウイルス陰性で精査のため入院した.入院時検査成績ではトランスアミナーゼおよび胆道系酵素の軽度上昇を認めた.超音波検査では肝脾腫,胆管拡張なく,肝・腎に嚢胞を認めなかった.上部消化管内視鏡検査で静脈瘤なく,血管造影でもshunt血管を認めなかった.腹腔鏡にて著明な樹枝状白色紋理を認め,肝組織で小葉構造は保たれ門脈域に著明な線維化と小葉間胆管の増生・拡張がみられたことからCHFと診断した.中高齢のCHFの中には,本例のように門脈圧亢進症や胆管炎をきたさないものがあり,その診断には腹腔鏡・肝生検が有用と考えられた.
  • 浦野 透, 松宮 禎介, 福西 恵一, 小田 幸作, 荒木 雅人, 安積 正作, 芝山 雄老, 賀陽 亮太郎
    1995 年 36 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Niemann-Pick細胞類似細胞の増殖により肝の線維化をきたしたと考えられる進行性全身性硬化症の剖検例を報告した.脾臓は胞体内に多量のミエリン様構造物を有するNiemann-Pick細胞に類似した泡沫状マクロファージの高度の増殖によって腫大していた.肝臓ではNiemann-Pick細胞類似細胞は泡沫状に腫大したKupffer細胞として認められ,小葉周辺帯にはこの細胞による類洞の狭窄とそれによる循環障害の結果と考えられる肝細胞の萎縮,消失,線維化がみられた.本例には食道静脈瘤が認められたが,その原因はNiemann-Pick細胞類似細胞による類洞狭窄と小葉周辺帯の線維化による血流障害および脾腫に伴う脾血流量増加が複合して生じた門脈圧亢進であると考えられた.
  • 山本 秀樹, 廣田 真美, 武田 和久, ニーマル リーマル, 劉 森, 池田 敏
    1995 年 36 巻 2 号 p. 111-112
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 飯島 敏彦, 南部 勝司, 金子 和弘, 平井 康夫, 船津 和夫, 毛利 勝昭, 大久保 秀樹, 今井 允康, 小町 谷恭平
    1995 年 36 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 梶 俊策, 飯塚 俊之, 長田 郁夫, 原田 友一郎, 田中 雄二, 白木 和夫
    1995 年 36 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • シンポジウム(1)肝再生機序-臨床との接点において-
    水戸 廸郎, 沖田 極, 永末 直文
    1995 年 36 巻 2 号 p. 117-137
    発行日: 1995/02/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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