肝臓
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49 巻, 9 号
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原著
  • 田中 崇, 釈迦堂 敏, 森原 大輔, 西澤 新也, 櫻井 邦俊, 猪俣 慎二郎, 花野 貴幸, 平野 玄竜, 上田 秀一, 松本 照雄, ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 49 巻 9 号 p. 417-425
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/14
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎の抗ウイルス療法は,ペグインターフェロンとリバビリン併用療法が主流であるが,リバビリンの副作用のため併用療法困難な症例ではペグインターフェロンα-2a(PEG-IFN)単独療法も考慮される.今回我々は,PEG-IFN単独療法の治療効果とSustained virological response(SVR)予測因子について検討を行った.PEG-IFN単独療法を行った84例のうち,SVRは56例(ITT解析,66.7%)であった.治療前のSVR予測因子は,若年例(p=0.0464),肝線維化が軽度の症例であり(p=0.0002),治療後の因子は,治療開始後4週以内のHCV RNA定性陰性化を来たすRapid virological response(RVR)(p<0.0001)であった.多変量解析では,RVRがSVR予測因子であった(オッズ比:17.2, p=0.0001).また,セロタイプ1型では,治療前HCV RNA量が400 KIU/ml未満(p=0.037),セロタイプ2型では500 KIU/ml未満(p=0.047)であればSVRを来たす可能性が高く,PEG-IFN単独療法のよい適応であると考えられた.
症例報告
  • 石川 晶久, 柿木 信重, 岸本 洋輔, 鴨志田 敏郎, 平井 信二, 岡 裕爾
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 9 号 p. 426-429
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/14
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性.B型肝炎ウイルスによる肝硬変で他院へ通院していたが,大量腹水が出現し,入退院を繰り返していた.2006年8月,当科を紹介受診し,塩分制限,利尿薬の増量,人血清アルブミン製剤点滴静注併用の腹水穿刺排液を施行したが,症状は改善せず,低ナトリウム血症が出現し,利尿薬不耐性の難治性腹水と診断した.生体肝移植の適応症例として,他院へ紹介したが,適当なドナーがみつからなかった.2006年10月,腹腔静脈シャントを造設したところ,腹水は著明に減少した.その後,核酸アナログ製剤(エンテカビル)を開始した.シャント造設3カ月後に閉塞をきたし,交換したが,その後は明らかな合併症は認めなかった.シャント造設後20カ月経過したが,Quality of life(QOL)および肝機能は改善し,現在外来通院中である.
  • 伊澤 直樹, 松永 光太郎, 長瀬 良彦, 中澤 緑, 福田 安伸, 馬場 哲, 松本 伸行, 奥瀬 千晃, 有泉 泰, 相田 芳夫, 高野 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 9 号 p. 430-439
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/14
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.C型慢性肝炎に対してペグインターフェロン(Peg-IFN)・リバビリン併用療法を施行.Peg-IFN開始前,肝S5領域に腹部超音波にて径10 mm大の低エコー結節を認め,Dynamic CTで周囲から中央へ濃染する腫瘍であり,肝血管腫として経過観察されていた.Peg-IFN終了後,肝S5領域の腫瘍が径15 mm大に増大を認めたために精査入院となった.Dynamic CTでは腫瘍辺縁が動脈相で濃染し,平衡相でwash outを認めるようになり,腫瘍中心部に非濃染部を持つ腫瘍へと変化していた.肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC),あるいは胆管細胞癌(Cholangiocellular carcinoma:CCC)との混合型肝癌を強く疑い,肝右葉切除術を施行した.腫瘍は組織学的に小型細胞がスリット状の腺腔を形成し,間質には豊富な結合織を認め,免疫染色でCK7, CK19, CK19-9, EMAが陽性,HepPar-1が陰性,c-kitが一部陽性を示し,細胆管細胞癌(Cholangiolocellular carcinoma:CoCC)と診断した.近年,CoCCの報告は増加を認めるも,その臨床像,画像的特徴,組織学的特徴などは必ずしも明らかとは言えない.今回,小腫瘍として発見され,画像上造影所見の変化を認めたCoCCの一切除例を経験したので報告する.
  • 平山 慈子, 朝比奈 靖浩, 土谷 薫, 佐藤 光明, 田中 智大, 安井 豊, 小松 信俊, 梅田 尚季, 細川 貴範, 上田 研, 中西 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 49 巻 9 号 p. 440-448
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/14
    ジャーナル フリー
    症例1は44歳女性.人間ドックにて肝腫瘍を指摘され,精査目的に入院.HBV, HCVなどウイルスマーカー陰性で肝機能異常は認めず,各種画像診断から肝血管筋脂肪腫(AML)を考え,経皮的腫瘍生検にて診断確定した.経過観察中にて腫瘍径の増大は認めていない.症例2は40歳女性.健診にて肝腫瘍を指摘され,各種画像診断でも肝細胞癌が否定できず,短期間に腫瘍径が増大したため左葉外側切除術を施行した.病理組織より肝血管筋脂肪腫と診断された.症例1, 2は最終診断では肝血管筋脂肪腫であったが,症例1では脂肪成分に富み典型的なAML所見であったのに対し,症例2は脂肪成分に乏しく診断困難であった.両者ともに肝静脈が流出血管として描出され,造影超音波検査が有用であった.
短報
  • 富山 恭行, 大元 謙冶, 吉岡 奈穂子, 河瀬 智哉, 柴田 憲邦, 吉田 浩司, 久保木 眞, 日野 啓輔
    原稿種別: 短報
    2008 年 49 巻 9 号 p. 449-451
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/14
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was to clarify the factors for predicting the development of hepatocellular carcinoma (HCC) in patients with primary biliary cirrhosis (PBC). HCC developed in 7 (7.4%) of the 95 PBC patients who were negative for hepatitis B and C virus markers. The degree of liver fibrosis was only a significant factor for the development of HCC in multivariate analysis. However, the presence of diabetes mellitus was significantly more frequent in patients with HCC than those without. More extensive study may be required to identify if body mass index or presence of DM may be associated with the development of HCC in PBC patients, since such patients are increasing currently.
速報
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