肝臓
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47 巻, 8 号
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Editorial
原著
  • 阿部 敏紀, 相川 達也, 赤羽 賢浩, 新井 雅裕, 朝比奈 靖浩, 新敷 吉成, 茶山 一彰, 原田 英治, 橋本 直明, 堀 亜希子, ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 47 巻 8 号 p. 384-391
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル フリー
    極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.
症例報告
  • 相坂 康之, 占部 綾子, 山崎 朋子, 高野 弘嗣, 相光 汐美, 藤原 恵
    原稿種別: 症例報告
    2006 年 47 巻 8 号 p. 392-397
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性,原因不明の肝炎を認め,精査目的にて紹介受診.受診時,血清生化学的に胆道系酵素上昇,抗ミトコンドリアM2抗体36IU/lと高値であり,原発性胆汁性肝硬変が疑われた.さらに,表在リンパ節および,肝門部,門脈本幹周囲のリンパ節腫大を認めたため,悪性リンパ腫の併発を疑い,腋窩リンパ節生検施行.反応性リンパ節炎と診断した.原疾患に対しては,腹腔鏡検査施行.肉眼所見は,不平肝で,赤色紋理,溝状陥凹は認めなかったが,組織所見では,門脈域での肉芽腫形成と細胆管上皮の再生性変化を認め,原発性胆汁性肝硬変と診断した.診断後ウルソデオキシコール酸600mg/day服用開始し,ALT値,AST値,ALP値の改善を認めた.約1年後,肝機能の改善に伴い,表在リンパ節は不明瞭となり,肝臓病変と反応性リンパ節炎との間に何らかの免疫学的な関連が推測された.
  • 松丸 克彦, 石井 耕司, 和久井 紀貴, 篠原 正夫, 永井 英成, 大塚 由一郎, 渡邊 正志, 野中 博子, 住野 泰清, 三木 一正
    原稿種別: 症例報告
    2006 年 47 巻 8 号 p. 398-404
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル フリー
    症例56歳男性.大腸癌の手術1カ月後から肝転移に対して5-FU(1500mg/body/週,総投与量76.5g,投与期間18カ月)を用いて動注化学療法を施行した.病巣は縮小傾向にあり有効と判断して治療を継続していたが,18カ月の治療期間中に血清トランスアミナーゼ値の変動は全くなかったにもかかわらず,治療開始6カ月後より,血小板減少,肝予備能の著明な低下,18カ月後には腹水が貯留した.抗癌剤投与を中止したところ肝予備能は速やかに回復し門脈圧亢進症状は改善した.5-FUの長期投与中に血清トランスアミナーゼの変動が全くなくとも肝障害が進行し肝予備能の著明な低下をきたした可能性も否定できないと思われた.大腸癌の肝転移症例に対する化学療法の有用性は確立されつつあるが,このような副作用に留意する必要がある.
  • 入江 真, 藤田 英治, 森原 大輔, 田中 崇, 中根 英敏, 小山 泰寛, 竹山 康章, 横山 昌典, 岩田 郁, 釈迦堂 敏, 早田 ...
    原稿種別: 症例報告
    2006 年 47 巻 8 号 p. 405-410
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.C型慢性肝炎にて経過観察されていた.2000年11月,肝S8に約4cmの肝細胞癌(HCC)認め,肝動脈塞栓術(TAE)を施行された.その後,HCCの再発を認めないため.2003年,C型慢性肝炎に対してインターフェロン療法(IFN)を施行,ウイルスは消失した.その後,定期的に経過観察を行っていた.2005年4月より腹部膨満感が出現し,腹部ダイナミックCT検査を施行,肝右葉から肝表面に突出する巨大の腫瘤を認めた.CT,肝血管造影では腫瘍は造影効果に乏しかったが,HCC局所再発の可能性を考え,TAEを施行した.しかし治療効果はなく永眠された.病理組織像では肝内の腫瘍には巣状・索状に配列し,肝細胞に類似する異型細胞の増殖を認めた.肝腫瘍は治療部位に接しており肝細胞癌の局所再発と考えた.免疫染色ではCytokeratin(CK)-8, CK-19, Vimentinが陽性であり,肝細胞癌の肉腫様変化と診断した.HCC治療5年後に急速に肝外発育をきたした肉腫様変化を伴った肝細胞癌の稀な症例を経験した.
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