総分枝鎖アミノ酸/チロシンモル比 (BTR) の肝予備能評価における意義を明らかにするために以下の検討を行った. 肝硬変患者, 肝癌合併肝硬変患者を対象にBTRと従来の肝予備能検査およびBTRと肝予備能評価に有用である肝アシアロシンチの相関につき検討した. BTRはFischer比と良好に相関した. BTRは慢性肝炎, 肝硬変で有意な変化を示した. 肝硬変, 肝癌合併肝硬変患者で, BTRは肝アシアロシンチのLHL15とr=0.631 (P<0.001), HH15とr=-0.645 (P<0.001) と良好な相関を示した. またBTRは, 種々の肝機能検査値とも良好な相関を示した. BTRのカツトオフ値による, 代償期, 非代償期の鑑別は, 肝硬変群で2.40 (感度100%, 特異度92%), 肝癌合併例では, 3.45 (感度81.3%, 特異度78.6%) であり, 病態の把握に本検査は有用と考えた. 以上よりBTRは, その測定法の簡便さから, 日常臨床の場で肝疾患患者の肝予備能, 病態把握に有用な検査であると考えた.
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