肝臓
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47 巻, 12 号
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特集
症例報告
  • 中山 晴夫, 小島 敏明, 草野 昌男, 遠藤 和則, 高橋 雅春, 須貝 吉樹
    2006 年 47 巻 12 号 p. 550-557
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    IFN治療著効後に血中HCV RNAが再陽性化したC型慢性肝炎の2例を経験した.症例1は54才男性,HCV genotype 2a. 1992年にIFNα2bの26週投与で著効と判定された.以後肝機能は正常であったが,12年後に肝機能の増悪と共にHCV RNAが陽性化した.HCV RNAは1カ月後に陰性化し肝機能も正常化したが,9カ月後に再度HCV RNAが陽転した.症例2は68才男性,HCV genotype 1b. 2003年にIFNβ2週後α2b/Ribavirin併用療法22週治療で著効と判定された.治療終了後2年2カ月目に,肝機能は正常のままHCV RNAが陽性化し持続した.治療前後におけるHCV NS5B領域の塩基配列の検討より,残存したHCVの再燃であると考えられた.以上のようにIFN著効例であってもHCV RNAが再出現する症例があり,注意深い経過観察が必要であると考えられた.
  • 海保 隆, 土屋 俊一, 柳沢 真司, 竹内 修, 外川 明, 岡本 亮, 土屋 希, 松嵜 理
    2006 年 47 巻 12 号 p. 558-565
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーとしてα-fetoprotein(AFP),AFPのレクチン分画(L3),protein induced by vitamin K absence or antagonist-II(PIVKA-II)が臨床で頻用されている.各々非担癌状態でも増加することは良く知られているが,非担癌状態でこの3者が同時高値をとることは極めて稀である.今回我々は,HCCで過去2回肝切除の患者の腫瘍マーカーが急上昇し,HCC再々発と誤診した症例を経験したので報告する.症例は67歳男性,平成13年12月,単発のHCCで肝右葉切除.平成15年1月,肝尾状葉に再発し,尾状葉切除.平成16年9月,各腫瘍マーカーの急上昇と共に肝S4切離面に画像状腫瘤像を認め,HCC再々発と診断,S4切除施行.切除標本の病理組織は黄色肉芽腫性腫瘤であった.3回目手術から約1年後,胆管気管支瘻による重症肺炎のため亡くなったが,剖検でもHCCの再発は認めなかった.
  • 稲見 真木子, 松岡 俊一, 大城 周, 林 順平, 石上 晃庸, 藤川 博敏, 宮川 正秀, 川崎 篤史, 荒牧 修, 三松 謙司, 久保 ...
    2006 年 47 巻 12 号 p. 566-573
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    線毛性前腸性肝嚢胞ciliated hepatic foregut cyst(CHFC)は胎児期前腸の遺残に由来する嚢胞で,肝内側区域被膜直下に好発する.画像所見は様々で,乏血性充実性腫瘍や嚢胞性悪性腫瘍,あるいは高度の壊死を来たした肝細胞癌との鑑別が困難であるものも存在する.海外では3件の扁平上皮癌の発生が報告されているが,本邦においては現在までに悪性化例の報告はない.今回我々は健康診断で発見され,エコー下生検によって確定診断がついた症例を経験した.一般的にCHFCは良性疾患であり,典型例では定期的な経過観察でよいと思われるが,本症例においては病変の増大傾向を認めたため悪性化を懸念して腹腔鏡補助下嚢胞核出術を行った.
  • 西島 規浩, 喜多 竜一, 川上 尚人, 坂本 康明, 松尾 裕央, 斎藤 澄夫, 波多野 貴昭, 中辻 正人, 池田 敦之, 那須 章洋, ...
    2006 年 47 巻 12 号 p. 574-581
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は21歳男性.腎炎の経過観察中に,USにて低エコー,単純CTにて高吸収を呈し,dynamic CTおよびMRIにて早期相で造影される多発結節を認めた.レボビスト造影USのpost vascular imageやSPIO MRIでは,Kuppfer細胞の存在を示唆され,USガイド下針生検では,FNH様過形成結節と診断されたが,single level dynamic CTHAにてリング様濃染を結節様高吸収域内部に認めた.周辺肝が脂肪肝を呈したため,結節血流流出部がspared areaとなり,リング様濃染部に相当する領域を含めて画像上結節様に観察されていたと考えられた.過形成結節においても,肝細胞癌に特徴的とされるリング様濃染を呈することがあると考えられ報告した.
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