症例は41歳男性. 既往にC型肝炎ウイルス感染に伴う肝硬変を指摘されている. 吐血, ショック状態にて当院救命救急センター搬送. 内視鏡にて食道・胃静脈瘤破裂と考えられたため, 食道静脈瘤に対し内視鏡的静脈瘤結紮術を施行した. その後の腹部CT, MRIにて胃腎短絡を認めたため, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術を試みたが流出路を閉鎖できず断念し, 経静脈的肝内門脈静脈短絡術とそれを介した静脈瘤塞栓術を施行した. しかし再吐血を認め, 血管造影上, 短胃静脈からの静脈瘤への血流も認めたため, 内視鏡的硬化療法, 脾動脈塞栓術, それに引き続きバルーン下逆行性経静脈的塞栓術を施行し初めて止血に成功した. 破裂胃静脈瘤に対しては, 門脈圧低減に成功しても塞栓術を行うべきであり, さらに短胃静脈が流血路として疑われた場合には, 静脈瘤への血流を減少させるために脾動脈バルーン閉塞術または脾動脈塞栓術を施行すべきだと考えられる.
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