肝臓
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46 巻, 6 号
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特集
肝移植の現況と今後の課題
症例報告
  • 長瀬 良彦, 奥瀬 千晃, 麦倉 光哉, 高橋 泰人, 四柳 宏, 鈴木 通博, 高野 俊史, 前山 史朗, 橋本 直明, 飯野 四郎, 伊 ...
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 6 号 p. 352-358
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎 (AIH) と特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) を同時に発症した高齢男性例を経験した. 病勢と抗スルファチド抗体価とが相関し, 興味深い症例と考え報告する. 症例は67歳, 男性. 以前より軽度のγ-GTP上昇を指摘されていたが肝障害および血小板減少が出現し入院. 血小板の著減と肝障害を呈し, PAIgGは高値を示した. 骨髄は過形成性骨髄であり, ITPと診断. プレドニゾロンの投与を開始した. 肝生検標本組織所見は, 自己免疫性肝炎に合致していた. AIHとITPの発症時期, 疾病活動性の変動は一致しており, 抗スルファチド抗体の変動と相関が認められた. 両疾患の発症および病勢の変動に, スルファチドに対する免疫応答が関与していることが示唆された.
  • 永妻 啓介, 奥秋 靖, 藤瀬 清隆
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 6 号 p. 359-364
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性. 黄疸を主訴に入院. 肝機能障害を認め, 肝炎ウイルスマーカー陰性で, 飲酒歴, 薬物歴なく, 抗核抗体陽性等より自己免疫性肝炎 (autoimmune hepatitis, AIH) と診断した. 肝組織所見は慢性活動性肝炎で, 肝機能障害はプレドニゾロン投与により改善し, 治療後のAIHスコアーは24点で確診例であった. さらに橋本病, 特発性副甲状腺機能低下症, 多発性筋炎の合併を認め, 多腺性自己免疫症候群 (autoimmune polyglandular syndrome, APS) を合併したAIHと診断した. AIHとAPSの合併例の報告は, わが国では少なく貴重な症例と考えられた.
  • 高田 佳子, 山下 竜也, 島谷 明義, 飯田 宗穂, 荒井 邦明, 北村 和哉, 加賀谷 尚史, 山下 太郎, 酒井 佳夫, 辻 宏和, ...
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 6 号 p. 365-371
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性. 1990年より糖尿病と肝機能障害を指摘され, 他院にて経過観察されていた. 2003年10月に心窩部痛のため当院初診, 上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部からの出血を認め入院となった. 背景にアルコール性肝硬変があり, AFP, PIVKA-II, AFP-L3分画の上昇に加え肝右葉に多発する腫瘤と門脈腫瘍塞栓を認めることから, 胆道出血を合併した肝細胞癌と診断した. インターフェロン併用肝動注化学療法を開始し, 2クール目からは外来にて化学療法を継続した. 4クール施行途中から胆道感染の悪化を認め, 胆道出血・閉塞性黄疸を最初に発症してから約8カ月後に死亡した. 胆道出血を契機に発見される肝細胞癌は比較的少なく, その予後は不良とされているが, 本症例は画像上腫瘍縮小効果はないものの, 他の報告に比較してインターフェロン併用肝動注化学療法によって延命が得られた1例と考えられた.
  • 山本 晋一郎, 柴田 憲邦, 武居 道彦, 國枝 武美, 都築 昌之, 大元 謙治, 井手口 清治, 久保木 眞, 吉岡 奈穂子, 富山 恭 ...
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 6 号 p. 372-381
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌 (HCC) の10年以上の長期生存の条件を明らかにする目的で, 自験5例についてその臨床経過を検討した. 1例は, 肝切除により10年間以上無再発であった. この症例を除きあとの4例はいずれも再発を繰り返した. 再発例はTAEやPEITで繰り返し治療を行った. 初発巣の治療から5年以上経過して再発した病変に対しては, PEITの繰り返しによりHCCの進行を遅らせることができたと思える. 肝切除後全く無再発の経過を辿る例を除いて, 初期病変に対するPEIT+TAEによる完治を目指すことと, 再発巣に対しては早期に局所治療を繰り返すことが, 長期生存を得るために必要であると思われた.
  • 田嶋 宏之, 渡辺 勲史, 川添 一哉, 小嶋 清一郎, 鈴木 孝良, 峯 徹哉, 小泉 淳, 幕内 博康
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 46 巻 6 号 p. 382-388
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/24
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 繰り返し行った食道静脈瘤治療の2年後に発生した十二指腸静脈瘤を経験した. 症例は45歳の男性. アルコール性肝硬変の患者で, 2000年12月に吐血し, 内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) による止血が行われた. 退院後も吐血を繰り返し, 2001年12月までにEVL1回, 内視鏡的硬化療法 (EIS) 計6回が施行された. 2002年11月に門脈本幹の血栓と十二指腸水平脚に静脈瘤が指摘された. その血行動態として, 下膵十二指腸静脈を経て十二指腸静脈瘤に至る流入路がみられ, その後無名シャントを経て左精巣静脈より左腎静脈, 下大静脈への流出路が認められた. 経皮経肝門脈塞栓術 (PTO) とバルーン閉塞下逆行性経静脈閉塞術 (B-RTO) を同時に行うdual balloon occluded embolotherapy (DBOE) を試みたが, 血流遮断効果は十分得られなかった. その後Histacryl®を用いたEISを施行し, 最終的に十二指腸静脈瘤の血管が硬化された. しかし治療後新たに第1空腸静脈を介する別のシャントが形成され, 前回より肛門側に新たな十二指腸静脈瘤が形成された. 食道, 胃静脈瘤治療に伴い今後十二指腸静脈瘤が増加することが予想され, 本例はその多様な側副血行動態および治療法の観点から, 示唆に富む症例と考えられた.
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