症例は24歳男性で, 肝機能障害にて当科に入院. 入院時T-bil 5.8mg/d
l, AST 1262 IU/
l, ALT1877IU/
lで, IgM-HA抗体5.9, HBs抗原37.9, HBe抗原96.2, IgM-HBc抗体7.6, HBc抗体 (200倍希釈) 68.5%であり, HAVとHBVの重複感染による急性肝炎と考えられた. 入院8週後の肝生検では急性肝炎に一致した所見であり, HBs抗原は発症から6カ月後に陰性化した. またT-bilの正常化には発症から12週以上, ALTの正常化・HBe抗原のseroconversionには17週以上を要し, HAVあるいはHBVの単独感染による急性肝炎に比べると, 経過は遷延傾向にあると考えられた. HAVとHBVの同時重複感染による急性肝炎は稀であり, ウイルスの相互作用については不明な点も多いが, 本症例ではHAVとHBVの重複感染による相乗作用を示唆するものと思われた.
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