肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
50 巻 , 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
Editorial
原著
  • 勝嶋 史子, 阿部 和道, 横川 順子, 物江 恭子, 菅野 有紀子, 高橋 敦史, 大平 弘正
    原稿種別: 原著
    2009 年 50 巻 11 号 p. 618-625
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    2008年にInternational Autoimmune Hepatitis Group(IAIHG)から,新たな自己免疫性肝炎(AIH)簡易版スコアリングシステム(新基準)が提唱された.今回,当科でのAIH症例について新基準を用いて再評価し,現基準と比較しその有用性について検討した.対象は,1965年12月から2008年7月まで当科で肝生検を施行されたAIH 59例とした.方法は,2つの診断基準を用いて疑診,確診,基準外に分類し,現基準から新基準へのスコアの推移や他疾患における新基準でのスコアの比較を行った.その結果,新基準では確診例が37.3%から74.6%へ増加した.一方,新基準で基準外となった症例も6例増加したが,IgG低値と肝炎ウイルス陽性がその要因であった.なお,他疾患において新基準で確診となる症例は認めなかったが,原発性胆汁性肝硬変(PBC)例では32.6%(31/95例)が疑診となった.以上のことから,新基準はAIHの診断において簡便で有用なシステムと考えられたが,AIHの最終診断においては個々の臨床的特徴を踏まえ総合的に判断する必要がある.
  • 菊地 勝一, 近藤 寿郎, 生田 真一, 飯田 洋也, 相原 司, 安井 智明, 柳 秀憲, 光信 正夫, 覚野 綾子, 中正 恵二, 山中 ...
    原稿種別: 原著
    2009 年 50 巻 11 号 p. 626-633
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を背景肝とした肝細胞癌(HCC)の発癌病態を検討するため,当施設で治療を行ったHCC症例中,非B非C型で,背景肝がNASHと診断された10例についてその臨床病理像や背景因子を検討した.【対象.方法】当施設で肝切除(173例)又はablation(216例)を行ったHCC 389症例中,HBs抗原・HCV抗体ともに陰性であったのは29例(7.5%)であった.そのうち臨床病理学的にNASHと診断された症例10例(2.6%)を対象とし,宿主因子,背景肝病理組織,血液検査所見,背景肝機能,腫瘍因子について検討した.【成績】(1)性・年齢は,男性7例,女性3例,平均年齢70.9±8.1歳であった.(2)Body Mass Index(BMI)が25 Kg/m2以上の肥満者は6例(60%)であったが,生活習慣病の合併率は,糖尿病6例(60%),高脂血症2例(20%),高血圧7例(70%)であった.(3)背景肝病理組織は10例中4例(40%)が肝硬変,6例(60%)が脂肪肝炎であった.また脂肪肝炎のstageはBruntの分類でS1:2:3=1:2:3と,線維化の程度が軽度から中等度の例が半数を占めた.(4)肝予備能を反映する血清アルブミン(Alb)値とプロトロンビン(PT)活性は肝硬変群においても,それぞれ4.1±0.5 g/dl,79.0±8.2%と正常であった.さらに肝硬変群をChild-Pughで分類するとAが3例,Bが1例であった.一方ICG R15は肝硬変群が31.8±25.0%であったが,慢性肝炎群においても20.5±16.5%と高値であった.(5)腫瘍因子に関しては2個以上の多結節病変を有する症例が9例(90%)で,このうちいずれかの結節が高分化型HCCであった多中心性発生は6例(67%)であった.【まとめ】NASH由来と診断されたHCCは,高齢で生活習慣病の合併率が高頻度であった.背景肝組織は肝硬変を合併しない脂肪肝炎からの発癌が多く,多中心性発生が高頻度であった.【結語】NASHに合併したHCCの背景肝は60%が脂肪肝炎であり,67%が多中心性発癌であった.また,脂肪肝炎例においては線維化が軽度の症例も認められ,HCCの合併を考慮した厳重なフォローが必要と考えられた.
  • 山敷 宣代, 菅原 寧彦, 田村 純人, 金子 順一, 野尻 佳代, 小池 和彦, 國土 典宏
    原稿種別: 原著
    2009 年 50 巻 11 号 p. 634-643
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    脳死体からの臓器提供が極端に少ない本邦では,移植を受けられる患者は限定される.したがって,脳死肝移植希望患者数と実際の移植件数との不均衡を理解した上で,移植希望患者の適応評価をする必要がある.当院では2003年4月に臓器移植医療部が設立され,以降,待機リスト登録前評価方法と登録後のフォローアップ体制を整えてきた.その適応評価過程や現状を報告する.2008年末まで101症例の脳死肝移植希望患者を評価し,41症例が登録,初回の医学的緊急度は1点(2例),3点(10例),6点(23例),9点(6例)であった.登録後16症例が移植を受けずに死亡した.一方検討期間中脳死肝移植に至った7症例は全例生存した.待機中3カ月毎の受診を必須としたが,実際の来院回数は想定された回数の48%にとどまった.移植を希望した患者がタイミングよく速やかに評価体制に入るために,評価体制の肝臓内科医への周知,待機期間中のフォロー体制の確立が望ましいと思われた.
症例報告
  • 平嶋 昇, 田中 靖人, 小林 慶子, 島田 昌明, 岩瀬 弘明, 後藤 秀実
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 50 巻 11 号 p. 644-649
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は26才女性.2007年11月21日,AST235 U/L,ALT636 U/L,T-Bil.3.5 mg/dlで紹介を受けた.HBs抗原・IgM-HA抗体・HCV抗体陰性であったがHCV RNA定性(アンプリコア法)は陽性であった.ALTは正常化せず,08年2月8日HCVグループ2,RNA定量3.0 Log IU/ml(リアルタイム法),3月21日肝生検F1A1であったため,3月25日からペグインターフェロンα2aを12週投与してHCV RNAは陰性化した.尚,07年8月頃から付き合い始めたフィアンセは刺青を有し07年11月C型急性肝炎を発生,11月28日HCVグループ2,RNA定量430 KIU/ml(ハイレンジ法)であった.保存血清を用いて分子系統樹解析を名古屋市立大学臨床分子情報医学教室において行ったところ患者とフィアンセはおなじ感染ルートであることが推測された.日本のC型慢性肝炎は高齢化し治療に難渋しているが,若い世代を中心に麻薬や刺青によるC型肝炎感染が散見され性交渉によってさらに拡大しているとも言われている.C型肝炎は感染早期にインターフェロンを投与した方が治療効果は高く早期治療が望ましい.若い世代に対する積極的HCV対策も今後は必要である.
  • 米田 有紀, 斎藤 明子, 小宮 朋子, Patel Sneha, 千葉 三千代, 白鳥 敬子, 加藤 孝章, 片桐 聡, 山本 雅一, 中 ...
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 50 巻 11 号 p. 650-656
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    症例:38歳女性,人間ドックで肝S7に50 mm大の腫瘤を指摘され近医にて精査.単純CTで腫瘤は低吸収域,造影CT動脈相で濃染,門脈相でwash outされ,MRI,血管造影,Angio-CTでも多血性であった.腫瘍生検で高分化型肝細胞癌ないし異型腺腫様過形成と診断され,画像所見との解離があったため当院受診.入院時HBs Ag(-),s Ab(-),HCV Ab(+),肝酵素や腫瘍マーカーは正常.超音波検査で境界明瞭な低エコー結節,レボビスト造影エコーでは動脈相で後区域枝とその対側から動脈流入あり均一に染影,1分後wash outされた.以上より肝細胞癌の典型像とは異なるが悪性腫瘍と考え,右副腎合併肝後区域切除術を施行.切除標本割面で腫瘤は径52 mm,黄色,被膜を認めず,組織学的に副腎皮質癌と診断した.非癌肝は慢性肝炎であった.本腫瘍は右肝動脈後区域枝より栄養され明瞭な濃染とwash outを示し,術前診断が困難であった.肝S7背側の腫瘍は,副腎原発の可能性も考慮し診断する必要があると考える.
  • 大森 薫, 谷本 治子, 寺井 崇二, 山崎 隆弘, 坂井田 功
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 50 巻 11 号 p. 657-664
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は60代男性.主訴は発熱と右季肋部痛.CTで肝右葉に60×40 mmの膿瘍を指摘された.腹部超音波検査Bモードでは,膿瘍と背景肝の境界が不明瞭で,安全かつ確実な穿刺ドレナージが困難であった.Sonazoid®造影超音波検査のKupffer imageでは50 mmの膿瘍腔・壊死部が明瞭に描出され,経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行した.その後もSonazoid®造影超音波検査により,治癒経過を観察しえた.肝膿瘍の経皮的ドレナージ術と経過観察に,造影超音波検査が有用であった肝膿瘍の1例を経験した.
特別寄稿
feedback
Top