【目的】 Lecithin加lipiodol emulsionを用いた肝動脈塞栓術 (Transcatheter arterial embolization with Lecithin added lipiodol emulsion ; 以降TAE-L) の抗腫瘍効果を検討した. 【対象】 従来用いられてきた塩酸ドキソルビシンのlipiodol emulsionを使用したTAE施行群 (A群) 95症例125結節と, TAE-L施行群 (B群) 76症例95結節を検討対象とした. 【結果】 1年後のCT所見で判定した結果, 完全壊死が得られた結節はA群で28%, B群で57%となり, 有意差を認めた (p<0.01). また, B群についてCT所見で完全壊死が得られた結節を検討すると, (1) 肉眼型別では, 単純結節型 : 71%, 単純結節周囲増殖型 : 37%, 浸潤型 : 0%であった. (2) coronaの有無別で完全壊死が得られた結節は, corona陽性結節で67%, 陰性結節で38%であった. (3) 腫瘍径別でみると, 3cm以内の結節では67%, 3.1cm以上では12%であった. (4) 局在別ではperiphery type : 63%, center type : 29%であった. 【結論】 Lecithin加lipiodol emulsionを用いることで腫瘍壊死効果は増強する. また, 単純結節型, corona陽性, periphery typeの結節で径3cm以内の大きさであれば, より高い腫瘍壊死効果が期待できる.
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