慢性肝疾患38例および健常者6例に対して Xenon CTを施行し, 得られるパラメータより理論的肝動脈・門脈分別組織血流量を算出して, その臨床的有用性を検討した. Xenon CTで得られる肝実質の density 変化を測定後, 解析装置を用いて動脈血流・門脈血流マップをカラースケール表示し, 肝右葉・左葉に設定した関心領域 (ROI) より平均血流量を算出した. 門脈組織血流量 (m
l/min/100g) は健常者で右葉68±7・左葉71±9, 慢性肝炎で右葉46±18・左葉45±19, 肝硬変で右葉37±12・左葉35±15であり, 肝病変の進展とともに肝両葉の門脈血流は低下する可能性が示唆された. また肝硬変症例では, Child-Pugh 分類でAからCへ進行するにつれて肝左葉の動脈組織血流量は増加し, 逆に門脈組織血流量は左右両葉で低下する傾向を認めた. Xenon CTにより, 慢性肝疾患の病期進展に伴う血流量の変化を動脈血・門脈血に分けて捉えることができた. Xenon CTは既存の装置を利用でき, 非侵襲的でかつ簡便であり, 今後臨床応用可能な検査法であると思われた.
抄録全体を表示