血球貪食症候群は, 発熱, 凝固異常, 肝機能異常を特徴とし, 重症な場合は意識障害を伴うため, 劇症肝炎と臨床的に鑑別するのが困難な場合がある. 筆者らは, 血球貪食症候群を契機に劇症肝炎を発症した15歳男児を経験した. 血球貪食症候群に対してはステロイド剤, 血漿交換, シクロスポリンにより終息させることができたが, 肝細胞の広範な壊死を阻止することはできず, かつ肝細胞は再生できなかった. 原因不明の脳症を伴う肝機能異常では血球貪食症候群も念頭にいれ, 病初期にできる限りの肝生検 (経頚静脈的肝生検を含め) と骨髄検査が重要であると考えられた. 今後さらに, 両者を鑑別するためのサイトカインマーカーを同定する必要がある.
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