肝臓
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40 巻, 3 号
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  • 最近の進歩
    福井 博
    1999 年 40 巻 3 号 p. 113-127
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    腹水治療がいかに進んだとはいえ, 難治性腹水が重篤なLCの徴候であることは変わらない. 重症LCの治療にあたっては多少の腹水の残存はやむを得ないことを認識し, 薬物の過剰投与による合併症を招かないように, 十分注意する必要がある. 病態生理の理解の上に立った無理のない治療を心がけたい.
  • 畑中 正行, 高崎 健, 大坪 毅人, 次田 正, 山本 雅一, 片桐 聡
    1999 年 40 巻 3 号 p. 128-134
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌129結節 (初回治療75結節, 切除後再発54結節) を対象とし, 血管造影所見および腫瘍径とTAEによる治療効果の関係を検討した. 血管造影所見としては, 腫瘍と非腫瘍の境界 (明瞭, 不明瞭), 腫瘍濃染の均一性 (均一, 不均一), 腫瘍濃染の程度 (強, 弱) について行い, TAE後1年経過後もviable lesionの出現を認めない結節を完全壊死結節とした. 完全壊死率は境界明瞭結節で61%, 均一濃染結節で57%, 強濃染結節で40%と有意に良好であり, 腫瘍径別検討では初回例では20mm~30mm, 再発例では10mm~20mmの腫瘍径において治療効果は最も良好だった. また, 境界明瞭, 均一濃染, 強濃染を示す結節の頻度は, 再発例において高く, 初回例では20%, 再発例では41%が完全壊死となり再発例の方が総じて治療成績は良好だった. 血管造影所見と腫瘍径を考慮して適応症例を選べばTAEの治療成績の向上が期待できる.
  • 鈴木 智浩, 新沢 穣太郎, 東條 淳, 大平 弘正, 粕川 禮司
    1999 年 40 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎の経過を呈した自己免疫性肝炎の4例を経験し, 文献的考察を加え報告した. 症例1: 52歳, 女性. かぜ様症状で発症. PT, HPT共に5%未満, T-Bil 35.1 mg/dl, 肝性昏睡IV度. 症例2: 70歳, 女性. 近医にて肝機能障害を指摘される. PT 31.9%, T-Bil 27.3mg/dl, 肝性昏睡II度症例3: 56歳, 女性. 悪心, 嘔吐で発症. PTは30.3%, T-Bil 4.8mg/dl, 肝性昏睡II度症例4: 61歳, 女性. 全身倦怠感, 黄疸で発症. PT 25.4%, T-Bil 22.3mg/dl, 肝性昏睡III度. 症例1は不可逆的な肝不全状態でありステロイド投与, 血漿交換療法を施行しても救命できなかったが, 他の3例はステロイド投与, 特にステロイドパルス療法および血漿交換療法を施行し救命し得た. 肝予備能が残存している発症早期にステロイドホルモン剤の大量投与, 血漿交換療法が有効と考えられた.
  • 建石 良介, 寶田 潤子, 前田 修, 田川 一海, 鵜沼 直雄
    1999 年 40 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    急性肝炎重症型3症例にインターフェロン, ステロイドパルス療法を行い著効を示した. 著者らは経過とともに変動するプロトロンビン (PT) 値に特に注目し, その悪化をみた場合, 劇症化を待たずに早期に同療法に踏み切った. 第1例は49歳, 女性. PT30.4%, GOT9009U/l, T. Bil7.1mg/dlを示し, 入院3日目PT23.4%と低値を持続したため同療法を行い, 投与4日目にPT73.5%と正常化した. B型肝炎であった. 第2例は50歳, 女性. PT45.5%, GOT2321U/l, T. Bil5.2mg/dlを示し, 入院2日目PT33.1%と低下をみたため, 同療法に踏み切り, 投与4日目にPTは79.2%と上昇した. A型肝炎であった. 第3例は59歳, 男性. GOT2127U/l, T. Bil3.2mg/dl/, PTは89.8%と正常であったが, 入院2日目にはPT51.6%と低下した. 同療法により投与2日後にPT96.9%と改善した. A型肝炎であった.
  • 山崎 薫, 神山 俊典, 芝 祐信, 江畑 明, 杉浦 克明, 佐藤 千史
    1999 年 40 巻 3 号 p. 146-149
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は17歳, 女性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことなし. 1997年1月下旬より咽頭痛, 38℃台の発熱が続き, 肝障害, 腹部エコーにて肝及び脾に多発性の腫瘤性病変を認めたため精査目的にて入院. 入院時に著明な肝脾腫を認めた. 末梢血像は正常であったが, 肝腫瘍生検にて著明な小円形細胞の腫瘍性増殖を認めた. 骨髄穿刺にてリンパ球表面マーカーはCD10, CD19, CD20, CD34陽性でありALL (L1) に合致した所見であった. その後末梢血中に腫瘍細胞が出現し, 化学療法にて肝腫瘤像の著明な改善を認めた. 白血病細胞は高頻度に肝に浸潤するが, 重症肝障害を来すことは稀とされる. 本例は入院時に肝障害を認め, 診断時において末梢血像に腫瘍細胞の出現なく, 多発性の肝腫瘤を契機にALLの診断に至った. 白血病においては一般的に肝生検などによる診断は禁忌な場合が多いとされるが, 早期に肝生検を施行し診断できた貴重な症例と思われ報告した.
  • 三浦 義明, 遠藤 龍人, 中村 篤志, 滝川 康裕, 中舘 一郎, 吉田 俊巳, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一, 斎藤 和好, 増田 友之, ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    患者は23歳, 女性. 約6年間, 再生不良性貧血のため輸血, 蛋白同化ステロイドなどで治療. 経過中に心窩部痛が出現し腹部超音波検査 (US) で肝左葉外側上区域に境界明瞭な17×13mmの低エコー腫瘤を認めた. 3カ月後のUSでは腫瘤は径25mmと増大していた. 腹部造影CTで腫瘤は早期相で軽度enhanceされ, 晩期相では周囲にhigh density ringを伴う低吸収域を認めた. 腹腔動脈造影では左肝動脈に血管増生を認め, 静脈相で肝左葉外側区域に円形の濃染像を認めた. 短期間に著明な増大を認め (doubling time 43日), 画像診断所見からも肝細胞癌を否定できず, 肝左葉外側区域切除術を施行した. 病理組織学的には被膜や中心瘢痕を伴わない肝過形成性結節であった.
  • 中井 資貴, 佐藤 守男, 河合 信行, 谷畑 博彦, 南口 博紀, 寺田 正樹, 武内 泰造, 増田 光則, 大島 章
    1999 年 40 巻 3 号 p. 156-162
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性. C型慢性肝炎経過観察中, 肝癌を指摘され血管造影を施行した. 血管造影にて描出されず, CTAでhypodensity, CTAPでisodensityとして描出される径4cm大の結節が認められた. この結節は, single level dynamic CTA (以下SLD-CTA) でも明らかな動脈血流は認められなかった. 同結節はCTAPでは肝実質とほぼisodensityとして描出されたが, single level dynamic CTAPの後期相で周囲肝組織よりも低濃度となり, 門脈血流の軽度低下が疑われた. 同結節は超常磁性体酸化鉄粒子 (super-paramagnetic iron oxide : SPIO) 造影MRIでは, SPIOの取り込みが見られた. 生検の結果, 本結節は高分化型肝癌であった. 3ヵ月後再度アンギオCTを施行したところ, 腫瘍中心部に動脈血流を有する脂肪変性部が出現しており, 脱分化巣と考えられた. 同部はSPIO造影MRIにて明瞭に描出しえた. またSLD-CTAにて同部に動脈性腫瘍血管を明瞭に描出しえた.
  • 特別講演
    渡辺 明治
    1999 年 40 巻 3 号 p. 163-165
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • シンポジウム
    安藤 量基, 木村 公則, 大西 弘生, 森脇 久隆, 冨田 栄一, 石川 哲也, 各務 伸一, 池田 弘, 仁科 恭一郎, 清野 哲司, ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 165-175
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • ワークショップ
    宮澤 光男, 上田 政和, 島津 元秀, 北島 政樹, Linda Griffith, 澤雅 之, 間宮 規章, 星 智和, 中澤 文朗, ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 176-189
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 一般演題
    江藤 敏治, 弘野 修一, 永田 賢治, 加藤 順也, 堀 剛, 井戸 章雄, 林 克裕, 坪内 博仁, 小野寺 誠, 阿部 弘一, 宮坂 ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 189-198
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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