神経因性食欲不振症の経過中に, steatohepatitisによる著明な肝腫大を来し, 肝不全にて死亡した1例を報告した. 症例は18歳女性, 主訴は体重減少, 食欲不振. 平成7年8月下旬より食欲不振を認め, 1カ月5kgの体重減少が出現し, 9月27日当科初診. 神経因性食欲不振症と診断された. その後も体重減少 (肥満度-49%) が続くため入院となる. 入院時より著明な肝機能障害を認め, 高カロリー輸液で対処したが, 黄疸, 腹水, 脳症等の肝不全症状が出したためG-I療法, PGE1を開始し適宜血漿交換を併用した. しかしその後も肝不全は進行し, 肝腎症候群を併発し, 透析施行するも第153病日に死亡. 経過中著明な肝腫大を認め, 組織学的にはsteatohepatitisであった. 本例の肝障害の機序として, 高度の栄養障害による肝での脂質代謝障害が主因で, 内因性エンドトキシンの上昇が肝障害を助長した可能性が推測された.
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