肝臓
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40 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 堀江 裕, 川崎 寛中
    1999 年 40 巻 6 号 p. 337-341
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 阿部 雅則, 舛本 俊一, 山本 和寿, 山下 善正, 道堯 浩二郎, 堀池 典生, 恩地 森一
    1999 年 40 巻 6 号 p. 342-345
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    一般肝機能検査異常が出現する前に肝生検組織を得ることのできた薬物アレルギー性肝炎の1例を経験したので報告する. 症例は68歳, 男性. 一過性脳虚血発作の診断にて入院中に, カルバマゼピン投与を開始した. 腹部超音波検査にて肝内結節性病変を認め, 肝生検を施行した. 肝生検時は, 肝機能検査は全て正常範囲内であった. 結節部は限局性脂肪沈着と診断した. 非結節部は肝細胞のballooningと門脈域にリンパ球を主体とした炎症浸潤を認めた. 肝生検2日後よりトランスアミナーゼと胆道系酵素の上昇が出現し, 内服薬を中止したところ24日目に正常化した. リンパ球幼若化試験でカルバマゼピンが陽性で, カルバマゼピンによる薬物アレルギー性肝炎と診断した. このような薬物アレルギー性肝炎のごく初期像をとらえた報告はなく, 示唆に富む症例と考えられた.
  • 新妻 宏文, 石井 元康, 小島 敏明, 菊池 公美子, 鈴木 千晶, 小林 智夫, 五十嵐 勇彦, 真野 浩, 上野 義之, 小林 光樹, ...
    1999 年 40 巻 6 号 p. 346-349
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.
  • 道免 和文, 小野原 信吾, 阿治部 弘成, 白浜 正文, 宮本 祐一, 入江 康司, 石橋 大海
    1999 年 40 巻 6 号 p. 350-354
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性. C型慢性肝炎の精査目的で当科を受診. 飲酒歴はない. 超音波検査 (US) にて肝内に径10-20mmの高輝度結節を多発性に認め. 狙撃生検にて限局性脂肪沈着の所見が得られた. 非結節部は慢性活動性肝炎像であった. 皮膚日光曝露部に色素沈着ならびに水庖形成がみられ. 肉眼所見. 生検所見. 尿中ポルフィリン値より晩発性皮膚ポルフィリン症 (Porphyria cutanea tarda. PCT) と診断した. PCT. C型慢性肝炎. 限局性脂肪肝のそれぞれ2者を合併した症例の報告は散見されるが. 同時に3者が認められた報告例は1例をみるのみであり. また飲酒歴を有していないポルフィリア疾患に限局性脂肪肝が生じた報告例はない. 本症例はこれらの相互の関連性を考える上で示唆に富むため報告した.
  • 橋本 善弘, 竹内 靖雄, 定本 貴明, 杉本 元信
    1999 年 40 巻 6 号 p. 355-360
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    62歳の男性, 胆道系酵素上昇の原因精査目的にて入院. 薬物, アルコール, 肝炎ウイルス, 肝外病変の関与はすべて否定された. IgM上昇, 抗ミトコンドリア抗体 (AMA) 陰性, 抗平滑筋抗体 (ASMA) 陽性, 肝生検にて軽度ながら慢性非化膿性破壊性胆管炎を示唆する所見を認め, 無症候性原発性胆汁性肝硬変と診断された. ウルソデオキシコール酸 (UDCA) 内服継続にて検査所見は正常化し, ASMAは陰性化し, AMAは終始陰性のままだった. しかし, 5年後の肝生検で炎症像および線維化の軽減を認めるものの, 胆管病変の持続を認めた. しかも, その後2年間にUDCAの減量, 中止により検査所見が動揺, 再開により改善を認めた. 本例の7年余りの経過が興味深く, 本症類縁疾患との異同を論じる上に示唆に富む症例と思われた.
  • 翁長 由紀子, 宇都 浩文, 永田 賢治, 翁長 正明, 駒田 直人, 堀 剛, 弘野 修一, 林 克裕, 黒木 和男, 坪内 博仁
    1999 年 40 巻 6 号 p. 361-365
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は65歳, 男性. 常習飲酒家. 15年前より露光部に色素沈着があり, 創傷が治癒しにくかった. 1995年9月, 肝内腫瘤を指摘され, 当科に入院. 日光曝露部に色素沈着を認め, 血液生化学検査では血清トランスアミナーゼの軽度上昇, 血清鉄とフェリチンの高値がみられた. 尿中ウロポルフィリンは著増し, 尿中ポルフィリン前駆体および血中・便中ポルフィリンは正常範囲内で, HBVおよびHCV関連マーカーはすべて陰性であった. 腹部USTで右葉に充実性腫瘤を認め, 同部位からの狙撃生検像は高分化型の肝細胞癌 (HCC) の所見であった. 非癌部の組織像は肝硬変の所見で, 肝細胞内には針状結晶が存在した. 肝組織中のHBV-DNA (PCR法) およびHCV-RNA (RT-PCR法) は陰性であった. 以上の検査結果より, HCCを合併した晩発性皮膚ポルフィリン症 (porphyria cutanea tarda; PCT) と診断した. HBVおよびHCVが関与していないPCTにおけるHCC合併例はこれまで本邦では報告されていないので, PCTにおける肝発癌について文献的考察を加え報告する.
  • 松本 昭範, 大田 人可, 高邑 明夫, 齋藤 博哉
    1999 年 40 巻 6 号 p. 366-374
    発行日: 1999/06/25
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例1は56歳の男性. S2の肝細胞癌と左葉外側区の肝内胆管から総胆管にかけての胆管内腫瘍栓を認めた. Epirubicin (EPIR) の動注と30Gyの放射線外照射治療を行ったところ胆管内腫瘍栓は消失し, その後CDDP10mgと5-FU1000mgの肝動脈内注入を2週に1回リザーバーから行いCRとなった. 治療後19カ月経過し, 再発は認めない. 症例2は56歳の男性. 肝右葉の肝細胞癌と門脈内腫瘍栓および肝内胆管から総胆管にかけての胆管内腫瘍栓を認めた. EPIR動注併用放射線治療を行ったところ胆管内腫瘍栓は消失し, その後CDDPと5-FUの動注にてPRとなった. 胆管内発育型肝細胞癌は早期に黄疸をきたし予後不良とされているが, 抗癌剤動注併用放射線外照射治療により2例とも胆管内腫瘍栓は消失し, PR以上の治療効果が得られたことからきわめて有効な治療法と思われた.
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