多施設症例を用い, retrospective に多変量解析にて劇症肝炎の肝移植適応基準を作成し, 新たな集計症例に適用して prospective に検討した. その結果, 肝性脳症発現時に, 1) 年齢が45歳以上, 2) 初発症状から脳症発現までの日数が11日以上, 3) PTが10%未満, 4) 総ビリルビン濃度が18.0mg/d
l以上, 5) 直接/総ビリルビン比が0.67以下の5項目中2項目以上満たす場合は予後不良と予測して肝移植の登録を行い可能なら移植を行う. 移植が施行できない場合は5日後の経過すなわち, 1) 脳症がI度以内に覚醒あるいは昏睡度でII度以上の改善, 2) PTが50%以上に改善の2項目を満たす場合は生存と再予測し, 1項目以下の場合は予後不良と再予測し肝移植の登録を継続する「劇症肝炎における肝移植適応のガイドライン」を提案した. Prospective study の正診率は0.82であり, このガイドラインは劇症肝炎に対する肝移植の適応を判断する際に有用と考えられる.
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