肝臓
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51 巻 , 8 号
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原著
  • 森本 学, 沼田 和司, 近藤 正晃, 日高 央, 高田 樹一, 渋谷 明隆, 宮川 薫, 大川 伸一, 奥瀬 千晃, 田中 克明
    原稿種別: 原著
    2010 年 51 巻 8 号 p. 411-417
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    Sorafenibを導入した進行肝細胞癌76症例を集計し有効性と安全性を検討した.平均年齢は70.3歳,ECOG PS 1-2が31.6%,進行度Stage IVが48.7%を占めた.平均1日内服量は552 mg,画像評価(RECIST)でCR+PRを6.6%,SDを26.3%に認めた.総投与期間,画像無増悪期間,全生存期間の中央値はそれぞれ1.7カ月,2.9カ月,8.1カ月であった.Grade 3以上の有害事象は,前期登録症例,Child-Pugh B症例,血管進展を有する症例で多く発現し,全症例の22.4%が有害事象により治療中止に至った.全生存には,75歳未満,PS 0,SD以上の奏効が有意に寄与する因子であった.海外の既報に比して高齢者が多く,有害事象で治療中止に至り投与期間の短い実態が明らかとなった.今後,至適開始用量や投与方法等の再検討が望まれる.
症例報告
  • 川村 欣也, 小林 良正, 高橋 和明, 早田 謙一, 住吉 信一, 川田 一仁, 高橋 百合美, 牧野 さつき, 則武 秀尚, 中村 浩淑 ...
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 8 号 p. 418-424
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    シカ及びイノシシの生食により感染したと思われるE型急性肝炎3例を経験したので報告する.症例1,2は71歳と48歳の男性で発症の約2カ月前に,偶然同一飲食店で別々にイノシシの肝を生食していた.症例3は69歳の男性で,発症の2カ月前から息子が狩猟で捕獲した複数頭のシカ生肉を頻回に自宅で調理し摂取していた.3症例とも入院時,肝逸脱酵素は著明に上昇していたが補液や安静で改善した.3症例の病初期血清におけるIgM-HEV抗体,IgG-HEV抗体,HEV-RNAが陽性でHEV genotypeは4型,塩基配列は相互に99.8%以上一致した.愛知県のヒト及びイノシシから分離されている「4型HEV愛知株」との間にも98.5%-99.8%の一致率を示し,北海道に蔓延するgenotype 4とは明らかに別系統であることが注目された.
  • 田尻 博敬, 増本 陽秀, 三宅 大我, 中村 権一, 佐野 幸寛, 矢田 雅佳, 千住 猛士, 本村 健太, 小柳 年正
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 8 号 p. 425-430
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    症例は34歳男性.職業は獣医.平成21年11月10日頃より微熱,全身倦怠感を自覚し,近医で黄疸を伴う肝障害を指摘され11月20日当科を受診した.初診時AST 215 IU/l ,ALT 465 IU/l ,T-Bil 2.9 mg/dl ,CRP 0.38 mg/dl であり,11月27日入院後,末梢血白血球数,CRP,ALT値が次第に上昇し,発熱と関節痛が著明となった.右背部に紅斑とマダニ刺咬痕を認め,血清ボレリア抗体IgM,IgG陽性の所見からライム病と診断し,Doxycycline,Ceftriaxone投与により軽快した.ライム病による急性肝炎はこれまで本邦に報告がない.
  • 新井 修, 池田 弘, 松枝 和宏, 和仁 洋治, 能登原 憲司, 下村 宏之
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 8 号 p. 431-438
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性.全身倦怠感のため近医にて感冒薬を処方された後,肝機能障害と血小板低下を指摘された.血小板低下の原因は全身検索の結果,特発性血小板減少性紫斑病と診断された.肝炎ウイルス,抗核抗体は陰性で,飲酒歴もなかったため,薬物性肝障害が疑われた.しかし,薬物中止後も肝障害が遷延・増悪するため,経皮的針肝生検を施行し,中心静脈周囲の炎症細胞浸潤を認めた.確定診断のため行った腹腔鏡下肝生検では,自己免疫性肝炎に特徴的な肉眼像と,高度の中心静脈周囲炎のみならず門脈域の炎症所見および線維化を認め,急性発症型の自己免疫性肝炎と診断した.プレドニゾロン30 mg/日とウルソデオキシコール酸600 mg/日の内服を開始し,肝機能および血小板数は正常化した.その後,プレドニゾロン5 mg維持投与中であるが,再燃は見られていない.
  • 小栗 光, 藤本 悟, 伊井 徹, 田中 茂弘, 鹿熊 一人, 橋本 成弘, 高松 繁行, 高橋 博之
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 8 号 p. 439-446
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.2型低ウイルス量,F2/A1のC型慢性肝炎に対してペグインターフェロンα2aの24週投与を行いウイルス学的著効が得られた.ウイルス学的著効から2年2カ月後,肝S8に腫瘍性病変を認め入院となった.画像診断上,典型的な肝細胞癌とは異なり,S8亜区域切除を行った.病理所見では異型細胞が索状,小型管状に増殖し,免疫染色では胆管細胞マーカー陽性,肝細胞マーカー陰性であり胆管細胞癌と診断した.C型慢性肝炎に対するインターフェロン著効後の肝細胞癌の発生については多くの報告があるが胆管細胞癌の発生はまれである.胆管細胞癌の発生にもC型肝炎ウイルスの関与が示唆されており,インターフェロン著効後の肝発癌についても肝細胞癌のみならず胆管細胞癌も考慮して慎重な経過観察を行う必要があると考えられた.
  • 松尾 拓, 王 玉来, 五十嵐 貴宏, 齋藤 吉彦, 鈴木 恒治, 平田 慎也, 伊藤 純一, 山川 光徳
    原稿種別: 症例報告
    2010 年 51 巻 8 号 p. 447-453
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性.2005年より肝細胞癌に対して3回の肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行している.2008年7月多発肝細胞癌に対してシスプラチン/リピオドール懸濁液による肝動注化学療法(Lip-TAI)を施行した.このときのCTでは肝のS3,S4,S8に多発する合計5個の多血性の肝細胞癌を認めたが,いずれの大きさも2 cm以下であった.治療後の経過は良好であったが,3カ月後の10月上腹部痛と腹部膨満感と黄疸のため再入院となった.入院後施行した腹部造影CTでは肝S4を中心に境界不明瞭な乏血性の腫瘍が拡がり,門脈本幹には腫瘍塞栓を認めた.腫瘍の急速な増大と診断したが全身状態は悪化し,入院から19日後に肝不全で死の転帰をとった.剖検では腫瘍はほぼ全肝に浸潤性に増殖し,両肺と骨髄には微小な転移が多発していた.組織学的には多形性に富む細胞からなり,策状構造と偽腺管構造を示す低分化型肝細胞癌であった.肝動脈化学療法後に急速に増大する肝細胞癌は稀であるが,常にその可能性を念頭において経過を見る必要があると思われた.
短報
  • 榎本 大, 根来 伸夫, 藤井 英樹, 小林 佐和子, 岩井 秀司, 森川 浩安, 田守 昭博, 坂口 浩樹, 羽生 大記, 塩見 進, 河 ...
    原稿種別: 短報
    2010 年 51 巻 8 号 p. 454-456
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    A 57-year-old woman presented with a purpuric rash. Cryoglobulins were detected, and a skin biopsy showed leukocytoclastic vasculitis. The alanine aminotransferase level was 119 IU/L, and the platelet count 63,000/mm3. The hepatitis B virus (HBV) DNA was 6.4 log10 copies/mL and became negative by week 6 of entecavir therapy. The antiphosphatidylserine-prothrombin complex antibody (anti-PS/PT) was 390-510 U/mL, and decreased to 69 U/mL at week 24, after cryoglobulin had become negative and the rash resolved. Among 20 HBV-infected patients without extrahepatic manifestations, low titers of anti-PS/PT were detected in 8 (40%). Clinical characteristics were similar in patients with or without anti-PS/PT. Low titers of anti-PS/PT in chronic hepatitis B have little clinical significance, whereas high titers may promote cryoprecipitate formation.
  • 乾 あやの, 小松 陽樹, 日衛嶋 栄太郎, 十河 剛, 永井 敏郎, 藤澤 知雄
    原稿種別: 短報
    2010 年 51 巻 8 号 p. 457-459
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    Since the national program of immunoprophylaxis against perinatal transmission of hepatitis B virus (HBV) was started in 1986, the HBV carrier rate in children was dramatically decreased. However, the cases of failure of the prevention still exist. In this study, we retrospectively analyzed the reasons of 56 cases of the failure of the prevention after the initiation of national program. Seventeen (31%) were not received the immunoprophylaxis of the national program by mistake. Seven (12%) were received the inappropriate doses of schedule. Our national program is relatively complicated compared to the method adopted by almost all other countries. Because of the universal vaccination program is easy to finish the schedule, we should consider converting our prevention schedule to the universal vaccination program.
レポート
  • 日本肝癌研究会追跡調査委員会
    原稿種別: レポート
    2010 年 51 巻 8 号 p. 460-484
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
    第18回全国原発性肝癌追跡調査においては,544施設から2004年1月1日から2005年12月31日までの2年間の20,753例の新規症例と30,677例の追跡症例が集計された.追跡症例の有効回答率は74.2%であった.基礎統計は,第18回新規登録症例を対象として死因,既往歴,臨床診断,画像診断,治療法別の各因子,病理診断,再発,剖検についてまとめた.第17回調査と比較し,肝細胞癌における臨床診断時の高齢化,女性の増加,HBs抗原,HCV抗体陽性率の減少,腫瘍径の縮小の傾向が,治療においては局所療法におけるラジオ波焼灼療法の増加が認められた.1994年から2005年まで新規登録症例の中で最終予後が生存または死亡となった症例(不明を除く)について肝細胞癌,肝内胆管癌,混合型肝癌の治療法別,背景因子別累積生存率を算出した.肝細胞癌については腫瘍個数,腫瘍径,肝障害度を組み合わせることにより背景因子を揃えて,治療法別(肝切除,局所療法,肝動脈塞栓療法)の累積生存率を算出し,また,1978年から2005年までの新規登録症例を3期に分け,累積生存率を算出した.新規登録症例数は経時的に増加し,肝細胞癌の予後の改善が著しいことが明らかとなった.本追跡調査が原発性肝癌の研究および診療の進歩に役立つことを期待する.
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