肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
41 巻, 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 永森 静志
    2000 年 41 巻 12 号 p. 783-788
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 小島 俊彦, 海瀬 俊治, 小原 勝敏, 大平 弘正, 黒田 聖仁, 高木 徹, 粕川 禮司
    2000 年 41 巻 12 号 p. 789-798
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症 (PH) の病態におけるEndothelin-1 (ET) の関与を検討するため, PH患者37例 (肝硬変症LC: 16例, 特発性門脈圧亢進症IPH: 13例, 原発性胆汁性肝硬変症PBC: 8例) の静脈血および門脈血ET濃度を酵素免疫法にて測定した. 静脈血ET (ETv) 濃度はPH患者で健常者に比し高い傾向にあり, 門脈血ET (ETp) 濃度はIPHで他肝疾患に比し有意に低値であった. いずれの疾患でもETv濃度とETp濃度との間には相関は認められず, ETv濃度とETp濃度は門脈圧 (PVP) 値と相関しなかった. LCでETp濃度と血中総ビリルビン値との間に, PBCでETvあるいはETp濃度とICGR15との間に有意な負の相関が認められた. 内視鏡的硬化療法前後でPVP低下群ではETp濃度は低下しLCではETp濃度とPVP値の低下傾向を, PBCではETp濃度とPVP値の上昇傾向を認めた. 以上より, ETp濃度はPHの病態に深く関与すると考えられた.
  • 肝癌追跡調査委員会
    2000 年 41 巻 12 号 p. 799-811
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    全国829施設から送付された原発性肝癌17,534例の新規症例 (1996年-1997年) と16,766例の追跡症例を解析した. 新規症例については疫学, 臨床病理学的事項, 診断, 治療に関する195項目を集計した. 約95%が肝細胞癌, 3.6%が胆管細胞癌であった. さらに, 追跡症例を含めて組織型別, 背景因子別, 治療法別の生存率を算出した. とくに肝細胞癌については, 腫瘍径, 腫瘍個数, 臨床病期を組み合わせて肝切除, エタノール注入療法, 肝動脈塞栓療法の生存率を検討した. また, はじめてマイクロウエーブ凝固療法の治療成績も算出した.
  • 柿木 嘉平太, 橘 良哉, 米島 博嗣, 荻野 英朗, 里村 吉威, 鵜浦 雅志
    2000 年 41 巻 12 号 p. 812-816
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性. 1998年4月より心室頻拍症のためメキシレチン (商品名: メキシチール) を内服していた. 5月1日心室頻拍症の治療目的に入院した際, GOT 88IU/l, GPT 245IU/lと肝障害を認めた. 肝炎ウイルスマーカー, 自己抗体は陰性で, 薬剤性肝障害が疑われた. メキシレチンを中止しリドカイン (商品名: キシロカイン) の持続点滴に変更したところ5月11日には発熱, 皮疹が出現し, GOT 1508IU/l, GPT 2146IU/l, T. Bil. 28.3mg/dlと肝障害は重症化した. ステロイド投与と血漿交換を行い肝障害は改善傾向を示したが, 心室性頻拍の再発に対しリドカインの再投与を行ったところ肝障害が再発した. メキシレチン及びリドカインは肝障害の副作用報告の少ない薬剤であるが時に重症肝障害を来しうると考えられた.
  • 竹下 篤, 黒川 晃夫, 成山 硬, 安田 恵美, 栗栖 義賢, 江頭 由太郎, 芝山 雄老, 松尾 隆広, 板橋 司, 竹内 利寿, 塩埼 ...
    2000 年 41 巻 12 号 p. 817-822
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は門脈血栓を伴う肝線維性多嚢胞性疾患 (先天性肝線維症と胆管炎を伴わないCaroli病との合併) の68歳, 男性である. 死亡の約2年半前になって初めて食道静脈瘤などの門脈圧亢進症状, 高度の肝不全症状および著しい肝萎縮が出現した. 肝不全症状および肝萎縮は肝線維性多嚢胞性疾患にはほとんどみられないことから, これらは門脈本幹から右枝および左枝にかけて形成された血栓と密接に関係しているものと考えられる. すなわち, 形成された門脈血栓が門脈循環障害を増悪させ, 肝不全および肝萎縮を惹起したものと推測される.
  • 中川 圭, 鈴木 正徳, 海野 倫明, 遠藤 公人, 片寄 友, 松野 正紀
    2000 年 41 巻 12 号 p. 823-828
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    著者らは骨髄異形成症候群 (myelodysplastic syndrome: MDS) による続発性造血性ヘモクロマトーシス (erythropoietic hemochromatosis) を基礎疾患とした肝細胞癌の1切除例を経験した.
    症例は平成元年より肝機能異常・貧血を指摘され, 平成9年肝硬変・糖尿病の診断. 平成10年胆嚢摘出術の術前精査で骨髄異形成症候群 (MDS-RA (reactory anemia) 型) の診断を受け, 平成12年経過観察中にS5, 8境界領域の高-中分化型肝細胞癌を認め手術施行した. 術後のペルシアンブルー染色でKupffer細胞が強く染色されるとともに肝細胞に鉄顆粒が認められ, 本症例が続発性ヘモクロマトーシスであることを示唆していた. MDSでは無効造血で鉄が余剰となるため合併症として本症のごときヘモクロマトーシスを発生しうる. 本症例はヘモクロマトーシスに肝癌を併発し切除されたもので, 本邦報告例としてはきわめて稀な症例である.
feedback
Top