症例は64歳, 女性. 皮膚掻痒感, 四肢の筋力低下を主訴として入院した. 血液検査では, 胆道系酵素, 筋原性酵素の上昇を認め, 抗核抗体, 抗ミトコンドリア抗体(AMA), 抗M2抗体が陽性であった. 肝生検では慢性非化膿性破壊性胆管炎を, 筋生検では筋線維の大小不同および円形萎縮を認めた. 原発性胆汁性肝硬変(PBC)と多発性筋炎の合併と診断し, ウルソデオキシコール酸およびプレドニゾロンを投与したところ, 検査所見と自覚症状は改善した. PBCは稀に多発性筋炎を合併するが, その機序としてAMAによる筋組織のミトコンドリア障害が想定されている. 本症例でも電子顕微鏡観察において, 特徴的なミトコンドリアの増加が観察された. 更に, 多発性筋炎の発症要因とされるHLA-DR 8が陽性であった. このことは, 患者の免疫学的な背景も多発性筋炎の合併に関与する可能性を示唆すると考えられた.
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