肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーとしてα-fetoprotein(AFP),AFPのレクチン分画(L
3),protein induced by vitamin K absence or antagonist-II(PIVKA-II)が臨床で頻用されている.各々非担癌状態でも増加することは良く知られているが,非担癌状態でこの3者が同時高値をとることは極めて稀である.今回我々は,HCCで過去2回肝切除の患者の腫瘍マーカーが急上昇し,HCC再々発と誤診した症例を経験したので報告する.症例は67歳男性,平成13年12月,単発のHCCで肝右葉切除.平成15年1月,肝尾状葉に再発し,尾状葉切除.平成16年9月,各腫瘍マーカーの急上昇と共に肝S
4切離面に画像状腫瘤像を認め,HCC再々発と診断,S
4切除施行.切除標本の病理組織は黄色肉芽腫性腫瘤であった.3回目手術から約1年後,胆管気管支瘻による重症肺炎のため亡くなったが,剖検でもHCCの再発は認めなかった.
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