肝臓
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37 巻, 8 号
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  • 荒川 泰行
    1996 年 37 巻 8 号 p. 405-411
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 吉野 泉, 笠井 みさ子
    1996 年 37 巻 8 号 p. 412-416
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HCV抗体が陽性を示すがHCV-RNAが陰性である症例の感染経路等の検討を行った.対象は,1993年度の定期健康診断にて第2世代HCV抗体を測定されて陽性となった244例の男性のうち同年度の超音波検診に参加した66例とした.これらの対象についてHCV-RNAを測定し,インターフェロン治療歴のあるものを除外したところ56例となった.
    そこでわれわれは,これらのHCV抗体陽性でHCV-RNA陰性を示した12例(HCV-RNA陰性群)を,HCV抗体陽性でHCV-RNA陽性を示した44例(HCV-RNA陽性群)と比較して,それらの感染経路や肝障害について検討した.
    感染経路についてみると,輸血の既往を認めるものは,HCV-RNA陰性群で1例(8%)に認めたのみで,HCV-RNA陽性群の18例(41%)と比較して,少ない傾向を示した(p=0.07).又輸血歴以外に鍼治療歴やC型肝炎を疑わせる家族歴を認めない感染経路が不明なものは,HCV-RNA陰性群で10例(84%)を数え,HCV-RNA陽性群で17例(39%)との間に有意差を認めた(p=0.02).
    一方HBs抗体の保有率は,HCV-RNA陰性群では5例(42%)と高く,HCV-RNA陽性群の6例(14%)との間に有意差が認められた(p<0.05).
    肝機能成績では,HCV-RNA陰性群はGGTPのみ平均値が異常を示したのに対して,HCVRNA陽性群はALT, AST, ZTT, GGTPの4項目で異常値を示し,明らかな差異を示した.
    以上の結果から,HCV抗体陽性HCV-RNA陰性者の大部分は,感染経路が不明な,輸血のような大量ではないHCV感染を受けた後にHCVが排除されて治癒した状態にあるものと判断された.
  • 菊地 文史
    1996 年 37 巻 8 号 p. 417-426
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    エンドトキシン(Et)投与によるShwartzman反応により,家兎に肝組織の変性・壊死を作製し,光学顕微鏡,走査電子顕微鏡(走査電顕)と元素分析装置を用いて,形態学的変化とそれに対応する元素Na, Mg, Al, Si, P, S, Cl, K, Ca, Feの10種類の組織内の量的変動について検索した.走査電顕および元素分析装置用の試料は凍結金属圧着法により凍結後,凍結乾燥し作製した.形態学的に壊死が明らかな部分ではNa, Cl, Caの増加とSi, Kの減少が認められた.しかし形態学的に壊死が未だ明らかとなっていない早期ないし極く軽度の変化でも,対照群に比較して肝小葉中心部のClの増加およびSiの減少,また対照群では肝小葉中心部に多く分布していたSiとAlが小葉全体に均等に分布していることが明らかとなり,これらの元素の早期の変動がShwartzman反応による肝の変性・壊死の発生に重要な関係をもつことが示唆された.
  • 慢性肝炎臨床例および肝障害ラット灌流肝での検討
    与那嶺 美樹
    1996 年 37 巻 8 号 p. 427-434
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞の薬物摂取能は肝機能検査として広く用いられているが,より早期より障害される胆管側への輸送分泌能はあまり検討されていない.慢性肝炎44例,肝硬変20例,健常対照6例を対象に99mTc-N-pyridoxyl-5-methyltryptophan (PMT)肝胆道シンチグラフィーを施行し,その肝平均通過時間mean transit time (MTT)と,肝の摂取能の指標である左心室カウント半減時間(LVT1/2)を算出し比較検討した.LVT1/2は健常者と慢性肝炎の間には有意差はなく肝硬変のみで有意な延長を示したのに対しMTTは健常者から肝硬変へと病変の進展に伴い延長した.これらの指標が実際のPMTの薬物動態と一致するかを検討するために,thioacetamideで作製した肝線維症・肝硬変モデルラットの灌流肝にPMTを加えて,その胆汁中への分泌率を定量した.肝病変の進展に伴いPMT分泌は低下したが摂取は有意な変化を示さなかった.以上よりMTTは摂取能検査に比べより感度の高い肝機能検査と考える.
  • 増本 陽秀, 高杉 直哉, 白原 昶, 田原 章成, 鵜木 秀明, 大槻 眞
    1996 年 37 巻 8 号 p. 435-439
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は23歳,男性.平成7年5月初めて肝障害(AST 1,196IU/L, ALT 2,368IU/L, T-Bil 1.9mg/dl)を指摘された.当科入院時HBs抗原陽性,IgM-HBc抗体陰性,HBc抗体は低力価陽性であった.またHCV-RNA (PCR)陽性,第2世代HCV抗体陰性,第3世代HCV抗体弱陽性であり,B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の重感染と診断した.肝生検の結果は急性肝炎の所見であり,AST, ALT値は3峰性に変動した後低下した.第3世代HCV抗体価は入院後徐々に上昇し,第2世代HCV抗体も第36病日に陽性化した経過から,HCV初感染と考えられた.HBs抗原は第15病日に陰性化し,第30病日にはHBs抗体が出現しその後抗体価が上昇した.極めて短期間にHBs抗原/抗体のセロコンバージョンをきたした点が特異であり,HCVによるHBVの抑制が示唆された.
  • 辻本 達寛, 福居 健一, 松村 雅彦, 小泉 雅紀, 菊川 政次, 小鴬 秀之, 吉治 仁志, 福井 博, 辻井 正, 中島 祥介, 中野 ...
    1996 年 37 巻 8 号 p. 440-446
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    特発性門脈圧亢進症に巨大な肝内門脈肝静脈短絡を合併した稀な1例を報告する.症例は56歳女性,全身倦怠感,四肢振戦を主訴に入院.超音波検査,X線CTにて右門脈枝より右肝静脈,さらに下大静脈へと屈曲蛇行する肝内門脈肝静脈短絡を認め,上腸間膜動脈造影門脈相にて確診された.肝静脈造影では,肝静脈枝相互間吻合を認め,しだれ柳状を呈していた.肝静脈楔入圧は172mmH2Oであった.肝組織像は,門脈が狭小化し,門脈周囲の円形線維化と異常血行路を認め,特発性門脈圧亢進症の特徴を示した.以上より,肝内門脈肝静脈短絡を伴った特発性門脈圧亢進症と診断した.
    本症例の肝内門脈肝静脈短絡が先天性か後天性かは明らかではないが,特発性門脈圧亢進症の病期が進展した結果,肝内門脈肝静脈短絡部以外の門脈血流が減少し,門脈圧の上昇に伴い肝内門脈血流の短絡部へのシフトが生じ,短絡部が一層巨大化したものと考える.
  • 三上 哲弥, 西田 均, 梅田 知幸, 石川 晶久, 石井 誠, 米山 啓一郎, 本田 実, 三田村 圭二
    1996 年 37 巻 8 号 p. 447-455
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変(LC)による孤立性胃静脈瘤(Lg-f)に対する治療法として近年Transjugular Intrahepatic Portosystemic Stent Shunt (TIPSS)に加え,Balloon occluded retrograde transvenous obliteration (BRTO)も行われている.我々はLg-fの治療のために実施したTIPSS後に発生したTIPSS路と門脈(PV)の閉塞にBRTOが有効であった1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.肝硬変症.Lg-fに対してTIPSS施行後,TIPSS路とPVの閉塞,Lg-fの再燃をきたし,DSAではPV本幹からTIPSS路の閉塞を認めた.胃腎短絡路(GR-S)形成による門脈血流の減少によりPVとTIPSS路の閉塞をきたしたと推測された.GR-S血流をPV本幹,TIPSS路方向に変更し,PVの再疎通とLg-fの改善を目的にTIPSS路とGR-SからDouble BalloonによるBRTO (D-BRTO)とTIPSS路のPercutaneous Transluminal Angioplasty (PTA)を施行した.D-BRTO施行後,Lg-fは改善しPV本幹も再疎通し合併症も認められなかった.Lg-fに対するTIPSS施行後に発生したPV, TIPSS路の閉塞の再疎通にD-BRTOは合併症も少なく有用であった.
  • 力山 敏樹, 鈴木 正徳, 福原 賢治, 坂本 宣英, 松野 正紀, 村上 一宏
    1996 年 37 巻 8 号 p. 456-462
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝葉切除後33ヵ月で残肝再発をきたし,再切除しえた肝原発類上皮型血管内皮腫Epithelioid Hemangioendothelioma (EHE)の1例を経験した.症例は57歳・女性で胆摘施行時に肝腫瘍を発見,当科にて肝右葉切除およびS4部分切除術をおこない,EHEの確診をえた.経過観察中に再発を認め,肝S3, S4部分切除術を施行し,術後5-FU,塩酸エピルビシンの肝動注療法を併用した.肝原発EHEは本邦報告が28例に過ぎない非常にまれな疾患である.組織発生については不明な点も多いが,著者らは切除標本から腫瘍培養細胞株を樹立し,腫瘍の発生・線維化における伊東細胞の関与について検討した.本腫瘍の治療体系は末だ確立されておらず切除例も少ないが,本症例は再切除後24ヵ月を経過した現在,再発・転移等の徴候はなく,比較的早期の肝EHEに対しては,積極的な外科的切除と動注化学療法の併用が効果的と考えられた.
  • 小林 万利子, 熊田 博光, 坪田 昭人, 茶山 一彰, 荒瀬 康司, 斉藤 聡, 鈴木 義之, 小林 正宏, 村島 直哉, 鯉田 勲, 池 ...
    1996 年 37 巻 8 号 p. 463-464
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 芳之, 池田 有成, 中村 昭子, 森下 慎二, 松本 政雄, 新村 和平, 井野 元勤, 苅家 利承
    1996 年 37 巻 8 号 p. 465
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 橋本 みちえ, 茶山 一彰, 坪田 昭人, 小林 正宏, 荒瀬 康司, 斎藤 聡, 鯉田 勲, 鈴木 義之, 村島 直哉, 池田 健次, 小 ...
    1996 年 37 巻 8 号 p. 466
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 37 巻 8 号 p. 467-471
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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