急性肝不全の発症における炎症性メディエーターと血液凝固線溶系の関与を明らかにする目的で, 劇症肝炎 (FH) 14例, 亜急性肝炎 (SH) 11例, 急性肝炎重症型 (AH-s) 16例, 急性肝炎 (AH) 9例を対象として, 血漿好中球エラスターゼ (PMN-E), TNF-αおよび血液凝固線溶系の分子マーカーの変動を検討した. PMN-E (median [25-75 percentile] ng/ml) はFH 143 [104-285], SH 78.0 [68.0-101], AH-s 71.5 [57.3-105], AH 74.0 [57.0-137] であり, FHがSH, AH-s, AHに比し有意の高値を示したが, TNF-αは陽性例が少なく, またそのレベルも疾患で差を認めなかった. PMN-EはGOT (r=0.50, p<0.001), thrombinantithrombin III complex (r=0.62, p<0.001), plasmin-α
2 plasmin inhibitor complex (r=0.39, p<0.001), fibrin degradation products (r=0.60, p<0.001) と有意の正の相関を示し, 好中球の活性化が血液凝固線溶亢進および肝細胞壊死に密接に関連していると考えられた.
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