肝細胞癌の治療法の進歩により長期生存も稀ならず経験される. 10年以上生存した肝細胞癌の治療法の内容を調査する目的で, 中国地区の19施設の協力により集計された155例の肝癌患者について分析を行った. その結果以下の点が明らかとなった.
1) 男性110例 (71%), 女性45例 (29%) で, 年齢は38歳~92歳 (平均65.1歳) であった.
2) HBs抗原陽性32例 (20.6%), HCV抗体陽性88例 (56.7%), 両者陽性6例 (3.9%), HCV抗体未検12例 (7.8%), 両者陰性12例 (7.8%) であった.
3) HBs抗原陽性者の年齢は平均59.1歳に対しHCV抗体陽性者は67.2歳とより高齢に多くみられた.
4) 治療法別では肝切除単独のみは61例 (39.3%) と最も多く, 次いで肝切除+他治療法との組み合わせが59例 (38.1%) であった. 両者を合わせると155例中120例 (77.4%) が肝切除を受けていた.
5) 肝動脈塞栓術 (TAE) は155例中66例 (42.6%) に単独あるいは他治療法との併用で施行されていた.
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