肝臓
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48 巻, 9 号
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特集
症例報告
  • 南部 修二, 寺崎 禎一, 新敷 吉成, 松井 一裕, 塚田 一博
    原稿種別: 症例報告
    2007 年48 巻9 号 p. 429-438
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性.B型肝硬変で経過観察をされていたが,2002年3月の急性増悪に対しlamivudine(LMV)の投与を開始し肝機能は改善した.しかし,11月にはLMV耐性HBVによるbreakthrough hepatitisとなり2003年1月よりLMVに加えadefovir(ADV)の投与を開始した.血中HBV DNAは次第に減少し測定感度以下となり肝機能も改善,沈静化した.しかし2003年9月,すなわちLMV開始後18カ月,ADV開始後8カ月後,画像診断で肝細胞癌(HCC)と診断され11月に外科的切除を行った.腫瘍は1.3cm大の単純結節型の中分化型HCCで,非癌部は慢性肝炎で新犬山分類A1 F4であった.免疫染色ではHBs抗原およびHBc抗原は正常肝細胞のみならずHCC細胞にも観察された.術後もLMVとADVを継続投与し3年以上経過しているが,無再発生存中である.本例のように,核酸アナログ投与により血液中HBV DNAが持続的に陰性化し,肝炎が沈静化していてもHCCを合併することがあり注意が必要である.
  • 守護 晴彦, 加賀谷 尚史, 大石 尚毅, 荒井 邦明, 北村 和哉, 酒井 佳夫, 山下 竜也, 水腰 英四郎, 酒井 明人, 中本 安成 ...
    原稿種別: 症例j報告
    2007 年48 巻9 号 p. 439-445
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.C型肝硬変症で経過観察中であった.非代償期であり,腹水を認めていたが次第に利尿剤,アルブミン製剤投与にも抵抗性となった.発熱,呼吸困難を認め,入院となった.入院時,大量の右側胸水と大量の腹水貯留を認めた.胸水穿刺にて,右側胸水は褐色調で混濁を示す滲出性胸水であったが,腹水は淡黄色で清明な漏出性腹水であった.非代償性肝硬変による肝性胸水に細菌感染が合併した特発性細菌性胸膜炎と診断した.利尿剤,抗生剤投与によって一時的に改善したが,再発を繰り返すため,経頸静脈性肝内門脈体循環短絡術(TIPS)を施行した.術後,一過性の肝性脳症を認めたが,胸水,腹水は次第に減少し,23カ月後の現在,胸腹水の貯留はなく経過良好で外来通院中である.特発性細菌性胸膜炎は予後不良の病態とされるが,TIPSの施行が有効であった1例と考えられた.
  • 中澤 緑, 長瀬 良彦, 五十嵐 岳, 福田 安伸, 馬場 哲, 相田 芳夫, 宮脇 誠, 鈴木 通博
    原稿種別: 症例報告
    2007 年48 巻9 号 p. 446-451
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性.12歳より2型糖尿病にて内服加療されていた.吐血を主訴に当院受診.上部内視鏡検査にて胃静脈瘤破裂を認め,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)を施行した.腹部超音波・CTにて肝表面は凹凸不整,肝脾腫を認め,肝内胆管の不整な拡張を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)では,肝内胆管に数珠状変化を呈した.肝生検所見は偽小葉形成が明らかであり,胆管周囲に線維化を強く認めonion skin appearanceを呈し,以上の所見より原発性硬化性胆管炎(PSC)による肝硬変と診断した.EIS施行3カ月後に食道静脈瘤(F2RC+)の再発を認め,再度EISを施行した.本例は若年者であるが,高度の門脈圧亢進症の存在が疑われ,肝移植を考慮した経過観察が必要と思われた.
  • 島上 哲朗, 山下 竜也, 酒井 佳夫, 荒井 邦明, 飯田 宏, 北村 和哉, 加賀谷 尚史, 水腰 英四郎, 酒井 明人, 中本 安成, ...
    原稿種別: 症例報告
    2007 年48 巻9 号 p. 452-457
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は,57歳,女性.2002年全身倦怠感を主訴に,近医を受診,血液検査と肝生検にて,原発性胆汁性肝硬変Scheuer分類III期と診断された.その後ウルソデオキシコール酸による内服加療を続けていたが,2004年1月頃より血清ビリルビン値の上昇傾向を認め,2005年2月頃より動悸,手指振戦,労作時呼吸困難の出現とともに,ビリルビン値の急激な上昇を認め,2005年5月精査加療目的に当科へ入院となった.入院後,甲状腺機能検査,甲状腺自己抗体検査,甲状腺ラジオアイソトープ検査にてBasedow病の合併を診断した.その後抗甲状腺剤による治療を開始し,甲状腺機能の速やかな正常化とともに,ビリルビン値の改善を認めた.
    原発性胆汁性肝硬変例でのBasedow病の合併の報告例は極めて稀ではあるが,原発性胆汁性肝硬変の経過観察中に急激な黄疸の進行を認めた場合は,Basedow病の合併の可能性も考慮する必要があると考えられた.
  • 竹内 仁司, 荒田 尚, 竹原 清人, 重安 邦俊, 金澤 卓, 村田 宏, 中川 仁志, 田中屋 宏爾, 金川 泰一朗, 牧野 泰裕, 詫 ...
    原稿種別: 症例報告
    2007 年48 巻9 号 p. 458-462
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    73歳男性.H18年1月肝S4表在部の1.8cm大HCCに対して経皮的ラジオ波焼灼療法(Percutaneous radiofrequency ablation:以下RFA)を施行した.H19年3月呼吸困難で再入院した.RFAによる横隔膜欠損部より脱出した腸管の穿孔とそれに伴う汎発性胸膜炎を認めた.RFAによる横隔膜へルニアの報告は大変稀であるが,この5年間で5例の報告があり,今後増加するものと考えられる.
  • 中澤 哲郎, 大須賀 慶悟, 松村 太, 東原 大樹, 前田 登, 三上 恒治, 馬屋原 豊, 松久 宗英, 友田 要, 中村 仁信
    原稿種別: 症例報告
    2007 年48 巻9 号 p. 463-468
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/27
    ジャーナル フリー
    45歳男性.8年前に腫瘤形成性膵炎に対し膵頭十二指腸切除術が施行された.3年前より頭呆感,異常行動,健忘などの精神症状や羽ばたき振戦が出現し高アンモニア血症による肝性脳症と診断された.腹部造影CTにて右精巣静脈を経由する上腸間膜静脈-下大静脈短絡(mesocaval shunt)を認めた.経皮経肝門脈造影では,SMV本幹に術後変化と思われる壁不整を認めるも有意な狭窄や圧較差を認めなかった.右内頚静脈から右精巣静脈経由にて短絡部を経カテーテル的に金属コイルにて塞栓した.血中アンモニア値は翌日より低下し,4年の観察期間中無投薬で正常値を保っている.また精神症状も完全に消失した.本例では肝硬変や門脈圧亢進症を認めず,膵術後の癒着や炎症を契機に後腹膜に短絡が発達したものと考えられた.経カテーテル的塞栓術は低侵襲的かつ有効な手段であり,第一選択の治療法と考えられた.
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