肝臓
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52 巻, 2 号
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Editorial
原著
  • 奥瀬 千晃, 四柳 宏, 山田 典栄, 安田 清美, 原 正壽, 松田 隆秀, 青野 淳子, 鈴木 通博, 伊東 文生, 小池 和彦
    原稿種別: 原著
    2011 年52 巻2 号 p. 87-93
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    2004年から2008年までにB型肝炎(HB)ワクチン接種が完遂された601名を対象とし,HBワクチンの有用性を検討した.全体でのHBs抗体陽転率は92.2%であった.年齢層別の検討では,20~29歳の群でHBs抗体陽転率が86.0%と他の群に比較し低値であり,19歳以下の群と有意差を認めたが(P <0.0001),全体としては高齢化に伴い低下する傾向を示した.性差による検討では,男性と女性のHBs抗体陽転率はそれぞれ78.7%と97.5%で,女性に比較して男性のHBs抗体陽転率が有意に低値であった(P <0.0001).男性は20歳以上でHBs抗体陽転率が低下する傾向を有し,特に19歳以下の群に比較して20~29歳の群では有意に低値であった(P =0.0411).HBワクチン接種により,効率的にHBs抗体を獲得するためには,特に男性においては,20歳以前の接種が望ましいと考えられた.
  • 足立 浩司, 稲邑 克久, 岡村 利之, 杉本 立甫
    原稿種別: 原著
    2011 年52 巻2 号 p. 94-101
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    PEG-IFN/RBV併用療法の導入困難例や無効/副作用で中止/再燃の肝線維化進展例でPEG-IFNα2a少量投与(90 μg/45 μg隔週)をReal-time PCR法でHCVRNAを評価した40例に行った.抗ウイルス効果では,Genotype 1型・高ウイルス量では13.6%でHCVRNAが陰性化した.低ウイルス量はGenotypeによらずPEG-IFNα2a:45 μg投与により,Genotype 2型・高ウイルスでは90 μg投与によりHCVRNA陰性化が期待できた.HCVRNAの陰性化に関わらず,48週・72週時のALT値・AFP値が有意に改善または改善の傾向がみられたことより,PEG-IFNα2a少量投与は発癌率を低下させる可能性が示唆された.観察期間内に3例で肝癌を認めたが,いずれも肝癌治療後で新規発癌例はなかった.白血球・血小板減少などの副作用による中止はなかった.
  • 小関 至, 狩野 吉康, 赤池 淳, 木村 睦海, 荒川 智宏, 中島 知明, 桑田 靖昭, 大村 卓味, 佐藤 隆啓, 豊田 成司
    原稿種別: 原著
    2011 年52 巻2 号 p. 102-111
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    アデホビルは容量依存性に腎障害を生じることが知られており,現在では10 mg/日が適正使用量とされた.この投与量を遵守しても長期投与では一定の割合で腎障害が出現することが海外より示されているが,本邦におけるアデホビルの腎機能に与える影響については未だ不明である.今回,われわれは3年以上継続投与できた核酸アナログ投与例,3年以上経過観察可能であったHBV無症候性キャリア(無治療例)を対象とし,腎障害のモニターとして頻用される血清クレアチニン値と推算糸球体濾過量の推移を検討した.併せて腎障害出現例におけるアデホビル隔日投与変更後の臨床経過を追記した.アデホビル投与例では非投与例・無治療例と比較して血清クレアチニン上昇,推算糸球体濾過量低下量が有意に大きかった(p<0.001).ロジステック回帰分析ではアデホビル投与有りがオッズ比6.6倍で推算糸球体濾過量20%以上低下を来たす有意の因子として抽出された.腎障害によりアデホビルを隔日投与に変更した症例では緩徐に血清クレアチニン値は低下し,腎障害は可逆的であることが示された.
症例報告
  • 甲斐 敬太, 三好 篤, 江頭 秀哲, 久保 洋, 北原 賢二, 磯田 広史, 水田 敏彦, 入江 裕之, 能城 浩和, 徳永 藏
    原稿種別: 症例報告
    2011 年52 巻2 号 p. 112-119
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    異なる画像,病理所見を呈した2領域からなる広範なペリオーシス様変化を伴った肝癌(Pelioid type of Hepatocellular carcinoma;P-HCC)の一例を経験した.症例は78歳男性.検診で肝後区域に径8 cmの腫瘤を指摘された.腹部血管造影下CTおよびMRIの所見から,腫瘤左側の一部は脂肪化を伴う肝細胞癌,その他は胆管細胞癌が疑われた.混合型肝癌の診断で肝後区域切除術を施行した.肉眼的に腫瘤は黒色調と白色調の2領域からなり,黒色調の部分では,肝細胞類似の腫瘍細胞が増生し,間隙が拡大して多量の血液が貯留する,いわゆる肝ペリオーシス様変化が広範にみられた.P-HCCとtelangiectatic adenomaの鑑別が問題となったが,不規則な索状構造と偽腺管構造を結節内に認めたためP-HCCの診断とした.白色調の部分は脂肪化を伴う通常型高分化肝細胞癌の所見であった.本例のように広範なペリオーシス様変化を伴う肝癌の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
  • 徳永 志保, 谷野 朋彦, 孝田 雅彦, 的野 智光, 永原 天和, 杉原 誉明, 植木 賢, 岡野 淳一, 村脇 義和
    原稿種別: 症例報告
    2011 年52 巻2 号 p. 120-125
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    Edwardsiella tarda(以下E.tarda)のヒトへの感染症はまれであるが,敗血症の致死率は高く,特に肝疾患患者での発症が多い.
    症例は76歳男性,検診の腹部エコーにて肝腫瘍を指摘され入院となった.肝腫瘍診断のために行った肝生検当日,悪寒戦慄を伴う40℃の発熱が出現した.CT,腹部超音波より胆嚢炎を疑いSBT/CPZを投与したが改善せず,血液培養からE.tardaを検出した.MEPMおよび免疫グロブリン製剤投与ならびにPTGBA(percutaneous transhepatic gallbladder aspiration)を行い,解熱,炎症は消失した.胆汁の培養からはKlebsiella pneumoniae(以下K.pneumoniae)のみが検出された.また胆嚢穿刺と同時に施行した血液培養ではE.tardaは陰性化していた.
    E.tardaの敗血症は重症例が多く,肝硬変や担癌患者には注意を要する感染症である.
  • 森嶋 計, 俵藤 正信, 小泉 大, 笹沼 英紀, 仁平 芳人, 藤原 岳人, 佐久間 康成, 太田 真, 清水 敦, 佐田 尚宏, 安田 ...
    原稿種別: 症例報告
    2011 年52 巻2 号 p. 126-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.CT,MRIで肝右葉に早期濃染される最大径15 cmの巨大腫瘍と外側区域と尾状葉に数個の小腫瘍を認め,PIVKAIIの高値と画像所見から肝細胞癌と診断した.総コレステロール855 mg/dl ,トリグリセリド753 mg/dl と著明な高脂血症も認めた.2年前の総コレステロールは250 mg/dl であった.胆汁うっ滞所見がなく,高脂血症の家族歴もなく,急激な上昇を認めていることから腫瘍随伴症候群による高脂血症と考えられた.右肝の主腫瘍切除後,総コレステロール・トリグリセリド値は急速に改善したが,術後早期に肝内再発をきたし,肝動脈化学塞栓療法を行うも著効なく,骨転移により急速な転帰をたどった.
  • 金沢 景繁, 塚本 忠司, 清水 貞利, 山本 訓史, 張 翔, 真鍋 隆夫, 村田 佳津子, 木岡 清英, 久保 勇記, 井上 健
    原稿種別: 症例報告
    2011 年52 巻2 号 p. 131-138
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.慢性C型肝炎併存肝細胞癌に対し,平成19年2月肝S8亜区域切除,S3部分切除術を施行.その後,肝S3辺縁に再発し,平成19年7月から肝動脈化学塞栓療法(transhepatic arterial chemoembolization;TACE)や経皮的エタノール注入療法を繰り返し行っていた.平成21年11月のCT上,S3肝腫瘍は増大し,左肝静脈内腫瘍栓(hepatic vein tumor thrombus;HVTT)を認めた.TACEを行った後,12月手術を施行.術中,HVTTは左肝静脈根部付近までみられたが,左肝静脈根部での処理が可能であり,肝外側区域切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検討でS3肝腫瘍およびHVTTは完全壊死に陥っていた.肝静脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌は予後不良であるが,術前TACEによるHVTTを含めた腫瘍の完全壊死のみられた肝細胞癌症例の報告はみられず,治療戦略を考える上で貴重な症例と考えられた.
  • 清水口 卓也, 白井 麻紀, 木村 公則, 今村 潤, 佐伯 俊一, 來間 佐和子, 宅間 健介, 立石 陽子, 江川 直人, 林 星舟
    原稿種別: 症例報告
    2011 年52 巻2 号 p. 139-146
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.2009年6月心窩部痛を主訴に来院,血液検査でT-Bilの上昇,ALP,γ-GTPの高値を認めた.腹部CTで肝内胆管の拡張,門脈本幹および左右一次分枝に腫瘍栓を認め,胆管生検にて肝細胞癌の胆管浸潤と診断した.胆管狭窄部に金属ステントを挿入し減黄を行った後に,IFN-α/5-FU併用全身化学療法を開始した.化学療法2クール終了時にはCTで肝左葉S4主腫瘍が明瞭化し,また門脈内腫瘍栓の縮小とcavernous transformation of portal veinの発達に伴う門脈血流の再開を認めた.そのため同部位に対して肝動脈化学塞栓療法,続いて経皮的ラジオ波焼灼療法を施行し得た.HIV感染症を合併し,診断時点で局所療法の適応のない進行肝細胞癌であったが,IFN-α/5-FUによる全身化学療法により一定の腫瘍縮小を認め,局所療法が可能になった.肝障害のため手術適応がなく,門脈腫瘍栓,胆管浸潤を合併した進行肝癌症例でも腫瘍の局在によっては集学的治療により長期生存を得られる可能性がある.
短報
  • 鈴木 義之, 瀬崎 ひとみ, 芥田 憲夫, 鈴木 文孝, 瀬古 裕也, 今井 則博, 平川 美晴, 川村 祐介, 保坂 哲也, 小林 正宏, ...
    原稿種別: 短報
    2011 年52 巻2 号 p. 147-149
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    To further improve therapeutic effect on chronic hepatitis C, we have administered NS3 inhibitor and NS5A inhibitor together, and examined effects of early antiviral agent therapy. The subjects were five cases where interferon is ineffective (null responders). The NS5A and NS3 inhibitors are oral drugs and were daily administered for 24 weeks. Figure 1 shows time-dependent change of the number of viruses after the therapy started, and rapid decrease of viruses is recognized. Within 12 hours, HCV-RNA decreased by more than 2 log IU/ml in every patient. Two patients became negative for the virus by the 15th day after the therapy started. Furthermore, 80% of cases by the 28th day and all the cases by the 56th day became negative. The new therapy has manifested excellent early antiviral effect.
特別寄稿
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