肝臓
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40 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 森脇 久隆
    1999 年 40 巻 12 号 p. 633-635
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    はじめにも述べたように, 近年, 肝硬変患者のエネルギー代謝が, 生命予後や手術成績との関連から大いに注目されている. ただし, 肝硬変のエネルギー代謝を適切に改善する方法については, インスリン投与以外には, 未だ意見の一致を見ていない. 1つの有力な手段がLES (NES) であり, 山下論文の「肝硬変患者の末梢組織では糖利用は遅延しているが, 一方亢進もしている」という発見は, 必要量のエネルギーをゆっりと (分割して) 投与すれば, 肝硬変患者ではむしろ利用効率は健常者より高いかもしれないとの示唆を与え, この治療法の意義を強く支持するものである.
  • 山下 智省, 鈴木 千衣子, 谷川 幸治, 坂井田 功, 沖田 極
    1999 年 40 巻 12 号 p. 636-644
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    肝硬変患者におけるグルコース利用能を評価する目的でグルコースを経口的あるいは経静脈的に投与した後のグルコース利用率と非蛋白呼吸商を間接カロリーメーターを用いて計測した. 経口的, 経静脈的投与のいずれにおいても対照に比し肝硬変患者ではグルコースの利用が遅延する傾向を認めた. 肝硬変患者を代償期群と非代償期群とに, あるいはChild分類別に分けた比較では肝硬変がより進展した群においてグルコース利用能は亢進していた. 経口的投与後のグルコース利用率はbody mass indexとの間に有意な負の相関を, クレアチニン身長係数比との間に有意な正の相関を認めたが, 血中アルブミン, コレステロール, プロトロンビン時間およびアンモニアとの間には相関を認めなかった. 肝硬変患者では進行例においても遅延しながらもグルコース利用能は亢進しており, このことは末梢組織でのグルコース利用の亢進を反映していると考えられる.
  • 林 篤, 長田 郁夫, 岡本 学, 村上 潤, 細田 淑人, 飯塚 俊之, 河野 由美, 白木 和夫, 田澤 雄作
    1999 年 40 巻 12 号 p. 645-648
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    感冒様症状が出現した翌日以後, 3日間アスピリンの内服投与を受け, 4日目に嘔吐が出現, 意識障害の進行を認めたが, 血漿交換療法等により神経学的合併症を認めることなく救命しえた確定Reye症候群2歳男子例を経験した. 投与量は80mg/kg/day, 入院時血中サリチル酸は22μg/mlであった. 本邦小児へのサリチル酸製剤投与に対するより適切な適応基準の設定が望まれる.
  • 村上 潤, 細田 淑人, 岡本 学, 飯塚 俊之, 長田 郁夫, 田中 雄二, 白木 和夫, 田澤 雄作
    1999 年 40 巻 12 号 p. 649-653
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    小児期非アルコール性脂肪性肝炎の報告は限られている. 我々は病因不明の高トランスアミナーゼ血症を主訴とし, 検査の結果, 非アルコール性脂肪性肝炎と診断した2男児例を経験した. 2例共に肥満, 高レプチン血症, 1例に耐糖能の異常を認めた. 肝組織像は両例に大脂肪滴型脂肪肝の他, 肝実質では軽度の炎症性細胞浸潤, 肝細胞壊死を認め, 門脈域では軽度の炎症性細胞浸潤, 線維化が認められた. 慢性肝機能異常を認める肥満児の長期的予後, 特に進行性肝病変への進展が危惧される.
  • 金澤 信彦, 泉 並木, 清水 まゆみ, 星野 裕治, 野口 修, 内原 正勝, 三宅 祥三, 堺 隆弘, 榎本 信幸, 田中 雄二郎, 佐 ...
    1999 年 40 巻 12 号 p. 654-660
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例1は56歳男性. 1991年に原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断されウルソデオキシコール酸 (UDCA) を内服し経過良好であった. 1994年頃より徐々に血清クレアチニン値が上昇した. 1997年に腎生検で間質性腎炎と診断されプレドニゾロン (PSL) 内服を開始した. PSL内服を開始しクレアチニン値は改善した. 症例2は55歳女性. 1994年PBCと診断されUDCA内服にて経過良好であった. 1996年頃より徐々に血清クレアチニン値が上昇し1997年腎生検で間質性腎炎と診断された. 尿細管性アシドーシスの合併も指摘された. PSL内服を開始して, クレアチニン値は改善した. PBCと間質性腎炎の合併は稀であり, 症例報告が3例みられるのみである. PBCの経過中に血清クレアチニンの軽度の上昇がみられた場合には間質性腎炎の合併を念頭におく必要があると考えられた.
  • 菊山 正隆, 笹栗 毅和, 平井 律子, 北中 秀法, 熊岡 浩子, 萱原 隆久, 望月 千博, 玉腰 勝敏, 松林 祐司, 西平 友彦, ...
    1999 年 40 巻 12 号 p. 661-666
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は肝硬変 (HCV抗体陽性) の50歳の男性で肝右葉の結節性病変を指摘された. 肝動脈造影下CTで低吸収域, 門脈造影下CTで軽度高吸収域として認められたが, 腫瘍生検では肝細胞癌の診断が得られた. 肝切除術が施行され, 被膜形成を伴う径15mmの高分化型肝細胞癌であった. 腫瘍は脂肪化を伴い門脈枝の介在はあるが動脈性腫瘍血管は認められなかった. 免疫組織染色では血洞内皮細胞にFactor VIIIの異常発現はなく, クッパー細胞を認識するCD68では周囲肝組織に比較し発現細胞が多く, 特に脂肪化の部分に目立っていた.
  • 宍戸 英樹, 石井 浩, 中村 広志, 江原 正明
    1999 年 40 巻 12 号 p. 667-671
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    62歳の男性, 動悸, 息切れを主訴として来院. 1990年12月に肝細胞癌の初回治療 (経皮的エタノール注入療法) を受け, 1996年3月~5月に右肩甲骨転移及び左腸骨転移に対して放射線療法を施行されている. 入院時の肝障害度はChild Bに相当し, α-フェトプロテイン (AFP) の著明高値がみられた. 心エコーで右室腔内に6×4cmの腫瘤がみられ, 肝細胞癌の右室転移による両心不全と診断し, 対症療法を行ったが入院後23日目に死亡した. 剖検では, 肝内に肝細胞癌の再発はみられず, 心臓は, 右室内腔にEdmondsonII~III型の肝細胞癌が充満し, 心内膜及び心筋への浸潤もみられた. 肝静脈, 下大静脈, 右房からの連続進展はみられなかった. 肝内に再発がみられず, 右室へ孤立性の転移を生じた肝細胞癌例は極めて稀であり, 文献的考察を加えて報告する.
  • 竹下 篤, 黒川 晃夫, 成山 硬, 安田 恵美, 栗栖 義賢, 福西 恵一, 江頭 由太郎, 芝山 雄老, 松尾 隆広, 井山 峰一, 野 ...
    1999 年 40 巻 12 号 p. 672-676
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例, 73歳, 女性. 肝右葉を置換するように高度に増殖した胆管細胞癌症例の左葉に典型的な結節性再生性過形成がみられた. 結節性再生性過形成の発生機序は門脈枝閉塞による肝内血流の不均等がもたらす肝細胞の萎縮とそれに対する代償反応であると一般に考えられているが, 本症例では門脈枝の病変はごく軽度であった. これに対して, 肝静脈枝は胆管細胞癌の侵襲とそれによると考えられる内膜肥厚のために狭窄, 閉塞していた. したがって, 本症例の結節性再生性過形成の発生には, 右葉の癌置換による肝細胞消失に対する代償性の左葉肝細胞の増生と, 左葉肝静脈枝の癌侵襲による狭窄, 閉塞の結果としての肝内血流の不均等が関与していると考えられた.
  • 右橋 龍爾, 森安 史典, 鍋島 紀滋, 中村 武史, 杉之下 与志樹, 松村 毅, 戸田 泰信, 千葉 勉
    1999 年 40 巻 12 号 p. 677-678
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 塩見 進, 正木 恭子, 田守 昭博, 河田 則文, 羽生 大記, 坂口 浩樹, 武田 正, 西口 修平, 関 守一, 黒木 哲夫
    1999 年 40 巻 12 号 p. 679-680
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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