肝臓
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51 巻 , 12 号
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原著
  • 林 智之, 平井 聡, 島谷 明義, 堀田 洋介, 松田 耕一郎, 平松 活志, 松田 充, 荻野 英朗, 清水 康一, 内山 明央, 寺畑 ...
    原稿種別: 原著
    2010 年 51 巻 12 号 p. 697-705
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    非B非C(NBNC)型肝細胞癌(HCC)手術例の臨床病理学的特徴についてB型およびC型HCC手術例と比較しつつ検討した.当院で過去11年間に手術されたHCC 108例中NBNC型は43例(39.8%)と多くを占め,これら43例中35例でHBc抗体は測定されており18例(51.4%)でHBc抗体陽性であった.B型は108例中18例(16.7%),C型は47例(43.5%)であった.NBNC型では,B型およびC型に比し肥満と糖尿病の合併頻度は有意に高かった.背景肝の組織学的所見は,NBNC型ではB型と同様C型に比し軽度であった.NASH/NAFLDの頻度は,burned-out NASHも含めNBNC型非飲酒者18例中6例(33.3%)であった.平均無再発生存期間はNBNC型74.6カ月,B型62.6カ月,C型38.2カ月と3群間比較ではNBNC型が有意に長く,平均生存期間においても同様な傾向であった.
症例報告
  • 樋上 勝也, 石井 耕司, 澤 美里, 篠原 美絵, 渡邉 学, 田村 晃, 中島 早苗, 渋谷 和俊, 倉持 茂, 住野 泰清
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 706-713
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性,慢性腎不全で加療されていた.2008年4月に原因不明の肝障害が出現し当科紹介,原因検索したが不明のまま血清AST,ALTは自然軽快した.9月に再び肝障害が増悪した際,EBV-VCA IgG抗体価が高値で,ISH法とPCR法により血中,肝組織内のEBV-DNAを確認したことから,慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)と診断.強力ミノファーゲンC 60 ml /日投与により肝障害は軽快したが,2009年1月に再び肝障害の増悪を認めたためビタラビン600 mg/日静注とプレドニゾロン60 mg/日経口投与を開始したところ肝障害は改善した.しかし,経過中にアスペルギルス,サイトメガロウイルス感染症による重症感染症を併発し永眠された.EBV-VCA IgG抗体価の異常高値が認められた場合,CAEBVを疑い,血中,肝組織内EBV-DNAの存在を証明することは診断確定のために有用と思われた.
  • 川上 万里, 梅川 康弘, 田原 研司, 木田 浩司, 藤井 理津志, 岸本 壽男
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 714-721
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    日本紅斑熱の岡山県初発例を経験した.症例は64才女性.高熱,紅斑,刺し口を有し,肝障害と血小板数の低下を認めた.皮疹が四肢末梢に強いこと,手掌にも認めたことがつつが虫病との鑑別点となった.副作用のため短期間の投与となったが,ミノサイクリンが奏功した.後日ペア血清において抗体価(免疫蛍光抗体法)の有意な上昇が認められ,痂皮のPCR法では日本紅斑熱DNAが抽出された.本疾患は4類届出感染症であり,近年報告数が増加し,新たに届出をする県が増えている.治療が遅れると致死的となることもあるため,高熱と皮疹を伴う肝障害症例を診た際には常に本症も念頭におき,疑えばすぐに治療を開始することが重要である.
  • 早稲田 洋平, 平野 桂, 稲垣 聡子, 後藤 善則, 山田 真也, 三輪 一博, 金子 佳史, 土山 寿志
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 722-729
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性,C型慢性肝炎にて当院受診.PEG-IFN/リバビリン(RBV)併用療法の適応を考えたが,抗核抗体(ANA)高値,IgG高値であり自己免疫性肝炎との鑑別のため肝生検を施行した.病理所見上autoimmune dominant,International AIH Groupの診断基準(AIHスコア)にて自己免疫性肝炎疑診であり,ステロイド投与を開始した.ANAは陰性化したが肝障害は改善しなかった.ステロイド投与開始後,発熱,乾性咳嗽が出現した.ニューモシスチス肺炎(PCP)の合併を疑いその治療を開始したところ,肺炎症状は改善した.PCP改善後,PEG-IFNα-2b/RBV併用療法を開始したところ肝障害は改善,HCV RNAも陰性化した.肝疾患におけるステロイド投与によるPCPの合併は稀であり,さらに治療について興味ある結果が得られたので報告した.
  • 山本 毅, 西岡 可奈
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 730-735
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    症例1は60歳の男性で,症例2も70歳男性.いずれも自覚症状がなく,偶然の機会の採血で肝機能異常を指摘され当科を初診した.両症例ともに薬剤・ウイルスの関与は否定的で,肝生検では自己免疫性肝炎(AIH)の特徴とされる慢性活動性肝炎の像は認められず,centrilobular zonal necrosis(CZN)のみを認めた.血清学的にはIgG値は正常範囲内で,各種自己抗体もほとんどが陰性で,AIHを積極的に示唆する所見に乏しかったが,ステロイドの投与が著効し,特に症例1では投与を中止すると肝機能は悪化したことから,病態には何らかの免疫異常の関与が疑われた.CZNをAIHの初期像の一つとする意見があるが,血清学的にAIHに合致しない症例もあり,結論が得られていないが,この2症例は病態の解明に若干の示唆を与えるものと考えられた.
  • 原村 智子, 曽山 明彦, 高槻 光寿, 日高 匡章, 林 徳真吉, 江口 晋, 兼松 隆之
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 736-741
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の女性.C型肝硬変フォローアップ中に急速な増大傾向を示す卵巣腫瘍を認めた.術前の画像や血液検査などから境界悪性の可能性が最も高いと考えられ,切除が必要と考えられたが,非代償性肝硬変(Child-Pughスコア10点,class C)の状態での,骨盤内を大きく占める卵巣腫瘍に対する手術は,周術期のリスクが非常に高いと考えられた.結果として,一期的な卵巣腫瘍摘出術と非代償性肝硬変に対する生体肝移植を施行した.卵巣腫瘍摘出術を先行し,腫瘍を摘出した後,右葉グラフトを用いた生体肝移植術を施行した.術後経過は良好で,移植後5年の時点で卵巣腫瘍の再発は認めていない.開腹術周術期のリスクが高い肝硬変患者に肝外腫瘍が認められる場合は,各科と連携し,一期的な手術を行うことが根治治療となりうると考えられた.
  • 田中 寛, 長沼 篤, 土田 浩之, 竝川 昌司, 鏑木 大輔, 森 一世, 新井 理記, 蘇原 直人, 小島 明, 丸田 栄, 竹澤 二郎 ...
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 742-750
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    肝硬変に筋肉内血腫を合併した2例を経験した.症例1は62歳男性,アルコール性肝硬変で治療を受けていた.咳嗽後に腹痛が出現し,CT検査にて腹直筋血腫が認められた.入院後に施行された中心静脈穿刺により,右大腿部にも血腫が出現した.貧血および肝不全が徐々に進行し,死亡した.症例2は74歳男性.C型肝硬変による肝性昏睡で入院となった.胸水に伴う咳嗽が続いていたが,突然右側腹部の血腫が出現した.全身状態が急速に悪化し死亡.肝硬変での筋肉内血腫は致死的であり,臨床上,示唆に富む症例と思われ報告する.
  • 須納瀬 豊, 平井 圭太郎, 吉成 大介, 戸塚 統, 戸谷 裕之, 小川 博臣, 高橋 憲史, 田中 和美, 小山 徹也, 竹吉 泉
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 12 号 p. 751-757
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性.2004年4月に上腹部痛のため近医を受診し,肝腫瘍の診断で当院に紹介となった.血液検査,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.CTで肝両葉の表層に不整形の腫瘤を認め,辺縁のみが濃染した.PET-CTでは異常集積を認めなかった.肝生検では,紡錘形の腫瘍細胞が敷石状に増殖し,淡明な空胞と硝子様線維間質を伴っていた.免疫染色では第VIII因子関連抗原,CD31,CD34,vimentinが陽性,cytokeratin,desminが陰性で,類上皮血管内皮腫と診断した.切除不能なため肝動注化学療法を行ったが,その後経過観察となった.2007年までは自覚症状に変化はなかった.2008年より肝機能が悪化し,2009年には浮腫と腹水が出現した.CTでは時間と共に病巣が広がり,2009年には肝全体を腫瘍が占拠していた.同年9月に全身状態が悪化し,腫瘍の進行に伴う肝不全と腹膜播種で10月に死亡した.
短報
  • 今井 則博, 池田 健次, 瀬古 裕也, 平川 美晴, 川村 祐介, 保坂 哲也, 小林 正宏, 斎藤 聡, 瀬崎 ひとみ, 芥田 憲夫, ...
    原稿種別: 短報
    2010 年 51 巻 12 号 p. 758-760
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/29
    ジャーナル フリー
    Miriplatin is a novel lipophilic platinum complex developed to treat hepatocellular carcinoma (HCC). Although HCC patients frequently have coexisting severe liver cirrhosis, there is no prospective data regarding clinical toxicity of miriplatin in HCC patients with severe cirrhosis. We retrospectively evaluated the safety and efficacy of transcatheter arterial chemotherapy with miriplatin in 34 HCC patients with severe liver cirrhosis (Child-Pugh grade B). An anti-tumor effect of complete response was achieved in 8 of 34 patients and no serious adverse events were observed. These results suggested that transcatheter arterial chemotherapy with miriplatin can be used safety for HCC patients with Child-Pugh B liver cirrhosis.
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