C型慢性肝炎(CH) 54例,肝硬変(LC) 98例と年齢・性をmatchさせた健常人(N)48例に対し,dual energy X-ray absorptiometry (DXA法)にて骨塩量を測定し,慢性肝疾患における骨減少症の病態を検討した.
腰椎骨塩量の%age-matched bone mineral density (%BMD) 90%以下を骨減少症とすると,N 2.1%に比しCHでは11.1%, LCでは28.4%と骨減少症の頻度は有意に高率であった.CHとLCの骨減少症の頻度は,全身%BMDで分析すると差がないのに対し,海綿骨を多く含む腰椎%BMDではCHに比しLCでの頻度が大であり,また骨減少症を合併した慢性肝疾患では非合併群に比し,尿Ca/Cr比や血清骨型ALPが有意な高値を示したことより,肝硬変への移行とともに,高回転型で海綿骨減少優位の骨代謝障害が併発すると思われた.
骨減少症を合併した肝硬変では肝機能低下と血漿1α, 25-dihydroxyvitamin D低値が二次性(肝性)骨減少症に関与しており,骨代謝パラメーターでみると骨吸収優位で,ホメオスターシスが破綻していた.
抄録全体を表示