肝臓
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48 巻 , 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
症例報告
  • 朝永 千春, 河野 聡, 田口 要人, 松永 高志, 丸山 俊博, 豊島 里志, 下田 慎司
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 48 巻 11 号 p. 529-537
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)後に発症した右横隔膜ヘルニアの2症例を経験した.横隔膜の欠損は治療部位に接して生じており,ラジオ波焼灼術による合併症と判断した.RFA治療から発症までの期間は症例1で78週,症例2で112週であった.しかし,横隔膜の断裂は症例1では65週の時点で,症例2では42週の時点でCT上明らかになっていた.横隔膜断裂に加え,肝委縮・腹水貯留・腹圧上昇などにより腸管が横隔膜下腔に入り込むことがヘルニア発症の誘引と考えられた.右葉横隔膜直下の腫瘍に対するラジオ波焼灼術においては,十分量の人工腹水注入や腹腔鏡あるいは開腹下などの横隔膜を損傷しない工夫と治療後の経過観察が重要であると考えられた.
  • 宮林 千春, 根石 政男, 川西 祥宏, 草場 亜矢子, 窪田 芳樹, 椎名 秀一朗
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 48 巻 11 号 p. 538-545
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,男性.B型肝硬変,肝内腫瘍性病変(SOL)の精査目的にて紹介受診.S7/8およびS3にSOLを認め,肝動脈塞栓術および経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)にて加療した.6カ月後のCTにて新規SOL(S6)および門脈後区域枝に接するRFA後局所再発病変(S7/8)を認め,2回目入院となった.2病変が同一穿刺ライン上に並ぶため,肝表に近い新規SOL(S6)をRFAし,そこを貫くように1週後に局所再発病変(S7/8)のRFAを行った.腫瘍内最終温度は87°Cであった.第2病日のCTで右葉後区域は楔形の低吸収域を示し,内部に樹枝状のガス像を認めた.門脈ガス血症を伴う肝梗塞と診断した.RFAによる肝梗塞は稀(0.038∼0.4%)であるが,その後に肝膿瘍や肝不全の合併を伴うことがあるため注意を要する.門脈ガス血症は一般的に予後不良であるが,保存的に治癒できた.RFA後に門脈ガス血症を伴う肝梗塞をきたした報告はなく報告する.
  • 石川 祐子, 岡 博子, 堀井 勝彦, 中通 由美, 横田 重樹, 大内田 祐一, 嶋 三恵子, 中井 隆志, 川崎 靖子, 西澤 輝彦, ...
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 48 巻 11 号 p. 546-552
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は49才女性.右背部痛にて当院受診し,腹部超音波,単純CTにて,多発する肝嚢胞を認め,そのうち肝前上区域(S8)の嚢胞内に充実性部分が見られたが,造影効果なく,出血を伴った肝嚢胞と診断され経過観察となった.4カ月後に変化を認めなかったが,10カ月後に嚢胞径ならびに充実性部分の増大と内部性状の変化がみられた.各種造影検査で充実性部分に造影効果を認めたため,肝嚢胞腺癌を疑い肝前区域切除を施行した.組織学的に充実性部分は内部出血を伴った凝血塊と壊死組織で,血管腫様の不規則に拡張した血管腔の増生を伴っていた.
  • 武藤 英知, 一條 哲也, 小林 倫子, 田中 直樹, 梅村 武司, 小松 通治, 松本 晶博, 吉澤 要, 田中 榮司, 上田 和彦, 角 ...
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 48 巻 11 号 p. 553-558
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.胃全摘術,膵頭十二指腸切除術,糖尿病の既往がある.2004年3月に右季肋部痛を自覚.5月には同部位に腫瘤を触知したため近医を受診.低栄養状態が存在し,腹部CT検査にて肝S4に造影効果のある腫瘤を認めたため,肝悪性腫瘍が疑われ紹介された.しかし,腫瘤内部に門脈域を認めること,造影効果のない小さな液状成分が観察されることおよび体壁への直接浸潤がみられることから,膿瘍特に放線菌症の可能性が高いと判断し経皮的肝生検を施行した.組織学的に放線菌の菌塊を認めたため原発性肝放線菌症と確定診断した.ベンジルペニシリンベンザチン水和物(バイシリンG)120万単位/日の内服治療を開始,2カ月後には膿瘍ならびに体壁へ連続していた結節は縮小し,1年後には消失した.原発性肝放線菌症はまれな疾患であるが,画像所見で腹壁など周囲臓器への浸潤を認める肝膿瘍を見た時には,念頭に置くべきことを示唆する一例である.
短報
  • 上垣 佐登子, 三神 昌樹, 森澤 嘉彦, 根来 真一郎, 後藤 英晃, 深水 雅子, 三浦 亮, 塙 直子, 相磯 光彦, 田中 篤, 滝 ...
    原稿種別: 短報
    2007 年 48 巻 11 号 p. 559-561
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    We studied whether the frequency of daily dosing of ursodeoxycholic acid (UDCA) affects its efficacy in patients with chronic hepatitis C. Twenty-nine patients with chronic hepatitis C having received UDCA (600mg) three times a day were randomized to 3 groups with different frequency of the UDCA dosing for another 8 weeks: once a day (qd, n=6), twice a day (bid, n=11), and three times a day (tid, n=10). No significant side effects were noted in all groups, although the compliance was not well in the qd group. Serum ALT levels did not change between 0 and 8 weeks in all groups, suggesting that the efficacy of UDCA was not affected by the divided dosing. Serum levels of total bile acid and UDCA fraction were not significantly changed, either. Thus we conclude that UDCA given bid would be preferable in terms of efficacy as well as compliance.
レポート
  • 國土 典宏, 幕内 雅敏, 中山 健夫, 有井 滋樹, 小俣 政男, 工藤 正俊, 神代 正道, 坂元 亨宇, 高安 賢一, 林 紀夫, 門 ...
    原稿種別: レポート
    2007 年 48 巻 11 号 p. 562-570
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/29
    ジャーナル フリー
    平成14-15年度の厚生労働省診療ガイドライン支援事業により「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン研究班」(班長:幕内雅敏)が組織され,ガイドラインを作成し,2005年2月に書籍として刊行した.発刊後ほぼ1年を経て,臨床現場でガイドラインを用いるより多くの医師による評価を目的として,日本肝癌研究会全会員に対するアンケート調査を実施した.ガイドライン内容の妥当性だけではなく,普及・利用の現状と可能性に関する評価のために16項目からなる質問票を作成し2006年3月,質問票を本研究会個人会員2,279名に送付し,843名(37.0%)から回答を得た.回答者年齢の中央値は47歳,卒後年数は93.9%が10年以上であり,中央値は20年であった.専門領域は内科系55.6%,外科系37.8%,放射線科系4.4%,病理2.0%であった.最近3カ月で診療した患者数は外来で20名以上が45.7%,入院で10名以上が44.8%であり,現在activeに肝癌診療に関わっているベテラン医師からの回答がほとんどであった.ガイドライン認知度についての質問では,「ガイドラインをみたことがある」が72%であり,日常診療に役立つかどうかの質問では,「大いに役立つ」,「役立つ」を併せて78.8%であった.ガイドラインのどの部分をよく利用するかを尋ねたところ,「治療のアルゴリズム」が77%と最も多く利用されており,次いで「診断・サーベイランス」39%,「経皮的局所療法」38%,「手術」34%と続いた.「ガイドラインを使用して治療方針に変化がありましたか」という質問には「変化した」という回答は20.8%とむしろ少なく,「変化はないがガイドラインが自分の推奨に近いことを確認し自信が持てた」が40.3%と多くを占めた.「変化した」内容については,「治療選択に時間がかからなくなった」が50%で,「時間がかかるようになった」の8%を大きく上回っていた.一方,「ガイドラインは医師の裁量を拘束すると思いますか」との質問には43.9%が拘束されると回答した.解答率が37%と高くないという問題はあるものの,本調査によって肝癌診療ガイドラインがわが国の肝癌専門医に広く認知され利用されていることが明らかになった.本アンケート調査の結果は2006年度から開始されているガイドライン改訂作業の参考資料になると期待される.
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