肝臓
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52 巻 , 1 号
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原著
  • 金沢 秀典, 楢原 義之, 福田 健, 近藤 千紗, 張本 滉智, 松下 洋子, 城所 秀子, 片倉 玲樹, 厚川 正則, 中塚 雄久, 坂 ...
    原稿種別: 原著
    2011 年 52 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    保険適応条件を満たす代償期C型肝硬変10例にIFN-βを1年間投与し,IFN-βが門脈圧,肝線維化マーカー,肝組織像,肝機能へ及ぼす効果を前向きに検討した.6例では治療前に部分的脾動脈塞栓術を必要とした.2例がSVRとなった.門脈圧の指標としたHVPGは17.5±11.8 mmHgから治療終了時12.4±4.3 mmHgへと29%有意に低下した.肝生検像は治療終了時には2例がF4からF3へ,5例でA因子の改善を認めた.肝線維化マーカー(ヒアルロン酸,PIIIP,IV型コラーゲン,TGF-β1)は何れも治療中有意に低下し,アルブミン,コリンエステラーゼ等は治療中有意に改善した.しかし投与終了1年後には,SVR例では肝線維化マーカー,肝機能の改善が持続したものの,非SVR例では悪化する傾向を示した.以上より,IFN-βは代償期C型肝硬変の門脈圧を低下し肝線維化マーカーを改善するが,非SVR例では投与終了後にこうした効果は持続せず消失していくと思われた.
症例報告
  • 橋口 正史, 最勝寺 晶子, 馬渡 誠一, 小田 耕平, 馬場 善政, 蔡 榮鴻, 呉 建, 熊谷 公太郎, 玉井 努, 森内 昭博, 宇都 ...
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    25歳女性.20歳時からアルコールを多飲,入院加療歴があった.2009年12月初旬から倦怠感,発熱,黄疸が出現,症状発現15日後に当科入院した.重症型アルコール性肝炎と診断,アンチトロンビン(AT)濃縮製剤などの抗凝固療法を行った.全身状態,肝機能とも改善傾向であったが,血圧測定後に出現した左上腕の皮下血腫が体幹まで拡大し貧血が進行,造影CTでは左上腕部に筋肉内血腫を認めた.圧迫止血を強化し,血腫の進展は止まったが,持続的なAT-III低下に対して再度AT濃縮製剤を投与したところ,筋肉内血腫の増悪と貧血の進行がみられた.急性肝不全では抗凝固療法が有用とされるが,筋肉内血腫で死亡した症例も報告されており注意が必要である.
  • 椎名 啓介, 長沼 篤, 高草木 智史, 竝川 昌司, 田原 博貴, 湯浅 和久, 丸田 栄, 吉田 カツ江, 小島 明, 高木 均
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 26-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)後にペグインターフェロン・リバビリン(PEG-IFNα2b/RBV)併用療法を施行し,ウイルス学的著効(sustained virological response:SVR)が得られたC型肝硬変3例を経験した.全症例において経過中に肝細胞癌の合併を認め,ラジオ波(radiofrequency ablation:RFA)による治療を行った.2例は無再発生存中であるが,1例は門脈腫瘍栓を合併し,急速な癌の進展により死亡した.C型肝硬変でSVRとなった場合,肝線維化は徐々に改善し,肝発癌抑制効果が期待される.しかし既に微小な癌細胞が存在することが多く,SVR後も厳密な画像検査が必要不可欠と思われた.PSEは血小板数を著明に改善し,PEG-IFNα2b/RBV療法を完遂する上で極めて有用であった.
  • 原 裕子, 北 嘉昭, 脇山 茂樹, 後町 武志, 坂本 太郎, 広原 鍾一, 石田 祐一, 三澤 健之, 矢永 勝彦
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    脾梗塞は比較的稀な疾患であるが,門脈圧亢進症による巨脾を有する末期肝硬変患者に稀に発症することが知られている.症例は44歳女性,原発性胆汁性肝硬変のため生体肝移植を目的に当科入院中,突然の左側腹部痛,39℃の発熱を訴え,造影CTで脾臓に楔状の造影不良領域を認めたため脾梗塞と診断した.保存的治療により病状が改善し,1週間後,予定通り生体肝移植,脾摘術を施行した.術後経過は良好で,患者は15病日に退院した.摘出された脾臓の重量は1,120 gであり,肉眼的に脾梗塞を認め,病理組織学的検索でも細小動静脈に梗塞巣が多発し,好中球浸潤が認められた.一方,線維化,ヘモジデリン沈着が認められなかったため,1週間前に起こった新しい梗塞巣と診断した.以上より,門脈圧亢進症による巨脾を有する患者が左側腹部痛や炎症症状を訴えた場合,脾梗塞を疑い,適切な治療を選択すべきであると考えられた.
  • 平野 玄竜, 喜多村 祐次, 志賀 洋, 池田 憲治, 森田 勇, 宇野 博之, 有田 好之, 梅田 文夫, 早田 哲郎, 向坂 彰太郎
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    症例は,71歳 男性.アルコール性肝硬変のため当院外来に通院していた.2005年の腹部造影CT検査にて,肝内に多発する肝細胞癌を認め,肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;以下,TACE)を施行(1回目).2007年9月には肝内再発,肺転移を認め,肝内病変に対しTACE(2回目)施行し,肺転移に対しては,カルボプラチンと5-FUによる全身化学療法を開始した.以降は,4週間の休薬期間をおいて,計6コース施行した.治療1年半後には,肺転移は著明に縮小した.その後,肝内再発を認め,TACE(3回目)を施行した.現在も原発巣,肺転移巣はコントロールされたままで経過観察中である.肝細胞癌に有効な全身化学療法は少ないが,肺転移巣に対して著効した症例を経験したので報告する.
  • 川村 梨那子, 関 寿人, 池田 耕造, 井口 亮輔, 朝山 俊樹, 山口 隆志, 田中 敏宏, 山口 繭, 宮本 早知, 吉田 勝紀, 是 ...
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性.脈管浸潤を伴う多発性の進行肝細胞癌(HCC)に対し,内科・外科的治療を行うも残肝に再発を認め入院.肝機能はChild-Pugh Aであった.ソラフェニブ800 mgの連日投与を開始.発熱の為8日目に400 mgに減量,11日目の腹部造影CTで腫瘍濃染像の消失を確認.引き続き400 mg連日投与したが14日目に皮疹を認め休薬.29日目に再開したがリンパ球減少の為31日目に休薬.36日目に400 mg隔日投与で再開した.46日目のCTで濃染像が消失した腫瘍に一致して濃染像の再出現を認めた.今回の濃染像の消失及び再出現はソラフェニブの血管新生阻害を反映していると思われる.しかしかかる症例の経験により,腫瘍の造影効果の消失のみでただちに完全腫瘍壊死と判定するのは慎重であるべきである.
  • 福嶋 浩文, 柴山 隆男, 菱木 智, 山本 千佐子, 岡田 洋一
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.入院時,著明な腹水貯留と両下腿の浮腫を認め,AFP,PIVKA-IIの上昇を認めた.胸部レントゲン,CT,および血管造影検査で,肝右葉の巨大肝細胞癌,肝部下大静脈および肝内門脈右前上区域枝の腫瘍塞栓,肝内転移,肺転移と診断した.原発巣に対して2度の肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行した結果,腫瘍マーカーは正常値内に改善し,約2カ月後の腹部CT検査で肝細胞癌の消失を確認した.注目すべきは,肺転移に対する直接的な治療は施行していないにもかかわらず胸部CT検査で肺転移巣の消失も確認された点であり,第2回TACEから7年後の現在に至るまで肝細胞癌の再発は認めていない.また,本症例は経過中C型慢性肝疾患に対してインターフェロン(IFN)治療を施行し,IFN治療終了後2年6カ月以上HCV-RNAが陰性化しウイルス学的著効が得られたことより,今後の肝細胞癌再発リスクの低減が期待される.
  • 斎藤 広信, 高橋 敦史, 阿部 和道, 物江 恭子, 菅野 有紀子, 横川 順子, 大平 弘正
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 52 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.両肩関節痛を認め,近医整形外科で受診し,変形性肩関節症と診断された.1カ月後から両膝・両手首の関節痛も出現し,肝機能異常と貧血も認めたため入院した.免疫グロブリンの低下およびカルシウム値の増加から血液疾患を疑い,骨髄穿刺検査を施行した.骨髄検査ではCD138陽性の異型形質細胞がびまん性に増生し,造血細胞巣の70%以上を占め,頭部レントゲン検査での打ち抜き像,尿中Bence Jones蛋白陽性,血清蛋白免疫電気泳動と併せ,Bence Jones型の多発性骨髄腫と診断した.肝機能異常については,経過から薬物性肝障害は考え難く,自己抗体も陰性で画像所見においても異常所見が無いことから,肝生検を施行した.肝組織所見では,類洞内に骨髄と同様に多数のCD138陽性の異型形質細胞が浸潤し,肝細胞壊死を伴っていた.以上のことから,本例の肝障害の原因は多発性骨髄腫によるものと判断した.肝生検にて骨髄腫が肝障害の原因として診断された症例は稀であり報告する.
短報
  • 堀江 義則, 山岸 由幸, 海老沼 浩利, 日比 紀文
    原稿種別: 短報
    2011 年 52 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    We addressed the recent trend in alcoholic liver cirrhosis (LC) in Japan. Nation-wide survey was carried by asking the hospitals that are qualified by the Japanese Society of Gastroenterology for the number of hospitalized-patients of LC in 2007 and etiology of LC. Concerning hepatocellular carcinoma (HCC) in alcoholic LC, we also obtained age, sex, the amount of daily alcohol intake, period of habitual drinking, body mass index (BMI), prevalence of diabetes mellitus (DM) and obesity (BMI ≥25). Prevalence of HCC was 32.3% in male, and 19.8% in female. It was 39.7% in patients with DM (23.6% without DM) , 44.6% with obesity (23.9% without obesity), 48.8% over 65 y/o (20.0% younger than 65 y/o). Age, sex obesity and DM appeared to be involved in the progression of HCC in alcoholic LC. Improvement of total life style is important.
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