症例は28歳女性. 微熱, 全身倦怠感を訴え近医受診, 血液検査でトランスアミナーゼ上昇, 血小板減少, 自己抗体陽性を指摘され, 本院へ紹介入院となった. 入院時所見では, 赤血球432万/μ
l, 血小板5.7万/μ
l, GOT 87U/
l, GPT 161U/
l, γ-GTP 136U/
l, ALP 222U/
l, IgG 3228mg/d
l, IgM 365mg/d
l, γ-グロブリン2.30g/d
l, 抗核抗体1280倍, 抗ミトコンドリアM2抗体陰性, 抗DNA抗体63.0, HCV抗体, HBs抗原・抗体は陰性であった. 腹腔鏡所見では, 原発性胆汁性肝硬変 (PBC) に特徴的な肝のreddish patchを認めた. 病理組織でも, 胆管上皮の変性壊死が著明で慢性非化膿性壊死性胆管炎 (CNSDC) を呈した. 以上の所見より本症をBrunnerらのいう自己免疫性胆管炎 (autoimmune cholangitis; AIC) と診断した. また本症の血小板減少については, 血小板膜蛋白 (GP) に対するIgG抗GPIIb-IIIa抗体, IgG抗GPIb-IX抗体を認め, 自己免疫性血小板減少症 (autoimmune thrombocytopenic purpura; AITP) と診断できた. AICは, 独立した疾患であるか, PBCの亜型であるかは, いまだ定まってはいないが, 今回いわゆるAICの疾患概念に合致し, AITPを合併した症例を経験したので報告する.
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